東京電力の電力自由化戦略は「顧客重視」で「業務提携によるガスのセット販売」

電気とガスの自由化に向けての準備を現在進めていると、東京電力の数土文夫会長は語ります。これまでは政府が価格を設定していましたが、自由化が始まると顧客が電力会社を選ぶ時代になります。すなわち、顧客に選ばれなかった会社は生き残っていくことはできないということです。
そして、世界の潮流から見ても、ガスと電気をセット販売していくことは今後の必須課題となることでしょう。これは新たな試みになるため、世界ではどのように取り組んでいるのかを詳しく調査している段階だということです。今の段階で言えるのは、ガスと電気の融合は業務提携によって行われることになる見込みだということでした。

福島第一原発事故の賠償をしながら、どのように経営を立て直していくのか。これからの東京電力の動きに注目が集まります。
参考

東京ガスの電力自由化戦略は「電力・ガス・通信のセット販売」

東京ガスは2016年4月から実地される予定の電力小売り全面自由化に向けて新たなプランを発表しました。それは電力とガス、通信などのサービスをセットで販売するというものです。
電力の需要の4割は家庭向けのものなので、東京電力などに対抗するためには、家庭向けのガスを供給するだけでなく電力や携帯電話を含めた光熱費をまとめることによって割引料金を提案できるのではないかという考えです。

東京ガスは現在でも小売業者や工場などに電力を販売しています。発電能力は130万kWあるのですが、それを2倍超の300万kWに拡大する計画を立てています。
電力小売りの自由化に向けて異種業種との提携なども視野に入れて考えているようです。

中部電力の電力自由化戦略は「首都圏などへの域外電力供給も検討」

中部電力の水野社長はインタビューで中部電力の子会社を通して法人向けに行っている首都圏への電力供給について、本体での域外への電力の供給を「余力があれば検討する」と述べました。
当面の域外供給は子会社(ダイヤモンドパワーとシーエナジー)が担うものの中部地域の需要の安定と供給の確保ができれば本体でも電力供給を行う可能性に言及しました。今春にも川内原発の再稼働の可能性があり、西日本への電力の応援供給量の減少が見込まれることから首都圏への電力供給を行いやすくなるという考えを示しました。

東京電力と昨年10月に締結した液化天然ガスなどの包括協定については、「入手情報量が増えた。新たな調達に向けて両者で動いている。」と述べ、手ごたえを示しました。一方、浜岡原発周辺の7市町との安全協定締結には意義を示し、原発再稼働の自治体の事前了承の必要性は提案があれば検討すると述べるにとどめ、原子力規制委員会への安全審査の申請時期は「14年度中」としました。

九電の電力自由化戦略は「原発の安全性確保強化と、競争精神の醸成」

九州電力・瓜生道明社長は昨年10月29日、原子力規制委員会の会合に出席し、田中俊一委員長と意見交換を行い、原発の安全性にゴールはないという事実を受け止めながらも、平成27年度中に原子力規制委員会の安全審査に合格した川内原発1、2号機の再稼働を着実に進めていく姿勢を示しています。

九州電力は電力の安定供給が強く求められている電力会社のひとつであり、原発の再稼働を行うことは不可欠であるため、安全対策を経営の最重要課題と位置づけ、安全を維持すべく対策を行っていく方針です。

また、原発の安全性のみならず、九州電力という企業全体を維持していくために、黒字化を実現する必要があり、そのために川内原発1、2号機の再稼働のみならず、玄海原発3、4号機を含めた合計4基の再稼働を目標に据えています。

原発を再稼働する理由としては、原発の代替となる火力発電燃料を海外から調達することは非常にコストが高いのみならず、資源の乏しい日本においては安定性に欠けており、一定量のしっかりした電源を持つことができないからという理由を述べています。

原発再稼働と同時期に取り組むべき課題としては、平成28年にスタートする電力事業の全面自由化に伴う対応です。九州電力の九州地域の電力需要を独占している現状が大きく変化するため、西部ガスなどといった会社なども九州の電力需要に対し、火力発電所などを建設するなど対応を進めています。
現状のままでは変化する電力需要に対応することができないため、電気エネルギーのみならず他社との協力を踏まえた上でエネルギー全般を供給するという形で会社を維持していく必要があります。
九州電力の強みである長い電力事業の歴史で培ったノウハウを生かしていく必要があります。

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