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電力と事業継続計画(BCP)|中小事業者の停電対策と一石三鳥の備え方

このページの要点

電力BCP(事業継続計画)は、災害や大規模停電でも事業を止めないよう、非常用電源・蓄電池・太陽光発電などを計画的に備えておく取り組みです。2024年の能登半島地震では最大約4万戸が停電し、1月末の時点でも約2,500戸の停電が残りました。中小企業は、国が認定する「事業継続力強化計画」を作ると、防災・減災設備の特別償却16%や金融支援、補助金の加点を受けられます。太陽光+蓄電池は平時の電気代削減にも使えるため、災害時だけの備えになりにくい設備です。

電力を軸にしたBCP(事業継続計画)は、災害や大規模停電が起きても事業を止めないために、自家発電・蓄電池・省エネ設備などを計画的に整備しておく取り組みです。BCPのガイドラインと、電力に焦点を当てた設備・支援制度・進め方を順に説明します。

  • このページは『BCPが大切なのは分かるけど、予算もないし優先事項にしにくい』とお考えの中小企業や個人事業主に向けて、『災害時以外にもメリットがある一石二鳥・三鳥な設備があるので、より前向きに検討してみては』という趣旨で整理しています。大企業の事業者さまなど本格的な対策が必要な場合は、専門家へのご相談をおすすめします。

BCP(事業継続計画)とは

BCP(Business Continuity Plan・事業継続計画)は、企業が地震・水害・大規模停電・感染症などの緊急事態に直面したときに、事業資産の損害を最小限にし、中核となる事業を続けるか早く復旧するための方針・体制・手順を示した計画です。災害で事業が止まる時間が長引くほど、取引先・顧客・従業員に影響が広がります。

BCPを作っておく意味

BCPがあると、緊急時に優先して続ける業務と、その手順・担当者があらかじめ決まっているため、復旧に向けた動き出しが早くなります。中小企業庁は、BCPにあたる「事業継続力強化計画」の認定を受けた中小企業に、税制措置・金融支援・補助金の加点などの支援を用意しています。

『電力BCP』が特に重要な理由

BCPの中でも電力の確保は重要なテーマです。電気が止まると、ITシステム・通信・空調・冷蔵冷凍・照明・セキュリティ設備がまとめて止まります。2011年の東日本大震災のあとには計画停電が行われ、2018年の北海道胆振東部地震では北海道全域が停電しました。2024年の能登半島地震では最大約4万戸が停電し、道路の損壊などで復旧に時間がかかり、1月末の時点でも約2,500戸の停電が残りました。

  • 能登半島地震の停電の数字は、経済産業省 産業構造審議会 電力安全小委員会の資料(北陸電力送配電の復旧状況)によります。

政府機関のBCPガイドライン

政府機関が公開しているBCPのガイドラインと制度は複数あり、企業の規模や目的で参照するものが変わります。

主なBCPのガイドラインと制度
ガイドライン・制度 内容と対象
内閣府
『事業継続ガイドライン』
企業向けの総合的なガイドラインで、2023年3月に改定。計画を作るだけでなく、運用・点検・見直しを続ける事業継続マネジメント(BCM)の考え方を重視。内閣府防災情報のページで公開
中小企業庁
『中小企業BCP策定運用指針』
中小企業の実情に合わせたBCPの作り方と運用のしかた。入門・基本・中級・上級の4つのコースがあり、様式をダウンロードして作業できる。中小企業BCP策定運用指針で公開
中小企業庁
『事業継続力強化計画』
中小企業が作った防災・減災の事前対策の計画を、経済産業大臣が認定する制度(中小企業のための取り組みやすいBCPと位置づけ)。認定を受けると税制措置・金融支援・補助金の加点などを受けられる。中小企業庁のページ

災害時は電気を確保、平常時は電気代削減

BCPは『備えのコスト』と捉えると経営判断の優先度が下がりがちですが、平常時にも経済メリットを生む設備を選べば『平時にも使える備え』になります。中小事業者が現実的に取り組める設備を整理しました。

電力BCP設備の比較(BCP効果・平時効果・初期投資)
設備 BCP効果 平時の経済効果 初期投資目安
非常用発電機
(ディーゼル・ガス)
燃料がある間は発電できる なし(燃料の管理・点検の費用がかかる) 規模・燃料で大きく変わる(見積もりで確認)
太陽光発電
(屋根設置・4〜9kW)
日中の業務継続 自家消費した分の電気代が減る(発電は月約380〜860kWh) 119.0〜167.1万円
太陽光+蓄電池
(蓄電池 約10〜16kWh)
夜間・停電が続く場合にも対応 上に加え、昼に使い切れない発電分を夕方以降に回せる セットで
239.7〜388.9万円
EV+V2H EVの蓄電池の電気を建物に送れる 太陽光の電気で走行用に充電できる EVの車両代+V2H本体128万円(税抜)+工事費
  • 太陽光は10kW未満で住宅用と同じ区分のため、住宅用の取引実績の平均(ソーラーパートナーズが公表している2025年1〜12月の取引実績の平均(税込・2026年8月更新))。太陽光だけの平均は出典の表が9kWまで。発電量は1kWあたり年約1,150kWh(全国平均の目安)で計算
  • 太陽光+蓄電池は、住宅用でセットで導入した取引の平均(同じ出典。蓄電池は約10・13・16kWhの区分)。事業所向けの製品や工事の金額は見積もりで確認してください
  • 電気代の削減額と回収年数は、昼間の電気の使用量と契約している料金の単価で大きく変わります

非常用発電機は『災害時のためだけの設備』で維持の費用もかかりますが、太陽光+蓄電池は毎月の電気代を削減しながら停電時バックアップにもなる『一石二鳥』。さらに環境への取り組み(CSR)のアピールが加われば一石三鳥になります。

太陽光+蓄電池で電力BCPを実現する3つのメリット

太陽光+蓄電池による電力BCPの3メリット
メリット 内容
① 停電時の事業継続(BCP) 停電中も、蓄電池にためた電気で冷蔵庫・PC・照明などを動かせます。使える時間は、蓄電池の容量と動かす機器の消費電力で決まります(例:容量10kWhで合計500Wの機器なら計算上約20時間。実際に取り出せる電気は容量より少なくなります)。EV+V2Hなら、EVの蓄電池の電気も建物に送れます
② 平時の電気代削減 事業所の屋根太陽光4〜9kWの発電量は月約380〜860kWhで、そのうち事業所で使った分だけ電力会社から買う電気が減る。蓄電池を併用すると、昼に使い切れない発電分を夕方以降に回せる。削減額と回収年数は昼間の電気の使用量と料金の単価で大きく変わるため、見積もりで確かめるのが確実
③ 環境への取り組みのアピール 取引先から温室効果ガスの排出量の把握や削減を求められたときに、自家発電した再エネの利用を実績として示せます。グリーン電力の環境価値と組み合わせると説明しやすくなります

BCP対策の補助金と優遇

中小事業者向けには国・自治体の支援制度があり、太陽光・蓄電池・V2Hなどの電力BCP設備に使えるものもあります。

電力BCP関連の主な支援制度

  • 中小企業庁『事業継続力強化計画』の認定:防災・減災設備を取得すると特別償却16%(中小企業防災・減災投資促進税制。2027年3月31日までに認定を受け、認定から1年以内に取得した設備が対象)。ほかに金融支援、補助金の加点など
  • 国の蓄電池向けDR補助金:家庭用蓄電システムが対象の制度は2026年度分の受付を5月29日に終了(公募再開の予定なし)。事業所向けは年度ごとに公募の有無を確認
  • 自治体BCP補助:東京都・大阪府・愛知県等が独自にBCP設備補助金を実施。事業所所在地の自治体公式サイトでご確認ください
  • CEV補助金(EV・V2H):EV車両の購入補助は2026年度分が受付中(12月に終了見込み・事業者も対象)。V2H設置の補助は2026年度分の受付を8月27日に終了

補助金は予算に達すると終わるものが多いため、公募の時期を早めに確認するのが確実です。各補助金の併用可否は事務局へのご確認が必要です。

中小事業者・個人事業主向けの実装手順

BCP策定から電力BCP設備導入までの基本的な流れを5ステップで整理します。

  1. 事業への影響の分析:中核業務・止められる時間の限度・必要な電力量を整理します。事業所の主要機器の消費電力をリスト化し、停電時に維持すべき最小限の電力量を見積もります。
  2. 計画づくり:中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」の入門コースから始めるか、国の認定を受けられる「事業継続力強化計画」を作ります。
  3. 電力BCP設備の見積比較:太陽光・蓄電池・V2H等を一括見積で複数社比較。事業所の屋根条件・契約電力・予算で適切な構成を選びます。
  4. 補助金申請+設備導入:公募時期を確認して契約・工事を進めます。事業継続力強化計画の税制は、認定を受けてから設備を取得する必要があります。
  5. 訓練と見直し:停電を想定した訓練と点検を続けます。設備があっても訓練がないと有事に機能しません。

法人向け新電力切替えとセットで検討

BCP設備導入と並行して、平常時の電気代を見直すために新電力(法人 高圧)への切替えも検討するのがおすすめです。契約電力50kW以上の事業所は高圧の契約で、複数の電力会社の見積もりを比べられます。

電気料金の見直し・新電力切替の候補

電力プランは家庭の使い方で最適解が変わります。ここでは「市場価格の高騰に左右されにくい料金」「基本料金0円・市場連動で攻める」「複数社を横並びで比較したい」の3つの典型ニーズに対応する代表的なサービスをご紹介します。

  • 市場連動の調整費がない型・全国対応

    オクトパスエナジー

    英国大手 Octopus Energy と東京ガスの合弁会社が運営し、沖縄と一部の離島を除く全国に対応。卸電力市場の価格に連動する調整費はかからず、「シンプルオクトパス」は申込みから12か月、基本料金0円で単価が固定され燃料費調整もありません(その後はグリーンオクトパスへ移行)。主力の「グリーンオクトパス」は実質再エネ100%です。解約金なし。

    オクトパスエナジー公式ページ

  • 基本料金0円・市場連動の攻め型

    リボンエナジー

    基本料金0円・燃料費調整額0円で、使った分だけを支払う市場連動型。電力量単価は卸電力市場(JEPX)に連動して30分ごとに変動するため、安い時間帯に洗濯機・食洗機・EV充電を寄せられる家庭ほど割安になります。市場が高騰する時間帯は単価が上がる点には注意が必要です。

    リボンエナジー公式ページ

  • 複数社を横並びで比較したい

    エネチェンジ

    郵便番号と現在の使用量を入れるだけで、対応エリアの主要プランの年間削減額が10分程度で試算できます。燃料費調整の仕組みが違うプランや市場連動型を一覧で比較でき、ガス・通信とのセット割もまとめて確認可能です。

    エネチェンジで一括比較

もっと多くの電力会社を比較したい方へ

  • 新電力 主要事業者の比較表

    独立系・ガス系・通信系・石油系・再エネ特化型をタイプ別に整理。料金プランのタイプ、セット割、再エネ比率、燃料費調整の上限有無で横並びに比較できます。

  • 電力プラン見直し

    料金タイプ別に主な事業者を並べ、シミュレーションの使い方と申込みの手順までご案内します。

よくある質問(FAQ)

BCP(事業継続計画)とは何ですか?
BCP(Business Continuity Plan)は、企業が地震・水害・大規模停電・感染症などの緊急事態に直面したときに、事業資産の損害を最小限にし、中核となる事業を続けるか早く復旧するための方針・体制・手順を示した計画です。中小企業向けには、中小企業庁が「中小企業BCP策定運用指針」と、国が認定する「事業継続力強化計画」の制度を用意しています。
なぜ電力BCPが特に重要なのですか?
電気が止まると、ITシステム・通信・空調・冷蔵冷凍・照明・セキュリティ設備がまとめて止まり、事業を続けにくくなるためです。2011年の東日本大震災のあとには計画停電が行われ、2018年の北海道胆振東部地震では北海道全域が停電しました。2024年の能登半島地震では最大約4万戸が停電し、道路の損壊などで復旧に時間がかかり、1月末の時点でも約2,500戸の停電が残りました。
中小事業者がBCPを策定するにはどうすればよいですか?
中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」には、入門・基本・中級・上級の4つのコースがあり、様式をダウンロードして作業を進められます。国の認定を受けたい場合は「事業継続力強化計画」を作って申請します。事業への影響の分析→計画づくり→電力BCP設備の見積もり比較→補助金の申請と設備の導入→訓練と見直し、の順に進めるのが基本です。
中小事業者が現実的に取り組める電力BCP設備は?
①非常用発電機(ディーゼル・ガス。燃料がある間は発電できるが、平時の経済効果はない。価格は規模と燃料で大きく変わる)、②太陽光発電(屋根設置・4〜9kWで119.0〜167.1万円・日中の業務を続けられる・平時は発電した電気を使った分だけ購入電力が減る)、③太陽光+蓄電池(4〜9kW+蓄電池約10〜16kWhのセットで239.7〜388.9万円・夜間や停電が続く場合にも対応)、④EV+V2H(V2Hはニチコン現行機の本体が128万円・税抜で工事費別。EVの蓄電池の電気を建物に送れる)。太陽光+蓄電池は平時にも電気代を減らせる設備で、環境への取り組みのアピールにもなります。
BCP対策に使える補助金や優遇はありますか?
主なものは次の4つです。①事業継続力強化計画の認定(防災・減災設備の取得で特別償却16%の税制、金融支援、補助金の加点など。税制は2027年3月31日までの認定が対象)、②国の蓄電池向けDR補助金(家庭用蓄電システムが対象の制度は2026年度分の受付を5月29日に終了。事業所向けは年度ごとに公募の有無を確認)、③自治体のBCP補助(東京都・大阪府・愛知県等が独自実施)、④CEV補助金(EV車両の購入補助は2026年度分が受付中で12月に終了見込み。V2H設置の補助は2026年度分の受付を8月27日に終了)。予算に達すると終わるものが多いため、公募の時期を早めに確認するのが確実です。
電力BCP導入で平時にも経済メリットはありますか?
太陽光+蓄電池の組合せなら、平時は電気代を下げながら停電時のバックアップにもなる一石二鳥の設備になります。事業所の屋根太陽光4〜9kWの発電量は月約380〜860kWh(1kWあたり年約1,150kWhで計算)で、そのうち事業所で使った分だけ電力会社から買う電気が減ります。蓄電池を併用すると、昼に使い切れない発電分を夕方以降に回せます。削減額と回収年数は、昼間の電気の使用量と契約している料金の単価で大きく変わるため、見積もりで確かめるのが確実です。さらに再エネの利用を取引先にアピールできれば一石三鳥になります。

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