中国のアンチダンピングに対する課税はEUにも不利益!

久々にアンチダンピング問題の話題が出ました。
アメリカが安価な中国製品に対して関税をかけてから、「EUなどの他国もそれに倣う動きが活発化するかもしれない」と懸念されていましたが、そんな中「中国に対する課税措置はEU自身も不利な状況に持ち込む」ことが、スイス・バーゼルの独立経済研究機関である予測研究所がこのほど実施した調査で分かりました。
調査によると、中国の太陽光関連製品に対する関税を課せばEU内での需要が下がり、EUの太陽光業界では24万2000の職を失う恐れがあることが分かりました。

ヨーロッパ低価格太陽エネルギー同盟(The Alliance for Affordable Solar Energy)の委託を受け行われた今回の調査は欧州委員会が18日に行った公聴会において発表されました。

具体的には、中国製品に対して20%の課税で、3年以内に17万5500の職が奪われ、184億ユーロの損失となり、関税を60%に上げると、3年以内に24万2000の職が失われ、272億ユーロの損失となるという結果が発表されています。

今後の動きに注目したいです。

参考

太陽光発電の貿易戦争を斬る(米GreentechMediaコラムより)

アメリカの中国製品に対する課税で激化している太陽光発電市場での価格戦争。
これを1930年代の「世界恐慌」になぞらえて警告を発している、米GreentechMedia(GTM)に載せられたコラムをご紹介します。

低価格太陽光エネルギー同盟の代表で、太陽光エネルギーサービス会社”サンエディソン”の創立者、Jigar Shahのコラムより

J. P. MorganのCEO、Henry Fordを始め、多くの反対を押し切って制定されたスムート・ホーリー法でアメリカに輸入される製品に対する関税が記録的な高さに引き上げられ、それに報復する形で各国がアメリカ製品への関税をかけはじめたことで、恐慌が悪化しました。現在の太陽光発電業界における各国の報復的なアンチダンピング調査のし合いなどはそれと同じ道筋をたどることが目に見えていますが、また救済の余地はあります。

アメリカの中国メーカーに対する関税は、アメリカのセルメーカーを救うためという口実でドイツのSolarWorldが始めたものでした。
結果、SolarWorldは要求のほとんどを勝ち取ることができましたが、その”勝利”にもかかわらず、関税は結果的にアメリカのセル/モジュールメーカーの救済の助けにはならなかったことを認めています。

この、結果的に無意味であったSolarWorldの申立てにより、世界中で貿易関連の動きがみられました。

アメリカでの申立を行った後、SolarWorldは同じような内容の申立をEUでも行い、この夏EUは中国に対してアンチダンピング調査を開始しました。
もしこの調査により、中国のアンチダンピングを認められたなら、世界中の太陽光発電市場に大きな影響を与えることとなります。

そして中国はその報復としてアメリカ企業のポリシリコンのダンピング行為の調査を開始し、世界貿易機構まで巻き込んで、EUやその他の国で行われた補助金政策の違法性を訴えました。

そして今では、インドまでもが中国とアメリカ、そしてマレーシアに対するダンピング調査を始めようとしています。

アメリカにおいて、太陽光発電を化石燃料に対抗するエネルギーにしようと奮闘してきた私たちは、この戦争の後に恩恵を受けるのは、石油や天然ガス業界だけであり、どの国の太陽光発電業界にとってもメリットは無いと考えています。

報復や逆襲からは何も生まれず、協力によってのみ、世界の太陽光市場構造を形作ることができます。

アメリカ国内では地元の製造業は重要です。強力な戦略の元、一番効率のいい技術の製品化をもってこの苦境を乗り越えるべきです。
日々更新される研究と発見の中から、経済的、労働力的、地理的にアメリカに一番適した製造業に対して振興を進めるべきです。

国際的には、関税のような非効率的な方法に頼らず、貿易関係の交渉を行うべきです。

アメリカの法律体制は、申し立てを行った者に有利に働くようになっており、全体の経済や消費者の事を考えない、時代遅れで柔軟性のないものです。

このSolarWorldのケースでは、しばしば用いられるこの言葉が適切です。
「過去を忘れるものはそれを繰り返す運命にある」(ジョージ・サンタヤナ)

つまり、1930年代の恐慌時代を忘れるべきではないのです。貿易戦争からは一人の勝者も生みません。

SolarWorldを叩きまくりですね 笑
しかし、アメリカでも、EUでも、この会社の申立が直接の原因だったのだから、ここまで言われても”they deserve it”という感じなんでしょうか。

中国に任せられるものと、アメリカが得意とするものは別であるはずだ、という事でしょうか。

日本の場合まだ、メーカーの「信頼性」などが重視される傾向があるため、メーカー一覧が中国メーカーで埋まっている、というようなことはないですが。
そして、技術的に比較的新しいCIS/CIGSの化合物系への注目度が、ソーラーフロンティアの頑張りのおかげで高いのも見逃せません。

ソーラーフロンティアの詳細・パネル最安値情報など

参考

米・欧に次いでインドも!アンチダンピング調査開始


米国が先駆けて始まった各国からの中国製品などへのアンチダンピング調査。
インドもアメリカやEUに続いて、中国、マレーシア、台湾、そしてアメリカへのアンチダンピング調査を開始しました。
調査の申立を行ったのは Indosolar、Jupiter Solar PowerそしてWebsol Energy Systemsなどが率いるインドの太陽光製造業者協会(SMA)です。

今回の調査は結晶型製品に関してのみ行われるため薄膜型は調査対象外ということです。
しかしインドは大規模プロジェクトなどで多く薄膜型が採用されており、結晶型へのアンチダンピング調査の与える影響はそれほど大きくないとも考えられています。

参照

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アンチダンピングに関して割れるEU内の意見


市場調査会社EuPDリサーチによると、ヨーロッパ圏内の太陽光施工業者でアンチダンピングによる輸入関税に対する賛成は44%にとどまったということです。
この調査は、ヨーロッパの主要な太陽光発電市場のドイツ、イタリア、イギリス、フランスの、合計875社の太陽光業者に対して行われた調査で、賛成とほぼ同数の42%が市場介入に反対しました。

ヨーロッパの企業団体European Alliance for Affordable Solar Energy(AFASE/敢えて訳すと「ヨーロッパ低価格太陽エネルギー同盟」?)はヨーロッパとアジア両方の企業が参加していますが、この団体が忠告するところによると、防御的な関税の導入でヨーロッパ国内では3万人の雇用を奪う事になるとされています。

アメリカの中国製品に関する関税導入も、米国内では賛否両論ありましたね。さらに関税に対する中国メーカーの報復的処置もあり、課税のハードルはさらに上がっているとも考えられます。

日本でも中国製品はサンテックなど比較的安めの製品が出回っていますが、日本に関しては楽天ソーラーシャープ製パネル使用)などが安さでは勝っていますし、他にもパナソニックのHIT、ソーラーフロンティアのCISなどのような製品の人気が大きいので、アメリカやヨーロッパなどのようなピリピリした雰囲気はまだ無い印象。

参照

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サンテックがアメリカの拠点での生産を一部中止・米政府の関税処置が主な原因


中国の太陽電池モジュールメーカーサンテックが、アメリカのアリゾナにある3つのパネル生産拠点のうち2つを閉鎖すると発表しました。
理由として、世界的な供給過剰と、最近導入された「米政府による輸入課税」の影響による生産コストの上昇の2つを挙げています。

この2つの製造工場の閉鎖により、3拠点で年間45MWの生産量があったものが15MWにまで減り、約50人の職が失われたことになります。

生産能力の見直しは、10月初めに既に行われており、その時はセルの生産能力は縮小、モジュール(=パネル)の生産能力は逆に2.4GWに拡大という方針を発表していました。

一度拡大すると言ったパネル生産能力を、1か月のうちにまた(0.03GWと若干とはいえ)引き下げるというのはやはり、「供給過剰の解消」よりも「アメリカへの関税処置に対する報復」の意味合いが強いと考えられます。

今後アメリカ国内の太陽光関係業者の反応が気になりますね。

サンテックパワーの太陽光パネル・最安値情報
参照元

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サンテックまでも?中国政府、太陽光業界に支援は不公平か

中国政府が中国の太陽光発電メーカーを救済しているというニュースが流れました。
内容を要約すると、
「賽維LDKのケース」

  • 賽維LDKは今年、業績悪化で従業員の5分の1(約5000人)を解雇
  • 地元政府などが出資するエネルギー企業が先月19日「賽維(さいい)LDK太陽能高科技」の株を19.9%買収して企業救済
  • このエネルギー企業は今年9月設立されたばかり=救済の受け皿?

「中国東営光伏太陽能のケース」

  • 地元政府が51%の株を取得

サンテックまでも?」

  • 急激な業績悪化で減産、リストラ
  • 地元政府や国有銀行が支援に乗り出す

JAソーラーCEOのインタビューでも中国政府の太陽光発電に対する本気度が分かりましたが、このあからさまな救済措置は中国国内からも「なんで太陽光企業だけ?」と反発の声も上がっているようです。

EUのアンチダンピング調査中にこんなことするなんて、本当にすごい度胸!

太陽光発電業界はどの国であろうと厳しい状況は変わらないようですね。
サンテックパワーの太陽光パネル・最安値情報

米から中国製品への法的規制・複雑な利害関係・中国メーカー、米国内産業関係者などの意見は?

国際貿易委員会の満場一致で中国製品に対しアンチダンピングと相殺関税を課したアメリカの商務省ですが、これに対する各関係者の利害関係は複雑です。

アメリカの政府側が太陽光発電設置に歯止めがかかると予想されるこの決定に踏み切ったのは、安価な中国メーカーに太刀打ちできない国内の20数社の太陽光発電メーカーから、何百人もが解雇されたことを受け、自国の産業保護のための決断だったと言います。

この規制は、第三国で製造されたセルを使用した中国製モジュールには適用されないとし、その点で有利なインリーグリーンエナジーはこのようなコメントを出しています。

「とにかく、アメリカの調査が終わって、また熱心なお客様への製品提供に全力を注ぐことができるのはとても喜ばしいことです。中国製品がアメリカの太陽光産業に与えた影響は非常に小さいものです。規制は当社にとって部分的に有利ではあれど、このアメリカの決定にEUは随行するでしょうし、再生可能エネルギーの地球規模での普及に注力するべき時代にこのような貿易戦争を目の当たりにすることは非常に悲しいです。アメリカの太陽光産業(デベロッパーや施工店)がこのような政府の決定に立ち向かってくれている事にはとても感謝していますし、一刻も早く自由な貿易ができる状況が実現し、太陽光発電が地球上の多くの地域で利用可能になることを心から望んでいます。」
インリーソーラープレスリリース

インリーソーラーも触れていた「アメリカ国内の太陽光企業」はこの決定に対して”低価格太陽光エネルギー連盟(CASE)”を結束させ、次のようなコメントを出しています。

「より建設的な解決策を模索するよう、アメリカと中国には対談と交渉を続けることを求めます。現代のように相互が密接にかかわる国際市場においてこのように一方的な関税や貿易戦争は、より効率的な競争を促すのには弊害であり、不必要であります。」

サンテックからのコメント

「日に日に高くなる自由貿易の障壁はアメリカ国内の雇用や、地球全体のエネルギー消費量に悪影響を与える。SolarWorld(今回の申立を提出した会社)の偽善的なキャンペーンで、競争に脱落したSolarWorldのしりぬぐいをアメリカ国内の太陽光産業にさせることとなる。アメリカ政府が建設的な対談に応じない限り、自身にさらなる痛手を負わせる結果になるだろう。アメリカにも拠点を持ち、国際的な事業展開をする我々は重ねて、この不必要な課税に反対し、世界中に低価格な太陽光発電を提供できるよう促進するべきだと主張する。」(サンテックプレスリリース)

太陽光発電のモジュール価格が下がるのはもう歯止めが効かない状況で、今重要になってくるのは「施工価格の低下」だとして、1,000ドルの賞金まで用意してSunShot Prizeというコンペティションで施工業者を競わせていたアメリカ。
モジュールメーカーを守ろうとすると、それらの施工業者やデベロッパーが痛手を負うので、諸刃の剣となる可能性がある今回の規制。まだまだ続きがありそうですね。

参照

速報!「EUvs中国」アンチダンピング抗争

中国の安価な製品がEU内の太陽光発電業界を圧迫しているとし、9月にアンチダンピング調査を開始したEUですが、13カ月程度かかるとされる調査の進行状況です。
調査の一環として、EU委員会は関係者(中国政府、輸出関係者、輸入業者や協会など)へのアンケート調査を送付しています。

これらの調査から中国政府から輸出関係企業への補助金の給付などが証明できれば、9か月のうちに補助金を規制する義務を課すことができます。

EUはこれまでに、4種類の製品に対してアンチダンピング申請を出し、うち”上質コート紙”の取引には法規制が実効中です。
EUに増してアンチダンピング調査の行使が多いアメリカは今までに24製品に対して法規制を実施してきています。
(太陽光モジュールに対しても10月に規制を決めています。)

参照

中国がWTOに、EUの助成金についての申し立て

中国商務部はEU加盟国が自国の太陽光産業を”不正に”助成したという申し立てを、WTOに提出しました。

「中国の政府は我が国の太陽光発電企業に対し、公正な国際取引環境を確保する権利と責任がある。」(中国商務部のスポークスマンShen Danyang)

特にイタリアとギリシャの補助金が”WTOの輸入奨励金の規則に反する”とし、WTOの一員である中国の正当な権利と利益を冒し、太陽光発電企業の輸出に多大なダメージを与えている、と言っています。

中国、怖いわ~。
もちろんEUが先に出した中国製品へのアンチダンピングに対しての報復であると考えられるけれど、JAソーラーCEOが語っていた中国政府の太陽光発電業界に対する”本気度”が十二分に伝わってきます。

中国の脅しのようなこの申し立てに怯えてしまうけれど、言っていることは至極全うだともいえます。
Danyangは次のように付け加えています。
「太陽光発電は、安全なエネルギーを提供し、環境問題への解決策を与えます。
世界の国々は長期的な目でこれを見るべきで、業界内の協調性を強め、自由な国際取引をするべきです。短期的な国内業界の保護主義に走るべきではありません。」

中国商務部はEUとの協議を求めており、60日以内に解決策を見いだせなければWTOによる最終統治を要求する権利を中国は持つとのことです。

参照元

今度は中国が海外製品にアンチダンピング調査!

9月にEUが開始した中国製品に対するアンチダンピング調査ですが、これに対する報復的措置で中国商務部がEUからのソーラーグレードシリコン(太陽光モジュールに利用される精度の高いシリコン)のアンチダンピング調査を開始したという。

欧州委員会側からのコメントはまだ出ていない。

これに加えてアメリカや韓国からのポリシリコンへの調査も開始したとしている。
米国と韓国の調査に関しては、2013年まで分析結果は待たないといけないが、予備的な調査結果は今月にも提出できるかもしれないと漏らした。

2011年にはEU加盟国から中国へのポリシリコンの輸入は少なくとも8.7億米ドルはあったと言われていて、その中でもドイツがポリシリコンの最大の輸出国だそうです。
EUからの中国のアンチダンピング調査も、ドイツのメーカーが大きく関与していたという話があるので、中国は特にドイツを狙っての報復的調査であったとも考えられますね。

中国のポリシリコン製造企業4社が8月にヨーロッパからのソーラーグレードポリシリコンのダンピングと補助金の調査を依頼していたが、それに先立って中国商務部はモジュール価格の下落はその原料であるポリシリコンの価格低下によるものであり、中国メーカーのセルによるものではないという声明を出していた。

もう、それぞれの強みで分業すればいいのに、というのが素人の意見ですが、そういうわけにはいかないのでしょうね。

pvマガジンの記者Oliver Ristauは、この価格抗争の背景に、市場から一旦姿を消した中国のシリコン製造業者の影が見え隠れしているとも言っています。

参照元