ネクストエナジー・アンド・リソース、名古屋大学とオフグリッド(独立蓄電型)太陽光発電システムの研究

名古屋に本社を置く、ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社は、名古屋大学大学院環境研究科高野雅夫研究室と共に、商用電源を一切利用しない「オフグリッド(独立蓄電型)太陽光発電システム」に関する共同研究を開始すると発表しました。

その研究方法とは、愛知県豊田市旭地区の住宅に「オフグリッド太陽光発電システム」を設置し、実際の家族が生活するというものです。同社は、自社製の太陽光パネルをはじめ、Concord社製の蓄電池を提供し、その他部材も含めたシステムの開発・検証を担当します。

実証実験の主な目的は、独立電源のみによる生活を検証する事と、ユーザー側のデマンド・サイド・マネジメントによる停電回避方法の開発です。

実験から得られたデータを活用する事で、オフグリッドシステムの効果や問題点を明らかにすると同時に、より顧客のニーズに合った蓄電型太陽光発電システムの設計へと生かします。

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NEDOのアメリカでの実証実験で、日産自動車らEVの行動範囲拡大への有効性を検証

太陽光発電などの再エネ発電設備と組み合わせることで低炭素社会の実現に大きく貢献すると考えられるEV(電気自動車)は、現状で連続走行距離が短いことや、電源などのインフラの不足といった問題を抱えています。

EV(電気自動車)の普及に取り組む米国カリフォルニア州では、様々な優遇措置が行われ、全米内トップのEV普及台数ですが、その実態は、通勤や買い物といった近距離移動に限定利用されています。この課題を解消するため、カリフォルニア州北部都市圏において、調査を開始することが決まりました。

この事業では、特に都市間をつなぐ幹線道路における急速充電のインフラ整備と、誘導サービスシステムを導入し、その後、EVユーザーの行動を調査することで、対策の有効性を実証します。また、世界各国でのEV普及モデルが確立されることが期待されています。

同事業は、独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が請け負い、日産自動車株式会社、Nissan North America社、兼松株式会社に委託して実施します。

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NEDOプロジェクトで日立製作所らが1.5MWハイブリッドの大規模蓄電システムの開発に成功、来年から伊豆大島で実証実験開始

株式会社日立製作所と新神戸電気株式会社はNEDOプロジェクトとして短時間で大電力の充放電が可能な1.5MWハイブリッドの大規模蓄電システムの開発を成功しました。

これにより出力変動の緩和や余剰電力の再利用、周波数の安定化が期待できます。2015年度より実証実験が行われます。この試験は東京電力株式会社の管内にある伊豆大島の電気系統で行われます。実証実験では、ピークシフトや短周期変動抑制の機能やそれの寿命などハイブリッド大規模システムの有効性について検証、評価する予定です。

同大規模蓄電システムは「高入出力・長寿命鉛蓄電池」と「リチウムイオンキャパシタ」を組み合わせたハイブリッド構成となっており、現行の製品と比べて1.7倍多い出力と、1.2倍もの寿命を実現する見通しを得ているということ。

気象に左右されやすい風力や太陽光発電などの再生可能エネルギーの大量導入時に余剰電力の再利用や電圧や周波数の変動を抑制することにより電力の安定供給を実現する有効な手段として注目されています。

この実証試験ではより実用に近い制御技術の確立と幅広いニーズに向けて柔軟に対応できる実現をはかります。

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リクシル、太陽光パネルの下に太陽熱温水システム・太陽光熱のハイブリッドパネル使用の実証実験で、消費エネルギー80%減を確認

東京都千代田区に本社を構える、藤森義明氏が社長を務めるリクシル株式会社は、GF技研と共同で既築住宅への太陽光発電システムを導入した実験を行い、住宅総消費エネルギーの約80%の削減に成功しました。
GF技研は、静岡県富士市に本社を持つ梅津健児氏が社長を務める会社で、太陽光エネルギーの最適ソリューション提供事業を展開しています。

今回実験に使用した太陽光発電システムは、高効率太陽熱光ハイブリットパネルを使用していて、エネルギー変換効率が高いことと、設置が容易なことを特徴としています。これまで、リクシルの研究所敷地内でのフィールド実験を実施していましたが、今回実際に使用されている住宅に太陽光発電システムを搭載することにより、実際の使用シーンに即したデータの取得が可能になると考えられています。
リクシルは実際に静岡県富士市の既築戸建て住宅に高効率太陽熱光ハイブリッドパネルシステムを設置し、2014年2月から開始した実証実験の結果、戸建て住宅の総消費エネルギーの約80パーセントを削減可能であることを確認。今後は太陽熱光ハイブリットパネルシステムと暖房や浴室、キッチンなどの住宅設備をHEMSを介して連携することも考慮しながら実証実験、研究を継続していくといいます。

ゼロエネルギー住宅ZEH)の構想は各社が競って研究を続けていますが、リクシルのこの実験がユニークなのは太陽光と太陽熱をどちらも活用することで、屋根で受ける太陽のエネルギーをより活用できるようにするというもの。

現時点でこのハイブリッドシステムについて、容量や効率等は明らかにされていませんが、おそらく商品化を視野に入れていると思われる同システム、今後さらに情報が明らかになってくるのを期待したいところです。

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「集熱PV併用システム」の実態は??

リクシルの同設備について、スマートジャパンに詳細が取り上げられていました。
これによると、同ハイブリッドシステムの構造は単結晶シリコン太陽電池背面にアルミニウムの板構造を重ねて、そこに蓄熱層と接続した銅の集熱用のパイプを通したもので、さらに太陽電池の表面から熱が逃げないように風防ガラスが全面に敷かれる工夫が施されているということ。
光と熱の太陽エネルギーを両方使うシステムは、ここでは「集熱PV併用システム」と呼ばれています。

太陽光発電設備は小容量2kW

なんとこのハイブリッド太陽光熱システムで使用されているのはパネル16枚2kW分の太陽光発電設備ということ。
一般住宅では4kW程度の積載が平均的なのですが、今回は半分程度の積載量となっています。

太陽熱は6.4kW、利用価値に期待

対して太陽熱温水を作るシステムは容量約6.4kW分だということ。
パネルの仕様からしても電力の3倍の熱が発生するため、パネルで得た熱をどのように効率的に使用するかが消費量削減の決め手となってきます。また、今回の実証実験で注目すべきところは既存の戸建て住宅にもともと備わっていた給湯機器やヒートポンプ式床暖房と接続することで成果を上げているところです。

太陽熱の利用方法は2つであり、床暖房と給湯で、このうち床暖房はそのまま熱媒体を利用します。一方、給湯は熱交換機を通じて水道水から得た温水を混合三方弁で混合して利用できるようにし、それをシステム制御装置で調整することでガス給湯器の利用をなるべく減らしたのです。また、HEMSを用いた実験も続けており、今後は暖房やキッチンなどの住宅設備とHEMSとの連携する方法を探る見込みとなっています。

同設備は太陽光発電システムと太陽熱温水システムが重なる形でできたシステムなので、屋根の限られた面積を最大利用するという意味ではかなり期待が高まります。
特に、売電をするための設備よりも、自家消費をより促せるシステムの需要は今後さらに伸びてくると予想されるので、他のメーカーからも同様のアプローチによる製品開発があるかもしれません。

リクシルの太陽光発電

ドイツで再エネ自家消費の実証実験にNEDO参画、日本の5企業が事業委託

再生可能エネルギーの開発が進んだドイツでは世界に半歩差をつけて太陽光発電のグリッドパリティを達成し、すでに再生可能エネルギーが国内全体の電気エネルギー使用量の約20%を占めるまでに浸透してきています。

日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、ドイツのシュパイアー市でマンションなどの共同住宅施設を対象として、太陽光発電を最大限に有効利用する「自己消費モデル」の確立を目指し実証実験を開始しました。日本からはNTTドコモNTTファシリティーズ野村総合研究所日立化成、日立情報通信エンジニアリングの5社が参加しています。

自己消費モデルは、太陽光パネルと蓄電池、ヒートポンプの3つを組み合わせることで成り立たせ、太陽光パネルは太陽光をパネルに受け、ヒートポンプは外気を利用した蓄熱型温水器として、それを蓄電池により蓄積し、住宅利用するものです。

最適な住宅エネルギーとして活用するために、家庭向けエネルギーシステム(HEMS)によるエネルギーのコントロールを行い、住宅全体の電力として供給およびサポートを行います。

このシステム導入の大きなポイントの一つとして、逆潮流量の最小化があります。系統への逆潮流を極力減らすということはつまり売電量を少なくするということ。すでに系統電力以下の価格でしか買い取られない現状のドイツの制度においては、売電するより自家消費を増やすことが収益上有利になってきますが、これに加えて系統への負担を減らし、系統電力の質を保つという上でも重要な意味を持ちます。

日本でもすでに系統連携の回答保留などの問題で再生可能エネルギーの容量が増えることにより生じる問題が浮き彫りになり始めていますが、ドイツでのこの実証実験の成果が問題解決の糸口となるのか、注目が高まるところです。

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日産、エナリス、フォーアールエナジー、使用済み蓄電池でBEMS実証実験

日産自動車株式会社とフォーアールエナジー株式会社は2014年11月13日、株式会社エナリスと協力して電気自動車「日産リーフ」の使用済みリチウムイオンバッテリーを複数組み合わせて、大容量蓄電池システムとしてビルの電力マネジメントに活用する実証実験を行うことを発表しました。

検証は厚木市にある日産の先進技術開発センターに「日産リーフ」の使用済みリチウムバッテリー24台分を設置してエナリス提供のデイマンドリスポンス(DR)サービスに対応させる形で行われるもので、電力供給を滞らせることなく電力料金を削減できる大容量蓄電池システムの利用方法を実証します。本システムにおけるPCS出力は250kW、蓄電池容量は約400kWhとしています。

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NTTドコモのグリーン基地局、電気代削減でメリットを高め商用化を

NTTドコモグリーン基地局事業を着々と進めています。
最近の成果について伝える記事をご紹介します。

商用化に向け費用対効果向上

もともと同システムは、ソーラーパネルから蓄電池に充電して満タンの状態を保ち、その余剰を自家消費する形で20%の電気代削減を達成していたといいます。

しかしせっかくソーラーパネルで発電した電力が、使い切れないこともあり、今回は、蓄電池の電力を夜間に消費して、系統の電力も混ぜながら日没には満充電に戻せるような「パワーシフト制御」を導入し、電気代30%削減に成功。

この成果にも満足することなく、さらに充放電のタイミングや太陽光発電の電力の使い方(直接使うか、充電するか)のパターンを何通りも試しながらベストを探り、独立制御可能なレベルまでもっていくことを目標にしているのだそう。

ベースとなるポイントは災害時に長時間の電源確保を可能とする事、
と同時に商用化を進めるために、導入コストに相当する費用効果を得る事

電気代の削減はもちろん、コストを抑えるために使用する機器もシステム構築に関わるパナソニックにこだわらず、複数メーカーから検討しているということ。

単なるCSRに終わらず社会貢献と利益追求の両立が目指せるか

ちなみに費用対効果で考えれば今年度までは売電価格が商用電力と比べて高いので、「売電すればいいじゃないか」と思った方もいらっしゃるかもしれません。

来年度以降、売電価格が引き下げられた後に市場に出る予定の製品のため、市場に合わせた製品開発を行っている、というのもあるとは思いますが、そもそものグリーン基地局の研究目標は「環境対策」だったそうで、CSR的な意味もこの事業は担っているいうことになります。

蓄電池が満タンの状態でも、余った電力を売電せずに自家消費する方がより環境に優しい製品と言えます。
さらにCSRに始終せず商用化を目指す事は社会全体でより大きなメリットを得られる可能性があります。

ちなみにNTTドコモは全国10万カ所の基地局で年間約18億kWを消費しているのだそう。日本全国の消費量の0.2%にも上るそうで、電気代削減だけでもメリットは決して少なくなさそうです。

CSR性の高い分野で利益も追求しながら、本当の意味で社会貢献できる事業について、もっと知っていければと思います。

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鹿児島県の離島で住友商事らEVのリユース蓄電池を用いた実証実験

住友商事は今年2月から「大阪ひかりの森」に設置されたメガソーラーでにEVのリユース蓄電池を用いた実証実験を始めていますが、今回、鹿児島県の離において同様の事業を行うことを発表しました。

薩摩川内市甑島で行われる同実証実験は同市と住友商事によるもので、前回同様環境省からの支援(平成26年度「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(離島の低炭素地域づくり推進事業)」)を活用します。
規模としては「大阪ひかりの森」と比べて蓄電池のボリュームが増え、EV37台分にあたる容量約617kWhの蓄電池を使用します。

これに加えて災害用に太陽光発電110kWとを設置します。

九州離島で再エネ設置容量の拡大に貢献することを想定

さて同事業で九州の離島が選ばれたのは偶然ではありません。
住友商事は、九電の管轄地域の中でも再エネ導入の際の障壁が高い離島群において、同様の事業展開を考慮しているとしています。
九州電力にも技術面でのサポート協力を要請しているそうです。

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リチウムイオンより有力?次世代型蓄電池「マグネシウム空気電池」の実証実験

太陽光発電システムとの併用でスマートグリッド社会の実現一翼を担うことが期待される蓄電池システム。

普及が最も進んでいるといえるのが鉛蓄電池ですが、これと比べて小型で使用回数の多いリチウムイオン二次電池(蓄電池)に対し、現在は補助金制度などで政府も普及を後押ししているような状況があります。

そんな中宮崎県日向市の「電力自給自足できるモデルハウス」に搭載されたのが、マグネシウムを使った電池。

なんでも

エネルギー密度が高く、小型化にも向くうえ、現在主流のリチウムイオン電池より安価。しかも自己放電の心配もない

のだとか。

マグネシウムのようにほぼ無尽蔵な資源を使用した二次電池は一般普及が期待されるため、この実証実験には多くの企業が参加。
データ集積後、研究開発への応用が期待されています。

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SBエナジー、鳥取米子ソーラーパークの併設地でヤギ除草の実証実験

岐阜県で除草のために飼われていたヤギが盗まれて食べられてしまったという事件は記憶に新しいと思いますが、実はこのヤギ除草日本全国で注目されはじめているんです。横浜市の明治学園大学では除草ヤギが学生たちの人気者になったとか。

ソフトバンクの孫社長の肝いりで設立されたSBエナジーでは、2014年10月から11月にかけて同社のメガソーラー施設にヤギ2頭を導入、草刈機や除草剤による除草との違いを検証する実験を行いました。
その結果、ある程度の除草効果が認められた他に、地域住民から好感を得たことで、来年以降も調査を継続するとしています。

実証の地となったのはSBエナジーと三井物産の共同出資による特定目的会社「鳥取米子ソーラーパーク」と鳥取県米子市の大協組による、出力42.9MWの「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」の併設地。

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