NTTドコモのグリーン基地局、電気代削減でメリットを高め商用化を

NTTドコモグリーン基地局事業を着々と進めています。
最近の成果について伝える記事をご紹介します。

商用化に向け費用対効果向上

もともと同システムは、ソーラーパネルから蓄電池に充電して満タンの状態を保ち、その余剰を自家消費する形で20%の電気代削減を達成していたといいます。

しかしせっかくソーラーパネルで発電した電力が、使い切れないこともあり、今回は、蓄電池の電力を夜間に消費して、系統の電力も混ぜながら日没には満充電に戻せるような「パワーシフト制御」を導入し、電気代30%削減に成功。

この成果にも満足することなく、さらに充放電のタイミングや太陽光発電の電力の使い方(直接使うか、充電するか)のパターンを何通りも試しながらベストを探り、独立制御可能なレベルまでもっていくことを目標にしているのだそう。

ベースとなるポイントは災害時に長時間の電源確保を可能とする事、
と同時に商用化を進めるために、導入コストに相当する費用効果を得る事

電気代の削減はもちろん、コストを抑えるために使用する機器もシステム構築に関わるパナソニックにこだわらず、複数メーカーから検討しているということ。

単なるCSRに終わらず社会貢献と利益追求の両立が目指せるか

ちなみに費用対効果で考えれば今年度までは売電価格が商用電力と比べて高いので、「売電すればいいじゃないか」と思った方もいらっしゃるかもしれません。

来年度以降、売電価格が引き下げられた後に市場に出る予定の製品のため、市場に合わせた製品開発を行っている、というのもあるとは思いますが、そもそものグリーン基地局の研究目標は「環境対策」だったそうで、CSR的な意味もこの事業は担っているいうことになります。

蓄電池が満タンの状態でも、余った電力を売電せずに自家消費する方がより環境に優しい製品と言えます。
さらにCSRに始終せず商用化を目指す事は社会全体でより大きなメリットを得られる可能性があります。

ちなみにNTTドコモは全国10万カ所の基地局で年間約18億kWを消費しているのだそう。日本全国の消費量の0.2%にも上るそうで、電気代削減だけでもメリットは決して少なくなさそうです。

CSR性の高い分野で利益も追求しながら、本当の意味で社会貢献できる事業について、もっと知っていければと思います。

参考

IKEA仙台屋根上にノルウェーの「RECソーラー」パネル479.4kW、発電分は自家消費!

スカンジナビアのRECソーラーのパネルを使用

RECソーラーは2012年には9位の世界シェアを達成したノルウェーのパネルメーカー。

同じくスカンジナビアの企業IKEAは、同社の仙台店の屋上に、479.4kWのパネルを設置します。

これだけの容量を載せるには、1.5億円前後の費用がかかることが予想されます。トレンドに乗るなら売電事業として全量売電を行うのかな、と思いましたが、なんとIKEAは店舗内での電力に使用するのだとか!すごい!

収益が見込めなくても売電のトレンドには乗らない、IKEAの気高い選択

もちろん、自家消費をしたとしても15年~20年スパンで見れば投資額に相当する電気代の削減ができることと予想されますが、そうはいっても収益性は決して大きくはありません。

一方で2014年度の設置であれば、全量売電の選択で投資額の倍以上の売電収入を得られる可能性が高いのです。IKEAはこの収益をみすみす逃すことになりますが、環境貢献のCSRとしては正にお手本といえる事業です。

さらに災害対策としても利用され、周辺地域で大規模な停電が生じた際には、地域の緊急サービスや他の拠点に転送されるのだそう。

IKEAの環境対策

IKEAでは2020年までに、同社で使用するエネルギーの100%を太陽光や風力によって独自に生み出したエネルギーでまかなうことを目標にしているのだそう。具体的には15億ユーロの投資額を計画し、各地に再生可能エネルギーによる発電所を建設します。

他にも梱包や輸送にかかわるCO2削減にも取り組み、シンプル、省資源の考えはデザインの哲学にも生きています。

他にもあらゆる方向から可能な限り環境対策に取り組むIKEAの環境対策を読むと、素直に「すごいなぁ」と感じます。自然を大切にする北欧企業だからこそ、なのでしょうか。企業の鏡ですね。
週末はIKEAに行こうと思いました!

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生活クラブが新電力会社を設立、まずは再エネ発電所7.06MW建設

生活クラブ事業連合生活協同組合連合会が、新電力会社「株式会社 生活クラブエナジー」を設立。
それに伴い、太陽光発電所を2か所、風力発電所を1か所、合計出力7.06MWの再生可能エネルギーの開発を進めると発表しました。

今年度に計画する発電所は、鶏卵の生産者である(株)生活クラブたまごの遊休地を活用した太陽光発電所を2か所(群馬県前橋市に1,460kW・栃木県那須塩原市に1,600kW)と、北海道石狩市厚田に「風力協同計画」と称して風力発電所を1か所(4,000kW)。合計出力は7,060kW(7.06MW)です。

これらの発電所で作られた電力は外部から購入される再生可能エネルギー由来の電力と合わせて需給バランスを調整したのち、生活クラブの事業所や提携生産者の施設などに供給される予定。
将来的には組合員宅へ電気を届けたり、組合員宅に設置された太陽光発電から電力を買い取ったりということも視野に入れて準備を進めています。

みなさん、太陽光発電と一緒に安心でおいしい農産物の宅配なんていかがですか?^^
住宅からの電力買取は10kW以上の全量売電の設備から優先して対応開始されると予想されますので、新築などで太陽光をお考えの方、新しい生活にプラスするのは新鮮なお野菜と全量売電の太陽光がいいかもしれません。

参考

「ベガルタ仙台」クラブハウスへ太陽光パネルを寄贈

大手パネルメーカーであるカナディアン・ソーラーが、スポンサーと務めるプロサッカークラブ、ベガルタ仙台の練習場に同社のパネル10kWを寄贈したと発表。
電力を施設内で利用して年間電気使用量のおよそ15~20%削減を目指すとしています。

同社の仙台営業所開設を記念して行われたCSR事業の一環で行われ、余剰分は売電もできるのでクラブ運営費の足しにもなります。

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コマツ、最新工場の屋根には自家消費用の太陽光発電

2013年には生産活動やサプライチェーンにおける温室効果ガス削減への取り組みが評価され、CDP(世界の機関投資家722社が支援し、世界の時価総額上位企業へ質問書を送付し回答内容を評価する、世界最大の気候変動に関する企業評価プログラム)で日本の産業セクターで唯一最高評価のA評価を受けた、建設機械・重機械メーカーの小松製作所。

komatsu

国内の主力工場の一つである粟津工場において5月に新組立工場の稼働を開始し、次世代組立工場における最新の環境性能と生産性について発表しました。

この新工場は築40年を超えた2棟の組立工場を1つに集約、床面積における生産性を2011年度に比べ2倍に改善したことや、最新の省エネ機器を採用することで、2010年度に比べて電力消費量を半減。
さらにバイオマス発電(今年12月稼働開始予定)と、屋根に設置する太陽光発電(550Kw・同7月稼働開始予定)で発電した電力を自家消費することで年間の電力購買量を90%以上削減することを目指します。

今後も電力使用量の半減と生産コストの大幅な削減を、全国の工場(今年度は小山、栃木工場で予定)で進めていくということで、今年のCDPでも好評価が期待できそうですね!

売電に頼らない太陽光発電、ちょっとずつですが、増えてきています。
こうした国内の先導的な企業が率先して自家消費の太陽光発電事業を行ってくれているのは心強い限りです。

リリース
参考

千葉県柏市で三井不動産の国内初・太陽光による電力融通スマートシティ

三井不動産が環境共生都市・健康長寿都市・新産業創造都市を目指して街づくりを進めている千葉県柏市「柏の葉スマートシティ」で、太陽光発電と蓄電池による施設間での電力融通が始まります。

現段階では太陽光発電を設置しても売電に回す事業がほとんどですが、三井不動産の柏市での試みでは、系統を通じた売電に頼らず自社施設内で消費され、しかも地域内の2つの施設で電力融通をする事で、地域単位でのピークカットに貢献できるといいます。

具体的には平日オフィスでの電力需要が高まる「ゲートスクエア」(オフィス・ホテルなど)から「ららぽーと柏の葉」(商業施設)に電気を供給、休日はその反対に電力融通を行い、地域レベルで約26%の電力ピークカットを行うということ。

このピークカットによりCO2削減だけでなく、両施設合計で電力料金削減など年間約1,000万円の経済的なメリットを見込んでいるそう。

「ららぽーと柏の葉」には、太陽光発電が約500kWと大規模蓄電池約11,850 kWh(出力約1,800kW、2014年6月下旬設置予定)を設置。
「ゲートスクエア」は現在開発中で、太陽光発電約220kWと蓄電池約3,800kWh(出力:約500kW)を設置。
さらに非常時に稼働させるガス発電機(発電出力:約2,000kW、設置済み)を設置する計画。

各施設や分散電源をICTネットワークでつなぐAEMS(Area Energy Management System)の構築で各施設の発電量や蓄電量、電力使用量、地域の気象情報や災害情報などのデータを収集・分析して今後の電力需要や発電・蓄電量を予測し、地域における最適な電力供給計画を策定します。

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今回、柏の葉におけるグリッドシステムがもたらした経済的なメリットは、主にピークカットによって契約電力を減らせることなどが貢献した結果で、昨今のメガソーラーとは区別されるもの。つまり、売電に頼らずとも太陽光発電による経済的なメリットを享受できる、先例的な事業と言えます。

スマートで災害に強い、エコな街づくりを実現した結果としての今回のような経済メリットは、企業にとっても、社会にとっても喜ばしいですね。

さくらインターネットが太陽光発電を使った実証実験

アップルやGoogle、Facebookなど、電力を大量に使うデータセンターを保有するアメリカの大手IT企業では、データセンターで使用する電力に再生可能エネルギー由来のものを使用する動きが盛んです。

グリーンピースのような環境保護団体のキャンペーンによって環境に配慮した電力源対策に乗り切った側面もありますが、ビジネスメリットを見いだすグーグルのような例もあるようです。

そして日本でもさくらインターネットが、運営するデータセンターの電力に再生可能エネルギーの利用を押し進める計画なのだそう。
経済産業省にの委託事業として行われる「高温超電導直流送電システムの実証研究」の一環で、さくらインターネット、住友電気工業、中部大学などが参加して「石狩超電導・直流送電システム技術研究組合」を設立。現在の送電システムに比べ、送電時のエネルギーロスを大幅に減らせる送電技術を実証実験するものです。

第1フェーズでは、さくらインターネットの「石狩データセンター」と隣接地に建設予定の太陽光発電所を、高温超電導ケーブルを使って直流送電、電力の変換による電力利用ロスを減らすというもの。
同データセンターは、すでに「高電圧直流(HVDC)給電システム」を導入しており、商用の交流電力をサーバーで活用する際のAC/DC(交流/直流)変換を従来システムの3回から1回に減らすことで電力の利用効率を上げているのだそうです。

将来的には北海道稚内市の風力発電設備からの電力を使用する構想などもあるそうです。

参考

北九州市で太陽光発電による電力を利用したバス

北九州市で、全国初の試み、市営バス路線に2台の電気バスを導入するのだそうです。

若松区響灘地区の埋め立て地約9haに7.5MWの太陽光発電設備を建設。(施工は東レの子会社「東レエンジニアリング」と、市の第三セクター「ひびき灘開発」による事業会社)
電力は蓄電池にためられた後、充電器で電気バスに充電されるのだそうです。

7.5MWもの設備なら年間約790万kWhの発電が可能。(発電量について
2台の電気バスの電力をまかなった後の余剰電力は売電されるのでしょうか。
蓄電池の容量など、公表されていない情報も多いですが、設備詳細や運用状況などを公表してもらい、他地域にもこうした取り組みが広まるといいですね!

参考

「みんなで ECO 東京メトロ・エコプロジェクト」第4弾

JRは「エコステ」でしたが、東京メトロは「みんなで ECO 東京メトロ・エコプロジェクト」を遂行中です。

千代田線北綾瀬(20kW)、東西線南行徳駅(40kW)、東西線妙典駅(253kW)に続く4駅目となる東西線浦安駅で、太陽光発電システム導入すると発表されました。
浦安駅は今までに膜屋根や壁面緑化を導入しており、現在はLED照明の導入を進めており、環境配慮型のモデル駅として生まれ変わる予定だそう。

今後は東西線地上駅5駅(西葛西・葛西・行徳・原木中山・西船橋)に太陽光発電システムを新たに導入する予定です。

これらの太陽光発電施設で発電された電力は駅のエスカレーター、エレベーター、照明等の電力として消費されます。

メガソーラーの建設でパネル価格が落ちてきた事で、こうした駅などでの自家消費のための太陽光発電施設の普及もより進んでいくのではないでしょうか。

参考

売電の流れがいまだ強い中、JR東日本は自家消費用にメガソーラー

42円の売電価格が切り下げられる可能性が高くても、今だに太陽光発電施設を建設するならもっぱら「売電用」としている企業が多い中、JR東日本は売電制度を活用せず、あくまで自家消費のための施設を建設しています
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京葉車両センターの未利用地を利用して、1,050kWの施設を建設、年間年間約1,000MWhの発電量が期待できるそうです。
一日の発電量に換算すると、山手線(E231系)1編成が約4周走行する際に消費する電力量。
電力を多く使う鉄道会社は自社の発電所で発電された電力を使う事が多いですが、太陽光発電の設備費が下がってこういった動きもどんどん高まっていくことを期待したいです。

他業種でいうと、クラウドサービスで年々電力消費量が上がってきているIT企業の話題もありました。

現在売電や補助金による促進を行っている状態の太陽光発電市場ですが、その次の段階としてこうした企業のニーズに応えるような自然な発展や、太陽光発電に付随する蓄電池やEVといった機器類の発展へと、うまくつながっていってほしいですよね。