ポーランド風力発電増設で、系統安定の実証実験に日立ら参加

2020年度までに再生可能エネルギーの比率を15%まで上げることを目標としているポーランドでは風力発電施設を倍増させる計画が進められ、日本の日立製作所グループを中心とした4社が電力系統の安定化技術の面で貢献する予定です。

風力発電の出力変動対応のために日立製作所開発のSPS(Specail Protection Scheme)を導入します。鉛電池とリチウムイオン電池を合わせたハイブリット型で、万一事故が発生しても発電設備の出力を抑制し、安定稼働が続けられるというものです。

11月まで事前調査を行い2016年から3年間実証実験が行われる予定ですが、現地企業もポーランド政府の支援を受け参画します。実証の行われるポーランド北部は年間の平均風速が秒速6メートルを超える恵まれた風況であるため特に風力発電に力を入れ、2013年当時で3400MWだった風力発電導入量を2020年には6600MWに倍増させることを目標としています。

ポーランドではすでにJ-Powerと三井物産が24基で48MWの発電能力を有するザヤツコボ風力発電所の開発に協力しており、年間の発電量としては1億kWhにも達しています。しかしポーランドの電力系統設備は40年以上前に建設されたものも多く安定稼働が課題であり、日本の安定化技術でポーランドの電力系統更新・増強が望まれます。

こうしたポーランドの課題は日本にも当てはまり、国内でも実証プロジェクトが進められています。現在はポーランドに比べて2割少ない2710MW程度ですが、今後ポーランドでの実証結果が日本でも活かせると考えらえています。

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独ベレクトリック、イギリスで太陽光発電と蓄電池の制御実証実験

2015年2月12日、ドイツの太陽光発電関連業者のベレクトリックの英国法人は、太陽光発電と蓄電池の最適制御により電力網を安定化する技術をイギリス国内で実証させる「Enhanced Frequency Control Capability Project」、通称「EFCCプロジェクト」を発足することを発表しました。

このプロジェクトはイギリスの電力ガス市場規制庁(Ofgem)の承認の下、イギリスの電力業者であるNational Gridが主導となって行われるもので、電力網の要所に蓄電池をベースとするバックアップシステムを装置するなどの工夫を加え、電力網と電圧の周波数を安定化させることで運転予備力の容量最小化とそれにかかるコストの削減を目指すとしています。

イギリスは化石燃料発電からの依存脱却を目指して大規模太陽光発電所と風力発電所を拡大させていますが、これらには出力変動による電力網の過剰な電圧上昇や需給バランスの維持などの課題が残っており、これを解消するためには膨大なコストがかかるものとされていました。今回のEFCCプロジェクトが成功すれば、想定されたものよりも低いコストで課題を解消できるものと見られています。

EFCCプロジェクトには前述のベレクトリック社の他、フランスの重電大手であるアルストム社やイギリスのCentrica社なども参加し、ベレクトリック社は2ヶ所の蓄電システムの設計、設置、運用を、アルストム社は電圧や周波数の変動の監視及び制御システムを、Centrica社は電力網の安定化技術を担当する予定です。

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LPガス大手 アストモスエネルギー、電力小売り開始

東京電力管内で電力の小売を開始した最大手のアストモスエネルギーは、2006年に石油大手の出光興産と三菱商事が設立したLP(液化石油)ガスの輸入・販売会社です。

ボンベに詰めて供給するLPガスは、都市ガスの配管がない地域で使われ、災害にも強いことが東日本大震災で実証されたことで注目を集めています。

当面の間はLPガス利用中の企業や自治体を対象にセット料金で販売をしていき、電気需給管理機能の強化をしながら供給エリアや販売先を拡大していきます。LPガスは、既に自由化されているので家庭などを含めて自由料金で販売することができ、2016年4月からの電力小売全面自由化が始まれば、セット料金で家庭にも販売することが出来ます。都市ガスは1年遅れの2017年4月から電力とのセット販売の開始となります。全国でLPガス需要は約2400万で、都市ガスの2900万と比較しても見劣りしないだけの規模の顧客を抱えています。更に安い価格でセット販売をすることで電力事業の拡大は出来るが、電力会社はLPガス供給体制構築が困難で市場参入しにくい為、電力とLPガスの会社が協同事業をする可能性も有り、業界の再編成の働きが活発になっていきます。

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マルイ、人気パンプス商品でカーボンオフセット

株式会社丸井グループでは、環境保全・企業の社会的責任を積極的に果たすことを目的として、『カーボンオフセット』を3月1日から1か月間の期間限定で行います。対象となる製品は、同社のプライベートブランドのレディースシューズである『らくちんきれいパンプス』です。

『らくちんきれいパンプス』は、2010年から進化し続けた人気商品で、累計販売数が150万足を超えるヒット商品です。

『カーボンオフセット』活動は、CO2などの温室効果ガスの排出量を減らすための活動です。商品の製造から販売までの間のプロセスである、『原材料の調達』・『商品の生産』・『商品の輸送』・『商品の使用・リサイクル』にてCO2が排出されます。可能な限りCO2排出の削減活動を行い、それでも排出されるCO2の分を削減活動への投資を行い、排出分と埋め合わせを行います。
この排出分と見合った投資活動については、製品の生産地である兵庫県神戸市と、宮城県内にて、太陽光発電事業や森林吸収事業に適用されます。

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過去最大のCO2排出量を受けて経産省火力発電の省エネ規制導入

経済産業省は、電力自由化後に相次ぐことが予想される火力発電所の新設に対して発電効率が高く、二酸化炭素排出量の少ない設備の設置を義務付ける方針を明らかにしました。設置設備が規制対象となった場合は勧告後の罰金を予定しているということ。

原発事故後に急増した石炭の火力発電

原子力発電の運転停止を受け、例外的な措置として2013年には石炭発電所の新設を認められました。これによって環境アセスメントが必要なく、初期費用が安く抑えられる小型の石炭火力発電所の新設計画は40件近く(合計出力1500万kW)持ち上がっているといいます。
2011年の東日本大震災以来既存の火力発電所の稼働率が上がり、二酸化炭素排出量も年々増えている現状で、2013年は過去最大の13億9500万トン、1990年度と比較して10.6%も多い二酸化炭素排出量があったとしています。

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新電力などが広域機関への登録を完了、4月1日から実質的な業務開始

2016年4月の電力の小売りの全面自由化に先立ち、電力広域的運営推進機関の会員登録が2月末に完了します。

会員には、電力会社の10社と500社を超える新電力会社の加入が義務付けられています。電力広域的運営推進機関が4月1日から開始する業務は主に7つで、『電気事業者の供給計画の取りまとめと評価』・『需要及び系統の広域的な運用』・『需要ひっ迫等緊急時の措置』・『系統アクセス業務』・『系統情報の公表』・『系統にかかわるルール策定』・『長期的供給力不足が見込まれる場合の供給力の確保措置』です。これまでは、電力会社と卸電気事業者のみが供給計画を国に届け出る義務がありましたが、2016年度からは、電力会社と卸電気事業者、新電力会社など全ての事業者の供給計画を広域機関が一括集約することになります。

上記7つの業務以外にも、『地域間で電力を融通するための連系線の運用管理』、『需要状況が悪化した場合の事業者に対しての改善指示』などの業務も重要とされています。発電事業者には出力の増加、小売事業者には需要の抑制の指示を行い、配送電事業者には地域間の電力の調整の要請を行います。

この広域機関の業務は第1段階と言われていて、2016年の小売りの全面自由化がスタートしたときに、第2段階へと移行され電力会社・卸電気事業者が一般の発電業者や小売事業者と同じ立場になり広域機関の業務に対応します。

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NTTドコモ、通信と電気をセットで販売の予定

17日、NTTドコモの加藤薫社長は、2016年の電力小売り自由化に伴って、通信と電気をセットにしたサービスの提供を検討するという、考えを示しました。

ドコモは、光回線と携帯電話のセット割りサービスを3月1日に始めますが、加藤社長は、「光ファイバーのように電力会社から電気を仕入れ自社サービスとして提供することを検討する」としました。

ドコモは、セット割サービスの他に加えて、他のパートナー企業と連携した家庭向けサービスを強化する予定です。15年度内には、スマートフォンを利用した様々なサービスに着手する予定で、「付加価値の高いサービスの提供を模索する」との意欲を示しました。

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東電、中電がEVインフラ整備、EV普及に向けて日本充電サービスに出資

東京電力中部電力は、電気自動車(EV)充電インフラ整備のために、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、三菱自動車の4社が2014年5月に設立した日本充電サービスに出資し、EV復及促進に向けての充電器設置支援に取り組んでいます。

日本充電サービスと日本政策投資銀行が資本金1億円を出資してEVやプラグインハイブリッド車(PHV)の普及に、充電器設置費用の補助や充電カードの発行を手がけています。

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東電、電力自由化戦略に損保や住宅メーカーとの提携

2016年4月に電力小売全面自由化に向けて、東京電力は損害保険会社や住宅メーカとの提携を検討しています。

家庭向け電力の小売自由化で、地域や業種等の競争を見込み「家庭用はどこかと組んで、電気とのセット販売も視野に入れないといけない」と、全国規模の営業網の企業と組むことで、事業基盤の強化にて新顧客の獲得の為に「電気、火災保険や住宅販売も家単位の契約ということで、いろいろな可能性がある」と期待を示しています。

福島第1原発事故での被害関係者に対しての営業損害賠償期限を実質1年延長した来年の2月で打ち切るという案に対しての反発が強いことを見込んだ上で、決着にはこだわらず、協議を続けると意向を示しました。

電力自由化後は原発へもFITを検討

2016年の電力販売自由化に伴い、大きな問題となってくるのが原発の今後です。原発は、建設から発電までに、10年程度かかる上、5000億円もの初期投資が必要です。さらに、操業開始後も、事故による長期停止のリスクがあり、安全対策にも費用がかかります。2020年に、事業コストに一定の利益を上乗せして電気料金を定める「総括原価方式」が廃止されると、コストの回収が保証されなくなるため、電力会社は不安定でコストの大きい原発から撤退する可能性があります。

そこで経済産業省は昨年、原発で発電した電力に固定価格を定め、市場価格がそれを下回った場合、差額を上乗せして利用者に支払わせる制度案を提出しました。しかし高い固定価格は利用者の負担を増やすばかりか、原発による発電の電力が石炭や天然ガスによる発電の電力価格を上回り、産業界にも悪影響があるので、各方面から反発が生じています。このため政府では米国に倣い、原発建設コストの8割を政府が負担する案も出ています。

政府は、今夏までに策定する、電源ごとの発電比率を示した電源構成の中で、原発依存度を15~25%とする方向です。中長期的に原発依存度を維持するため、老朽原発は廃炉にするのではなく、敷地内での建替を容認する見込みです。しかしその方向性の裏づけとなるはずの、原発推進策の具体化の検討は、誰がどのくらいコストを負担するかという難題に関わるため後回しにされています。

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