ドイツ、再エネの電力で85%の供給を達成

ドイツは4月30日(3連休中日)、昼の1時から3時の間の電力の総電力供給量を再エネによって85%まかない、新記録を達成したと発表。
ちなみに4年前のこの時期には、正午の時間帯に太陽光と風力で50%をカバーという記録を達成しています。

風が強かったことから風力発電の稼働率が高まったことが、この高記録の要因の一つと考えられています。
太陽光発電と異なり風力は夜間も風がある限り発電ができるため、この日は化石燃料による発電所の稼働率も非常に低く、50GWの容量を持つ中で、約8GWhの発電量だったということ。設備利用率を計算するとわずか0.67%になります。

1日あたりの供給電力量における再エネ比率については特に触れられていないのですが、この85%という水準は2050年に達成するとしている80%の再エネ比率を超えるものです。
ただし、2050年に80%というのは昼間の2時間だけではなく、恒常的に達成が求められる目標なので、発電量の上下が激しく予測も難しい再エネの電力をより安定化させる方法なども含め、まだまだ取り組まなければいけない課題は少なくないのも事実です。
2050年に80%の目標を達成するために掲げている中期目標としては、
2022年 原子力発電を完全撤退
2025年 再エネ比率35〜40%
2035年 再エネ比率60%
といった具体的なステップが組まれています。

参照

ドイツは風力と太陽光で消費量の50%をカバー、2022年までに原発全撤廃

太陽光発電の成熟国と言われるドイツ
累積の導入量は、2位のイタリアを2倍近く引き離して日本と比べても5.5倍近くになります。(各国の太陽光発電累積設置量

そんなドイツが今月18日の正午に、消費電力の50%を風力発電と太陽光発電でまかなうという記録を達成しました。
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長期休暇の時期を除いて50%を達成したのは初めてなのだとか。
日本を含む先進諸国は日中の消費電力が多いという特徴がありますが、太陽光発電の導入量で30GWを超えるドイツは、この表の日の正午、太陽光発電で約20GWh分をまかえています。
グラフが膨らむ昼間の時間帯が太陽光の発電量でまかなえているため、太陽光、風力以外の発電量は30~40GWの間で安定させることができています。


Arbeitsgemeinschaft Energiebilanzen(AGEB、ドイツエネルギーバランス)によると、ドイツでは2012年には再生可能エネルギーの全発電量に占める割合は21.9%に達したのだそう。
今後はこれを、2020年にはこの割合を35%以上、2030年には50%以上、2050年には80%以上まで高める計画なのだとか。
具体的な目標として、2022年までに稼働中の9基の原子炉の稼働を停止、2050年までにエネルギー消費量自体を2008年の半分に削減を挙げています。
ちなみに2011年には福島第一原子力発電所の事故を受け、全17基のうち8基を停止しています。

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この数字から計算すると、2012年の電力ミックスのうち再生可能エネルギーが占めた割合は

  • 風力発電:7.5%
  • バイオマス発電:5.8%
  • 太陽光発電:4.5%
  • 水力発電:3.3%
  • 家庭ごみ:0.8%

ということになり、この表にある「ドイツの太陽光発電が占める割合」と大体重なります。
そして気になる日本はというと、0.55%。ドイツの数字と比べると少し頼りない数字に見えてしまいます。

日本は総電力消費量が大きく、実現可能で、且つモチベーティブな目標設定となると難しいのかもしれませんが、「太陽光発電を含め再生可能エネルギーの普及を促進するのはいいが、目標なしには話にならない」という意見もソフトバンクの孫正義社長率いる「自然エネルギー財団」の意見書の中に見られました。

参考