ドバイに中東最大200MWのメガソーラー、コストは世界最安の約7円/kWh

中東最大規模200MWを受注

ドバイの電力水道公社(DEWA)は、EPCにはサウジアラビアACWAとスペインTSKのコンソーシムに200MWの太陽光発電所を受注したと発表。

中東最大規模となるこのメガソーラーはドバイから40km南東に位置するMohammed bin Rashid Al Maktoum Solar Parkに建設されます。第一期としてファーストソーラーが13MWのメガソーラーを建設した場所に隣接して設置される形です。
最終的にはこの場所に1,000 MW(1GW)の太陽光発電所を建設する予定だということ。

Google Mapで見ると、ちゃんとメガソーラーが確認できますね!
2017年にはこの横に、15倍にもなるメガソーラーが加えられると考えると、単純ですがワクワクします。

発電コストは世界最安

今回このメガソーラーが話題になっているのは単に中東最大だから、ではありません。規模で比較すればアメリカのカリフォルニアなどにいくと、500MW規模なんてのもザラです。

ACWAパワーは、今回の発電所の建設において、2017年から25年間、1kWhを5.84米ドル(約7円)で買い取ってもらうことに同意(power purchase agreement/PPA)。
これは当然ACWAパワーの利益分も含んだ販売額でしょうから、建設コストという面では7円より安い可能性が高いです。

日本はどうなんだろう??

ちなみに、日本のメガソーラーなんかはどの程度のコストを達成しているのでしょうか?

2014年度は産業用太陽光発電に関して、32円(税抜)の売電単価が約束されていますが、ここでは純粋に発電コストの計算をしてみたいと思います。

メガソーラーの建設費は30万円前後とされます。

ドバイのメガソーラーと基準を合わせて25年の稼働期間でのコストを算出します。そうすると、25年で1kWあたり、経年劣化を含めても25000~30000kWh程度が得られると予想されます。

日本の現状としては、頑張っても発電コストは10円/kWh程度。全然ドバイのコストに敵いませんね。

コストの安さは日射量の多さがまずは大きな要因

世界記録達成の一番の要因として、ドバイの豊富な日射量が挙げられます。
同国では1平方メートル当たり、年間2000kWhが得られるとされています。
一方はもちろん気温も高いため、熱による損失は少なからずあると考えられます。
それを加味したとしても、1600kWh~1800kWh程度は得られるのではないでしょうか。特に今回使用されたのは熱に強い性質を持つ化合物系のパネルです。

パネルはやはり、ファーストソーラー

第一期と同じくパネルはファーストソーラーが選ばれたのだそう。(第一期はEPCも含めファーストソーラーが受注)

日本ではソーラーフロンティアも製造している化合物系の太陽電池は、シリコン系と比較して熱による損失が少ないのが特徴。
ドバイのような高温の地域にはもってこいのメーカーと言えます。
太陽電池の種類と特徴

ソーラーフロンティアでも、石油大手昭和シェルの子会社ということもあり中東進出の足掛かりをつかもうと頑張っているような段階ですが、ファーストソーラーに先を越されているみたいですね。
頑張れ日本のソーラーフロンティア!

ちなみにファーストソーラーは日本進出も果たしていますが、日本国内ではまだソーラーフロンティアがリードしています。

参考

昭和シェル、アブダビの太陽光発電の実証実験で1.7倍の発電量を確認、中東進出の足掛かりとなるか?

昭和シェル株式会社は2015年1月14日、一般財団法人国際石油交流センターとアブダビ首長国国営の石油精製会社であるTakreer(タクリール)と行っていた共同事業への太陽光発電システム導入に関する実証化実験と調査が終了したことを発表しました。

この実験は製油所関連施設に太陽光発電システムが導入可能か、運転状況や砂塵対策などの内容についてを確認し、2011年から4年間にわたり検証がなされてきました。石油供給の安定確保と原産国との友好を深めたい日本側と、製油所での消費電力の一部を再生エネルギーによって賄うことによって原油輸出余力を増やしたいアブダビ首長国側の方針が一致ししたことによって実現した事業であり、両国の意向が反映されています。

供給されたのは昭和シェル石油の子会社であるソーラーフロンティアのCIS薄膜太陽電池で、タクリールが操業している製油所関連施設屋上とアブダビ市内の製油所内建屋屋上に設置されました。合計で77kWになる両発電所は順調に稼働しており、発電量も日本と比べて1.7倍が得られているのだそう。

ちなみに中東地域に特有の問題である砂塵対策として2014年に防汚塗料と清掃用ロボットも導入したということ。
ソーラーフロンティアの高温耐性の高さに加えてこうしたメンテナンスがどれほど効果を示したのかは特に今回は公表されませんでした。

ちなみにアブダビと同じくアラブ首長国連邦の一国ドバイでは、ソーラーフロンティアの競合でもある化合物系ファーストソーラーが200MWという大規模な受注に成功しています。
昭和シェルの同実証実験が始まったのはファーストソーラーがドバイの第一期目の受注を受けた2012年よりも前のこと。
しかし、”実験”をしているうちになんだか先を越されているような感が否めません。

「同事業はアブダビ首長国との関係強化や日本との友好関係にも貢献するとして期待されています」
と締めくくられる
同発表ですが、実際の発電プロジェクトに関する気配が全く感じられないのは、単なる秘密主義によるものでしょうか。

ヨルダンで1.5MWの屋上メガソーラーはカナディアンソーラーのパネルで

カナディアンソーラーヨルダンカワールグループのエネルギー部門であるKawar Energy社に、1.5MW分の同社製太陽電池を供給したということ。

パネルはカワール社がヨルダンのアンマンにて開発している屋上太陽光発電プロジェクトで使用されるということ。

カワールはヨルダンでの太陽光発電事業でよく名前を聞く企業ですね。
ファーストソーラーと一緒に開発した中東最大級のメガソーラーでもEPSで参加していました。

中東のような気温の上がりやすい地域ではファーストソーラーソーラーフロンティアなど熱に強いパネルが有利な気もしますが、今回は屋根上という事で面積に限りがある中、より多くの容量を設置したいなどといった思惑があったのでしょうか。

中東含むMENA地域、昨年あたりから、より規模の大きいプロジェクトが目立ってきている気がします。

参考

政府が海外に再生可能エネルギーなど技術輸出支援

政府が国際協力機構のJICA(ジャイカ)を通して12つの技術協力の支援を行うと発表。2020年に30兆円のインフラ受注を目指して行われるのだとか。

これはJICAが昨年から行っている「民間技術普及促進事業」のプロジェクトとして採択されるもので、民間提案の技術を途上国に売り込むための支援。
12つのプロジェクトにはそれぞれ2000万円が支援されたということ。

2000万円というと多いようで少ないですよね。すぐに無くなってしまいそうな金額の気もしますが、ここは頑張って将来につなげてほしいものですね。

12つのプロジェクトの中には医療、農業インフラ、水関連に加えて再生可能エネルギーのプロジェクトも2つ選ばれています。

沖電グループ企業は特有の問題に対処できる風力発電の技術を輸出

一つは沖縄電力のグループ会社プログレッシブエナジーによる、トンガへの風力発電の技術輸出。
この風力発電は可変式になっており、天候によって折りたたみができるということ。台風の多い沖縄ならではの技術といえそうですね。

南太平洋の島嶼群からなる国トンガは世界中の小規模な島が同じく抱える電力供給に関する問題を抱えていると考えられます。
つまり、火力発電のための燃料輸送費がかかること、そして、小規模な島に大きな発電施設を建てるのは大変で、環境にも健康にも有害とされるディーゼル発電機を使用しがちなこと。
そのためトンガでは、2020年までに電力需要の半分を再生可能エネルギーでまかなう計画を立てているのだそう。

沖縄電力では、管轄地域内での再生可能エネルギーの接続量が限界に達しているので同地域内ではせっかくの技術を応用しにくい状況ですが、太平洋には同様の問題を抱える島がたくさんあります。
それぞれの規模は小さくても、その道でリードできるような存在になってほしいものです。

住友電工モロッコへの集光型太陽光発電技術輸出

太陽光発電で注目されているMENA地域(中東・北アフリカ)への足掛かりとして住友電工が目を付けたのはモロッコ。
集光型の太陽光発電で最大規模のものはカリフォルニアのものが有名ですが、これは太陽の熱を鏡で集めていわゆる火力発電と同じくボイラーを使った発電設備。
記事では集光型太陽光発電とは書かれているものの、太陽電池を使ったCPVなのか、熱を使ったCSPなのかは明記されていません。

とにかく広い砂漠地帯での発電所ということでは太陽熱を使ったボイラー発電だろうと予想します。つまりソーラーパネルとかは関係ない発電ですね。
砂漠地域の発電というと、熱に強い化合物系のソーラーフロンティアなんかにも頑張ってほしいな、と個人的には思っています。

参考

ファーストソーラーが建設するヨルダンの52.5MWメガソーラー、三菱商事など参画のコンソーシアムに株売却

ファーストソーラーヨルダンに52.5MWの大規模メガソーラーのEPC(設計・調達・施工)サービスを提供することを発表。
「シャムス・マアーン(Shams Ma’an)」と呼ばれるこの大規模太陽光発電事業にはファーストソーラーの他にヨルダンのカワールグループ(Kawar Group)が開発に加わっています。

建設後のO&M(運用・保守)はファースト・ソーラーが担当しますが、持ち株は投資コンソーシアムに売却されるということ。
同コンソーシアムには、三菱商事の子会社であるダイアモンド・ジェネレーティング・ヨーロッパ(Diamond Generating Europe)や、建設に関わったカワールなどが参画するのだとか。

ヨルダンの発電・送配電会社、ヨルダン国営電力(NEPCO)に20年間売電されます。

南ヨルダンに位置するマアーン開発地区計画(Ma’an Development Area initiative)に開発されるこのメガソーラーは中東地域最大規模の太陽光発電設備になる予定だということ。
52.5MWの容量で1.6億kWhが見込めるということですが、なんと約3,048kWh/kWの計算、設備利用率は34.8%というとんでもない数字になります。(日本の平均値は13%とされる)
何かの間違いかと思ったのですが、これはファーストソーラ−の化合物系のCdTe太陽電池を使用することによる高温下でのパフォーマンス維持のメリット(約8%増)と、追尾装置の採用(20%以上増)で見込まれる数値だということ。
といってもこの増加分を割って通常のヨルダンでの平均発電量を算出してみると、2,352kWhという数字になり、やはり日本の平均の2倍以上です。…すごい、羨ましい!

1.6億kWhという発電量でヨルダンでは年間電力供給量の約1%がまかなえるのだということ。

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ドバイ、労働者に太陽電池駆動のファン付きキャップを支給するも…

1GWの設備を計画するアラブ首長国連邦は、豊富な日照量を利用して太陽光発電市場が伸びていくと予想されているMENA地域にも入ります。

その首長国の1つドバイでは、豪奢な建築物を建てるために40℃以上の暑い夏の気温に耐えながら作業を行う建築業の労働者や、街をきれいに保つ清掃員などに、暑さをしのぐための特別なキャップを配布した、というニュースがありました。

このキャップ、なんとソーラーパネルが付いていて、太陽光で回るファンが付いているのです!

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太陽から身を守るために太陽を利用する、というなんともスマートな政策、と思われた矢先、「日光から目に受ける刺激が軽減された」という声もなくはないのですが、多くがこのキャップを「とにかくデザインがダサい」と批判しているということです。
確かにこのモデルの男性の表情は喜んでいるようには見えませんね。

オレンジ色のユニフォームと合わせた色になっているそうです。
遠目で見ると別に悪くない気もしますが。

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ドバイでは、建設業や清掃業に就いている多くの人がインドやバングラデシュからの移民で、彼らの労働環境の向上を政府も模索しているのだそう。
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ファン付きキャップの他にも、こんな傘付き帽子が配布されたこともあるみたいなのですが、これと比べたらファン付きキャップはまだマシな気もします。

参考

サウジアラビアでは日本の1.4倍の発電量が得られる!

サウジアラビア王国ダーラン市のアドミラルタワーに併設された駐車場には、ソーラーフロンティアのCIS薄膜太陽電池モジュールが10.5MW分設置されていますが、運転開始から6か月をすぎ、その稼働状況が発表されています。
それによると、6カ月間で8498Mwhの実発電量を記録したという事!!

日本で得られる発電量と比べて実に1.4倍以上もの発電量が、同じパネル容量で得られることになります。羨ましいですね!

この発電量は日照量の多さが寄与していることはもちろんですが、高熱に強く耐久性に優れたソーラーフロンティアのCIS太陽電池だからこそ、パフォーマンスが落ちることなくこの発電量が得られているともいえるでしょう。

ソーラーフロンティアはサンベルト地帯でのCI太陽電池の普及にこれからもちからを 入れていきたい、ということですが、MENA地域(中東と北アフリカ地域の総称)は太陽光発電市場で今後注目が高まる地域である上に、ソーラーフロンティアは昭和シェルの子会社なので石油産出国とのかかわりも強いはず。
これからの活躍に期待が高まります。

IHSによる2013年の太陽光発電の世界需要の予測は?

市場リサーチ会社「IHS」によると、昨年2012年には一昨年から14%需要が伸び、31.4GWに上ったそうです。
一方「NPD Solarbuzz」では、2012年の世界市場規模は29GWであったと発表しています。
この差についてIHSでは、グリッドに実際接続された設置数に至っては30GWにとどまっている。これは、インドや中国の建設進度の遅さが主な原因にある。ということです。

どちらにせよ30GW前後の設置量があったという事ですね。

そして、より楽観的な数字を発表していたIHSは、2013年はさらに需要を伸ばし、世界中で35GWが導入されるという予測を発表しています。

その内訳はグラフの通り

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中国と日本、ドイツ、アメリカがほぼ同じくらいのヴォリュームの需要が予測されています。
昨年の日本は5位の位置で、割合も10%程度に過ぎませんでした。今年は日本も、世界市場の中でより大きな役割を担う事になりそうですね。

地域別では、アジアがここ10年で初めて世界一の需要を経験し、15GWが予測されています。それに比べてヨーロッパでは13GWにとどまり、世界一の座をアジアに受け渡すことが予測されています。
 
成長率にすると、南北アメリカ大陸で50%、アジアで65%。

またこの表の中ではRoW(rest of the world/世界のその他の地域)に分類されることとなる地域も、成長率で見ると目覚ましいものがあります。
特に中東とアフリカの地域では250%。MENA(Middle East & North Africa)として注目されている地域にあたり、この地域の広大な砂漠などを利用して太陽光発電で得た電力をヨーロッパに送電すると言った計画もあります。

参考

ファーストソーラーが「砂漠と欧州をつなぐ」デザーテックプロジェクトに本格参加

“アフリカの砂漠の太陽エネルギー、風力エネルギーを利用し、ヨーロッパに送電する”という構想実現の為に太陽光関連の団体で構成されたDiiDesertec Industrial Initiative)に、それまで関連企業として参加していたファーストソーラーですが、今年3月1日正式に新たな株主として参加することになりました。

Diiでの活動を通して、今後継続的に市場が拡大されると考えられるMENA地域での存在感を強めたい意向のようです。

参考

クリーンエネルギーに未来を託すアブダビの課題

最近MENA(中東・北アフリカ)の話題が多いですね。
今月16日には毎年アブダビで行われるエネルギー・環境関連見本市World Future Energy Summit(WFES)が開催されました。

「アブダビのあるアラブ首長国連邦は、何に関しても世界一だとか世界最大だとか世界初になりたがるようだ」
というのはグリーンテックメディア(GTM)。

なんでも集光型太陽熱発電施設で世界最大の100MWというShams-1が、3月までに建設完了する予定なのだとか。

これがShams-1 ↓ かっこいいです!!

アブダビの2020年までの「ピーク需要の7%を再生可能エネルギーで」という目標は以前も触れましたが、実際7%となると、約1,600MW(1.6GW)。

しかし、UAEの今までの姿勢、豪奢でエネルギー効率の悪い建造物を次々に建て、電力使用への”補助金”によって経済成長以上の電力時用の増加があること、そしてその結果として一人当たりの二酸化炭素排出量が世界5位だったりすることなどを考えると、UAEのクリーンエネルギー政策に疑心を抱く人も多いのではないか、ともあります。

二酸化炭素の排出量を減らすには先述の電力使用への補助金をやめれば早い話ですが、以前それを行った国で大きな混乱を引き起こした例もあり、アブダビ政府はエネルギーミックスを多様化し、再生可能エネルギーの割合を高める事で対応しようということで、今の動きにつながっているようです。

マスダールはSham-1の他にも、ロンドンの沖合に建設されている世界最大1,000MW(1GW)の沖合風力発電施設”London Array”にも出資しています。


さらに”マスダール・シティ”と呼ばれる計画都市は、国際的な再生可能エネルギー組織のホームとなることだろう、ということ。

これらを見ると、やることなす事とにかく”派手”なUAEのクリーンエネルギー政策。
しかしUAEは、ただただイメージ投資を行っているのではなく、エネルギーの安全性や人的資本への投資と考えているよう。

天然ガスや石油だけでなく、エネルギーの分野で将来的にもリーダーシップを保ちたいアブダビは、豪華絢爛主義(市内の一流ホテル内にある金の自販機など)からの脱却が、どこかの時点で必要だろうというのが、GTMの見解。ごもっともです。

参考