化石燃料賦課金とは|2028年度導入のしくみと家計負担
このページの要点
化石燃料賦課金は、2028年度から始まる国の負担金です。原油・石油製品・ガス・石炭を採取または輸入する事業者が、CO2排出量1トンあたりの単価で納めます。集めたお金は、2023年度から10年間で20兆円規模を発行するGX経済移行債の返済に充てられ、返済は2050年度までに終える決まりです。単価は年度ごとに政令で決まり、まだ決まっていません。法律で上限があり、石油石炭税の税収が2022年度より減った分と、再エネ賦課金の総額が2032年度より減った分を合わせた範囲に収める仕組みです。家計への影響額を示した政府の試算はありません。
化石燃料賦課金は、2023年5月に成立したGX推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)で導入が決まり、2025年の法改正で、徴収のしかたや単価の決め方が条文に書き込まれました。家庭が直接納めるものではありませんが、燃料の輸入などの段階でかかるため、電気・ガス・ガソリンなどの価格に反映される可能性があります。
化石燃料賦課金のしくみ
化石燃料賦課金は経済産業大臣が徴収し、徴収の事務は脱炭素成長型経済構造移行推進機構(GX推進機構)が行います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 納める事業者 | 原油・石油製品・ガス状炭化水素(天然ガス・LPガスなど)・石炭を国内で採取する事業者と、輸入して保税地域から引き取る事業者(法律では「化石燃料採取者等」) |
| 金額の計算 | 原油などの量から計算したCO2排出量(トン)×化石燃料賦課金単価(円/トン) |
| 単価 | 年度ごとに、法律が定める範囲の中で政令で決まる(まだ決まっていない) |
| 始まる時期 | 2028年度(令和10年度) |
| 使いみち | GX経済移行債の元本と利子の返済。返済は2050年度までに終える |
| 減額・還付 | エネルギー政策との整合や産業への影響を考えて政令で定める原油などは、減額・還付される |
- 出典:脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(e-Gov法令検索)第2条・第8条・第11条・第14条・第15条・第111条。単価の政令は2026年10月の確認で出ていません。
導入の背景:GX経済移行債の返済財源
政府の「GX実現に向けた基本方針」(2023年2月閣議決定)は、一つの試算として今後10年間で150兆円を超えるGX投資が必要だとし、国が20兆円規模を先行して支援する方針を示しました。その資金を集めるために2023年度から10年間発行するのがGX経済移行債で、2024年2月に「クライメート・トランジション利付国債」として初めて発行されました。返済には化石燃料賦課金と、発電事業者が納める特定事業者負担金の収入を充て、2050年度までに返済を終えることが法律で決まっています。
- 出典:GX実現に向けた基本方針(GX実行会議)、財務省「ファイナンス」2024年5月号(GX経済移行債特集)、GX推進法 第8条。
導入スケジュール
化石燃料賦課金は、排出量取引制度とあわせた「成長志向型カーボンプライシング」の一つとして、段階的に導入されます。政府の基本方針では、化石燃料賦課金は当初低い負担で導入し、徐々に引き上げていくとしています。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2023年度から10年間 | GX経済移行債を発行(20兆円規模) |
| 2026年度 | 排出量取引制度(GX-ETS)が本格稼働。CO2を多く出す企業の参加が義務に |
| 2028年度 | 化石燃料賦課金の徴収が始まる |
| 2033年度 | 発電事業者への排出枠の有償割当て(特定事業者負担金)が始まる |
| 2050年度まで | GX経済移行債の返済を終える |
家庭の電気代への影響が大きい排出量取引制度の内容は、排出量取引制度(GX-ETS)と家庭の電気代で説明しています。
単価の決め方と上限
単価は毎年度、法律が定める上限と下限の範囲の中で政令で決まります。上限は、次の①と②を足して③を差し引いた額を、その年度のCO2排出量の総量(見込み)で割った額です(GX推進法 第14条)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 石油石炭税(足す) | 税収が2022年度より減った分(その年度の見込み) |
| ② 再エネ賦課金(足す) | 総額(法律では「納付金」)が2032年度より減った分(2031年度までは0) |
| ③ 特定事業者負担金(引く) | その年度に発電事業者が納める見込み額 |
つまり、化石燃料賦課金の総額は、石油石炭税の税収と再エネ賦課金の総額が減った分を超えない範囲に収まるように決まります。政府の基本方針でも、カーボンプライシングは「エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく中で導入」するとしています。下限は、GX経済移行債を2050年度までに返済するための状況などをもとに計算されます。
単価がまだ決まっていないため、CO2排出量1トンあたりいくらになるか、電気代やガス代がいくら変わるかは、現時点では分かりません。
再エネ賦課金との違い
名前は似ていますが、払う人・金額の決まり方・使いみちが違います。
| 項目 | 再エネ賦課金 | 化石燃料賦課金 |
|---|---|---|
| 始まった時期 | 2012年7月(固定価格買取制度と同時) | 2028年度 |
| 目的 | 再エネの電気の買取費用にあてる | GX経済移行債の返済にあてる |
| 払う人 | 電気を使う人(電気料金と一緒に請求) | 原油・ガス・石炭を採取・輸入する事業者 |
| 金額の決まり方 | 電気の使用量(kWh)×単価 | CO2排出量(トン)×単価 |
| 単価 | 2026年度 4.18円/kWh | 未定(年度ごとに政令で決まる) |
| 家計との関係 | 電気の明細に「再エネ発電促進賦課金」として載る | 家庭が直接払うものではない。燃料の価格を通じて電気・ガス・ガソリンなどの価格に反映される可能性がある |
2つの賦課金はつながっています。化石燃料賦課金の上限には、再エネ賦課金の総額が2032年度より減った分が入るため、再エネ賦課金の総額が減っていく時期に、その範囲で化石燃料賦課金を重ねる設計です。
家計への影響の考え方
化石燃料賦課金で電気代・ガス代・ガソリン代がいくら変わるかを示した政府の試算はありません。単価が決まっていないことに加え、賦課金を納めるのは輸入事業者などで、価格にどう反映されるかは各社の料金の決め方によるためです。
手がかりになるのは、上の「単価の決め方と上限」の仕組みです。国全体で見ると、石油石炭税・再エネ賦課金と合わせた負担の総額が増えない範囲で導入する設計になっています。ただし、どの燃料の価格がどれだけ動くかは別の話で、使う燃料の種類や量によって家庭ごとの影響は変わります。
今の電気代にすでに含まれている再エネ賦課金や、2024年度から小売電気事業者が負担している容量拠出金とは別のものです。電気代が上がる要因の全体は電気代の値上げ動向と備え方で説明しています。
家計への影響を小さくする方法
化石燃料賦課金は燃料にかかるため、化石燃料を使う量を減らすほど影響を受けにくくなります。家庭でできる方法は次の3つです。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| ① 太陽光発電の自家消費 | 発電した電気を家で使った分だけ、電力会社から買う電気が減ります。蓄電池があれば、昼に使い切れない電気を夜に回せます。太陽光の自家消費・蓄電池の比較 |
| ② ヒートポンプ給湯機への交換 | ガスや灯油で沸かしていたお湯を、空気の熱を使うヒートポンプ給湯機(エコキュート)で沸かすと、燃料を直接燃やす量が減ります。プロパン用給湯器の交換費用 |
| ③ 電気自動車への乗り換え | ガソリン車から乗り換えると、ガソリンを使わなくなります。太陽光の電気で充電すれば、電力会社から買う電気も増やさずに済みます。V2Hの価格と補助金 |
電気料金の見直し・新電力切替の候補
電力プランは家庭の使い方で最適解が変わります。ここでは「市場価格の高騰に左右されにくい料金」「基本料金0円・市場連動で攻める」「複数社を横並びで比較したい」の3つの典型ニーズに対応する代表的なサービスをご紹介します。
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市場連動の調整費がない型・全国対応
オクトパスエナジー
英国大手 Octopus Energy と東京ガスの合弁会社が運営し、沖縄と一部の離島を除く全国に対応。卸電力市場の価格に連動する調整費はかからず、「シンプルオクトパス」は申込みから12か月、基本料金0円で単価が固定され燃料費調整もありません(その後はグリーンオクトパスへ移行)。主力の「グリーンオクトパス」は実質再エネ100%です。解約金なし。
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基本料金0円・市場連動の攻め型
リボンエナジー
基本料金0円・燃料費調整額0円で、使った分だけを支払う市場連動型。電力量単価は卸電力市場(JEPX)に連動して30分ごとに変動するため、安い時間帯に洗濯機・食洗機・EV充電を寄せられる家庭ほど割安になります。市場が高騰する時間帯は単価が上がる点には注意が必要です。
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複数社を横並びで比較したい
エネチェンジ
郵便番号と現在の使用量を入れるだけで、対応エリアの主要プランの年間削減額が10分程度で試算できます。燃料費調整の仕組みが違うプランや市場連動型を一覧で比較でき、ガス・通信とのセット割もまとめて確認可能です。
もっと多くの電力会社を比較したい方へ
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独立系・ガス系・通信系・石油系・再エネ特化型をタイプ別に整理。料金プランのタイプ、セット割、再エネ比率、燃料費調整の上限有無で横並びに比較できます。
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料金タイプ別に主な事業者を並べ、シミュレーションの使い方と申込みの手順までご案内します。
よくある質問(FAQ)
- 化石燃料賦課金とは何ですか?
- 2028年度から始まる国の負担金です。原油・石油製品・ガス・石炭を採取または輸入する事業者が、CO2排出量1トンあたりの単価で納めます。集めたお金は、2023年度から10年間で20兆円規模を発行するGX経済移行債の返済に充てられ、2050年度までに返済を終えることが法律で決まっています。
- 家計にどれくらい影響しますか?
- 電気代・ガス代・ガソリン代がいくら変わるかを示した政府の試算はありません。単価はまだ決まっておらず、賦課金を納めるのは輸入事業者などのため、価格にどう反映されるかも分かっていません。法律では、単価の上限を、石油石炭税の税収が2022年度より減った分と、再エネ賦課金の総額が2032年度より減った分をもとに計算する仕組みになっており、エネルギーにかかる負担の総額を増やさない範囲で導入する設計です。
- 再エネ賦課金との違いは?
- 再エネ賦課金は2012年7月に始まり、電気を使う人が使用量(kWh)に応じて電気料金と一緒に払うもので、2026年度の単価は4.18円/kWhです。化石燃料賦課金は2028年度に始まり、原油・ガス・石炭を採取・輸入する事業者がCO2排出量に応じて納めるもので、家庭が直接払うものではありません。燃料の価格を通じて、電気・ガス・ガソリンなどの価格に反映される可能性があります。
- 単価はいつ、どのように決まりますか?
- 年度ごとに、法律が定める上限と下限の範囲の中で政令で決まります。上限は石油石炭税と再エネ賦課金の総額が減った分から、下限はGX経済移行債の返済の状況などから計算します。政府の基本方針では、当初は低い負担で導入し、徐々に引き上げていくとしています。
- 家計への影響を小さくする方法はありますか?
- 化石燃料を使う量を減らすことです。太陽光発電で電力会社から買う電気を減らす、ガスや灯油の給湯器をヒートポンプ給湯機(エコキュート)に替える、ガソリン車から電気自動車に乗り換える、といった方法があります。
- 排出量取引制度(GX-ETS)とはどう違いますか?
- 排出量取引制度は2026年度に本格稼働し、CO2を多く出す企業が排出量に見合う排出枠を用意するしくみです。2033年度からは、発電事業者が排出枠の一部を入札で有償で受け取り、その代金(特定事業者負担金)を納めます。化石燃料賦課金と特定事業者負担金の調整は、別に法律で定めるとされています。




