中国の大気汚染は深刻です。

ico_check_eco01中国の大気汚染は1990年代初頭から経済成長と共に顕在化し始め、2012年から2013年にかけて、中国各都市の大気汚染が顕著になりました。特に中国国民に健康被害をもたらしていて問題になっている物質は直径2.5マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル以下の微粒子状物質PM2.5といわれる有毒物質です。

このPM2.5は微粒子なので、肺の奥や血管に入り込みやすく、気管支炎を引き起こしたり、喘息を悪化させ、肺がんまで引き起こす要因となる物質です。

大気汚染と肺がん罹患や死亡率の増加には因果関係があることが証明されている現代において、中国では肺がんが悪性腫瘍(癌)の死因のトップとなり、特に都市部の肺がん罹患率、死亡率は地方農村をはるかに上回っています、そして北京や上海など大気汚染のひどい都市部の市民の気管支炎、喘息の罹患が増加し死者まで出ています。

中国の主な大気汚染物質

微粒子状物質
PM2.5、PM10など。微粒子状物質(PM)の発生源は様々ですが、中国の最も重要な大気汚染物質です。粒子径が小さいほど、健康に有害で循環器や呼吸器に影響を及ぼし、肺がん発症や死亡率との因果関係がある物質。

二酸化硫黄
二酸化硫黄は、石油や石炭など化石燃料の燃焼により発生し、循環器や呼吸器に影響を及ぼし、喘息などを引き起こし、酸性雨などの公害の要因になる。

窒素酸化物
一酸化窒素、二酸化窒素、亜酸化窒素などのことで様々な鉱物燃料の燃焼や石油、石炭などの化石燃料の燃焼で発生し、主に工場や自動車の排気ガスに含まれている。紫外線との光化学反応でオゾンなど光化学オキシダント(光化学スモッグ)を発生させ、呼吸器系などに有害であり、発がん性が認められている。

多環芳香族炭化水素類
ベンゾ(a)ピレンなど様々な物質を含み、化石燃料の燃焼や炭素を含む物質の不完全燃焼によって発生します。浮遊粒子状物質中でも発がん性が最も強いといわれている有害物質ということでも知られています。

中国の大気汚染の原因

環境基準の整備や環境に対するモラル無きままの経済発展や利便性を求めた結果、排出される有毒なガスやスモッグが大気汚染の主な原因なのです。

中国は政策上において、省エネや汚染削減を掲げていますが、全く実効性を伴わず、2008年の北京オリンピックの開催などで大気の状態が改善されたといわれましたが、工場を操業停止させたり、移転させたりしたことによる、その場しのぎの政策にすぎなかったことは、現状をみれば明らかです。

北京を例に挙げると西部に火力発電所が多くあり、また経済成長により市民の自動車の保有台数も著しく増加しておりそれらの排気ガス、そして気温が零下10度近くまで下がる為、暖房器具用の石炭の消費も増えたことで北京の大気汚染をひどくしたのが原因と言われています。そして中国の各都市の大気汚染も自動車の保有台数の増加や規制が緩いディーゼルエンジン、工場の有害な排気が重度の大気汚染を招いた一因なのです。

中国の大気汚染の対応

大気汚染という環境問題対して、中国はどう対応していくのか・・・中国は既に中華人民共和国大気汚染防止法というものがあり、近年、環境問題に対してエネルギー消費量を20%削減、 主要な汚染物排出総量を10%削減などの目標を掲げていました。
そして大気汚染物質は14.29%減、 水質汚染物質で12.45%減で効果上げていると中国政府は発表しています。また第11次5カ年計画(2010年まで) などの低炭素社会に向けての計画などがありました、現在は第12次5ヵ年計画(2011~2015)を発行しており、その中でも環境保護や気候変動について盛り込まれていますがその後の中国の現状を見ると、国際的、もしくは国内に向けての印象操作でしかないことがわかります。

そして大気汚染を規制するための国際社会との枠組み等、条約なども無いため、中国の政府のモラルや判断に委ねられているのが現状です。この大気汚染などの環境問題はあくまで、中国の国内問題なのです。

これから中国が大気汚染などの環境問題の解決を図るなら、対応策として中国政府が更に新たな枠組みを決め、規制強化を強めるほかは無いと思われます。しかし国有企業などの既得権益や政治力を弱め、民間の思考をも変えていかなければならないという厚い壁があり、長い道のりになることは間違いないでしょう。

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