2026年度の売電価格|新FIT制度の二段階単価
2026年度は2025年10月開始の新FIT「初期投資支援スキーム」が継続。10kW未満(住宅用)は最初4年24円/5〜10年目8.3円(2段階)、10kW以上50kW未満(屋根設置)は最初5年19円/6〜20年目8.3円(2段階)、地上設置は20年一律9.9円。住宅用の10年平均は約14.58円/kWhで、後半の8.3円は購入電気単価を下回るため自家消費を増やすほどお得な設計になっています。
太陽光発電をはじめ再生可能エネルギーで作った電気は、固定価格買取制度(FIT)により定められた単価と期間で電力会社が買い取ります。2025年10月からの新FIT制度では、前半に高単価・後半に市場連動の低単価を組み合わせる「初期投資支援スキーム」が導入され、初期投資の回収を前倒しにしつつ後半は自家消費を促す設計になりました。2026年度もこの体系が継続しており、10kW未満は最初4年が24円・5〜10年目が8.3円、10kW以上50kW未満(屋根設置)は最初5年が19円・6〜20年目が8.3円、地上設置は20年一律9.9円です。
2026年度の売電単価と買取期間
| 区分 | 容量・設置 | 単価 | 期間 | 売電方式 |
|---|---|---|---|---|
| 住宅用 | 10kW未満(住宅用) | 最初4年 24円/kWh 5〜10年目 8.3円/kWh |
買取期間10年 | 余剰売電のみ |
| 産業用 (屋根設置) |
10kW以上50kW未満(屋根設置) | 最初5年 19円/kWh 6〜20年目 8.3円/kWh |
買取期間20年 | 余剰売電 or 全量売電を選択可 |
| 産業用 (地上設置) |
10kW以上50kW未満(地上設置・地域活用要件) | 20年間 9.9円/kWh(一律) | 買取期間20年 | 自家消費率30%以上+災害時に活用できる体制 |
住宅用の10年平均単価は、(4年×24円 + 6年×8.3円) ÷ 10年 ≒ 14.58円/kWhです。2024年度までの「16円・10年一律」と比べて10年合計の総収入はやや低くなりますが、前半4年で資金を多く回収できるため初期投資のキャッシュフロー上は有利です。後半の8.3円は卸電力市場の平均単価に合わせた水準で、家庭向け購入電気の30円前後を大きく下回ります。後半は自家消費か蓄電池への充電を選んだほうがお得になる設計です。
10年平均14.58円の意味
新FITの「平均14.58円」は、旧FITの「16円一律」と比べて約9%減です。一方で、最初4年で受け取る金額は24円×4年 = 96円相当(kWh単価の累積)に対し、旧FIT16円×4年=64円相当。4年で約1.5倍の現金を先に受け取れる計算になります。お金の時間価値(早く手にした現金は再投資・繰上返済に回せる)を踏まえると、新FITは住宅用太陽光の経済合理性をむしろ強める設計と言えます。
10kW以上50kW未満(産業用)の屋根設置・地上設置の違い
10kW以上50kW未満は、設置形態によって単価と要件が大きく分かれます。屋根設置は既存建物の屋根を活用するため新規造成が不要で、単価優遇(最初5年19円)が受けられます。地上設置(野立て)は土地造成や立地条件のチェックが必要で、単価は20年一律9.9円。さらに「地域活用要件」(自家消費30%以上+災害時に活用できる体制)を満たさなければFIT認定を受けられません。同じ容量でも収益性は屋根設置が大きく上回るのが2026年度の特徴です。
新FIT制度導入の狙い|初期投資支援スキームの構造
新FITは「初期投資支援スキーム」と呼ばれます。住宅用の単価は2024年度に16円まで低下し、「10年では元が取れない」と感じて導入を見送る家庭が増えていました。新FITはこの心理的障壁を取り除き、前半に高単価を集中させて回収速度を改善することで、住宅屋根への普及を再加速する狙いです。
新FITの設計意図(2段階単価の理由)
- 前半(住宅4年・産業屋根5年):高単価で初期投資の回収を加速。家計の負担感を軽減
- 後半(住宅6年・産業屋根15年):卸電力市場の実勢に合わせた8.3円。自家消費・蓄電池併設に経済合理性が生まれる
- 地上設置の20年一律9.9円:地域活用要件を必須化。災害時の地域防災・自家消費との両立を制度で誘導
2026年度の住宅用採算性|自家消費シフトが鍵
FIT制度開始当初(2012年42円・10年)と比べると売電単価は大きく下がりましたが、これは太陽光パネルが大幅に値下がりしたことと、家庭用電気料金の大幅上昇が同時に進んだ結果です。家庭の電気購入単価は再エネ賦課金込みで30円/kWh前後となり、後半の売電単価8.3円より自家消費30円のほうが約3.6倍お得な構造になっています。
採算性を高める3つのアプローチ
| アプローチ | 具体策 | 期待効果 |
|---|---|---|
| 自家消費比率を上げる | 日中稼働の家電シフト・タイマー運転、エコキュート昼沸き上げ、EV充電を昼間に | 売電8.3円→自家消費30円相当に置換、削減効果は約3.6倍 |
| 蓄電池を併設 | 日中の余剰を充電し夜間に放電。卒FIT後も自家消費を継続できる体制 | 夜間自家消費の上乗せで削減幅をさらに拡大、停電時のレジリエンス確保 |
| 電化を進める | エコキュート・IH・EVへの置換でガス・ガソリン代を電気にシフト | 家庭エネルギーの「自家消費しろ」を拡大、購入電力比率を抑制 |
具体的なメーカー別・容量別の採算試算は、毎月更新される 費用対効果シミュレーションページをご参照ください。10年・20年スパンの収支を最新のパネル価格で確認できます。
10kW以上の余剰売電という選択肢
10kW以上の場合は、全量売電と余剰売電のどちらも選択可能です。屋根設置区分(最初5年19円・6〜20年目8.3円)で余剰売電を選ぶと、売電収入は減る一方で電気代の削減効果が高まります。業務用電力の単価よりも安い後半単価8.3円を売電に回すより、自家消費したほうが経済的に有利な場面が増えています。
環境価値とCSRアピール
資源エネルギー庁は、FIT制度で売電された電力の「環境価値」は賦課金を負担する電力消費者に帰属する、と明言しています。つまり全量売電した分はCSR・環境貢献として企業がアピールできない建付けです。一方で自家消費分は環境価値が発電者に残るため、自家消費+余剰売電の組み合わせは、経済的メリットとCSRアピールを両立できる選択肢になります。
ピークカットによるデマンド料金低減
高圧受電の事業所では、年1回の最大デマンド値が翌1年の基本料金を決めます。日中の太陽光発電の自家消費でデマンドのピークを抑えれば、年間の電気代を継続的に下げることができます。蓄電池やエネルギーマネジメントシステム(BEMS)と組み合わせると、ピークカット効果がさらに高まります。
売電の仕組みとお金の流れ
太陽光発電を設置するだけで自動的に売電できるわけではなく、設置前にFIT認定の申請を行い、機器・設置条件が制度の基準を満たしていることを証明する必要があります。認定が完了して系統連系の手続きが整うと、地域の電力会社(または契約した新電力)が買い取りを開始します。
売電収入の振り込み元は電力会社ですが、原資は電力会社の経営資金ではなく、電力消費者全員が「再エネ賦課金」として負担しています。賦課金は全国一律で、毎年度経済産業省が決定。回避可能費用(FIT電力導入で電力会社が削減できた火力発電燃料費等)はそれぞれの電力会社が負担し、残りが需要家負担となる仕組みです。詳細は再エネ賦課金ページでご案内しています。
新FIT前の制度との違い|ダブル発電・全量売電
ダブル発電(旧制度)の扱い
かつてエネファームや蓄電池を併用した余剰売電設備は「ダブル発電」と呼ばれ、通常の余剰売電より低めの単価が適用されていました。これは「機器併用で実質的に売電量が増える分は省エネ努力ではない」という制度設計の名残です。2019年以降は実態に合わなくなり、ダブル発電の単価区分は廃止されています。新FITでも併用機器による単価差はありません。
2012年制度からの主な変更
2012年7月に固定価格買取制度(FIT)が始まり、10kW以上は20年間の全量買取で大規模太陽光が急速に普及しました。10kW以上か未満かで売電方式を切り分ける考え方は新FITにも引き継がれています。一方、2025年10月以降の新FITは住宅用と産業用屋根設置のいずれも前半高単価に転じており、自家消費前提の設計に大きく舵を切った点が大きな違いです。
よくある質問(FAQ)
- 2026年度の住宅用売電単価は2025年度と同じですか?
- 2025年10月開始の新FIT「初期投資支援スキーム」が継続しています。住宅用は最初4年24円・5〜10年目8.3円の2段階単価で、買取期間は10年間。2025年9月以前に認定を受けた設備は旧FIT(2025年度前期15円・10年一律)が適用されます。
- 住宅用で「最初4年24円」は誰でも適用されますか?
- 2025年10月以降にFIT認定を受けた新規設置の10kW未満設備が対象です。既設の旧FIT認定設備は当時の単価が買取期間満了まで継続適用されるため、後追いで新FIT単価に切り替えることはできません。
- 後半の8.3円は今後も維持されますか?
- 後半単価は卸電力市場の平均単価に連動する設計のため、市場環境の変化で見直しの可能性はあります。ただし2026年度時点では2段階構造の維持が継続する方向で、急激な引き下げは想定されていません。
- 10kW以上で「全量売電」と「余剰売電」のどちらを選ぶべき?
- 事業用途と電気使用パターン次第です。日中の自家消費が多い工場・倉庫・店舗は余剰売電が経済的に有利な場面が増えています。一方、自社で電力をほとんど使わない遊休地での発電所事業は全量売電が基本になります。蓄電池併設で余剰売電へ振る判断も増えています。
- 出力制御がかかる地域では採算が悪くなりますか?
- 九州・四国・東北など太陽光普及が進んだ地域では、需給バランスに応じて出力制御がかかります。住宅用への影響は限定的ですが、産業用は売電量に直接影響します。新FITではむしろ自家消費を増やすほど出力制御の影響を受けにくいため、自家消費前提の設計が有効です。
2026年度の太陽光発電を見積もる
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