福島県いわき市の国内最大ソーラーシェアリングに、フジプレアムの追尾型採用

福島県の太平洋側、いわき市にある大規模トマト生産を行う農業法人「とまとランドいわき」。南を茨城県と隣接するいわき市は首都圏からも行きやすいのでバスツアーなども行われています。そのとまとランドいわきに国内最大級の追尾型75基を含む営農型のメガソーラー施設が竣工。2014年12月8日には竣工式が執り行われました。

このメガソーラーは、追尾型の太陽光パネルを75基と、固定の太陽光パネルを2480枚設置したもの。合計で最大約1メガワットの発電が可能となります。

このプロジェクトは、兵庫県姫路市に本社を置く「フジプレアム株式会社」と、福島県いわき市に本社を置く「有限会社とまとランドいわき」が提携して進められました。2013年の「農地における営農型太陽光発電設備等に伴う農地法の規制緩和(農林水産省)」を背景に、「ふくしまから農業の復興をはじめる」という目的としてスタートしました。営農型の太陽光発電施設を設置することで、「農業収入」+「売電収入」を得る新しい形の農業を推奨し、また、農業法人による企業の参入も促進しています。

追尾型太陽光発電は、太陽の経路を自動的に算出し、発電パネルが太陽を自動的に追尾するのが特長です。そのため、設置面積当たりの発電効率が高く、固定型太陽光発電と比べて1.4~1.5倍の発電が可能になります。また、パネル下の空間が有効利用が可能で、農作物への影の影響が少なく、営農を継続しながら発電が可能という長所も持ち合わせています。

有限会社とまとらんどいわきでは、この追尾型太陽光発電を412.5kW設置し、2014年6月に設置した固定型太陽光発電施設558.0kWと合わせ、約1MWの出力を確保することが可能になりました。固定型太陽光発電システムは、農林水産省の「地域還元型再生可能エネルギー早期モデル確立事業」として採択を請けており、その売電収入の5%を、福島県立磐城農業高校での実習環境整備に活用され、地域還元型事業として地域創生につながる取り組みとなることを目指しています。

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兵庫県相生市の畑地で、フジプレアムの追尾型を利用したソーラーシェアリング

追尾型太陽光発電システムを製造するフジプレアム。自社の追尾型システムを利用したソーラーシェアリング実証実験も姫路市で行っていました。

今回農林水産省による太陽光発電のための農地転用の部分許可を受け、初めてフジプレアム製の追尾型システムが、実際の農地に設置されたのだそうです。

兵庫県相生市の「海のみえるやさいばたけ」は相生市農業協同組合(JAあいおい)の経営する市民農園。ここに4.4kWの追尾型システム4基を設置。容量は合計で17.6kWになります。
パネル自体は「FCT-220Y3」を使用しており、出力220W/効率15.07%の超軽量「希」シリーズを使用しています。
発電量は年間約27,000kWh、1kWあたり1500kWh/年ちょっとを予想。現在稼働中の兵庫県の平均的な発電量が1279kWhなので、実際はもうちょっと多く発電量が得られるのではないかと予想しています。

キロワット単価48万円程度なら利回り10%程度になる計算ですが、実際かかった総工費はどのくらいだったのでしょうかね?

今回はフジプレアムの追尾型によるソーラーシェアリング記念すべき第一弾ですが、実例が増えて単価が下がるのを期待したいです。

参考
フジプレアムについて

いわき市のモデル事業にフジプレアムの追尾型412.5kW受注

追尾型の太陽光発電システムを作るメーカーとしてはおそらく一番大手といえるフジプレアム。ほかにも、超軽量型「希シリーズ」など、ほかの大手メーカーがカバーしきれないニーズにこらえられる製品を作り、パネルブランドの中では異色を放っています。
フジプレアムの太陽光発電

そんなフジプレアムの追尾型太陽光発電システム75基が福島県いわき市の「とまとランドいわき」からの受注を受け、年内に設置される予定だということ。

「とまとランドいわき」は農林水産省から「地域還元型再生エネルギー早期モデル確立事業」を受託し、約2億円の受注金額で、558kWのフジプレアム製の太陽光発電(225w × 2480枚)の設置を完了したばかり。
そして隣接地にはフジプレアムの追尾型を設置していきますが、1基に220Wのパネル25枚がついたもの75基。合計出力は412.5kWになります。

気になるのは追尾型がどの程度発電量が得られるか、ということですね。
兵庫県の併農型太陽光発電でも採用されており、その際は年間1420kWh/kW、設備利用率にして16.2%を見込むという内容を発表していました。
しかし16.2%というと、設置条件が良ければ追尾型でない通常のパネルでも達成可能な範囲。(山梨県や長野県では”平均でも”設備利用率16%以上が出ています。)

実際稼働が開始してから、運用状況などが公開されることを期待しています。

リリース

受注金額は明らかにしていないが、モデル事業の2億円は超えるという。

東レとフジプレアムのメガソーラーは追尾型も採用

東レエンジニアリング(TEK)とフジプレアムは事業会社「北九州TEK&FP合同会社」を設立し、北九州市若松区の7haの土地に約5,783kW(約5.8MW)のメガソーラーを建設すると発表しました。

設計・工事・保守はTEKが、フジプレアムはパネル提供をするということ。
5,783kWのうち45kWは、追尾型の太陽光発電システムその他は単結晶シリコンのパネルだそう。

メがソーラーのほんの一部ですが、追尾型は通常のシステムと比べて稼働率が高い、つまり、同じ容量でもより多くの発電量を得られます。

とはいえフジプレアムも関わる事業にもかかわらず、5,783kWのうちの45kWと、追尾型がプロジェクトの1%にも満たないことをみるとやはり追尾型の価格はまだまだ売電で十分に回収できるほどまで下がっていないと考えるべきでしょうか。
総事業費は約20億円、土地の賃代などすべて含めてキロワットあたり34.6万円なので、まずまずというところ。
東レは太陽光発電のEPC(設計・調達・施工)事業・O&M(運営・保守)事業を今後も発展させていきたいということで、今回追尾型の導入も、今後請け負う事業の可能性拡大に向けたものなのかもしれませんね。
特に、土地が限られた日本で太陽光発電事業を進める場合、土地を有効に使うためのより効率的な方法を模索していきたいところでしょう。
参考

農業と太陽光発電の両立・姫路市で追尾型を使った実証実験

アメリカでは既に酪農との並行も進んでいます。
日本でも、農業との両立に向けて本格的に動き始めています。

追尾型の太陽光発電システムなどを生産するフジプレアムが、姫路市で農業と追尾型太陽光発電を使った売電事業の両立実験を開始すると発表しました

プレスリリース

追尾型を利用することで、1台ごとの発電量がより多く見込めます。
具体的には追尾型太陽光発電システム4基・17.6kWのシステムで年間25MWhが見込めるそうです。
キロワットあたり1420kWh/年。16.2%の設備利用率の計算です。全国平均の設備利用率を12%(=1年間に1050kWh/kW発電できる)とした場合1.35倍の発電量が得られることになります。

農作物の生育に影響を与えないソーラーシェアリングという技術も広まってきていますが、作物によってはこれに適さない場合もあります。

今回の追尾型は地面からより高い位置にパネルが設置され、収穫高などへの影響を最小限に抑えることなどを課題として3年の期間をもうけた実証実験となるようです。

酪農であれば、発電設備直下の影の影響をほとんど考慮しなくて良いのですが、(逆に夏場とかは家畜が涼むのに良さそう)日本はやはり、稲作地としての土地利用が多いので、こういった開発には多くの需要がありそうです。