卒FIT後の電気プランと買取|売電継続・蓄電池・V2H自家消費の選び方
このページの要点
FIT満了後の買取単価は42〜48円/kWhから7〜11円/kWhへと約1/5に下落します。日中の在宅率が低い家庭は買取単価が高めの事業者へ売電継続するのが無難。在宅勤務・高齢世帯・EV保有世帯は、蓄電池やV2Hで自家消費比率を高めるほうが経済的に有利になるケースが増えています。1kWhあたりの価値で見ると、売電8〜10円に対し購入電力26〜32円のため、自家消費に回せる電力は3〜4倍の価値があります。在宅率・蓄電池予算・EV保有計画の3軸で家庭タイプを当てはめて判断しましょう。
住宅用太陽光(10kW未満)のFIT買取は2019年11月から順次満了を迎えています。買取単価は設置当時の42〜48円/kWhから、卒FIT後の7〜11円/kWhへと大きく下落するため、家計戦略を見直すタイミングです。選択肢は大きく3つ──別事業者へ売電継続/蓄電池やV2Hで自家消費比率を上げる/売電を諦め購入電力のみにする。本ページでは家庭タイプ別の最適解をご案内します。
卒FITの現状と対象世帯
卒FITとは、固定価格買取制度(FIT)の買取期間(住宅用10kW未満は10年間)を満了した状態を指します。2009年11月の余剰電力買取制度を起点に、2012年7月のFIT制度に引き継がれ、最初の卒FIT世帯は2019年11月に発生しました。それ以降、毎年累計で増え続けています。
| 時点 | 累計件数 | 背景 |
|---|---|---|
| 2019年度末 | 約53万件 | 2009年11月の余剰電力買取制度開始から10年。最初の卒FIT世帯が発生 |
| 2020年度末 | 累計 約76万件 | FIT制度に切り替わった2010年度設置分が満了 |
| 2024年度末 | 累計 約120万件 | FIT認定42〜48円/kWh期に設置した世帯が順次満了 |
| 2026年度末 (見込み) |
累計 約150万件 | 2016年度設置(FIT認定33円/kWh前後)まで満了予定 |
2009〜2014年に設置した家庭は買取単価が42〜48円/kWhと高額でした。10年経過で単価は7〜11円/kWhへ約1/5以下に下落するため、年間売電収入が10〜20万円から3〜6万円程度へ減ります。FIT認定通知書に記載の『買取満了予定年月』をご確認ください。
FIT買取期間と本ページの対象
- 住宅用10kW未満:10年間(卒FIT後は事業者選択制)— 本ページの対象
- 住宅用10kW以上 50kW未満:20年間(2032年以降に卒FITが本格化)
- 産業用50kW以上:20年間
卒FIT後の3つの選択肢
FIT満了後の選択肢は次の3つに整理できます。複数を組み合わせることも可能です。
| 選択肢 | 追加投資 | 向いている家庭 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| ① 売電継続 (事業者切替) |
原則 0円 (工事不要) |
共働き・日中不在で太陽光発電を消費しきれない家庭 | 買取単価のレンジは7〜11円。電気契約とのセット割で総額判断 |
| ② 蓄電池併用 (自家消費) |
100〜180万円 (補助金で30〜70万円減) |
在宅勤務・高齢世帯・購入電力量が多い家庭 | 自家消費比率は40%から70〜80%へ。回収期間15〜20年 |
| ③ V2H併用 (EV自家消費) |
40〜90万円 (CEV補助金後) |
EVをすでに所有・購入予定の家庭 | 車両バッテリー40〜60kWhで蓄電池の5〜8倍を流用 |
「売電継続だけ」「蓄電池併用」「V2H併用」のどれが最適かは、在宅時間・蓄電池予算・EV保有計画などの前提条件で変わります。次のH2では、まず売電継続を検討する家庭向けに事業者カテゴリ別の買取単価レンジをご案内します。
売電継続するなら:事業者カテゴリ別の卒FIT買取価格
現時点の家庭向け卒FIT余剰電力買取単価を、事業者カテゴリ別のレンジで整理しました。プラン契約条件や地域で単価が変動するため、具体的な事業者名・最新単価は比較サイト等でご確認ください。
| 事業者カテゴリ | 買取単価レンジ (円/kWh・税込) |
主な特徴 |
|---|---|---|
| 大手電力会社 (旧一般電気事業者) |
7.00〜8.50 | 全国対応・手続き簡易。FIT満了時の自動移行先になりやすい |
| 大手都市ガス系の 電気プラン |
9.50〜11.00 | ガス契約とのセットで上乗せ。家庭向けで高めのレンジ |
| 石油系・元燃料商社系 の新電力 |
10.00〜11.00 | 全国対応・EV充電プランとセット契約できる事業者あり |
| 独立系・ 市場連動型新電力 |
8.50〜10.50 | 同社の電気購入プランと組み合わせ前提・条件次第で上乗せ |
| 再エネ専業の 新電力 |
9.00〜11.00 | 再エネ100%プラン契約とセットで上乗せ。電源開示型もあり |
- レンジは現時点の家庭向け代表値です。プラン条件・地域・契約期間で変動します。具体的な事業者名・最新単価は比較シミュレーション等でご確認ください。
同じ余剰電力でも、大手電力会社の7円台と都市ガス系・石油系の11円では、年間売電量3,000kWhの場合で年間1.2万円の差が発生します。10年単純合計で12万円の差です。電気契約とのセット割の組み合わせを含めて比較するのがおすすめです。
売電と自家消費の単価差
卒FIT後は「7〜11円/kWhで売電」と「電力会社から26〜32円/kWhで購入する電力を太陽光で代替」を比較します。後者は3〜4倍の価値があるため、自家消費に回せる家庭は自家消費が有利です。
- 購入単価は従量電灯B 第3段階・燃料費調整込みのレンジ(大手電力26.0〜45.5円)。自家消費に回せばその電力を買わずに済むため、購入単価相当の家計効果になります。差額は1kWhあたり約20円で、自家消費に回したほうが3倍以上の価値があります。
ただし「自家消費に回せる」かどうかは家庭の使用パターン次第です。日中不在で太陽光発電をその場で使えない家庭は、蓄電池やV2Hがないと結局売電になります。判断のポイントは次の4軸で整理できます。
| 判断軸 | 内容 |
|---|---|
| ① 日中の在宅率 | 共働き・日中不在の家庭は発電を消費しきれず売電が中心。在宅勤務・高齢世帯は自家消費比率を上げやすい構造 |
| ② 蓄電池の有無 | 蓄電池があれば昼の余剰を夜間の自家消費に回せ、自家消費比率は40%から70〜80%へ上昇 |
| ③ EV/V2Hの予定 | EVを所有または導入予定なら、V2H併用で『太陽光→車→家』の自家消費循環が組める |
| ④ パネルの劣化と寿命 | 10年経過したパネルは年0.5%程度の出力低下。残存20年で発電量は90%前後を想定。蓄電池やV2Hの新規投資はこの残発電量で評価 |
蓄電池併用で自家消費する場合の経済性
2026年の住宅用蓄電池の本体+工事費は、容量5〜10kWhで100〜180万円が相場です。卒FIT世帯向けのDR補助金(電力需要調整による補助)や自治体補助を組み合わせると、実質負担を30〜70万円下げられるケースがあります。蓄電池の主流容量や価格レンジは蓄電池の比較サイトで詳しくご確認いただけます。
| パターン | 年間メリット | 内訳 |
|---|---|---|
| A:売電継続のみ | 約2.6万円 | 8.5円 × 3,000kWh = 年間 約2.6万円 |
| B:蓄電池併用 (自家消費比率 約70%) |
約6.4万円 | 購入電力削減 28円 × 2,000kWh = 約5.6万円 残売電 8.5円 × 1,000kWh = 約0.85万円 |
A→Bの差額は年間 約3.8万円です。蓄電池本体100万円(補助金後)で単純回収は約27年ですが、補助金活用と再売電・停電バックアップの便益を加味すると、実質的には15〜20年での回収を目標に検討するのが一般的です。残存パネルの発電量低下(10年経過で年0.5%低下・20年で出力90%程度を想定)も加味して、費用対効果の判断材料にしましょう。
V2H併用で自家消費する場合の経済性
EVをすでに所有していれば、住宅用蓄電池の代わりにV2H(Vehicle to Home)で同等の自家消費効果が得られます。車両バッテリー容量は40〜60kWhと住宅用蓄電池の5〜8倍あり、停電時の長時間バックアップにも対応できます。
| 項目 | 住宅用蓄電池 | V2H | 備考 |
|---|---|---|---|
| 機器費用 | 100〜180万円 | 40〜90万円 | いずれも工事込み・補助金併用後 |
| 容量 | 5〜10kWh | 40〜60kWh | V2Hは車両バッテリーを流用 |
| 停電バックアップ | 数時間〜半日 | 数日 | V2Hは長期停電時にも安心感が高い |
| 前提 | 単独で導入可 | EV所有が前提 | EVを別途購入する場合は車両費用が加わる |
EVをすでに持っているなら、初期投資の差で蓄電池よりV2Hの費用対効果が高くなるケースが多いです。詳しいV2H機器の選定基準はV2H導入の選び方でご確認いただけます。
家庭タイプ別の最適解
在宅率・蓄電池予算・EV保有計画の3軸で家庭タイプを当てはめると、最適解が見えやすくなります。
| 家庭タイプ | 最適解 | 具体的なアクション |
|---|---|---|
| ① 共働き+日中不在 +蓄電池なし |
売電継続 | 買取単価が高めの大手都市ガス系・石油系へ切替検討。電気契約セット割を組み合わせる |
| ② 在宅勤務/高齢世帯 +蓄電池なし |
蓄電池導入 | 自家消費比率を高めて購入電力を減らすのが経済的。補助金活用で投資回収15〜20年が現実的 |
| ③ EV所有 +V2H未導入 |
V2H導入 | 蓄電池より費用対効果が高く、停電時の長時間バックアップにも対応。CEV補助金で実質負担を半減 |
| ④ EV購入予定あり +資金潤沢 |
EV+V2H+ 再エネ100% |
脱炭素志向のフルスタック構成。家計と環境価値を両立。再エネ100%プランとセット検討 |
| ⑤ パネル老朽化 (15年以上経過) |
パネル更新も視野 | 出力40%以下まで低下しているなら新規設置と同等の見直しが必要。太陽光の見直し情報で診断 |
事業者切替えの手順(3ステップ)
卒FIT後の売電先切替えは、工事不要・停電なしで完了します。スマートメーター経由の自動切替で、申込から1〜2か月で新単価が適用されます。
- FIT満了通知の確認:FIT満了の3〜6か月前に、現在の買取事業者から書面で通知が届きます。通知を受け取らないまま放置すると、低単価で自動的に売電継続される会社が多いため、早めの確認をおすすめします。FIT認定通知書または検針票で『買取満了予定年月』をご確認ください。
- 新買取先の検討と申込:本ページの事業者カテゴリ別の卒FIT買取価格を参考に、契約中の電気プランとのセット可否・買取単価・契約期間(1年/3年/無期限)を比較。新買取先のWebサイトから申込書を取得し、FIT認定通知書のコピー・売電量明細書を返送します。
- 契約切替(工事・停電なし):新買取先から『切替完了通知』が届けば手続き完了です。スマートメーター経由の自動切替で、切替日から新単価が適用されます。所要期間は申込から1〜2か月が目安です。
電気料金の見直し・新電力切替の候補
電力プランは家庭の使い方で最適解が変わります。ここでは「家計を予測しやすい安定運用」「基本料金0円・市場連動で攻める」「複数社を横並びで比較したい」の3つの典型ニーズに対応する代表的なサービスをご紹介します。
-
家計予測しやすい安定型
アルカナエナジー
基本料金+3段階単価のオーソドックスな従量制で、燃料費調整には上限を設定。法人向け高圧電力で実績を積んだ事業者で、市場連動型のような単価変動リスクがなく、毎月の電気代を予測したい家庭に向きます。
-
基本料金0円・市場連動の攻め型
リボンエナジー
基本料金0円・燃料費調整額0円で、使った分だけを支払う市場連動型。電力量単価は卸電力市場(JEPX)に連動して30分ごとに変動するため、安い時間帯に洗濯機・食洗機・EV充電を寄せられる家庭ほど割安になります。市場が高騰する時間帯は単価が上がる点には注意が必要です。
-
複数社を横並びで比較したい
エネチェンジ
郵便番号と現在の使用量を入れるだけで、対応エリアの主要プランの年間削減額が10分程度で試算できます。固定単価型・燃調上限あり・市場連動型を一覧で比較でき、ガス・通信とのセット割もまとめて確認可能です。
もっと多くの電力会社を比較したい方へ
-
独立系・ガス系・通信系・石油系・再エネ特化型をタイプ別に整理。料金プランの3タイプ、セット割、再エネ比率、燃料費調整の上限有無で横並びに比較できます。
-
各タイプの代表事業者を並列展示・シミュレーション活用法・申込手順までを段階的にご案内します。
よくある質問(FAQ)
- 卒FITとは何ですか?いつ自分の家が対象になりますか?
- 卒FITとは、固定価格買取制度(FIT)の買取期間が満了した状態を指します。住宅用10kW未満の太陽光は買取期間が10年間で、2009年11月以降に余剰電力買取制度・FIT制度で設置した家庭が、設置から10年経過した時点で順次卒FITを迎えます。たとえば2015年5月設置なら2025年5月、2016年4月設置なら2026年4月が満了月です。FIT認定通知書または検針票で『買取満了予定年月』を確認できます。
- 卒FIT後の買取単価はいくらになりますか?
- 事業者カテゴリで7〜11円/kWhのレンジが目安です。大手電力会社の自動移行プランは7〜8.5円/kWh、大手都市ガス系の電気契約セットなら9.5〜11円/kWh、石油系・元燃料商社系新電力は10〜11円/kWh、再エネ専業は再エネ100%プラン契約とセットで9〜11円/kWhが標準的なレンジです。元の42〜48円/kWhと比べると約1/5の水準まで下落します。
- 売電を続けるのと、自家消費に切り替えるのはどちらが得ですか?
- 1kWhあたりの価値で比べると自家消費が約3〜4倍有利です。卒FIT後の売電は8〜10円/kWh、購入電力は燃料費調整込みで26〜32円/kWh前後のため、太陽光発電を家で使えば1kWhあたり約20円のメリットになります。ただし日中の在宅率が低く太陽光を使い切れない家庭は売電中心が無難です。蓄電池やV2Hで時間をずらして自家消費できる家庭は、自家消費比率を40%から70〜80%に引き上げられるため経済性が大きく改善します。
- 蓄電池を追加導入する経済性はどう判断しますか?
- 2026年の住宅用蓄電池の本体+工事費は容量5〜10kWhで100〜180万円が相場です。DR補助金・自治体補助の併用で30〜70万円の補助が見込めるケースがあります。年間メリットは自家消費比率の改善と購入電力削減で4〜6万円が標準的で、補助金活用後の投資回収は15〜20年が目安。残存パネルの寿命(設置後20年で出力90%程度を想定)と費用対効果を見て判断します。
- EVを持っているならV2Hの方が得ですか?
- EVをすでに所有していれば、V2Hの方が費用対効果は高くなるケースが多いです。V2H機器は本体40〜90万円(CEV補助金併用後)で、EVのバッテリー容量40〜60kWhを家庭の蓄電池として活用できます。住宅用蓄電池の5〜8倍の容量を流用できるため、停電時の長時間バックアップにも向きます。一方、EVをこれから買う場合はEV本体の購入判断と合わせて検討するため判断が複雑になります。
- 卒FIT後の売電先切替えで工事や停電は発生しますか?
- 発生しません。スマートメーター経由の自動切替で、工事も停電もなく切替日から新単価が適用されます。所要期間は申込から1〜2か月が目安です。FIT満了の3〜6か月前に現在の買取事業者から書面で通知が届くので、その時点で新買取先を比較・申込しておくのが流れです。通知を受け取らないまま放置すると、低単価のまま自動的に売電継続される会社が多いため早めの検討をおすすめします。




