原子力発電所を太陽光発電所に・オーストリア

オーストリア東部のツベンテンドルフにある原子力発電所は、完成したものの一度も使われなかったという施設。
なぜなら1978年、国民投票で原子力発電所の廃止が決定されたからということで、今回この施設を利用して市民が出資した太陽光発電が行われることとなりました。

この土地に1,000枚のパネルを設置するという事で、市民は1枚当たり3万円を出資し、13年間所有権を得ます。
パネル所有者には電力会社によって借用料が支払われ、13年間で1枚当たり約9,000円の利益になるということ。

13年かけて9,000円なんて大した額ではないけれど、市民にとっては原子力発電が行われるはずであった土地で太陽光発電をするという事、そして自分がその活動の一部として参加したということに意義があるのでしょうね。

オーストリアの電力消費量は67,101MW(日本の16分の1)でそのうち火力発電24,379MW(36%)40,678MW(60%)という状況(参考)。
オーストリアの累積設置量が出てこなかったのではっきりとは言えないのですが、原子力発電が”0″という事は、残る約2,000MWが再生可能エネルギーという事になるのでしょうか?

オーストリアは今年9月に、500kW以上の大型プロジェクトへのFiT適用を廃止し、その代わり市民レベルの設置(屋根据置型やビル、公共施設への設置など)を促進していくという政府の意向を発表しています。
財源が限られている数社の太陽光発電所運営企業ばかりが利益を得ることを割けるためとしています。
“とにかく設置量を増やせられればよい”のではなく、より多くの国民でこの利益を享受できるような配慮と、市民レベルで目標を成し遂げられるという政府の国民に対する信頼が、とても好感を持てますね。

今回のニュースからも、オーストリア市民の環境意識が高さが伺えます。