非シリコン太陽電池(CIS/CIGS)|化合物系の特徴と日本市場の現状
非シリコン/ノンシリコン太陽電池とは、結晶シリコンを使わずに発電セルを構成する太陽電池の総称で、化合物系(CIS/CIGS/CdTe)と有機系(色素増感/ペロブスカイト)に分かれます。製造時の消費エネルギーが小さく、高温下でも結晶シリコンほどパフォーマンスが落ちないという長所がありました。ただし日本の住宅用市場では、CIS最大手のソーラーフロンティアが2022年に住宅用からの撤退・解散を発表し、現在の住宅用市場はN型単結晶シリコン(TOPCon/バックコンタクト)に集約しています。化合物系は工業用フィルム型・建材一体型などの特殊用途と海外メガソーラー(米ファーストソーラーのCdTeなど)で継続中。
本ページでは化合物系太陽電池の仕組み、代表メーカー、本来の長所と短所、日本市場の現状(ソーラーフロンティア撤退)、住宅用以外で続いている用途、そして次世代の有機系(ペロブスカイト)との関係までを整理します。
非シリコン太陽電池の代表タイプ
非シリコン系は使う原料の頭文字から命名されることが多く、代表的な3タイプは以下の通りです。
| 名称 | 原料 | 主な採用 |
|---|---|---|
| CIS | 銅(Copper)/インジウム(Indium)/セレン(Selenium) | 日本ではソーラーフロンティアが2022年まで住宅用主力。同年撤退 |
| CIGS | CISにガリウム(Gallium)を追加 | フィルム型・建材一体型のニッチ用途で継続。海外でも一部産業用 |
| CdTe | カドミウム(Cd)/テルル(Te) | 米ファーストソーラーが世界最大手。海外大規模メガソーラーで継続 |
- 有機系のペロブスカイト太陽電池も非シリコン系の一種ですが、構造・製造方法が大きく異なるため別カテゴリで扱われることが多いです(ペロブスカイト太陽電池の詳細)
化合物系の本来の長所
化合物系太陽電池が結晶シリコンに対して持っていた長所は次の3点です。住宅用市場ではコストとブランド維持で選ばれませんでしたが、技術的な長所自体は依然として有効です。
| 長所 | 内容 |
|---|---|
| 製造エネルギー消費が小さい | シリコンインゴット製造には大量の電力が必要。化合物系は薄膜プロセスで省エネルギー。EPT(エネルギーペイバックタイム)が短くなる |
| 高温下のパフォーマンス低下が小さい | 結晶シリコンは温度1℃上昇で約0.3〜0.45%出力低下するのに対し、化合物系は0.2〜0.3%程度で済む。夏場の高温下で実発電量が定格に対して落ちにくい |
| 薄膜化・フレキシブル化が可能 | フィルム状にできるため、曲面屋根・建材一体型・モバイル用途で活用しやすい |
日本住宅用市場でほぼ消滅した経緯
2010年代前半には化合物系(特にソーラーフロンティアのCIS)が住宅用市場で一定のシェアを持っていました。しかし2020年代に入って状況が大きく変わります。
| 年度 | 動き |
|---|---|
| 2010年代前半 | ソーラーフロンティア(昭和シェル系)がCIS太陽電池の住宅用販売を本格化。雪国・高温地域で「実発電量重視」の選択肢として普及 |
| 2010年代後半 | N型単結晶シリコン(特にPERC構造、後のTOPCon)の効率向上と価格下落で、結晶シリコンが大きく有利になる |
| 2022年 | ソーラーフロンティア親会社が住宅用太陽光発電事業からの撤退を発表。CIS生産・販売を終了 |
| 2023〜2026年 | 日本住宅用市場は事実上N型単結晶シリコン(TOPCon/バックコンタクト)に集約。化合物系の選択肢は実質消失 |
撤退の主因は、N型単結晶シリコンの高効率化(22〜23%台)と低価格化が進み、化合物系の「製造エネルギー」「高温パフォーマンス」という長所が、価格と効率の差を埋めきれなくなったことです。海外でもファーストソーラーのCdTeを除き、化合物系の存在感は限定的になりました。
化合物系がまだ活躍している領域
住宅用日本市場で消滅したものの、化合物系には今も継続している用途があります。これらは結晶シリコンが構造的に向かない領域で、専門メーカーが小規模に供給しています。
- フィルム型・フレキシブルパネル:曲面屋根・キャンピングカー・モバイル用途・農業ハウス上部の薄膜パネル
- 建材一体型(BIPV):壁面・窓ガラス・カーポート屋根への一体型ソーラー。ビルの外装に組み込む採用例
- 海外メガソーラー:米ファーストソーラーのCdTeが世界の大規模太陽光発電所で多数採用。国内住宅市場とは別の流通網
- 遠隔地・特殊環境:高温多湿でパフォーマンスを保ちたい現場
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住宅用太陽光発電の主力メーカーはN型単結晶シリコン(TOPCon/バックコンタクト)を採用しています(シャープ/パナソニック/長州産業/カナディアンソーラー/ハンファQセルズ/トリナソーラー/JinkoSolar/JA Solar/ネクストエナジー)。化合物系を新規に検討する場面はほぼなく、N型シリコン同士の比較で選んでいきます。
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