ハンファQセルズのパネル、福岡県の11.72MWメガソーラーに採用

オリックス九電工は、日本コークス工業が所有する福岡県大牟田市新開町にある土地を借りて、最大出力11.72MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設し運転を開始します。

初年度の年間発電量は、一般家庭約3620世帯分の消費電力に相当する1304.2万kWhを見込んでいます。

出費比率はオリックスが70%と九電工が30%で、両社の合弁によるSPC(特定目的会社)のKクリーンエナジー(鹿児島県枕崎市)が事業主体となります。

合計出力約7MWを枕崎空港跡地に、出力7.786MWのメガソーラーを鹿児島県鹿屋市にすでに稼動させています。

発電所のEPC(設計・調達・施工)のサービスは九電工が担当し、太陽光パネルはハンファQセルズ製で、4万7838枚を設置します。

参考

地方のレジャー施設で太陽光発電は有効か?

朝日新聞のデジタル版から、九州にできた新しいメガソーラー2つの記事が出ていました。

空港跡地でのメガソーラーはすでに「あたりまえ」

一つは鹿児島県の空港跡地。枕崎市の旧枕崎空港の12万9000㎡の土地に、約3万3500枚のパネルで8.2MWの容量ということ。
オリックス九電工が出資する事業者が市から同地を借り受け、事業を行います。
この空港は1991年に全国初のコミューター空港として開港したそうです。ちょっと淋しい気もしますね。
このように地方の閉鎖された空港や、利用していない滑走路を使った太陽光発電は前例も多いです。

レジャー施設のメガソーラー設置で「人を呼べる」のか?

もう一つは宮崎県の延岡市北方町のレジャー施設「ETO(えと)ランド」。4万2300㎡のスキー場跡地に出力2MWの太陽光パネルを設置したのだそう。
同様に地方のレジャー施設での太陽光発電はハウステンボスの例などもあります。

9月中に稼働するということでまだグーグルマップの航空写真には反映されていませんが、既に設置している風力発電の風車は、影をはっきり確認することができます。「ETO(えと)ランド」にはスキー場が2箇所あるようですが、どちらに発電所を設置するのでしょうか?

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土地を所有する同市は「観光面にも寄与してくれるのでは」というコメントも出していましたが、今やそこらじゅうにある太陽光発電施設、珍しくもなんともないです。太陽光発電で山奥に人を呼ぼうなんて、なんだかちょっと甘いな、なんて思ってしまいますね。

それよりも、4.2haもの土地あるのであればもう少し規模を大きくできなかったのかな、とも思います。土地の形状にもよりますが、1~1.5haあれば1MWが設置できるといわれています。
資金がないのであれば地元で投資ファンドなんかを募る手もあるのではないでしょうか。
とはいってもすでに九州電力での設備認定が回答保留状態なので、今更足せませんが。

伊藤忠ら、大分県に44.8MWのメガソーラー

伊藤忠商事、九電工三井造船の3社は共同で事業会社を設立し、三井造船が大分県大分市日吉原に持つ敷地46万㎡に出力44.8MWのメガソーラーを建設すると発表。みずほ銀行を幹事とする銀行団が融資を行うことになります。

年間予想発電量は5,250万110kW、予想設備利用率は13.38%です。

実際稼働中の太陽光発電設備における大分県の設備利用率(=年間発電量)の平均は13.6%で、全国平均と比べると低め。とはいえこれだけのまとまった土地が得られて、土地あたりの出力も多め(約1MW/ha)なため、十分採算の合う事業になりそうです。

事業を行う共同会社の出資比率は
伊藤忠商事:50%
九電工:30%
三井造船:20%

で、今回の持ち分も含めて伊藤忠が保有する再生可能エネルギーによる発電出力は、470MW(5カ国に保有するプロジェクトの合計)になるといいます。
ソフトバンク完全子会社のSBエナジーも発電容量を増やすべくメガソーラーの建設をすすめていますが、出力においては遅れをとっている模様。(SBエナジーの場合は伊藤忠らと比べて”投資”の色が薄いので比べるものではないかもしれませんが。)

参考

世界最大の営農型太陽光発電が長崎県佐世保の宇久島の4分の1を覆う!

各都道府県に普及が進みながらも、まだこわごわといった感じに実証実験のような形で行われることの多いソーラーシェアリングですが、ドイツの太陽光発電所のプロジェクト開発会社「フォトボルト · デベロップメント · パートナーズ社」の構想ははるかに大きく大胆なものでした。

同社が中心となって日本で設立したSPC(特別目的会社)テラソール合同会社が長崎県佐世保市宇久に計画する営農型太陽光発電プロジェクト「宇久島メガソーラーパーク」は、その規模まさに430MW!

国内には岡山県瀬戸内市に230MW青森県六ケ所村に115 MW北海道安平町に111MWといった大規模なメガソーラーの建設計画がありますが、佐世保市宇久島のプロジェクトは規模だけとっても日本最大級
これが営農型だというからまたすごいです。
使用面積は約630万m2で、1MWあたり1.46haは通常の地上設置型太陽光発電と変わらない程度。ソーラーシェアリングがいかに土地利用効率に優れているかわかります。
ちなみにこの面積は宇久島の4分の1に相当するということで、島の景観がガラリと変わりそうですね。

事業に賛同した京セラ九電工オリックスがテラソール合同会社への出資を計画しているそうで、みずほ銀行もプロジェクトファイナンスによる資金調達で入ることになるようです。
総事業費は1500億円を見込んでいるということ。
パネルはすべて京セラ製の多結晶パネル、施工および保守 · 管理は九電工。

売電だけじゃない、農家に作業委託で農業の継続も支援

もう一つ注目したいのが、この事業はただパネルを設置して、売電するだけのものではないということ。
土地の借り受けを行うのは宇久島メガソーラーパークサービス株式会社(UMSPS)で、同社はテラソール合同会社から提供された営農支援金をベースに地域の畜産農家に農作業を委託するとしています。

農家に土地の賃貸料だけ払って売電をして、おわり。みたいな事業にもしようとすればできたはず。
しかし、島の農業を守ってより深いレベルでの地域貢献を実現するために、資金援助ではなく農作業委託を行うというところがポイントといえそうです。

参考1