まだまだ決まらない平成25年度の売電価格「1000kW未満のコスト問題は考慮すべきか?」

37-38円に売電額が切り下げられる見通しが発表されてから久しいですが、まだまだ委員会では価格を決めきれずにいるようです。
3月6日の「調達価格等査定委員会」を受けて「1000kW未満の場合の買取価格は42円/kWhに据え置くべきである。」とするメディアもありました。
その根拠として、「10kW以上1,000kW未満の設備に関して、コスト削減が進んでいない」という事を挙げています。

経済産業省の資料を基にすると、すべて平成24年度10月~12月に運転開始した設備のシステム価格で、
住宅用(10kW未満/以上の括りがあるかは不明)
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10kW~1,000kWのシステム
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1,000kW以上のメガソーラー
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となっており、「平均価格」を見た時に10kWのシステムの方が1,000kWよりも高くなってしまっています。
このことから、この規模設備の導入が滞らないよう、42円の据え置きの主張をしていると考えられます。

しかし、同じく経済産業省の資料に盛り込まれている「件数分布表(下)」も参考にしてみれば、問題の「10kW~1,000kWのシステム」の大部分が10kW~16kWに集中していることが分かり、10kW~1,000kWのシステムの2,814件の内、実に半分以上が10kW台に止まっているという事が分かります。

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経済産業省は、

実態は10kW未満のものが無理に何とか10kWを超えようとして、件数が大きくなっている可能性が高い。仮に、この部分に、新たな区分を設け高めの調達価格を設定することとすると、更に案件が集中し、賦課金の負担を過剰にするおそれが高い。

という見解も発表しているため、「10kW~1,000kWのシステム」への優遇は一筋縄にはいかない事も示唆しています。

海外では、カナダ、ドイツなどの国が10kW、スペインが20kWを基準として、それ以上の設備はそれ以下の設備よりも売電単価が低くなるように設定されています。
また、イタリア、イギリスのような国では、4~5段階に分けて(1~3kW、3~20kW、20~200kW、200~1,000kW、1,000kW~・イタリア)漸次的に売電単価が低くなるようにしている国もあります。

そんな中で10kW未満と以上が変わらない単価、しかも、10kW以上の方が「20年間全量の売電」と、有利であった昨年7月以降の固定価格買取制度はかなり特異であったと言えます。