山形県が民間企業と共同で新電力会社設立

山形県は2015年2月13日、県内の再生可能エネルギー事業者を始めとした民間企業と共同出資し、地域電力会社「山形県新電力」(仮称)を設立する方針を固めました。都道府県による特定規模電気事業者(新電力)設立の試みは全国で初めてとなります。

山形県新電力は、資本金7,000万円の株式会社として今年9月までに設立される予定。資本金7,000万円のうち約2,340万円を山形県が、残る約4,660万円を民間企業が出資するとしています。事業規模や本社所在地などはまだ確定していませんが、電力小売り自由化が開始される2016年4月にも電力供給を開始できるようプロジェクトを進めていく考えを示しています。

山形県知事の掲げる「卒原発」

このプロジェクトは吉村美栄子知事の語る「卒原発」の一環で、東日本大震災における福島第1原発事故と県内大停電の教訓を踏まえて発足されたものです。吉村知事は「県内に複数の地域電力があれば災害時の融通も可能となり、県民の安心と安全に繋がる」と語っています。

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二酸化炭素排出力ゼロを民間で進める屋久島

世界遺産にも登録されている、鹿児島県・屋久でCO2(二酸化炭素)の排出量ゼロにする取り組みが進んでいます。「一ヶ月に35日も雨が降る」といわれるぐらい雨量の多い屋久の地域特性を活かした水力発電で、島内の電力のほとんどの電力を賄います。

自社利益より「民需」を優先する民間企業

発電を担うのは大手の電力会社ではなくセラミックを製造する「屋久島電工」(従業員数約130人)。千尋(せんぴろ)滝(1300kW、1953年完成)、安房(あんぽう)川第1(2万千kW、1960年完成)、安房川第2(3万千kW、1979年完成)の3発電所のつくる電力の約2割は1万3千人超の島民や会社が使う「民需」に回され、残りを島内の工場で使用しています。同社の発電所ができるまでは、大正時代に造られた水力発電所(150kW)が一部集落と漁港の製氷工場に配電されていました。その他の地域は各地域の小規模水力発電所やランプに頼る生活をしていました。

屋久島の電力利用にとどまらない「CO2フリーの島づくり」

屋久島の一人当たりのCO2排出量は、全国の4割程度です。鹿児島県はこの長所を伸ばそうと森林の吸収量以上のCO2を出さない「CO2フリーの島づくり」を目標に掲げていて、CO2ほぼゼロを実現している発電以外にもCO2排出の排出量を抑える活動をしています。たとえば、屋久島グリーンホテルは自家発電装置を持たないLEDランタンを60個用意し停電時に客室に配るほか、生ごみは焼却せず全量を肥料に回すなど、CO2を抑える工夫を凝らしています。

岩手県、11基25.3MWの風力発電施設は蓄電池つき

岩手県は、高森高原の一帯に11基の大型風車と蓄電池1台の岩手県営風力発電所を新設する予定です。風車1基は2.3MWの発電能力で、合計で25.3MWに達し年間5300万kWhの発電量と見込んで、一般家庭1万5000世帯分の使用量に相当します。

高森高原は風況に恵まれ、平均風速6.5メートル/秒に達し、風力発電設備利用で28%程度が予想され、現在の計画で24%の低めの設定の為、実際の発電量予想値より上回る可能性は大きいです。

東北地方での太陽光や風力の導入量の拡大で,新設の発電所には出力制御が求められ、高森高原風力発電所では天候による出力の変動の対応と、余剰電力を充電できるように蓄電容量1万7280kWhの鉛蓄電池の導入の予定で、想定発電量に対し約0.1日分を充電することができる大型の蓄電池を併設します。風力発電所を2017年11月の運転開始予定に伴い、環境影響評価の手続きを完了した後に、2016年4月から工事に入る予定です。岩手県は再生可能エネルギーの電力自給率を2020年に35%までに引き上げる目標ですが、2013年度時点では18.6%にとどまっている為、県が率先して導入量の拡大をしていきます。

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川崎市、ゴミ回収サイクルで生じるエネルギーを循環型に

川崎市とJFEエンジニアリング(東京都千代田区)は、ごみ焼却で生じる熱で発電した電力を使った電気自動車(EV)で、災害時にはEV収集車に搭載する交換式電池を避難所の非常用電源などとして活用するエネルギー循環型ごみ収集システムの実証実験にとりかかりました。
2016年度中の製品化を目指して国内初で官民連携の低炭素社会の実現にこぎつけることを発表しました。

車載する交換式電池は常時充電可能で、災害時は避難所などに運搬して照明や通信設備などの電源として活用します。JFEエンジニアリングは1年の実証実験を経て2016年度中にはシステムを製品化して全国の自治体などに販売していく計画を立てました。

実証実験の覚書を交わした福田紀彦市長は「環境負荷の低減とともに、さまざまな可能性が広かることを期待している」と、JFEエンジニアリングの狩野久宣社長は「早期に実用化を目指して2020年東京五輪時には全国各地に導入して最先端の環境技術として全世界にPRしたい」と述べました。

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北海道で補助事業、風力で環境負担ゼロの水素エネルギーを

北海道の苫前町では、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の補助の元、風力発電所を用いた新たな燃料活用事業を2017年度までの完成を目指し、推し進めることを発表しました。

国は将来的に水素をメイン燃料とする構想を打ち出していますが、苫前町のこうした施策は国の方針と一致するもので、町の経営する温泉施設の燃料に、町営の風力発電所で生成した水素を利用しようというものです。この動きに対し、同じく北海道を拠点とする札幌のフレインエナジーや神戸の川崎重工業、名古屋の豊田通商などが既に賛同を表明し、それぞれの持つ水素や電気に関する技術による、風力を基にした新たなエネルギー変換技術の取り組みに期待が持たれています。

作られた水素は液状の有機ハイドライドに変換された後、再び気体に戻され、最終的に燃料電池の燃料となります。

苫前町の所有する苫前夕陽ケ丘風力発電所は、計3基で出力合計2200kWとなっており、実験はこの敷地内で行う予定で、実用的なものとしては北海道では初の試みです。

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長野県、浄化センターのメタンガスで発電、新電力に売電

長野県松本市では市内の浄化センターに出力315kWの燃料電池システムを導入しました。これにより、無駄になっていたメタンガスを利用して発電をすることで、新電力に高いプレミアム価格で販売することとなりました。高価買取によって、事業費4億4,000万円を売電によって回収する予定です。年間発電量としては約168kWhほどをみこんでいます。

企画の発端は、下水処理を行う際に発生する汚泥を細菌を利用して分解をすると、メタンと二酸化炭素が主成分である消化ガスが発生します。このガスを利用して細菌の動きを活性化させるために保温をしていましたが、ガスの消費は3~4割ほどにとどまっていました。そこで、燃料電池システムを導入し、残りのガスを利用した発電を始めました。
この発電によるメリットは効率が高く、メンテナンスが容易で、騒音や振動を生まず、排気ガスを発生しないということが挙げられます。さらに発生する熱も、高温水の形で再利用しています。汚泥消化槽の加温をすることのできる、コージェネレーションシステムを導入しました。

松本市には主要な浄化センターが2か所あり、両島浄化センターと宮渕浄化センターです。消化ガスの利用はまず、宮渕浄化センターで行われ始めました。宮渕浄化センターでは売電は行っていなく、センター内ですべての電力を消化しています。両島浄化センターでは、民間業者のノウハウを生かすために、プロポーザル方式を採用し、2013年9月にメタウォーターが設備建設工事を受注しました。受注当時から経済産業省の制度変更があり、消化槽を動かす電力を消化ガス発電で賄うことが必要となり、工事費用の変更や制御盤の工事などがありました。

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東京電力と中部電力が電力自由化に向け共同運営会社設立

2015年2月9日に、東京電力中部電力と共同出資を行い、共同運営会社を設立する契約を行いました。
東京電力は、電力の小売り全面自由化に備えて、火力発電と送配電、小売の3事業を2016年4月に独立させる計画があります。その計画に先立つ形で、中部電力との共同運営を開始し、中部電力の火力発電部門を取り込むことになりました。今後、中部電力との提携範囲は、送配電まで拡大することが予定されていて、後々には中部電力のほかにも東北電力なども加わって広域にサービスを拡大させる計画です。更には小売に関しても、ガス会社や石油会社、通信事業者、流通業などの企業と連携して、全国にサービスを展開させる計画です。

これらの経営方針をまとめた、『新・総合特別事業計画』が発表されて、火力発電・送配電・小売の部門ごとの成長戦略が明確になりました。
新会社は、2015年の4月中旬に、東京電力と中部電力の折半出資で設立が行われます。この新会社の設立により、電力発電・送電・小売のコストを削減して、原子力発電設備を稼働させない状態でも、電気料金を値上げせずにする見込みになりました。今回の経堂会社の設立は、電力業界の大きな一歩で、これを機に他の電力会社や他の大手ガス会社などの提携などの動きが活発化されることが予想されます。電力会社業界では、収益の悪化に苦しむ、関西電力・東京瓦斯・東邦ガスなどの大手会社の動向に現在注目が集まっています。
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JX日鉱日石エネルギー、八王子に水素ステーション建設

東京都八王子市に、同社としては東京都初のJX日鉱日石エネルギーによる水素ステーション「八王子高倉水素ステーション」を開所したと5日発表しました。

この水素ステーションはJX日鉱日石エネルギーの子会社ENEOS水素サプライ&サービスが運営する1号店となり、水素トレーラーなどを輸送に利用して圧縮水素を供給する仕組みになっています。1時間当たりの充填はおよそ5台~6台で、充填にかかる時間は1台につき約3分。

同社は2015年度の上旬に開所する予定の商用水素ステーションが他にも9か所あり、さらに時期は未定としながらも計画中のものが2つと、2015年中には13つの水素ステーションの稼働が実現されることになりそうです。

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新電力500社超、シェアの伸びは?

2000年から始まった電力小売りの自由化により、続々と特定規模電気事情社が誕生しています。2013年9月には100社を超え、2014年に入ってからますますペースが加速しています。

ペースの加速の要因としては、電力市場の競争を阻害してきた制度やシステムを根本的に改革するプロセスが明らかになったためと考えられています。2015年4月から本格的な電力市場改革が始まり、電力の小売り事業者が同じ条件で電力を調達して販売できるようになります。

NTTファシリティーズ・東京ガス・大阪ガスの3社が共同で設立した新電力会社であるエネットは、新電力会社の販売電力量の約半分近くのシェアを握っています。500社以上の新電力会社が存在する中で、大手の電力メーカーが設立した新電力会社が販売電力量の約9割のシェアーを握っているのが現状ですが、電力市場の改革がスタートすると、他の電力小売事業者も大きくシェアを拡大することができる可能性が高まります。

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新潟県村上市の合計220MW洋上風力発電事業に日立造船らが採択

新潟県村上市の環境課・新エネルギー推進室によって開催される村上市岩船沖洋上風力発電推進委員会で公募されていた「岩船沖洋上風力発電事業企画」の事業者に、日立造船株式会社を筆頭とする10社によるコンソーシアムが採択されました。

この採択により、当コンソーシアムは、出力220,000kW(5,000kW×44基)という大規模な着床養生風力発電の事業化の検討が本格化します。

2020年度から機器の製作を開始し、2024年度からの運転開始を目指します。本事業により、洋上風力発電事業による地球温暖化対策や、地域経済の振興、観光などの地域活性化に貢献できるものと考えています。円滑な導入を推進するために、既に2014年11月に推進委員会を設立しました。
竣工予定地は、新潟県村上市岩船沖約2kmの推進10mから35mの一般海域にあたる2,700haが対象です。

幹事会社の日立造船は全体設計、基礎構造の検討を行う予定。
その他の参加企業は以下の通りです。

【事業候補会社】
ウェンティ・ジャパン(事業開発、事業運営に関する検討)
住友電気工業(変電設備、送電ケーブルおよび架設の検討)
日立キャピタル(ファイナンス、事業運営に関する検討)
日立製作所(風車の性能および設置の検討)
三菱商事(事業開発、事業運営に関する検討)

【協力会社】
第四銀行(ファイナンスに関する検討)
東亜建設工業(建設工事に関する検討)
本間組(建設工事に関する検討)
三菱東京UFJ銀行(ファイナンスに関する検討)

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