サニックスが2015年3月期赤字で業績を下方修正

サニックスは、電力会社の接続保留を受けて2014年10月31日に売上高1180億円、経常利益32億円・当期利益を13億円に下方修正していましたが、太陽光発電設備の着工の遅れが予想を上回ったため、2015年に3月の木通算連結業績の見通しを更に下方修正することになりました。修正後の売上高は970億円、経常損失は14億3千万円、当期損失は27憶2千万円と赤字に転落する見通しになっています。
太陽光発電システム関連を主な事業としている『SE事業部門』は、サニックスの売り上げの6~7割を占めていますが、2月12日の時点で、SE事業部門の売上高は前年にに対して69.9%増加して517億5200万円となりましたが、売上高の中の人件費などの固定費の比率が大きく上昇したため、30億7500万円の営業損失を出す結果となりました。
サニックスは、太陽光発電システムの施行件数の増加を前提で、SE事業部門の人員を638人から2706人にまで増員したため固定費が上昇しましたが、接続保留問題などの外部環境の悪化によって、売上高の伸びが予想を下回り、固定費の増加を吸収できなかったという結果になっています。
サニックスでは、今後、東京電力・中部電力・関西電力管轄が、今後の主要な営業地区になると見込んでいて、九州・四国地区から、関東・関西・中部地区に人員の配置換えを行う予定です。同時に、採算性の改善を図るため、太陽光発電用の部材や流通費のコスト削減、固定費の全面的な見直しを図り、損益分岐点を引き下げる方針です。
参考

2015年度(平成27年度)、太陽光発電の買取価格は産業用26円/住宅用36円に?

来年度の買取価格の予測がスマートジャパンから発表されました。

1月15日に行われた第一回目の「調達価格等算定委員会」の内容を踏まえたものだそうです。

それによると産業用(10kW以上)太陽光発電は26円が、住宅用(10kW未満)太陽光発電は36円が濃厚だということ。

発電量は想定以上に多いことが証明されてきている

以下は次年度の買取価格算定の際に参考として出された、太陽光発電設備運営にかかわるコスト試算です。

システム費用:29万円/kW
土地造成費:0.4万円/kW
接続費用:1.35万円/kW
土地賃貸料:年150円/㎡
運転維持費:年0.6万円/kW
設備利用率:14%

売電価格を決定する際は、市場動向に加えて実際に稼働した設備の設備利用率(発電量から求められる)などから、算定されますが、
昨年度の設備利用率は13%だったのに対し、今回の委員会では全国平均で14%は得られると想定。
ちなみに一昨年は12%とされていたため、年々太陽光発電の性能評価が上がってきていることが分かります。
都道府県別発電量比較でもお分かりいただけるように、太陽光発電の発電量は地域によってかなり差があります。
今回全国平均とされた14%を超す都道府県は多くあるものの、10%台にしかならない県などもあります。
こうした県にとっては、来年度からは発電所建設はかなり非現実的なものになるかもしれません。

住宅用は以外にも1円の値下げどまり

産業用が大きく6円の値下げと予想されているのに対し、住宅用(10kW未満)は1円だけ下がった36円という予想です。

トリナソーラーをはじめ、海外メーカーではまだまだ価格低下する余力があるような雰囲気を出していることもあり、住宅用に関しては、来年度の設置でも大きく損はないと考えてもよさそうです。


あなたのお家でどれくらいもうかる?住宅用太陽光発電をシミュレーション

シャープ、新製品で貫く王道路線!主力の「ブラックソーラー」は効率3.5%アップ、さらに無償保障はパネル20年付属機器15年

太陽光発電システムを製造するシャープが主力のブラックソーラー(BLACKSOLAR)の新製品を発表。12月9日から発売開始で月間計5万台の出荷を目指すということ。

無償のパネル保障は20年、さらに付属機器も15年!

新製品ではパネルに対して、出力・機器いずれも20年のプレミアム保障を無償で付与。さらに機器保障15年も無償で付与されます。

パネル出力保障については25年が世界基準のため目立ちませんが、機器保障15年は地味にありがたいものです。

かゆいところに手が届くサービスというかなんというか…

ソーラーワールドの30年保証というツワモノ的な売り方ではなく、庶民的な、というか、一番パイの多そうなところを突いてくるところが、シャープらしいな、と感じます。

最大効率18.2%の製品は国内製造製品ではNo.1!

以下は最新製品の製品スペックの一覧表ですが、標準サイズのパネルで18.2%のモジュール変換効率効率についてのページで各メーカーの製品で変換効率を比較していますが、これはパナソニックのHITパネル(多接合型で性能を向上させた製品)に迫る変換効率を達成しています。

品名 住宅用 単結晶太陽電池モジュール
形名 NQ-210AD
<標準>
NQ-148AD
<コンパクト>
NQ-095LD
<コーナー>
NQ-095RD
<コーナー>
公称最大出力 210W 148W 95W 95W
公称最大出力 18.2% 17.5% 13.1% 13.1%
希望小売価格 120,000円+税 91,100円+税 58,900円+税 58,900円+税
発売日 12月9日
月産台数 計50,000台

そして、実はシャープより上位にランクインしているメーカー(東芝・パナソニック)の製品はどちらも海外工場で作られたものです。(東芝はアメリカのメーカーサンパワーのOEM製品でフィリピン製、パナソニックはマレーシアの自社工場で製造)

シャープは国内住宅用市場に再び的を絞る?

いまどき国内だから、海外だから、どうこうというのは一概には言えませんし、ここではどちらがどう優れているかを論じるつもりはありません。ただ、シャープの王道なマーケティング路線が、さすがだな、と思った次第です。

シャープは今年度まで優遇されている産業用(10kW以上)の設備に向けた大型需要を半国内産(セルを海外のメーカーから輸入して国内組み立て。詳しくはパネルの製造国についてを参照)の廉価版製品やOEM製品で吸収し、シェアの拡大を図りました。
戦略が功を奏したのか、一瞬ではあったものの世界シェア1位を奪回しています。

そして来年からは、市場において住宅用の比率がまた高まることが予想されることから、「国内一貫生産」の路線をまた強化しよう、という寸法ですね。

安さも品質も極められるか?

気になるのはやはり価格。
最新のパネルメーカー価格比較表では、シャープはブラックソーラーで単価30万円を切らない価格帯ですが、中国製品は20万円台のメーカーが続々出てきています。

日本の国産100%メーカーでも、化合物系のソーラーフロンティアが20万円台後半で手に入れられるようになってきています。

一昨年~昨年度までのような激しい価格競争は今後期待されないものの、かつてのシャープの「安くて高品質」のイメージは今ではイメージ倒れの現状となっているきらいがあるのも事実。国産をキープしながら、もうちょっとここで価格面も押してくるのでしょうか?

とはいっても「とりあえずシャープ」的な買い方をする方だってまだまだ多いでしょうから、無理せず健全な経営をしてもらった方が、消費者的にも安心なのかもしれませんね。

シャープの製品情報、価格情報
リリース

NEDO発表の「太陽光発電開発戦略(NEDO PV Challenges)」まとめました

NEDOが「太陽光発電開発戦略(NEDO PV Challenges)」と名付けた膨大な文量の開発指針発表しました。
気になるところだけかいつまんで、まとめています。

発電コストは23円=従量電灯レベルでのグリッドパリティは達成

NEDOの計算では、2013年の時点で23円/kWhを達成し、グリッドパリティと明記はしていないものの、従量電灯と比較すると完全なるグリッドパリティですね。
(2014年10月現在の東京電力の従量電灯において、住宅に多い20A・30Aを契約した場合、基本料金も合わせて24円を切ることはない。)

nedo

今後の指針としては2020年の段階で業務電力価格並の14円/kWhを達成、2030年までに基幹電源コスト並の7円/kWhを達成を掲げています。

具体的には現在最高で21%程度のモジュール変換効率を、2020年には22%、2030年には25%以上を達成するとし、
さらに運転年数(寿命・耐用年数に相当すると考えられる)を30年まで引き上げることを掲げています。

設備利用率15%で計算するとし、キロワット単価27.6万円を切れば達成できることになりますが、
2014年10月現在で26万円/kWの格安パネルの市場に出てきていることを考えれば手の届く範囲でしょう。

2013年度末までの国内の太陽光発電設置容量の累計は14.3GW


2014年1月末時点で13GW超
だった累積設置量は3か月でさらに1GW以上が加えられ、14.3GWとなっています。

日本メーカーの世界シェアの縮小

10ページには太陽電池の産業動向がまとめられています。

2006年までは発電容量ベースで世界一位の生産量を誇っていたとはじめながらも、2007年には全体シェアが中国メーカー合計(32%)>日本メーカー合計(25%)と逆転、2012年の日本メーカーの全体におけるシェアはわずか6%に減ったと報告。
世界のメーカーシェアは中国勢にどんどん奪われていった模様は、当サイトのメーカーシェアランキングでも詳しくご案内しています。

国内メーカーの約3割の製品が海外製

12~13ページにかけては国内メーカーでも海外に生産を委託しているパネルが増えてきていることが言及されています。
参考資料として平成26年1~3月期の容量ベースで「パネルの出荷量に占める日本企業のシェア(図2-6)」と、同期の「パネルの出荷量に占める国内生産のシェア(図2-7)」のグラフが掲載されています。

「日本企業のシェア(図2-6)」については住宅用/産業用が分けられているのに対し、「国内生産のシェア(図2-7)」は全体を総括した容量での割合になっているので一概には言えないまでも、

例えば容量ベースで多くを占める非住宅用の数字と照らし合した際、日本企業64%のシェアに対し、国内生産は44%と20%の差があります。
容量ベースでは約3割の製品が、「日本ブランド国外生産」である可能性があるということです。

さらに付け足しておきたいのが、この表では「セルが海外製、モジュール組立のみ日本」という製品が国内生産品としてカウントされていることです。

各メーカーのパネルの生産国一覧

各国のシステム価格比較と推移

14ページの各国のシステム価格比較は興味深いです。
日本ではシステム価格が2001年から今まで、6米ドル/Wを上下してほとんど変わっていないのに対し、比較されている米国、ドイツ、イタリアは価格がどんどん下がっておりドイツは2012年には2米ドル/Wに到達しそうなくらいまで価格が下がっているのだそう。

これにはちょっと疑問が残り、6米ドル/Wというとキロワット60万円になり、相場からかけ離れている感が否めません。

その次に出ていグラフでは2013年の住宅用太陽光発電のシステム平均単価が約400円/W(40万円/kW)となっており、出典は同じ(みずほ情報総研)にも関わらず内容がズレているのがなぜなのかは、この指標の記述で読み取れなかったのですが(万が一読み落としがあればご指摘願います)

どちらにせよ、欧米よりもまだまだ価格に対して下げ幅の余裕があると考えていいのかもしれません。

施工のシェアは自社開発を行うNTTファシリティーズなどが有利に

おもしろいな、と思ったのが、施工企業のシェアの変化です。
積水ハウスやパナホーム、高島など、新築住宅向け太陽光発電の施工が主であるハウスメーカーのシェアは2009年から2012年でぐんと減り、

自社のメガソーラーをどんどん建設しているNTTファシリティーズが2012年は11%超のシェアで業界一位になっています。

新規企業の参入が相次いだことで上位企業のシェア自体が減っているということですが、自社架台の開発も行っているNTTファシリティーズに関しては今後のシェア拡大もばっちり狙っていることでしょう。

いまだに結晶シリコン系が人気/10年間で太陽電池の変換効率が5%上昇

28ページでは、NEDOによる各種太陽電池のシェア等の比較と、
フランホーファーによる効率向上のグラフが掲載されています。

それによると、2013年の時点で

結晶シリコン系はシェア87%

といまだに大半が結晶系となっています。
2003年の時点で15%程度だったシリコン系の太陽電池の効率は2012年で20%超に(+5.5%)なっており、化合物系との差は埋まることなく、いまだにシリコン系太陽電池には性能的な優位性があることが読み取れます。

全体のシェア8%を占める化合物系は、主要の2社の動向に要注目

化合物系はプレイヤー(製造するメーカー)が少ないことが特徴的ですが、
ソーラーフロンティアに代表されるCIS太陽電池、ファーストソーラーが製造するCdTeはそれぞれシェアが2%および6%。
効率は若干CIS太陽電池の方が上ですが、ファーストソーラーは価格の安さで欧米を中心としたシェア拡大に貢献しています。

ファーストソーラーは日本にも進出し
一方でソーラーフロンティアは海外戦略でシェアの拡大を狙っています

日本の消費者としては、安価な「ファーストソーラー」が選択肢に入ったことで太陽光発電の敷居がさらに低くなることを願う一方で
日本メーカー「ソーラーフロンティア」のさらなる躍進で日本経済を活性化してほしいとも思います。
2社の動向に注目が高まります。

25年度には化合物系がシリコン系に追いつく?

35ページのNEDO PV2030+による性能目標は、結晶シリコン系のモジュール効率25%という実現可能性の高い目標に、CIS系も倣うことを目標としています。現在の1.5倍以上の性能を10年ちょっとで達成しなければいけないことになりますが、ソーラーフロンティアにはぜひ頑張ってほしいものです。

2014年前期のパネルシェアは中国勢が圧倒的

おなじみ米NPD Solarbuzzから、2014年第2四半期のシェアが発表されました。

2014年第1四半期はシャープが約4年ぶりにシェア一位を奪回したものの、すぐに逆転されてしましましたね。

上位6位が中国メーカー、上位20社もほぼ中国勢

順位が明らかにされていないのですが、上位6社のラインナップがトリナソーラ−、カナディアンソーラージンコソーラーJAソーラーインリーソーラーレネソーラーということ。全て中国メーカーです。

ちなみに2013年のメーカーシェアランキングとあまり変わらないとすると、
インリー、トリナがほぼタイで1位と2位、
それから3位から6位は
カナディアン、ジンコ、レネ、JAといった順序かと予想します。
この中でインリーとレネを除いて4社がそれぞれ各社過去最高の出荷量を記録したということ。
中でもトリナソーラーは一四半期で1GWに届く勢い(第3四半期は1GWを達成の見込み)というので、もしかすると1位が逆転しているかもしれませんね。

ちなみに上位20社のほとんどが中国メーカーで、全体の出荷量のうち71%を占めているのだとか。

アメリカとの摩擦も関係ない(?)勢いの中国メーカー

中国メーカーのパネルにアンチダンピング課税をかけているアメリカの太陽光発電市場ですが、中国メーカーはお隣の台湾などのアジア諸国を経由しての出荷や、中国以外の製品のOEMなどという抜け穴作戦で対抗していたのですが、その抜け穴も完全に塞ごうとアメリカ側は課税対象を広げたことで今後のシェアの動向がきになるところです。

抜け穴を塞ぐ貿易是正措置の決定を目の前にして中国メーカーの米国向け出荷が増加したということで、中でもトリナソーラーが米1位のファーストソーラーに届く勢いでの出荷量を記録したのだそう。

参考

世界の太陽光発電設置容量が2005年から10年間で40倍近くに

米調査会社NPD SolarbuzzのアナリストMichael Barker氏によると、世界における太陽光発電の累積設置容量は現時点で150GWを超え、2014年の終わりには200GWに達する見込みだということ。
2005年には世界中で5GWしかなかった太陽光発電の累積設置容量ですが、この10年で30倍はおろか40倍近くにまで成長すると予想されているのですね。

太陽光発電は2005年から2011年まではずっとヨーロッパ市場が率いていたといいます。年ごとの世界需要の60~85%をヨーロッパが占めていた時期です。その後FIT制度の廃止などもあって市場が縮小、2014年には25%以下にまで下がってきています。

参考
ちなみにスタートダッシュは日本が早かった印象があります。1994年にすでに補助金制度を導入しており、住宅用を中心にすでに2004年の時点で約1GWの累積設置量がありました。参照

2013年、ドイツで太陽光発電関連の雇用が50%減少

ヨーロッパでの太陽光発電市場が大幅に減退した2013年ドイツでは太陽光発電関連の雇用にも大きく影響を与えたようです。

image via pv-tech.org

image via pv-tech.org

エネルギー・経済副大臣のRainer Baakeは、統計によると2013年にドイツの太陽光発電関連の雇用人員は昨年と比べて50%低下したのだそう。

この統計はドイツの経済エネルギー省から今週月曜に出されたもので、それによると2012年に100,300人あった太陽光関連の労働人口は2013年には56,000人まで減っているとのこと。

しかしドイツにおいて、再生可能エネルギー関連の労働人口の大半がドイツのエネルギー政策(EEG)の恩恵を受けたもので、政策終了と同時の雇用縮小は十分予測可能であったとしています。

さらに今後も数年は雇用縮小が進むと予測されるため、ドイツのメーカー系の太陽光発電企業はドイツの市場だけでなく海外展開へのビジネス転換を進めるべきだとの見解を示しています。

また国は蓄電池関連の補助金制度を約1年前から始めており、この1年で4,000件の蓄電システムがこの補助金を使って設置されたそうで、こうした太陽光関連業種でのビジネス拡大は今後予想される動きとしてあります。

参考


日本の市場は大丈夫?各メーカーの戦略

日本では今年の第一四半期はシャープがパネル供給量で世界一奪回のニュースもありました。シャープの場合、短期間の商機に有効だとされる海外調達が成果を結んだとされており、日本市場が縮小しても打撃は少ないかもしれません。

100%日本製のパネルを作っているソーラーフロンティアは、アメリカ進出の可能性も高いということ。

それぞれのパネルメーカーの戦略がどういう結果につながるのかは見ものです。

今後を考えた施工店選びはできている?

もう一つ、太陽光発電の施工店は2012年以降雨後の竹の子のごとく増えましたが、10年、20年の発電設備の稼働期間中付き合える業者かどうかの見極めは非常に大切だと感じます。

例えばネット系販売店としてその一風変わったマーケティング(山本太郎を社員にしたり)で一時期有名になった会社なども、今ではすでに住宅用の太陽光発電の取り扱いを終了しています。

施工店の選び方でも、太陽光発電の施工業者について種類分けで詳しくご案内しています。

モジュール供給量ではトリナソーラーがインリーに追いつく勢い

四半期ベースでのパネル供給量争いでシャープが2009年以来初の一位奪回というニュースをお届けしましたが、すぐに一位の座を明け渡すことになりそうです。

NPD Solarbuzzのアナリストによると、第2四半期はトリナソーラーインリーソーラーを抜かし、初めて四半期で1GWという大台記録を更新する模様だということ。

トリナソーラー2012年には3位2013年には2位とシェアを伸ばしています。

日本でもインリーソーラーよりもトリナソーラーの知名度のほうが若干高い気もします。

参考

2013年の世界の太陽光発電、年間設置量と累積設置量

ヨーロッパの太陽光発電協会、EPIAから2013年の世界における太陽光発電の設置状況が発表されました。

世界全体で37GW、中国に次いで日本が世界2位に

全世界では最低37GWの太陽光発電が設置されたということ。
これは2012年の29.9GW、2011年の30.2GWから大幅に増えていますが、中国や日本といったアジア市場の拡大がこれに大きく貢献しています。

アジア市場が大きく成長

1位の中国は11.3GWが系統に連携され、次いで日本が約6.9GW。
インド(1.1 GW)、韓国(442MW)、タイ(317 MW)など、ほかのアジア地域も、着実に成長しているということ。

アジアが市場でリードしたのは10年以来。

ヨーロッパ市場は縮小

ドイツ、イタリア、ベルギー、フランス、スペインなど、FIT価格が引き下げられてヨーロッパ全体で市場は大きく縮小した。
2011年22.4GW、2012年17.6GW、2013年10GW。

世界累積は137GW

2012年までの累計100GW弱を大きく更新して、2013年末時点で約137GWになりました。
地域ごとの累積では半分以上がヨーロッパで、80GW弱の太陽光発電で電力需要の3%を、ピーク時においては6%をカバーできるほどにまで容量が増えたことにより、系統電力でのインテグレーションにおけるスマートな調整を早急に進める必要があるということ。

シャープのシェア1位奪回、サンパワ―とのOEMが功を奏す

太陽光発電業界の市場リサーチ・分析を行っているsolarbuzzによると、2014年の第一四半期においてシャープの太陽光発電のパネル供給量が700MW以上をマーク、世界一位になったそうです。(参考

シャープは1963年から2008年の45年間もの間PV業界のリーダーの座を維持してきたそうですが、2009年以降は一位の座をFirst Solarと中国ベースのPVメーカー(複数社)に奪われていました。
2014年第1四半期び一位奪回は、2009年第4四半期以来の快挙だということ。

とはいえこの功績は、シャープのブランド名の強さは証明したものの、他社の生産力に頼りながら成し遂げたものであると言えそうです。

image via SOLARBUZZ

image via SOLARBUZZ

シャープは2012年12月、サンパワーとのOEM契約によりシャープブランドでのサンパワー製品の販売を開始すると発表しています。

グラフを見てみると、この発表のすぐ後である2013年第1四半期の供給量が大幅に伸びており、この時期には世界2位を取っています。
伸び幅分全部とは言えないまでも、多くの部分をサンパワーからのパネル供給に負っているとも考えられます。

SOLARBUZZも、シャープのアウトソーシング戦略が一位奪回の直接的な要因となったとしています。

アナリストRay Lian氏は

”ファブライト”と呼ばれる、自社の生産能力と外部調達を効果的にコントロールして短期的な商機の変化に対応するビジネスモデルの有効性を証明することにもなった。このファブライトモデルは現在、業界大手の垂直統合企業数社に採用されている

としています。

日本での需要拡大と、このファブライトモデルで中国や台湾の企業からの外部調達を活用したことが、シャープのブランド力の強さと相まった結果とみることができます。

NPD Solarbuzzによると、シャープは従来、自社でセルやモジュールを生産する垂直統合型を採用していたということ。
しかし近年は「主に中国や台湾を拠点とするパートナー企業に生産を外部委託しており、Sharpはモジュール販売に重点を置くようになっている。」としています。

シャープは生産国のみ公開していますが、サンパワーのOEMである「NB-245AB」はフィリピン、それ以外のモデルは日本で生産ということになっています。
これはNPD Solarbuzzの分析内容と、少し食い違っているような気もしますが、「原料などの調達先は非公開」ということなので、台湾や中国などの工場からセルなどは輸入し、モジュール組み立ては日本の工場で行っている、という考え方が一番自然かと思います。

さて、これをどう締めくくるべきか迷いますが、とにかくシャープブランドの強さは健在ですし、ブランド名を汚さないためにも、OEM契約先や原料供給先も慎重に選んではいると予想できます。なので、この功績を評価してやはりシャープを選ぶ、という選択も、もちろんありだとは思います。

しかし、「パネルの生産体制」という面で見た時、大手で唯一国内工場での一貫生産を続けているソーラーフロンティア、マレーシアに生産拠点を移して価格を抑えながら、自社での一貫生産体制を行うパナソニックなど、生産体制の透明性がより高いブランドを評価したいという方にとって、世界一位であってもシャープは魅力に欠けて映るのも、無理はない話です。

製品の詳細・価格などは「シャープの太陽光発電」でくわしくご案内しています。