エナリス、双日建材と業務委託契約で、新電力事業における太陽光発電による電力の取扱いを強化

双日建材株式会社と株式会社エナリスは、太陽光発電事業者からの電力買取りの拡販で、業務委託契約を締結しました。

エナリス新電力事業の大手。再生可能エネルギーを発電事業者からFIT以上の価格で買取り、電力需要者に販売する事業を行っていますが、双日建材との業務委託契約により、太陽光発電の発電事業者からの買取りをさらに増やす狙いだということ。

双日建材は太陽光発電の販売事業なども行っており、顧客ネットワークを生かしてエナリスに太陽光発電事業者を紹介していくことになるといいます。

2016年の電力小売り全面自由化に向けて、新電力が動き出しています

参考

日本エコシステムが日本コムシスの子会社に

太陽光発電の施工販売業者の大手日本エコシステム

主要株主が伊藤忠と、楽天の100%子会社のRSエンパワメントということもあり、楽天ソーラー(※)で受注した太陽光発電の施工や、楽天が関わる福島の復興支援プロジェクトの施工なども行い、業界ではかなりの存在感を放ってきました。

その日本エコシステムの株式の82.66%が、電話・通信の工事会社「日本コムシス」によって買い取られ、子会社とされることが発表されました。

買収の理由として、「相互の経営資源を有効に活用してシナジーを発揮するとともに、メガソーラーから中小規模産業用太陽光及び住宅用太陽光まで幅広く太陽光発電事業を一層推進」することを挙げています。

ソフトバンクやNTTグループなどの通信の大手による太陽光発電の進出は以前から進んでいますが、この買収もそうした流れにそったものであるなら、新電力としてのビジネス展開を考慮している可能性もあります。

参考

※平成27年8月31日をもって楽天ソーラーは太陽光発電事業を終了しています。

NTTグループも新電力参入か

ソフトバンクが子会社で新電力事業を始めるという発表をしましたが、特に最近メガソーラーの建設を押しすすめているNTTグループも、どうやら新電力参入を見据えているようです。

2012年10月~2013年12月の15カ月間に全国19カ所で運転を開始した。発電規模は合計60MW超

参考記事では、メガソーラー事業を行う事業者の中でも稼働数の多さに注目しています。2013年12月には4カ所が稼働開始したという建設の早さ。さらに現在6カ所で建設が進んでおり、そのうちの5カ所は2014年3月に運転を開始する予定だそうです。ペースにして1カ月に1.5カ所で建設を進めてるのだそう。

大規模太陽光発電事業において問題となっているのが、申請だけ済ませて建設を遅らせるという例。
純粋に、電力会社の手続きに難航するという場合もありますが、パネル価格の低下を待っているという悪質な例に対処すべく調査も進められていますが、NTTグループの建設の早さは優秀な例と言えるでしょう。

記事ではNTTグループは、新電力参入を見込んでの増設だと締めくくっています。
2016年の電力小売自由化に向けて、ソフトバンクに続く通信業者による発電事業になりますね。
ソフトバンクの目標はメガソーラーで200MWですが、NTTグループでは特に目標設定などは発表されていません。しかし建設中のものを合わせると70MWになるということです。

ソフトバンクの新電力事業

子会社のSBエナジーを通して大規模な太陽光発電所や自治体の屋根貸りによる太陽光事業さらには「おうち発電プロジェクト」のような試みなど、多角的な太陽光発電の推進を行っているソフトバンクグループ。

これらの事業の先には新電力としての電力販売事業がある事は容易に予想できましたが、先月の31日にSBエナジーのさらに子会社「SBパワー」を作り、電力小売り事業に参入することが、正式に発表されたそうです。

今春にも企業に向けた売電をはじめ、電力小売りの全面自由化が予定されている2016年からは一般家庭向け販売も始める計画だということ。

参考

パナソニックがエプコと共同で「パナソニック・エプコエナジーサービス」設立し電力アグリゲーション事業

パナソニックは、住宅設備のコンサルタントなどを行うエプコと共同(パナソニック51%、エプコ49%)で新会社「パナソニック・エプコエナジーサービス」を設立するそうです。

この新会社では、住宅から発電した電力を、固定価格買取制度における売電価格に上乗せした価格で買取り、集約して販売をするというもの。
関東、関西地域で実証実験後他地域にも広げていくということです。2018年度に50万件以上の契約を目標に掲げています。

2016年に予定される電力自由化の実現後には、新電力事業としてより大規模な事業に展開していくことも予想できます。
そのためのパートナー連携や、幅広いエネルギーサービスを検討しているそう。

エプコはパナソニックが筆頭株主の会社で、英国ケンブリッジ大学と共同研究を締結し、小売り自由化の際の先進的なスマートエネルギーサービス開発を行う予定です。

参考

マンションで全量売電は新電力を利用

大京による新しい省エネマンション「ライオンズ久米川駅前」。高圧一括受電とMEMSに加えてマンション上の太陽光発電システムを導入し、電気代にして27%削減できるといいます。

マンション上での太陽光発電は珍しいものではありませんが、このプロジェクトがユニークなのは売電新電力オリックスを通じて行うというところ。高圧一括受電とMEMSも一括してこのオリックスに依頼するということです。

20.24kWの太陽光発電システムを全量売電するということですが、36円(税抜)の売電価格で換算すると、1戸あたり11,000〜12,000円還元される計算になります。
とはいえ太陽光発電で削減される想定の電気代は約12%分。
あとはMEMSによる消費電力の見える化で約10%、それから高圧一括受電で約5%、これらを合わせて27%の電気代削減が目標となっています。
またここには含まれない「新・パッシブデザイン」による電気代削減効果も期待できるということで、モデルシミュレーションによると夏場の電気代を4ヶ月分で3,500円弱削減するという結果も出ているそうです。

大京によると、

「マンションは1つ1つ規模や仕様が異なり、省エネや節電に向く設備が違ってくる。当社はこれまで高圧一括受電やMEMS(マンション向けエネルギー管理システム)などを導入してきた。今回はライオンズマンションとして初めて太陽光発電システムの全量買電サービスの導入に踏み切った」

ということで、今後もどんな環境配慮型プロジェクトが出てくるのか期待が膨らみますね。

ライオンズ久米川駅前については、2月11日・15日(土)・16日(日)に完全予約制のプロジェクト発表会、販売開始は2014年3月で、2015年7月完成予定だということ。

参考

儲かるかどうかギリギリな屋根には、太陽光発電は設置すべき?

読売新聞のニュースで、今更記事にする必要があるのかと思われるような内容が載っていたのですが、まとめると

「太陽光発電の普及は大いに結構、しかし売電で支払われる資金は、電力会社から電力を購入している一般の消費者全体にのしかかっている。その金額は現在、電気代7000円程度の家庭で120円。今後この価格はさらに上がっていくことも予想される。太陽光発電を載せられた家はいいが、載せられる屋根の無い家庭との差はどんどん大きくなっていく。この”不都合な真実”は、太陽光発電のメリットとともに常に意識されるべきだ。」

ということ。

当サイトでも「”儲かりすぎてもいけない”売電価格の設定について」のページで太陽光発電促進付加金については詳しく触れています。

もちろん、不均衡は広がっていくでしょう。
毎月の再エネ賦課金が例えば500円になってきたりすると不満の声は大きくなるでしょうが、それ以上に着目するべき点はある気がします。

電力自由化が進み、新電力が利用できるようになったら?

新電力への切り替えで、自治体などが大幅に電気代を削減したニュースなどが目立つようになりました。
2018年から2020年に欠けて、一般家庭も自由に購入する電力会社が選べる、完全な「電力自由化」が実現されることが目標とされ、現在一歩ずつ対策を踏んでいる状況です。
大幅な値下げを期待はできないとはしながら、現在地方電力会社の独占状態にある状況に競争が生まれる事は、価格下落の期待も高まります。

10年後は売電単価が下がる?

今年の固定価格買取制度で定められている売電単価はキロワットあたり38円(10kW以下の設備)。
そしてこの買取価格は10年間保証されるものの、その後の買取価格は「電力会社が独自に決める」ことになります。つまり、10年後の売電額は、買電額よりも低く設定されることも大いに予測できます。
さらにその頃には上の項の通り、電力自由化も進んでおり、買取期間が過ぎた太陽光発電設備の電力はより有効に活用され、消費者の電気代に反映される事も予想できます。

太陽光発電との関連製品の普及促進と、価格低下

太陽光発電の普及が進めば、次の段階として太陽光発電からの電気を溜められる蓄電池や、その電気を使って動くEV、そしてそれらを管轄するHEMSなどの関連設備への需要が高まり、価格の低下も促されると予想できます。
太陽光発電が設置できない家庭でも、EVや蓄電池への需要がある場合には、その恩恵を受けることは可能です。

「太陽光発電の普及を進めないと、環境に配慮された電力の確保はいつまでたってもできない」
「太陽光発電の普及を進めるという事は、すなわち設置家庭とそうでない家庭の不均衡を強める事にもつながる」

このどちらを優先させて環境政策を作るべきか、という事を考えるときに、これまでに説明したことも踏まえながらやはりその”間”をうまく見つける事が求められるのではないでしょうか。


太陽光発電で儲かるか儲からないかの”間”にある時は?

太陽光発電を普及させたい、しかし”導入すれば必ず誰でも沢山儲かる”ような仕組みにするわけにもいかないという事で、設定される売電価格において、必ず「儲けられるかどうかギリギリ」のラインが出てくることは事実です。
当サイトの提供している費用対効果シミュレーションを見ても分かる通り、設置できるパネル枚数に限りがある家庭では、必ずしも10年で初期費用の回収が終わらない場合もでてきています。
しかし是非、「なんだ、太陽光発電は儲からないなら、やめよう」と、簡単に諦めないでください。

太陽光パネルは20年よりもさらに長く使えると言われています。
もし10年で初期費用が回収できなくても、例えば20年間使い続ければ、仮に10年後の売電価格が現在の電気代の半額程度に下がったとしても、多くの場合で利益は必ず出ます。

また、将来EVや蓄電池も導入したいと考えている人は、太陽光発電を付けていれば、それらを導入した時にメリットをさらに高める事ができます。

それらの事も踏まえて、購入を迷っている方は、ぜひ一度実際に見積もりを取って、ご家庭でどれくらいメリットを出せそうか調べてみてください。
一括見積サイトにもさまざまな種類があるので、ニーズにあったサービスを使いたいところです。

値段交渉の際には価格比較・相場確認もお忘れなく!

新電力への切り替え進む

新電力」とは、従来の寡占的経営をしていた電力会社に対して、それ以外で電力を売っている「特定規模電気事業者」の事だそうです。

経済産業省の一覧を参照すると、現在72社が登録されていて、高圧契約の需要家を中心に電力の供給を行っているんですね。
新電力の会社名を見ると、「太陽光」や、「グリーン」といった、エコなエネルギーを提供してくれるであろう会社の名前もちらほら。

横浜の横須賀市は市内72の学校の電力をエネットという新電力会社との契約に切り替え、14カ月で約2400万円もの電気代削減になる予想だそうですね。
エネットはNTTファシリティーズ、東京ガス、大阪ガスが共同で設立した会社で、天然ガスを中心に太陽光発電所、風力発電所も併せながら、クリーンなエネルギーを提供する、とHPには書いてありますね。

余談ですが神奈川県は、藤沢市とパナソニックの共同事業の「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)」や、「屋根貸し事業」など、エコな取り組みに活発な県というイメージがあります。
昭和シェルの「サービスステーションにソーラーパネル」という取り組みも、真っ先に神奈川県のSSに設置していることを見ると、そういった動きを起こしやすい環境があるのでしょうか?

現在は高圧の電力需要家にのみ開かれた自由化部門ですが、小規模事業所などの低圧や、家庭などの電灯契約の需要家へも供給が拡大できるよう、法改正などが進んできているそうです。

参考