リクシル、太陽光パネルの下に太陽熱温水システム・太陽光熱のハイブリッドパネル使用の実証実験で、消費エネルギー80%減を確認

東京都千代田区に本社を構える、藤森義明氏が社長を務めるリクシル株式会社は、GF技研と共同で既築住宅への太陽光発電システムを導入した実験を行い、住宅総消費エネルギーの約80%の削減に成功しました。
GF技研は、静岡県富士市に本社を持つ梅津健児氏が社長を務める会社で、太陽光エネルギーの最適ソリューション提供事業を展開しています。

今回実験に使用した太陽光発電システムは、高効率太陽熱光ハイブリットパネルを使用していて、エネルギー変換効率が高いことと、設置が容易なことを特徴としています。これまで、リクシルの研究所敷地内でのフィールド実験を実施していましたが、今回実際に使用されている住宅に太陽光発電システムを搭載することにより、実際の使用シーンに即したデータの取得が可能になると考えられています。
リクシルは実際に静岡県富士市の既築戸建て住宅に高効率太陽熱光ハイブリッドパネルシステムを設置し、2014年2月から開始した実証実験の結果、戸建て住宅の総消費エネルギーの約80パーセントを削減可能であることを確認。今後は太陽熱光ハイブリットパネルシステムと暖房や浴室、キッチンなどの住宅設備をHEMSを介して連携することも考慮しながら実証実験、研究を継続していくといいます。

ゼロエネルギー住宅ZEH)の構想は各社が競って研究を続けていますが、リクシルのこの実験がユニークなのは太陽光と太陽熱をどちらも活用することで、屋根で受ける太陽のエネルギーをより活用できるようにするというもの。

現時点でこのハイブリッドシステムについて、容量や効率等は明らかにされていませんが、おそらく商品化を視野に入れていると思われる同システム、今後さらに情報が明らかになってくるのを期待したいところです。

参考

「集熱PV併用システム」の実態は??

リクシルの同設備について、スマートジャパンに詳細が取り上げられていました。
これによると、同ハイブリッドシステムの構造は単結晶シリコン太陽電池背面にアルミニウムの板構造を重ねて、そこに蓄熱層と接続した銅の集熱用のパイプを通したもので、さらに太陽電池の表面から熱が逃げないように風防ガラスが全面に敷かれる工夫が施されているということ。
光と熱の太陽エネルギーを両方使うシステムは、ここでは「集熱PV併用システム」と呼ばれています。

太陽光発電設備は小容量2kW

なんとこのハイブリッド太陽光熱システムで使用されているのはパネル16枚2kW分の太陽光発電設備ということ。
一般住宅では4kW程度の積載が平均的なのですが、今回は半分程度の積載量となっています。

太陽熱は6.4kW、利用価値に期待

対して太陽熱温水を作るシステムは容量約6.4kW分だということ。
パネルの仕様からしても電力の3倍の熱が発生するため、パネルで得た熱をどのように効率的に使用するかが消費量削減の決め手となってきます。また、今回の実証実験で注目すべきところは既存の戸建て住宅にもともと備わっていた給湯機器やヒートポンプ式床暖房と接続することで成果を上げているところです。

太陽熱の利用方法は2つであり、床暖房と給湯で、このうち床暖房はそのまま熱媒体を利用します。一方、給湯は熱交換機を通じて水道水から得た温水を混合三方弁で混合して利用できるようにし、それをシステム制御装置で調整することでガス給湯器の利用をなるべく減らしたのです。また、HEMSを用いた実験も続けており、今後は暖房やキッチンなどの住宅設備とHEMSとの連携する方法を探る見込みとなっています。

同設備は太陽光発電システムと太陽熱温水システムが重なる形でできたシステムなので、屋根の限られた面積を最大利用するという意味ではかなり期待が高まります。
特に、売電をするための設備よりも、自家消費をより促せるシステムの需要は今後さらに伸びてくると予想されるので、他のメーカーからも同様のアプローチによる製品開発があるかもしれません。

リクシルの太陽光発電