出遅れでも自信満々の米ファーストソーラーの日本戦略とは?

2012年のモジュール供給量・世界ランキングにおいて、世界2位ファーストソーラー

“率直に言って、もっと早く来るべきだった”としながらも、昨年11月に進出を果たした日本での戦略は、他のメーカーとは一線を画すように見えます。

ファーストソーラーの日本責任者ブルッツァート・カールのインタビューを参考に、日本の太陽光発電プロジェクトにおいてファーストソーラーが優位になりうるポイントをまとめています。

製品力

ファーストソーラーは価格の安さが特徴の薄膜型のソーラーパネルの製造において世界をリードしています。
さらに日本の市場に合わせて2013年4月には高品質高効率な結晶シリコン系太陽電池を製造する、テトラサンを買収しています。
国内での販売にはJX日鉱日石エネルギーも協力しているということ。


パネルからメンテナンスまでカバーする垂直統合型ビジネスモデル

パネルの供給からプロジェクトの建設、EPC(設計、調達、建設)、さらには運営・メンテナンスまで、自社内で完結できる垂直統合型のビジネスモデルを持っています。
これによって、日本でのメガソーラー事業における優位性を持つと考えられます。
楽天ソーラーが狙う「承認済・未着工」の案件を狙った事業も視野に入れています。


財務の健全性

太陽光発電業界は安価な中国製品の影響などにより、倒産や経営不振が多いイメージがあります。
しかしファーストソーラーは、「太陽光発電に対する長期的なニーズがある国に投資」を基本としており、今回の日本進出もFIT(固定買取価格買取制度)による需要を見込んで殺到した海外メーカーとは足並みを揃えず、先述したように日本の市場に合わせたパネルメーカー買収など、ステップを踏みながらの慎重で着実な経営を基本としています。
さらに太陽光発電の世界市場に合わせて、パネル製造から垂直統合型にビジネスモデルを変えていきました。

持続性を重視した経営によってソーラーパネル市場を襲った急速な価格低下による打撃を免れ、ファーストソーラーは財務の健全性の高さを保っていると考えられます。

ブランドの信頼性を高く評価する日本の市場には強くアピールできるポイントとなりそうです。


「国内」新規稼働開始/建設計画発表のメガソーラー一覧

国内の1,000kW(1MW)以上のメガソーラーで新規に完成した設備、計画が発表したものをまとめています。
完成したメガソーラー

事業主 規模 場所 稼働開始時期 メモ
北陸電力 1MW 石川県珠洲市 2012年10月31日 サイト
apbank 1MW 千葉県木更津市 2012年10月15日 サイト
日本アジアグループ 2MW 香川県坂出市林田町 2012年11月 サイト

新規の建設計画が発表されたメガソーラー

事業主 規模 場所 稼働開始時期 メモ
北海道電力 3MW 北海道中川郡(2か所) 2013年12月・2014年12月 サイト
日本石油輸送株式会社・JX日
鉱日石エネルギー株式会社
2.6MW 茨城県神栖市(2MW)・茨城県神栖市(0.6MW) 2013年3月 サイト
NTTファシリティーズ 2.15MW 広島県廿日市 2013年3月 サイト

北海道電力は北海道伊達市に1MWの施設を保有し、2011年から稼働している。2020年までに5MWの導入を目標としている。
NTTファシリティーズは全国910か所に34MWの太陽光発電導入実績を持つ。

使っていない土地があれば太陽光発電!という感じに、どんどん使われていない土地が活用されていますね。
1MW程度のメガソーラーがうじゃうじゃ出てきています。
これまでに稼働/発表されたメガソーラー計画はこちらでまとめています。
漏れているところなどありましたら、コメント欄で是非教えてくださいね:)