西アフリカ、マリの広大な内陸デルタを潤すニジェール川で、大規模な灌漑事業が計画されている。湿地消失を危惧する専門家の声もあり、地元住民は不安を感じているという。
マリ中部のモプティ州デボイエ地区はサハラ砂漠の外縁部に位置するが、面積の大部分を湿地が占める。アフリカ屈指の大河、ニジェール川の蛇行する流れが作り出した世界有数の内陸デルタだ。
デルタ地域の人口は約200万人。ほとんどが漁業や放牧、農業で生計を立てているが、デボイエのダオダ・サナンコウ区長は次のように不満を漏らす。「ここではすべてが水に依存しているが、その大事な水を政府が取り上げようとしている。われわれの意見も聞かず、外国から来た農業法人に提供するそうだ」。
こうした問題は世界中で起きている。河川や周辺の自然を糧に生活する人々が、上流で行われる権力者の利水事業に苦しめられているのだ。(ナショナルジオグラフィック)
このデルタにはマナティーやクロコダイル、渡り鳥の越冬地など様々な動物が生息していて、各部族の漁や放牧地など、要は恵みの土地なんですね。
それが最近は水位低下や漁獲高の落ち込みが顕著で、浸水林は乾いたままだそうで、原因を気候変動だという声もあるそうですが、気候変動だけではなく、直接的原因としてサナンコウ区長は上流の利水事業と見ているそうです。
記事によると事業目的は、中国の砂糖会社、リビアの稲作法人、ドイツやフランス、アメリカの企業が出資する農業開発プロジェクトへの水供給で、マリ政府はこうした開発を足掛かりに海外からの投資を呼び込み、農業の近代化を進める意向だそうです。
確かに投資を呼び込み、自国の農業を安定させ、国を富ませなくてはならないのは、政府としても当然のことで、私もわかりますがなんとかならないものでしょうか。
世界有数のデルタ地帯が干上がればどれほどの損失が生まれるかわからないし、確実にデルタに生息している動物にとって致命的になるでしょうし、周辺の200万にの住民も恩恵も受けるでしょうが、長期的に見れば必ず損害が大きくなると思います。
自然を開発の為に破壊すると、必ずしっぺ返しがあるのは自明の理ですから。。
しかし生活環境の向上は人間の求めるところでもあります、なので自然と開発の共生が理想だと思いますが、アフリカやその他途上国にその意識をもってもらうのは難しいことなのでしょうか。。
ちなみにこのナショジオの記事の最後には、こんなことも掲載されています。
マリ政府は今後、外国企業を巻き込んで灌漑地域を10倍以上に拡大する予定だ。
参加企業には無料の土地と、希望量の農業用水が提供される。
試算では、乾期にダム下流の水量がゼロになる日も近い。
さらに上流でギニア政府が計画している水力発電ダムも完成すれば、4年に1度のペースでデルタが完全に干上がる可能性もあるという。
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