サンテックまでも?中国政府、太陽光業界に支援は不公平か

中国政府が中国の太陽光発電メーカーを救済しているというニュースが流れました。
内容を要約すると、
「賽維LDKのケース」

  • 賽維LDKは今年、業績悪化で従業員の5分の1(約5000人)を解雇
  • 地元政府などが出資するエネルギー企業が先月19日「賽維(さいい)LDK太陽能高科技」の株を19.9%買収して企業救済
  • このエネルギー企業は今年9月設立されたばかり=救済の受け皿?

「中国東営光伏太陽能のケース」

  • 地元政府が51%の株を取得

サンテックまでも?」

  • 急激な業績悪化で減産、リストラ
  • 地元政府や国有銀行が支援に乗り出す

JAソーラーCEOのインタビューでも中国政府の太陽光発電に対する本気度が分かりましたが、このあからさまな救済措置は中国国内からも「なんで太陽光企業だけ?」と反発の声も上がっているようです。

EUのアンチダンピング調査中にこんなことするなんて、本当にすごい度胸!

太陽光発電業界はどの国であろうと厳しい状況は変わらないようですね。
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米から中国製品への法的規制・複雑な利害関係・中国メーカー、米国内産業関係者などの意見は?

国際貿易委員会の満場一致で中国製品に対しアンチダンピングと相殺関税を課したアメリカの商務省ですが、これに対する各関係者の利害関係は複雑です。

アメリカの政府側が太陽光発電設置に歯止めがかかると予想されるこの決定に踏み切ったのは、安価な中国メーカーに太刀打ちできない国内の20数社の太陽光発電メーカーから、何百人もが解雇されたことを受け、自国の産業保護のための決断だったと言います。

この規制は、第三国で製造されたセルを使用した中国製モジュールには適用されないとし、その点で有利なインリーグリーンエナジーはこのようなコメントを出しています。

「とにかく、アメリカの調査が終わって、また熱心なお客様への製品提供に全力を注ぐことができるのはとても喜ばしいことです。中国製品がアメリカの太陽光産業に与えた影響は非常に小さいものです。規制は当社にとって部分的に有利ではあれど、このアメリカの決定にEUは随行するでしょうし、再生可能エネルギーの地球規模での普及に注力するべき時代にこのような貿易戦争を目の当たりにすることは非常に悲しいです。アメリカの太陽光産業(デベロッパーや施工店)がこのような政府の決定に立ち向かってくれている事にはとても感謝していますし、一刻も早く自由な貿易ができる状況が実現し、太陽光発電が地球上の多くの地域で利用可能になることを心から望んでいます。」
インリーソーラープレスリリース

インリーソーラーも触れていた「アメリカ国内の太陽光企業」はこの決定に対して”低価格太陽光エネルギー連盟(CASE)”を結束させ、次のようなコメントを出しています。

「より建設的な解決策を模索するよう、アメリカと中国には対談と交渉を続けることを求めます。現代のように相互が密接にかかわる国際市場においてこのように一方的な関税や貿易戦争は、より効率的な競争を促すのには弊害であり、不必要であります。」

サンテックからのコメント

「日に日に高くなる自由貿易の障壁はアメリカ国内の雇用や、地球全体のエネルギー消費量に悪影響を与える。SolarWorld(今回の申立を提出した会社)の偽善的なキャンペーンで、競争に脱落したSolarWorldのしりぬぐいをアメリカ国内の太陽光産業にさせることとなる。アメリカ政府が建設的な対談に応じない限り、自身にさらなる痛手を負わせる結果になるだろう。アメリカにも拠点を持ち、国際的な事業展開をする我々は重ねて、この不必要な課税に反対し、世界中に低価格な太陽光発電を提供できるよう促進するべきだと主張する。」(サンテックプレスリリース)

太陽光発電のモジュール価格が下がるのはもう歯止めが効かない状況で、今重要になってくるのは「施工価格の低下」だとして、1,000ドルの賞金まで用意してSunShot Prizeというコンペティションで施工業者を競わせていたアメリカ。
モジュールメーカーを守ろうとすると、それらの施工業者やデベロッパーが痛手を負うので、諸刃の剣となる可能性がある今回の規制。まだまだ続きがありそうですね。

参照

GTMリサーチ予測:2015年までに上位9大手メーカーの7つを中国メーカーが占める?

ボストンに拠点を置くGTMリサーチは、業界の激しい地位争奪合戦ののち、2015年までに生き残る上位9つの太陽光モジュール製造メーカーのうち7つは中国拠点、残る2つはアメリカのメーカーになるだろうという予測を出しました。

現在、太陽光モジュールの過剰供給(今後3年間は平均325GW需要を超過する予想)や、シリコン価格の低下、価格戦争や、相次ぐ政府の助成金の終了などから、太陽光モジュールメーカーの合併などが相次ぐと予想されています。
この予想は2009年からさけばれていましたが、昨年にはその兆候がはっきりと見え始めています。

現在、アメリカやヨーロッパ、日本のモジュールメーカーのが1ワット当たり80セントでの製造を行っているのに対し、中国メーカーは58~68セントという低価格で製造が可能なのだそうです。
合併か退陣かを余儀なくされるだろうという予想。本当にどちらかの道しかないのであれば、すこし残念ですね。

気になる2015年、生き残りメーカーはどこなのでしょうか?

現在最大手のサンテックは、中国の国家開発銀行のサポートも入るという事なのに2015年上位9大手に入っていないというのは不思議ですね。
そして、CISやCPVなど新しい技術を利用したパネルの重要性についても触れていないようです。
さてこの予想はどれだけ当たるのでしょうか。

参考記事

公開!サンテックの今後の戦略

サンテックの戦略

  1. 有益顧客との持続的な関係への投資:テクノロジーの発展を推し進めると同時に、特別な顧客に対する例外的製品補給などの措置に注力する
  2. 妥当な規模の生産設備:生産性を高め、コストを抑えるために、サンテックでは一時的に生産設備の規模を改定しています。具体的にはPVセルを1.8GWに縮小し、半導体は1.6GWを維持、モジュールに当たっては2.4GWに拡大します。国家間の貿易保護体制と、需要の波の影響を少なくすることを目的に、海外に向けての供給チェーンを調整していきます。
  3. 生産コストの削減:2012年の終わりまでに、シリコン以外での生産費を、1ワット当たり55セントの削減を目標とします。(1年前から30%の削減の目標値)
  4. 運営体制の合理化:2012年には2011年から20%の運営費の削減を目標に掲げています。
  5. 財政状況の改善:信用枠の拡張と、債務の返済額と支払の利息の削減に尽力します。

サンテックでは80カ国で約7GWの太陽光発電の設置を行ってきた大企業です。この戦略を持って、2013年にはポジティブな営業キャッシュフローを取り戻せる自信を持っています。 ―サンテックCEO, David King

サンテックと製品の特長、販売価格比較についてはこちらから

参考記事

味の素スタジアムにサンテックのガラス建材型太陽光発電モジュール

東京都調布市にある味の素スタジアムに採用されるのは、サンテックパワーの「LightThru™」1540枚(219kW)。

2枚のガラスの間に太陽光発電せるを挟んだ構造の「ガラス建材型太陽光発電モジュール」が屋根材として使用され、セルの隙間から自然光が入るような製品です。

味の素スタジアムでは、競技場内部の整備、壁面緑化、太陽光システムの導入などをはじめとした環境対策とユニバーサルデザインのための

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サンテック:プレスリリース

EUから中国にまたもや圧力。中国政府による不正な太陽光企業への援助はあったのか?

今月6日、中国に対するアンチダンピングの申し立てに続き

24日の会合で一度協調の姿勢を見せた中国とEUですが、またもやEUのソーラーパネルメーカーが25日、中国に対して「中国の太陽光メーカーに不正な補助金を出している」と申し立てを出しました。

EUの業界団体プロサンのMilan Nitzschkeに言葉によると、
「多くの中国の太陽光パネル製造会社は中国政府からの度重なる補助金を受けていなければ、とっくに倒産しているところだ」
ということです。

また、政府の補助金と介入によって、国内需要の20倍、世界的な需要のおよそ倍ものソーラーパネルの生産が行われたとのことです。

欧州委員会によると今や世界の65%の太陽光パネルが中国製という事。
それらがこのような政府の大規模な介入による大量生産だとしたら、他国の企業は太刀打ちできるはずもないですね。

申し立てから調査の有無の決定には、前回のアンチダンピング調査決定と同様、45日間もかかるそうです。

貿易額にして過去最大のこの申立て、EUはどうにか調査にこぎ着けたいところでしょうね。
しかし、これらの調査に対して中国製品に関税が課せられるとしたら、価格低下のスピードはさらに緩まることになるのでしょうか。

参考サイト

もうひとつ気になる情報が同日に出ています。中国政府の直属のChina Development Bank Corp.(国家開発銀行)は、中国の太陽光パネルメーカー大手3社のサンテックトリナソーラーインリーソーラーに対して経済的支援を強化するようです。また他にもHareon Solar、Chaori Solar、Sungrow Powerの名を挙げ、他にも名前を挙げてはいないもののあと6社、合計で12社に優先的な支援を行うつもりらしいです。
北京のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスのアナリストであるJessica Ngは、「12社に絞った支援は、中国が業界の強化を早急に計りたい意図が見え隠れしている。構図的にはサンテック、トリナ、インリーがこの支援で生き残り、LDKソーラーが苦戦することになるだろう。」と言います。

New Energy Financeのデータによると、CDB(国家開発銀行)はこれらの12社に対して2010年から432億ドルに上る貸付を行ってきたそうです。

Bloomberg

この国家開発銀行の支援の事実が、前述の「政府の介入」の申立てにどう影響するのか気になるところです。

サンテック:コンゴの病院に300kWのパネル寄付

サンテックは、クリントン・グローバル・イニシアティブ(元米大統領クリントンによって創立された国際的なイニシアティブ。略称CGI)での活動として、コンゴのBukavuにあるPanzi病院に、300kWのソーラーパネルを寄付することになりました。
現在高価なディーゼル燃料と薪での電力供給を行っているこの施設ですが、安定した電力供給につなげることを目的とした寄付活動でした。

サンテックの創始者であるDr. Zhengrong Shiの言葉です。

「私たちのミッションは、特に発展途上国に太陽光発電の安定した電力を提供することです。CGIでの活動により、基礎的なエネルギー源が乏しい世界の地域で、電力不足を解決できることを望んでいます。」

サンテックはこれまでも、世界の電力貧困国への寄付活動を行ってきました。
タンザニアのSega女子校、レバノンの19の遠隔地域の学校、ハイチの病院にも太陽光パネルの寄付をしています。

それに加えサンテックは、2010年の7月にLow Carbon Concept Museumを設立し、エネルギーと人間の文明について世界中の学生に学ぶ機会を与える活動も行っています。
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日立ブランドの太陽光発電が販売開始

日立アプライアンス株式会社は、2012年8月20日から日立ブランドによる住宅用太陽光発電システムの販売を開始すると発表。

家電メーカーとしてはスタートが遅れた日立。
パネルはソーラーフロンティアサンテックから提供を受け、パワーコンディショナーをはじめとする周辺機器を日立で開発。日立ブランドとしての太陽光発電システムの販売を開始することになりました。

日立の太陽光発電で使われるパネルは、ソーラーフロンティアの「SFL95-C」および「SF155-S」と、サンテックの「STP195S-24/Adb+」(スペックなどについてはそれぞれのページでご確認ください)

日立が開発した住宅用太陽光発電のパワーコンディショナは2種類で、「HSS-P40A」(4.0kW・294,000円)と「HSS-P55A」(5.5kW・409,500円)。
パネルを外部から調達する代わりにパワコンが独自性の高い製品であるのが、魅力につながると予想できます。リリースによると、

日立独自のインバータ技術により、太陽電池モジュールが発電した直流電力を交流電力に効率良く変換し、96%の高い変換効率を実現しています。また、日ざしの変化に対応し、適切なタイミングで電力ピーク点を探索して動作するHI-MPPT制御を採用しています

ということ。
他にも周辺機材としての架台と固定金具は、作業負荷や設置後の外観にも配慮しています。

参考