日産、エナリス、フォーアールエナジー、使用済み蓄電池でBEMS実証実験

日産自動車株式会社とフォーアールエナジー株式会社は2014年11月13日、株式会社エナリスと協力して電気自動車「日産リーフ」の使用済みリチウムイオンバッテリーを複数組み合わせて、大容量蓄電池システムとしてビルの電力マネジメントに活用する実証実験を行うことを発表しました。

検証は厚木市にある日産の先進技術開発センターに「日産リーフ」の使用済みリチウムバッテリー24台分を設置してエナリス提供のデイマンドリスポンス(DR)サービスに対応させる形で行われるもので、電力供給を滞らせることなく電力料金を削減できる大容量蓄電池システムの利用方法を実証します。本システムにおけるPCS出力は250kW、蓄電池容量は約400kWhとしています。

参考

エナリスがバッテリーマネジメントサービス開始!売電買取中止案件の突破口となるか?

10kW以上の全量買取で、新規申し込み中断となった地域に朗報?
新電力会社のエナリス東芝ITコントロールシステムから蓄電池システムを大量調達し、「バッテリーマネジメントサービス」として提供していくと発表しました。

エナリスの「バッテリーマネジメントサービス」サービス概要

このサービスはどんなものかというと、

まず蓄電システム(東芝ITCのリチウムイオン蓄電池9.9kWh・出力10kW)をエナリスが太陽光発電などの発電事業者に安価に販売し、

そして稼働している発電所からの電力を、エナリスが需給バランスを見ながら遠隔で充電/放電操作する

というもの。
同社の電力アグリゲーターとしての技術と経験が生かされる形となります。

同社のリリースによると

再生可能エネルギー買取の新規契約中断を一部の電気事業者が発表するなど、固定価格買取制度の課題が指摘される中、バッテリーマネジメントは再生可能エネルギー普及にむけた突破口になると考えています

としていますが、
詳細を問い合わせてみたところ現状ではちょっとした制度上の課題が残っているようです。

売電買取中止案件の突破口となるには課題も

この「バッテリーマネジメントサービス」の最大の欠点が、蓄電池に貯めた電力は売電できないということ。
現時点では、再生可能エネルギーから蓄電池にいったん充電してしまうと、FITの全量買取制度を利用した売電はできないということです。

住宅用の余剰売電であれば、系統連系型の蓄電池システムを利用する場合はダブル発電が適用され、単価は下がるものの売電できることになっています。
全量売電に関しては蓄電池を利用した場合の再生可能エネルギー由来の電力に関して、単価や買取方法が決まっていません。

蓄電した電力はエナリス経由でもFIT制度で売電できない

またエナリスにFIT同等の価格で蓄電池からの電力を販売できるかどうかも、否、です。

貯めた電力の使い道としては事業所等で自家消費をするなどが考えられます。
そうすると電気代が削減できることになりますが、その金額は全量売電の単価に比べると3/4程度に減ってしまうと考えられます。

蓄電に回さないといけない電力量がどれくらいなのかも前もってわかるものではなく、さらに蓄電池の購入資金は自分持ち、というと
さすがに導入を躊躇してしまう要素が多すぎるのではないでしょうか。

売電の制度次第で飛躍の可能性あり

現状で同サービスを利用するのは金銭的なリスクも高く、災害対策といった面を重視する方に限られたサービスといえそうです。

しかし蓄電池システムとスマートなエネルギーマネージメントが、今後特に重要になってくることは間違いありません。
エナリスの同サービスはそれを先取りしたものともいえます。

制度上解決しなければいけない課題がまだ残っているものの、市場の準備はできていることは心強いですね。

参考
関連:各電力会社の売電買取・申請受付状況の速報はこちらから

電力買取中止に対して新電力のエナリスがコメント

各電力会社による太陽光発電の全量申込み保留(実質的買取中止)を受けて、新電力の一つであるエナリスがコメントを発表(参考:各電力会社の買取状況の速報

業績に与える影響は軽微(参考

としています。同社は子会社には太陽光発電の施工会社も持ち、太陽光発電等の開発サポートも行っていますが、一番力を入れているであろう事業はいわゆる新電力のジャンル。
そんなエナリスが「業績に与える影響は軽微」というコメントしています。
このコメントもあってか、一部のQ&Aサービスで「電力会社がだめなら、新電力に買い取ってもらえばいい」という回答を読んだことがあるのですが、これは必ずしも正しいとは言えないのが筆者の考えです。

「電力会社に買い取ってもらえないなら新電力に買い取ってもらえばいい」は間違い?

「間違い」とも言い切れないものの、かなり難しい、状況によるところが大きい、というのが適当だと思います。
新電力の概要を簡単に説明すると、既存の電力会社の系統(電線)を借り受け、受給先のマッチングおよびその単価設定などを独自に行うサービスです。

今回、九州電力をはじめとした電力会社の買取の中止は、現在の電力網ではコントロールしきれない容量の発電施設から連系の申込みが来ていることが原因で起きていますが、新電力も同じくこの電力網を利用して提供されるサービスであることを考えると、系統自体が強化されない限り新電力でも買い取れない、というのが基本的な考え方になると思います。

ただエナリスは全国展開をしており、隣接する地域の電力会社に電力を売る、ということも実際に行っているということ。
これを利用して隣接の電力会社に申請する方法を取ることになるかと予想していますが、どちらにせよ地域や容量によっては確実とは言えないと考えています。

(現在エナリスさんには、そのあたりの事実確認をしている最中なのですが、まだ回答が得られていない状況です。進捗がありましたらこのポストの後記、または最新ニュースとしてお知らせしていく予定です。各電力会社の買取状況の速報ページと併せてブックマークなどをご利用の上、最新情報をご確認ください。)

エナリス「湘南電力」設立、地元サッカーチームを通した新しい地域貢献モデル

新電力会社のエナリスは、J2所属の湘南ベルマーレのオフィシャルクラブパートナーとしてサポートを行うと発表。

さらに、共同出資(エナリス99%・ベルマーレ1%)により「湘南電力株式会社」を設立。
同社による電力事業の展開に伴って、エネルギー利用の効率化を進めながらクラブを巻き込んだ新しい地域貢献ができるとしています。

同社のビジネスモルは、湘南地域に設置された太陽光発電などの発電事業者から「湘南電力」が電力を買い取り、湘南地域の需要家に供給するというもの。いわゆる電力代理購入サービスです。

電力の地産池消を促すことで電力利用の効率化を図り、さらに事業収益等の一部を湘南ベルマーレに還元して、湘南ベルマーレは地域活性化資金として活用するとしています。

参考

大阪いずみ市民生協がメガソーラー増設で合計11MW超、エナリスと協業で電力小売りも検討

全国各地の生協による太陽光発電事業および新電力の参入の例が増えてきています。
大阪府の中部から南部に事業展開をしている「大阪いずみ市民生活協同組合(いずみ市民生協)」は、これまでに同府の物流センター屋根で2か所のメガソーラーを稼働しています。
今回、これに加えて奈良県天理市の国道沿いに1MW、京都府亀岡市のゴルフ場の跡地に8.5MWの建設を予定しているということ。

2016年の6月にはこれらが完成して、いずみ市民生協による太陽光発電設備は合計出力11.8MWとなる予想。
これらの電力はエナリスを通して買い取られ、さらにエナリスからは26か所の同生協事業所に電力供給が行われる予定。

いわゆる新電力の活用で電気代の削減につなげるだけでなく、市民生協の顧客ベースを活用して、2016年から始まる電力小売り自由化の際には家庭向けの電力小売をエナリスと協同で行っていくことも考えているのだそう。

参考

ミサワホームオーナーを対象に、エナリスが1円多い単価で電力買い取り

新電力エナリスは、全量売電の太陽光発電プロジェクトを対象に売電単価に上乗せした価格で買い取り、新電力として需要家に販売するという事業を行っています。

先日双日とも業務提携を結んで、双日の顧客を対象に売電契約を結んでいくことを発表していました。

そして今回ミサワホームとも契約を結び、ミサワホームの戸建て住宅または賃貸住宅を建て、屋根に全量の太陽光発電を設置した人からもこの「プレミアム価格」による電力を買い取りサービスを開始すると発表。

新築、既築問わず10kW以上の全量売電を行っているものはすべて、1kWhあたりの固定価格買い取り制度における買い取り価格にプラス1円で、最大20年間買い取ってもらえるという。

こうして買い取られ、集められた電力はミサワホームが優先的に購入し、自社グループに供給するとしています。

参考

エナリス、双日建材と業務委託契約で、新電力事業における太陽光発電による電力の取扱いを強化

双日建材株式会社と株式会社エナリスは、太陽光発電事業者からの電力買取りの拡販で、業務委託契約を締結しました。

エナリス新電力事業の大手。再生可能エネルギーを発電事業者からFIT以上の価格で買取り、電力需要者に販売する事業を行っていますが、双日建材との業務委託契約により、太陽光発電の発電事業者からの買取りをさらに増やす狙いだということ。

双日建材は太陽光発電の販売事業なども行っており、顧客ネットワークを生かしてエナリスに太陽光発電事業者を紹介していくことになるといいます。

2016年の電力小売り全面自由化に向けて、新電力が動き出しています

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