オリックス、新電力事業を東北6県と新潟で開始

オリックスが特定規模電気事業者(新電力)として、4月1日から参入します。地域は東北6県と新潟県で、大手電力と比べて平均3~5%程度安い料金で販売します。

オリックスは、以前からこの東北6県と新潟県で保険や太陽光発電設備などを販売していました。電力の供給元として、オリックスの大規模太陽光発電所や群馬県の吾妻木質バイオマス発電所を利用し、また電力会社同士が電気を取引する卸電力取引所も活用します。現在はオフィスビルや店舗への販売を見込んでいますが、2016年4月の電力小売全面自由化後は、通信会社などと提携して家庭への販売も検討しています。

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昭和シェル石油も!家庭用電力小売り販売に参入

家庭向け電力販売事業が来年4月に自由化されることに関し、昭和シェル石油の社長兼グループ最高経営責任者(CEO)の亀岡剛氏が参入する方針を明かしました。
灯油やガスとのセット販売も検討に入れ、首都圏で傘下にしているプロパンガス販売特約店を通じて電気を販売する予定です。

また参入の狙いとして電力需要が集中している首都圏では伸びが期待できない国内石油市場で、発電効率の良い同社の発電所が運転開始する強みもあり電力市場は期待できると指摘しています。
同社は来年4月に総出力62万kW分の電力を持つ予定であり、12月にバイオマス発電所、来春には東京ガスと共同の液化天然ガス火力発電所が建設され、一部は家庭用に販売されます。

またプロパンガス特約店でのセット販売で電気を割安にしたり、太陽光発電との組み合わせで家庭向けのエネルギーを効率よく利用することも提案する考えです。

今月11日時点で新電力の届け出件数は1年で3倍に急増し約600社にのぼっていますが、家庭向け電力市場が自由化されることで7.5兆円規模の大手電力会社が独占していた市場が開放されることとなります。首都圏は3分の1の家庭向け市場があり激戦区で、JX日鉱日石エネルギーはカード会員を対象とした電気・ガソリンのセット割引販売、東京ガスは都市ガスと電力・通信をセット販売を検討中、さらに東京急行電鉄もグループのサービスとの組みあわせなどを検討中です。

東京都の交通局、3つで最大36.5MW出力の水力発電所の売電先をエフパワーに切り替え

東京都の交通局は多摩川の上流で3つの水力発電所(多摩川第一発電所・最大出力1万9000kW、多摩川第三発電所・最大出力1万6400kW、白丸発電所・最大出力1100kW)を運営しており、現在はすべての電力を東京電力に売却していますが、この売却先を新電力のF-Power(エフパワー)に切り替えます。

期間は2013年4月から2015年3月までの2年間で、約2億4000万kWhの電力を見込んでいます。単価は、1kWhあたり14.5円となり、2年間で約34億4000万円の収入を見込んでいます。ただし、東京電力とは2018年度までの10年契約を結んでおり、これを途中解約して切り替えることになります。そのため、東京電力からは総額52億円の解約金を請求されています。

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東邦ガスも電力事業に参入

2016年に、東邦ガスは東海地方での家庭向け電気小売り事業に参入する方針でいます。

東海地方での電気の購入は中部電力以外には無かったのですが、電気小売り全面自由化に向けて選択肢ができることで、大手都市ガスが中部電力の地域独占に挑む形でいます。電気の利用としては、工場や企業などもありますが、東邦ガスでは営業や事務作業などで経費は掛かるけど、企業に比べると販売単価が高く利益も上げやすいと判断し、基本的には家庭向けに販売をします。

大規模火力発電所の建設を念頭におき、提携先も探していますが、当初は他社発電所で余った電気の買い取りや卸市場から調達した電気でまかない、

長野県須坂市、新電力に変更で1,585万円削減

長野県須坂市では特定規模電気事業者(PPS=新電力)の導入で年間電気料金約1,585万円(約8%)という経費削減を見込み、市内31か所で一般電気事業者から電力供給会社を変更することになりました。

「市行財政改革第3次チャレンジプラン」の一環であり他に類を見ない大規模な自治体でのPPS導入ですが、高圧受電設備のある市役所庁舎や全15校ある小中学校・公民館・学校給食センター・体育施設などで実施されます。

15社のPPSの見積もりを比較し、東京都のオリックス株式会社が29施設、日本ロジテック協同組合が2施設を担当することに決定しました。1年間の契約期間で電気料金の変動を見ながら、翌年度からの調達先や他施設への導入も検討される予定です。

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福岡県みやま市、電力販売事業に参入

自治体としては全国で初めて、みやま市が電力販売事業に参入することがわかりました。市内の第3セクターが運営する5000kWのメガソーラーや、市内の約1000世帯に設置されているソーラーパネルから電気を購入することで、当面は市庁舎のような市立34施設の電力を賄う計画です。

市の今後の電力販売の目標としては、2016年に市内2000世帯、その2年後の2018年には6000世帯の一般家庭に販売する計画が立てられています。電力販売事業への市の出資比率は55%で、筑邦銀行との共同出資を行ったうえでパナソニックの関連会社が新会社を設立することとなっています。

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LPガス大手 アストモスエネルギー、電力小売り開始

東京電力管内で電力の小売を開始した最大手のアストモスエネルギーは、2006年に石油大手の出光興産と三菱商事が設立したLP(液化石油)ガスの輸入・販売会社です。

ボンベに詰めて供給するLPガスは、都市ガスの配管がない地域で使われ、災害にも強いことが東日本大震災で実証されたことで注目を集めています。

当面の間はLPガス利用中の企業や自治体を対象にセット料金で販売をしていき、電気需給管理機能の強化をしながら供給エリアや販売先を拡大していきます。LPガスは、既に自由化されているので家庭などを含めて自由料金で販売することができ、2016年4月からの電力小売全面自由化が始まれば、セット料金で家庭にも販売することが出来ます。都市ガスは1年遅れの2017年4月から電力とのセット販売の開始となります。全国でLPガス需要は約2400万で、都市ガスの2900万と比較しても見劣りしないだけの規模の顧客を抱えています。更に安い価格でセット販売をすることで電力事業の拡大は出来るが、電力会社はLPガス供給体制構築が困難で市場参入しにくい為、電力とLPガスの会社が協同事業をする可能性も有り、業界の再編成の働きが活発になっていきます。

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新電力などが広域機関への登録を完了、4月1日から実質的な業務開始

2016年4月の電力の小売りの全面自由化に先立ち、電力広域的運営推進機関の会員登録が2月末に完了します。

会員には、電力会社の10社と500社を超える新電力会社の加入が義務付けられています。電力広域的運営推進機関が4月1日から開始する業務は主に7つで、『電気事業者の供給計画の取りまとめと評価』・『需要及び系統の広域的な運用』・『需要ひっ迫等緊急時の措置』・『系統アクセス業務』・『系統情報の公表』・『系統にかかわるルール策定』・『長期的供給力不足が見込まれる場合の供給力の確保措置』です。これまでは、電力会社と卸電気事業者のみが供給計画を国に届け出る義務がありましたが、2016年度からは、電力会社と卸電気事業者、新電力会社など全ての事業者の供給計画を広域機関が一括集約することになります。

上記7つの業務以外にも、『地域間で電力を融通するための連系線の運用管理』、『需要状況が悪化した場合の事業者に対しての改善指示』などの業務も重要とされています。発電事業者には出力の増加、小売事業者には需要の抑制の指示を行い、配送電事業者には地域間の電力の調整の要請を行います。

この広域機関の業務は第1段階と言われていて、2016年の小売りの全面自由化がスタートしたときに、第2段階へと移行され電力会社・卸電気事業者が一般の発電業者や小売事業者と同じ立場になり広域機関の業務に対応します。

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山形県が民間企業と共同で新電力会社設立

山形県は2015年2月13日、県内の再生可能エネルギー事業者を始めとした民間企業と共同出資し、地域電力会社「山形県新電力」(仮称)を設立する方針を固めました。都道府県による特定規模電気事業者(新電力)設立の試みは全国で初めてとなります。

山形県新電力は、資本金7,000万円の株式会社として今年9月までに設立される予定。資本金7,000万円のうち約2,340万円を山形県が、残る約4,660万円を民間企業が出資するとしています。事業規模や本社所在地などはまだ確定していませんが、電力小売り自由化が開始される2016年4月にも電力供給を開始できるようプロジェクトを進めていく考えを示しています。

山形県知事の掲げる「卒原発」

このプロジェクトは吉村美栄子知事の語る「卒原発」の一環で、東日本大震災における福島第1原発事故と県内大停電の教訓を踏まえて発足されたものです。吉村知事は「県内に複数の地域電力があれば災害時の融通も可能となり、県民の安心と安全に繋がる」と語っています。

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新電力500社超、シェアの伸びは?

2000年から始まった電力小売りの自由化により、続々と特定規模電気事情社が誕生しています。2013年9月には100社を超え、2014年に入ってからますますペースが加速しています。

ペースの加速の要因としては、電力市場の競争を阻害してきた制度やシステムを根本的に改革するプロセスが明らかになったためと考えられています。2015年4月から本格的な電力市場改革が始まり、電力の小売り事業者が同じ条件で電力を調達して販売できるようになります。

NTTファシリティーズ・東京ガス・大阪ガスの3社が共同で設立した新電力会社であるエネットは、新電力会社の販売電力量の約半分近くのシェアを握っています。500社以上の新電力会社が存在する中で、大手の電力メーカーが設立した新電力会社が販売電力量の約9割のシェアーを握っているのが現状ですが、電力市場の改革がスタートすると、他の電力小売事業者も大きくシェアを拡大することができる可能性が高まります。

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