エナリスがバッテリーマネジメントサービス開始!売電買取中止案件の突破口となるか?

10kW以上の全量買取で、新規申し込み中断となった地域に朗報?
新電力会社のエナリス東芝ITコントロールシステムから蓄電池システムを大量調達し、「バッテリーマネジメントサービス」として提供していくと発表しました。

エナリスの「バッテリーマネジメントサービス」サービス概要

このサービスはどんなものかというと、

まず蓄電システム(東芝ITCのリチウムイオン蓄電池9.9kWh・出力10kW)をエナリスが太陽光発電などの発電事業者に安価に販売し、

そして稼働している発電所からの電力を、エナリスが需給バランスを見ながら遠隔で充電/放電操作する

というもの。
同社の電力アグリゲーターとしての技術と経験が生かされる形となります。

同社のリリースによると

再生可能エネルギー買取の新規契約中断を一部の電気事業者が発表するなど、固定価格買取制度の課題が指摘される中、バッテリーマネジメントは再生可能エネルギー普及にむけた突破口になると考えています

としていますが、
詳細を問い合わせてみたところ現状ではちょっとした制度上の課題が残っているようです。

売電買取中止案件の突破口となるには課題も

この「バッテリーマネジメントサービス」の最大の欠点が、蓄電池に貯めた電力は売電できないということ。
現時点では、再生可能エネルギーから蓄電池にいったん充電してしまうと、FITの全量買取制度を利用した売電はできないということです。

住宅用の余剰売電であれば、系統連系型の蓄電池システムを利用する場合はダブル発電が適用され、単価は下がるものの売電できることになっています。
全量売電に関しては蓄電池を利用した場合の再生可能エネルギー由来の電力に関して、単価や買取方法が決まっていません。

蓄電した電力はエナリス経由でもFIT制度で売電できない

またエナリスにFIT同等の価格で蓄電池からの電力を販売できるかどうかも、否、です。

貯めた電力の使い道としては事業所等で自家消費をするなどが考えられます。
そうすると電気代が削減できることになりますが、その金額は全量売電の単価に比べると3/4程度に減ってしまうと考えられます。

蓄電に回さないといけない電力量がどれくらいなのかも前もってわかるものではなく、さらに蓄電池の購入資金は自分持ち、というと
さすがに導入を躊躇してしまう要素が多すぎるのではないでしょうか。

売電の制度次第で飛躍の可能性あり

現状で同サービスを利用するのは金銭的なリスクも高く、災害対策といった面を重視する方に限られたサービスといえそうです。

しかし蓄電池システムとスマートなエネルギーマネージメントが、今後特に重要になってくることは間違いありません。
エナリスの同サービスはそれを先取りしたものともいえます。

制度上解決しなければいけない課題がまだ残っているものの、市場の準備はできていることは心強いですね。

参考
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