農林水産省が「ソーラーシェアリング」を許可

アメリカではすでに農地との併用が進んでおり、日本でも追尾型を利用しての農業との併用の実験も始まりました。

しかし日本の今までの制度では、農地転用許可制度に引っ掛かっていたケースが多かったのですが、上記のような実験も進む中、農林水産省は太陽光発電の農地での併用を、一定の制限を設けた中で許可する事を発表しています。
以下を条件に、太陽光発電の設置の一時転用を許可するとしています

  1. 支柱の基礎部分について、一時転用許可の対象とする。一時転用許可期間は3年間(問題がない場合には再許可可能)。
  2. 一時転用許可に当たり、周辺の営農上支障がないか等をチェック。
  3. 一時転用の許可の条件として、年に1回の報告を義務付け、農産物生産等に支障が生じていないかをチェック。

売電制度を利用するのであれば、3年の期間の縛りと、その後また許可されるかどうか分からない状態は少々リスクであるように見えます。

しかし、「営農上支障がないか」という部分に関しては、逆に農作物や、農業を営む者にとってもプラスになることが多いという事を、CHO技術研究所によると、植物にはそれぞれ「光飽和点」というものがあり、その日射量を超える量は、光合成量の増大にほとんど貢献できない(=植物の生育にほとんど影響を与えない)という事です。

image via CHO技術研究所

image via CHO技術研究所


それ以上に、過度な太陽光を制限することにより、湿度を維持でき、微生物の活動を助け、いい土を作りやすいとも言われ、注目は高まります。
農業者にとっても、夏の過酷な日射を避けられるメリット、灌漑用水の節約などのメリットも考えられると言います。

大きな可能性が感じられるソーラーシェアリングに期待も高まります。

農業と太陽光発電の両立・姫路市で追尾型を使った実証実験

アメリカでは既に酪農との並行も進んでいます。
日本でも、農業との両立に向けて本格的に動き始めています。

追尾型の太陽光発電システムなどを生産するフジプレアムが、姫路市で農業と追尾型太陽光発電を使った売電事業の両立実験を開始すると発表しました

プレスリリース

追尾型を利用することで、1台ごとの発電量がより多く見込めます。
具体的には追尾型太陽光発電システム4基・17.6kWのシステムで年間25MWhが見込めるそうです。
キロワットあたり1420kWh/年。16.2%の設備利用率の計算です。全国平均の設備利用率を12%(=1年間に1050kWh/kW発電できる)とした場合1.35倍の発電量が得られることになります。

農作物の生育に影響を与えないソーラーシェアリングという技術も広まってきていますが、作物によってはこれに適さない場合もあります。

今回の追尾型は地面からより高い位置にパネルが設置され、収穫高などへの影響を最小限に抑えることなどを課題として3年の期間をもうけた実証実験となるようです。

酪農であれば、発電設備直下の影の影響をほとんど考慮しなくて良いのですが、(逆に夏場とかは家畜が涼むのに良さそう)日本はやはり、稲作地としての土地利用が多いので、こういった開発には多くの需要がありそうです。

米国の太陽光は500kW規模がメイン・酪農との並行も進む

アメリカで現在進行中の太陽光プロジェクトは500kW未満が4割と、多くを占めています。
これらの多くは公共施設や大型商業施設の屋根を利用したもので、専用の土地を用意する資金が必要ないため、始めやすく初期費用も少ないこと、導入地域の雇用創出につながっていることなど、大きな役割を果たしていると考えられています。

また今まで農地を利用して大規模太陽光発電施設を建設すると、「土地を犠牲にする」という考えが強かったのですが、太陽光パネルの設置を高くし、その下でなどを飼って下の草地のメンテナンスを行うことで、放牧と発電の二重効果で農地の利用価値を高められると期待されています。