スカイソーラー(中国)チリに18MWの施設建設でグリッドパリティプロジェクトを推進

中国の再生可能エネルギーのデベロッパー「スカイソーラー」が、企業で初となるチリでのメガソーラープロジェクトを開発すると発表しました。場所はチリの北に位置するArica地方です。

スカイソーラーは中国の首相と今年7月に、パートナーのSigdo Koppers、そして中国開発銀行とともに累計300MWのプロジェクト開発を行うと同意しており、このチリでの18MWのプロジェクトはチリで最大級の地上設置型プロジェクトになり、スカイソーラーの資本を100%使って建設・開発が行われます。

中国企業がチリでこれほどの規模の施設を作ったことはいまだかつてなく、今回のプロジェクトは中国の太陽光産業の活性化につながるだけでなく、チリの北部に安定した電力を供給するという、お互いの利益が合致している、という事で、これをきっかけにチリをはじめとする中南米諸国のグリッドパリティを推し進めていきたいという意向を発表しています。

Arica地方の場所と、SkySolarのその他のプロジェクトについては
世界のメガソーラープロジェクト一覧
をご覧ください。

速報!「EUvs中国」アンチダンピング抗争

中国の安価な製品がEU内の太陽光発電業界を圧迫しているとし、9月にアンチダンピング調査を開始したEUですが、13カ月程度かかるとされる調査の進行状況です。
調査の一環として、EU委員会は関係者(中国政府、輸出関係者、輸入業者や協会など)へのアンケート調査を送付しています。

これらの調査から中国政府から輸出関係企業への補助金の給付などが証明できれば、9か月のうちに補助金を規制する義務を課すことができます。

EUはこれまでに、4種類の製品に対してアンチダンピング申請を出し、うち”上質コート紙”の取引には法規制が実効中です。
EUに増してアンチダンピング調査の行使が多いアメリカは今までに24製品に対して法規制を実施してきています。
(太陽光モジュールに対しても10月に規制を決めています。)

参照

中国がWTOに、EUの助成金についての申し立て

中国商務部はEU加盟国が自国の太陽光産業を”不正に”助成したという申し立てを、WTOに提出しました。

「中国の政府は我が国の太陽光発電企業に対し、公正な国際取引環境を確保する権利と責任がある。」(中国商務部のスポークスマンShen Danyang)

特にイタリアとギリシャの補助金が”WTOの輸入奨励金の規則に反する”とし、WTOの一員である中国の正当な権利と利益を冒し、太陽光発電企業の輸出に多大なダメージを与えている、と言っています。

中国、怖いわ~。
もちろんEUが先に出した中国製品へのアンチダンピングに対しての報復であると考えられるけれど、JAソーラーCEOが語っていた中国政府の太陽光発電業界に対する”本気度”が十二分に伝わってきます。

中国の脅しのようなこの申し立てに怯えてしまうけれど、言っていることは至極全うだともいえます。
Danyangは次のように付け加えています。
「太陽光発電は、安全なエネルギーを提供し、環境問題への解決策を与えます。
世界の国々は長期的な目でこれを見るべきで、業界内の協調性を強め、自由な国際取引をするべきです。短期的な国内業界の保護主義に走るべきではありません。」

中国商務部はEUとの協議を求めており、60日以内に解決策を見いだせなければWTOによる最終統治を要求する権利を中国は持つとのことです。

参照元

今度は中国が海外製品にアンチダンピング調査!

9月にEUが開始した中国製品に対するアンチダンピング調査ですが、これに対する報復的措置で中国商務部がEUからのソーラーグレードシリコン(太陽光モジュールに利用される精度の高いシリコン)のアンチダンピング調査を開始したという。

欧州委員会側からのコメントはまだ出ていない。

これに加えてアメリカや韓国からのポリシリコンへの調査も開始したとしている。
米国と韓国の調査に関しては、2013年まで分析結果は待たないといけないが、予備的な調査結果は今月にも提出できるかもしれないと漏らした。

2011年にはEU加盟国から中国へのポリシリコンの輸入は少なくとも8.7億米ドルはあったと言われていて、その中でもドイツがポリシリコンの最大の輸出国だそうです。
EUからの中国のアンチダンピング調査も、ドイツのメーカーが大きく関与していたという話があるので、中国は特にドイツを狙っての報復的調査であったとも考えられますね。

中国のポリシリコン製造企業4社が8月にヨーロッパからのソーラーグレードポリシリコンのダンピングと補助金の調査を依頼していたが、それに先立って中国商務部はモジュール価格の下落はその原料であるポリシリコンの価格低下によるものであり、中国メーカーのセルによるものではないという声明を出していた。

もう、それぞれの強みで分業すればいいのに、というのが素人の意見ですが、そういうわけにはいかないのでしょうね。

pvマガジンの記者Oliver Ristauは、この価格抗争の背景に、市場から一旦姿を消した中国のシリコン製造業者の影が見え隠れしているとも言っています。

参照元

2016年までに東南アジアで累計5GWの太陽光発電設置数

東南アジアにおける太陽光発電の設置数はこの先5年のあいだ年間50%の伸び率で上昇し、2016年には累計5GWを達成するという予測がIHSから出されています。
IHSについては1つ前の投稿にあるように、太陽光市場の来年度の回復の予測も出しています。

2015年までタイ、マレーシア、ベトナム、シンガポール、そしてフィリピンにおいての年間の設置数は1GWに上ると予想されています。

IMSリサーチの太陽光市場のアナリストであり、IHSの一員でもあるJessica Jinによると、
現在タイが先導する東南アジアの太陽光発電市場ですが、ほかの国にも大きな市場開拓の余地があります。インドネシアにおいては現在電力供給は一部の人口に限られており、また何千もの島々がディーゼル発電に頼っている環境で、多くの需要に応えるための解決策となりうるのは太陽光発電だということです。

現時点ではモジュール供給は日本と中国の主要メーカーが行っており、大きなシステム・インテグレーターは民間に置かれている状況が多いとのことです。

参考記事

太陽光モジュール市場2013年第2四半期から回復の予測

過剰生産や価格低下、主要市場での成長率の伸び悩みなどで痛手を負っている太陽光発電市場。
今年は利幅が減り続けており、回復を見るのは2013年の第二四半期になるまで待たねばならないという予測をエネルギーリサーチ会社IHSが出しました。

結晶型、薄膜型ともに今年に入って初めて利幅の減少があり、このまま2013年の第二四半期まで下降線をたどり、2013年の最終四半期にやっと今年のはじめと同程度に戻るということです。


今年の第二四半期は、ドイツで駆け込み設置が相次ぎましたが、これがなければ市場はさらに悪化していただろうと言われています。
IHSは、需要の上昇があっても価格低下の波は今年中は収まらないという予想をしています。
なぜなら、遅れている多くのソーラープロジェクトを今年中に完成させるために、最終四半期には中国で需要が増えるであろうとはされながら、もともと中国自体が価格が低い市場であり、世界市場に影響を与えることはないから、という事です。

結晶型モジュールの価格は9月の終わりと比べて1ワット当たり0.70ドルから0.64ドルに価格が下落するという予想。
1キロワット当たり5千円程度価格が下がっているだろうという予想ですね。

実際の販売価格の推移を見ていると、例えば9月の終わりにネット上の販売店で最安値が35万円/kW程度だったサンテックの単結晶ですが、今では34.2万円/kWに下がっています。既に2か月で8,000円も価格が低下しています。

さらに全体的な価格の変化は、9月から10月の価格値下がり幅はかなり大きかったものの、10月から11月の価格はほぼ変わらない販売店がほとんどでした。

四半期でみればすでに確実に予想程度の価格低下が見られていますので、私の予想ではもう年末までそこまで価格の変化はないのではないかと思っています。(専門家ではないので、眉唾ものとして参考にしてくださいね!)

太陽光発電のネット上最安値比較表はこちらでご覧になれます。

参考記事

世界のソーラー事情の歴史?

日本のメガソーラー建設は今年7月の固定価格買取制度が始まってから、急速に注目を浴びるようになりました。
SBエナジーや三井不動産など、これまで社会貢献の意味合いが強かった太陽光発電の設置は、「事業」として成り立つ投資先として、大手の企業が競って建設を始めています。

日本に先立って海外ではすでにメガソーラー建設が盛んに行われていました。現在の日本は、エネルギー事業とは関係のない業種である会社の太陽光発電の建設が主に行われていますが、海外では「太陽光発電事業」がメインの企業が多く存在します。
日本では再生可能エネルギーの開発・運営で「ユーラスエナジー」が有名ですが、この会社はこれまで風力発電を主に行っており、世界で2GW以上の施設を運営しています。今年に入ってからは、比較的大きい規模の太陽光発電施設の国内への建設も進めています。

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Sky Solar(中国

中国を拠点とするスカイソーラーは、国内に限らずチェコ、ブルガリア、カナダ、ドイツ、スペインギリシャ、チリ、そして日本にもメガソーラーを建設しており、建設中も含めると250MW近くになります。(内訳については「世界のソーラープロジェクトマップ・一覧」参照)
さらにスカイソーラーは、中国の新疆ウイグル自治区での大プロジェクト(800MW)の第1段階となる60MWの施設の建設も行っています。

新疆ウイグル自治区(Xīnjiāng)では、スカイソーラー以外にも「JCS Solar」「大唐新疆発電」など、国有企業と民間企業の約10社との間で太陽光プロジェクトの交渉を進めてきたといいます。
その背景には、豊富な資源と土地、また平均的な日照時間が2500時間から3550時間と国内でも2位の日照に恵まれた土地で、スカイソーラーの大規模プロジェクトでは新疆ウイグル自治区内のゴビ砂漠の活用をしています。

スカイソーラーの代表Weili Suの言葉

我々の世界規模の事業の中でも中国は非常に重要な位置を占めています。
中国当局の政策と太陽光事業の方針を重んじ、国内により広域な太陽光発電の施設を展開していきたいと思います。

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PROINSO(スペイン)

スペインを拠点とするPROINSOは太陽光発電の販売会社です。
1KW程度の小規模なものからMWクラスまで全世界に展開しており、2004年から2011年までで累計1.1GWを販売しました。

PROINSOのプロジェクトを見ていると、ここ5年で太陽光発電はどのように普及していったのかが垣間見えます。
拠点のスペインから出発し、イタリア、ギリシャと、地中海地方の国を中心に事業を拡大しているところを見ると、やはり地中海周辺の気候は太陽光発電に向いているのでしょう。

拠点のスペインは2004年から徐々に増え始め、2008年を境にまたプロジェクト数は下降するという緩やかなブームであったようです。
数キロワット規模からメガソーラーまでまんべんなく建設されています。

ギリシャにはPROINSOは2009年ころから進出しています。2012年までコンスタントに中規模施設が建設されていますが、100KW程度のものが多く、大規模なメガソーラ―を建設する環境は整っていないようです。

イタリアで本格的に建設が始まったのは2009年。拠点のスペインを凌ぐプロジェクトが建設されました。2010年には前年以上の施工が行われ特に220KWから235kWの間の施設が多数建設されています。(補助金の関係で一番おトクになりやすいシステム容量だったと予想します)
その後2011年には一気に建設数が減り、逆に1MWを超えるメガソーラーの建設が目立っています。
2012年にはPROINSOはイタリアから手を引いているようです。

かつてソーラー大国と言われたドイツでも、2009年、2010年にいくつか関わっています。

ちょうど今年、累計の太陽光発電の系統連系数がイタリアがドイツを抜きましたが、PROINSOのプロジェクト履歴を見ても、この逆転は2009年から2010年のイタリアでのブームの影響を直に受けているとわかりますね!

昨年の日本の地震の影響で太陽光発電を考える住宅が増え、今年の7月からメガソーラーの建設が本格的になってきたことを見ると、1,2年後には日本がイタリアの位置にいることになるのでしょうか。

PROINSOはアメリカでも東西海岸を中心に2009年から進出しており、今年に入ってからはアメリカ大陸を南下してチリなどにも建設をしています。
スペイン語圏という事でか、PROINSO以外にもスペインの大手太陽光業者の南アメリカ進出が今年は目立っています。

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日本の企業の海外進出も進んでいますが、さらに世界の各地で太陽光発電の重要性が増してきそうですね!

参考