陸屋根の太陽光発電|設置方法・雨漏りと防水・角度と発電量・屋根を傷めない工法
陸屋根(平らな屋根)にも太陽光発電は載せられ、架台でパネルに傾きをつけます。防水層に穴をあけて固定する方法と、穴をあけずに基礎を置く方法があり、雨漏りの保証の範囲は契約前の確認が必要です。東京の日射量では、南向き10度で南向き30度の95%、水平でも89%の発電量です。
陸屋根は、傾斜屋根のように屋根の面にそのままパネルを並べるのではなく、架台で角度をつけて載せます。防水層をどう守るか、何度に傾けるか、屋根にかかる重さをどう考えるかがポイントです。ここでは、メーカーの資料と国の集計をもとに、陸屋根に載せるときの確認点をまとめます。
陸屋根の主な設置方法
陸屋根は、屋根の表面の防水層で雨水を防いでいます。架台をどう固定するかで、防水層への影響と建物にかかる重さが変わります。
| 方法 | しくみ | 確認すること |
|---|---|---|
| 防水層に穴をあけて固定する | 屋根にアンカーなどで架台を固定し、穴をあけた部分を防水処理する | 防水処理の方法と、その部分の雨漏りの保証 |
| 穴をあけずに基礎を置く | コンクリートなどの基礎の重さで架台を固定する | 建物にかかる重さ(構造上、設置できる場所が限られることがある) |
| 防水材と一体の基礎を使う | 防水の改修と同時に、防水材と一体になった架台の基礎を設ける | 防水改修の範囲と費用、防水の保証 |
- 防水・架台メーカーの資料(トオヤマ「GT工法 陸屋根設置型防水架台」、アーキヤマデ「連結ディスクADC」)をもとにまとめています。アーキヤマデは、防水材一体型の架台基礎を使い太陽光の設置と同時に防水改修を行うことで、新規の防水保証が10年間得られるとしています。
- どの方法が使えるかは、屋根の構造(鉄筋コンクリート・鉄骨・木造)、防水の種類と傷み具合、建物の強さで決まります。施工店の現地調査で確認してください。
雨漏りの保証を確認する
太陽光発電の施工で雨漏りが起きたときに、どこが保証するかは契約によって違います。たとえば長州産業の住宅用の保証書では、施工認定店が標準架台で施工した場合の雨漏りを含む施工不具合を保証の対象にしていますが、陸屋根架台と金属折板屋根用架台は対象外です(メーカーの保証の比較)。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 施工店の工事保証で雨漏りを保証するか | メーカーの保証の対象外になる架台がある |
| 屋根の防水の保証が残っているか | 太陽光の工事で防水層に手を加えると、防水の保証の扱いが変わることがある |
| 防水の改修の時期 | パネルを載せた後に防水を改修すると、パネルの取り外しが必要になることがある |
新築でハウスメーカーに頼む場合は、屋根の防水と太陽光の両方を同じ会社が保証するかを確認します(ハウスメーカーの太陽光発電)。
傾きと向きによる発電量の違い
陸屋根では架台でパネルの傾きと向きを決められます。東京の日射量で計算すると、傾き・向き別の年間発電量は次のとおりです。
| 傾き | 南 | 南東・南西 | 東・西 | 北 |
|---|---|---|---|---|
| 水平(0度) | 89% | 89% | 89% | 89% |
| 10度 | 95% | 93% | 88% | 81% |
| 20度 | 98% | 95% | 86% | 72% |
| 30度 | 100% | 95% | 83% | 62% |
- NEDO「年間月別日射量データベース(MONSOLA-11)」の東京の方位・傾斜別の年平均日射量から計算しています(南向き30度は1kWあたり年間約1,160kWh)。水平は向きによらず同じ値です。
南向きなら10度でも30度の95%、水平でも89%の発電量があります。東西向きに10度で並べると88%です。一方で、傾きを大きくするほどパネルが風を受けやすくなり、後ろの列に影がかからないよう列の間隔も広げる必要があるため、同じ屋根に載せられる枚数は減ります。発電量・架台の強さ・載せられる枚数のバランスで傾きを決めます。向きと傾きの考え方は設置角度と方位で詳しく説明しています。
屋根を傷めない取り付け方
屋根材に穴をあけずに取り付ける工法は、陸屋根だけでなく傾斜屋根にもあります。カナディアン・ソーラーの住宅用カタログでは、屋根材ごとに次の工法を紹介しています。
| 屋根材 | 工法 | 屋根材への穴 |
|---|---|---|
| 金属屋根(立平葺) | キャッチ工法:金属屋根のハゼ部をつかんで取り付ける | あけない |
| 瓦屋根 | 差込金具工法:金具を瓦のすき間に差し込む | 瓦本体にあけない |
| 瓦屋根 | 支持瓦工法:瓦をアルミ製の瓦金具に丸ごと交換する | 瓦を交換 |
| 瓦屋根 | アンカー金具工法:瓦に穴をあけて取り付ける | あける |
- 出典:カナディアン・ソーラーの住宅用カタログ(屋根別架台一覧)。ほかのメーカー・施工店でも、使える工法は屋根材と架台によって違います。
穴をあけない工法でも、屋根の上での作業や重さは屋根にかかります。見積もりのときは、どの工法で取り付けるか、雨漏りをどこが保証するかを書面で確認してください。
陸屋根の費用の考え方
経済産業省の集計では、住宅用太陽光発電の費用は1kWあたり新築28.9万円・既築30.1万円で、新築の内訳は架台が3.2万円、工事費が8.5万円です。陸屋根では、傾きをつける架台や基礎、防水処理の分が屋根の条件によって変わるため、見積もりで架台と工事の内訳を確認し、複数社で比べてください。
| 項目 | 1kWあたり | 5kWの場合 |
|---|---|---|
| 太陽光パネル | 13.5万円 | 約67.5万円 |
| パワーコンディショナ | 5.3万円 | 約26.5万円 |
| 架台 | 3.2万円 | 約16万円 |
| 工事費 | 8.5万円 | 約42.5万円 |
| その他 | 0.2万円 | 約1万円 |
| 値引き | ▲1.7万円 | ▲約8.5万円 |
| 合計 | 28.9万円 | 約144.5万円 |
- 出典:調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2026年2月5日)(新築の平均の内訳)。各項目は四捨五入した値のため、足し上げた値と合計は一致しないことがあります。
容量ごとの価格の目安は5kWの太陽光発電などの容量別のページで計算しています。
マンションの屋上の場合
マンションの屋上は共用部分のため、個人の判断では設置できず、管理組合での合意(総会の決議)が必要です。電気を共用部で使うか、各戸に分けるかによって配線や契約も変わります(マンション・アパートで太陽光発電)。
陸屋根の太陽光発電の見積もりを比べる
陸屋根は、設置方法・防水の扱い・保証の範囲が施工店によって違います。屋根の構造と防水の状態、築年数を伝えたうえで、複数社の提案と見積もりを比べてください。
住宅用で信頼できる施工会社を探す
住宅の屋根は形・向き・広さに制約があり、載せられるメーカーやパネルの枚数は家ごとに変わります。価格にも幅があり、経済産業省の集計(2025年設置)では1kWあたり平均29.0万円に対し、安いほうから3割の水準は25.6万円です(5kWなら約17万円の差)。複数社から見積もりを取り、価格と提案の中身を比べてください。以下は住宅用の見積もり窓口で、複数社をまとめて比べられる一括見積もりサイトと、販売店などから直接提案を受けられる窓口があり、いずれも無料で申し込めます。
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よくある質問(FAQ)
- 陸屋根にも太陽光発電は載せられますか?
- 載せられます。平らな屋根なので、架台でパネルに傾きをつけて設置します。架台の固定には、防水層に穴をあけてアンカーで固定する方法、穴をあけずに基礎の重さで置く方法、防水材と一体になった基礎を使う方法などがあり、屋根の構造と防水の状態で選びます。
- 陸屋根の太陽光発電で雨漏りしませんか?
- 陸屋根は防水層で雨水を防いでいるため、架台を固定するために穴をあける場合は防水処理が必要です。穴をあけない設置方法もあります。メーカーの保証では、長州産業の雨漏りを含む施工の保証は、陸屋根架台と金属折板屋根用架台を対象外としています。雨漏りをどこが保証するかは、契約前に販売店・施工店に確認してください。
- 陸屋根の太陽光パネルは何度に傾ければいいですか?
- 東京の日射量で計算すると、南向き30度を100%としたとき、南向き10度は95%、20度は98%、水平は89%です。傾きを大きくするほど風を受けやすくなり、後ろの列に影ができないよう列の間隔も広くする必要があるため、発電量・架台の強さ・載せられる枚数のバランスで決めます。
- 屋根を傷めない太陽光発電の取り付け方はありますか?
- あります。陸屋根では防水層に穴をあけずに基礎を置く方法があります。傾斜屋根でも、カナディアン・ソーラーのカタログでは、金属屋根のハゼ部をつかんで取り付けるキャッチ工法や、瓦のすき間に金具を差し込む差込金具工法を、屋根材(瓦本体)に穴をあけない工法として紹介しています。使える工法は屋根材と架台で決まります。
- 陸屋根は太陽光発電の費用が高くなりますか?
- 傾きをつける架台や基礎、防水処理が必要になるため、費用は屋根の条件で変わります。経済産業省の集計では、新築の住宅用の費用1kWあたり28.9万円のうち、架台が3.2万円、工事費が8.5万円です。陸屋根では架台と工事の内訳を見積もりで確認し、複数社で比べてください。
- マンションの屋上にも太陽光発電を設置できますか?
- マンションの屋上は共用部分のため、個人の判断では設置できず、管理組合での合意(総会の決議)が必要です。電気の使い方(共用部で使うか、各戸に分けるか)も含めて検討します。



