新電力への切り替えの際の補償金にガイドライン、自治体の売電先切り替えを容易に

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日本では電力システムの改革が必要とされており、数社しか存在しない電力会社に集中していた流通経路について、小売の全面自由化によって新電力の販売に多くの業者が参入できるよう、政府は地方自治体に対し、契約の変更を柔軟に行えるための努力をしています。

電力の売買契約が自由化されれば、自治体の収入が増えるとの試算が出ています。自治体では水力発電所を運営していますが、その規模は小さく、契約を変更したくても電力会社との随意契約の関係上、売電価格が魅力の新電力に切り替えるには、電力会社から多額の補償金を請求される可能性があります。
実際に、東京都が2013年にF-Powerという新電力に切り替える際、契約中の電力会社から52億円もの補償金を請求されることがありました。結局は裁判で、13億円以上の補償金を支払うことになったという事例が残っています。その後2年間は収益が賠償金で相殺されるかたちで収入が増えることはありませんでしたが、新電力のF-Powerとは2019年までの契約となっているため、残りの4年間で補償金を支払う必要なく、新電力による高単価な売電収入を伸ばすことができるようになります。

この東京都の例に見られるように、多くの自治体があまりにも多額な補償金の影響で、新電力に切り替えられないことに悩んでおり、政府は売電契約のガイドラインを、全国の自治体に設置する方針です。同時に電力会社に対しても補償金に関する契約内容の見直しを促すために、解約の際に新電力へ切り替えの代替電力調達コストを今までの単価で差し引いて、契約期間をかけ合わせるかたちで算出する方法を考えています。この方法の代替電力は、電力自由化が始まった後の価格競争で安くなる可能性を秘めており、今の売電契約の単価を大幅に上回ることがないとしています。

参考