ジンコソーラー、マレーシアにセルとモジュールの工場を建設

2015年3月26日、ジンコソーラーマレーシアのペナンにソーラーセルとモジュール製造施設を建設する計画を発表しました。
同製造施設には最新の高効率多結晶技術が用いられるとされ、完工すればジンコソーラー社の生産能力が太陽電池セル500MW、太陽光モジュール450MW分拡大するものと見られています。

生産ラインが建設される作業場ではネーションゲートテクノロジー社とテナント契約を結び、装備と運転資金を含めて1億ドルを投資します。
参考

マレーシアの製造拠点で製造しているメーカーは他にもパナソニック、ハンファQセルズ(ドイツのQセルズ母体)などがあります。
ソーラーパネル(太陽電池モジュール)の生産国について

ハンファQセルズ、ドイツの生産工場を廃止で今後はマレーシア製造中心に

ハンファQセルズドイツのタールハイムにある製造拠点(セルの生産能力230MW、モジュールの生産能力130MW)での生産を今年の3月1日に停止し、マレーシアでの生産中心に切り替えると発表しました。

ソーラーワンとの合併とは無関係

昨年末に発表されたハンファグループ傘下の姉妹会社ハンファソーラーワンとの合併との関係を疑うかたも少なくないかもしれませんが、QセルズCFOのKasey Son氏はこれを否定。コスト競争力を上げるための純粋な決断だったといいます。

ドイツで550人を解雇

顧客に影響を及ぼすことはなく、これからも品質第一の製品を変わらず提供していくというのはCCO(最高顧客責任者)のJustin Lee氏。むしろより安価に製品を提供できる可能性を指摘していますが、当のドイツでは550人もの従業員解雇が伴う今回の決断、消費者の我々としては、嬉しいような、悲しいような、ですね。

ちなみにR&D(研究開発)施設だけはドイツに残される予定だということ。現在Qセルズの主な市場は日本ですし、マレーシアから送る方が効率的といえば効率的ですね。

参考

マレーシアに最大10.25MWの太陽光発電プロジェクト完成

マレーシアのデベロッパー、アムコープ・プロパティーズ(amcorp properties)がマレーシアのネグリ・センビラン州ゲマスに10.25MWの太陽光発電を完成させ、マレーシアの国内記録で最大規模の太陽光発電として認定を受けたと発表。

1月から稼働を開始しており、毎月約100万kWhの発電量が得られていると公表しています。

建設費用

“建設費用8700万リンギ”と報道されていますが、中国メーカーであるインリーソーラーが昨年8700万リンギでパネル供給を行うと発表”という報道もあり、この金額が総工費を指すのか、工費・土地代など別のシステム費を指すのかは不明。
ただ、日本円にした場合でキロワットあたり27万円となり、日本より人件費などかからないことを考えると総工費だとする説の方が正しい気もします。

売電は?

PVTechの各国FIT情報によると、マレーシアの2014年のFIT価格は

  • 4kW = 約36円
  • 4-24kW = 約35円
  • 24-72kW = 約34円
  • 72kW-1MW = 約33円
  • 1-10MW = 約28円
  • 10-30MW = 約25円

となっており、この規模だと一番安いキロワットあたり約25円が適用されるはず。
報道によると、政府系電力会社テナガ・ナショナルとの電力売買契約(PPA)は、87.4セン/kWhで21年間となっており、2014年6月12日だと27.8円になりますが、まぁだいたいそのくらいです。

プロジェクト概要
出力規模 10.25MW
場所 ネグリ・センビラン州ゲマス
建設費用システム費用 8700万リンギ(約27万円/kW)
発電量 41,000kWh/日(年間1460kWh/kW 設備利用率16.67%)
毎月約100万kWh(年間1170kWh/kW 設備利用率13.36%)
事業主 アムコープ・プロパティーズ(Amcorp Properties)
パネルメーカー インリーソーラー(中国)

マレーシアにはパナソニックがHIT太陽電池の新工場もありますが、今回はインリーソーラーのパネルが仕様されたようですね。

参考

パナソニック、マレーシア工場本格稼働で、さらに低価格化進むか?

昨年の暮れにすでに稼働が開始していたパナソニックマレーシア工場が、8月30日に量産体制に入ったというニュースです。
年間300MWの生産能力を持つこの工場で、日本での高性能HITパネルへの需要に応え、さらにコストを下げる事で競争力を増す狙いだということ。

高性能ソーラーパネルの部門では、東芝パナソニックの2大メーカーが長くしのぎを削り合い、価格においては長らく、サンパワーをOEM販売する東芝には敵わなかったパナソニック。
7月頃からついに価格が東芝と同等になり始めてきたのですが、マレーシア工場における生産が本格化した事で、さらに価格の低下が進むことになるのでしょうか。楽しみですね。

マレーシアのHIT工場では、ウエハから、セル、モジュールまでの一貫生産を行い、日本に限らずグローバル市場を狙った拠点としたいということです。