NEDOが発電コスト低減のための技術開発事業、新たに2件採択

NEDOは、太陽光発電システムの発電効率向上や維持管理に関する技術開発を新たに2件採択したことを発表しました。
同機構は、2014年度より太陽光発電システムの維持管理技術や周辺機器を対象とした技術開発を開始しており、開発テーマは既に採択されている6件と合わせて、8件となりました。これらの技術開発を通じて太陽光発電のコスト削減・発電量の増加・維持管理費の低減を目標としています。

1件目は、「PVモジュールの防水処理における太陽光発電システムの効率向上」です。防水被膜を太陽電池モジュールの裏面に設けることで、発電システムの出力低下を防止すると共に、故障率低減を図ります。ジー・エム・ジーエコエナジー株式会社との共同開発予定です。
2件目は、「太陽電池の抗PIDコート材料の開発」です。太陽電池モジュールの外周及び表面に塗布する、耐水性に優れた透明撥水コート材を開発し、PID対策と劣化予防を図ります。こちらは、株式会社MORESCOとの共同開発を予定しています。

参考

産総研が新たな多接合技術を開発、安価な超高効率太陽電池の普及に貢献か?

産業技術総合研究所(産総研)が7月7日「スマートスタック」という技術の開発を発表しました。

これは異種の太陽電池において、自由度の高い直接の接合を可能にしたもので、これによって、発電に使用する波長が異なる様々な種類の太陽電池を接合させ、高効率の発電セルを作れるのだそう。

研究では短波長領域を吸収するガリウムヒ素(GaAs)系高効率化合物太陽電池と、長波長領域を吸収する安価なCIGSやシリコン(Si)に、ガリウムインジウムリン(GaInP)太陽電池を接合した3接合太陽電池では、変換効率24.2%を実現。
またGaAs基板とインジウムリン(InP)基板を基にした4接合太陽電池で変換効率30.4%が得られたとのこと。

これまでコスト面で課題が多かった多接合太陽電池。
製品で言うとパナソニックのHIT太陽電池も単結晶とアモルファスのハイブリッド構造を採用しており、実際他の単結晶パネルと比べて高価に取引される傾向があります。
しかし今回の技術では

複数の太陽電池セルの接合界面にパラジウム(Pd)ナノ粒子を配列することで、電気的・光学的にほぼ損失なく接合できる

ということで、多接合型の安価なパネルの普及に繋がることを期待しているのだとか。

参考

紙の太陽電池!?

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紙でできた太陽電池!ですって!
これが紙!?と思ったでしょうが、「木材パルプの繊維を厚さ15ナノメートルと超極細にし透明にすることに成功」という事で、これは紙なんです!!すごい!
開発しているのは大阪大学産業科学研究所の能木雅也准教授(材料学)らのグループ。

変換効率は現在製品化されている住宅用の太陽光パネルで12~21%程度であるのに対し、この紙の太陽電池は”3%”。一見かなり低く見えますが、今回と同じ素子を使ったガラス基板の太陽電池と比べると同程度なのだそうです。

なによりもすごいのが、コストにして10万分の1で製造できてしまうというところ。
しかも、製造時に必要なエネルギーもより少なく、より環境にやさしい太陽電池だと言えます。

厚さ1ミリ以下で折りたたむことができる紙の太陽電池は災害時の被災地での活用なども可能で、数年後の実用化を目指しているのだそう。

参考

発電量が3割アップ!ハンファ・ジャパンの三角フレーム来年販売開始予定

固定価格買取制度売電収入を多く得るために注目されるのが、高出力であること、そして安価であること。
特に設置面積が限られた日本では同面積でより多く発電できる、高効率のパネルに人気が集まる傾向があります。

より効率よく、少ない面積で多くの発電量を見込むためにハンファ・ジャパンが提案するのは、高出力パネルでもなく、集光型パネルでもなく、三角の形をしたパネルフレーム!

このフレームは、”裏側”がカギなんです!

銀色の板になったこの面で受けた日光をその後方に設置されたパネルに当てることで、発電量を向上させることができるのだそう!
最大3割も発電量が増えるという事は、15%のパネルで20%近くのパフォーマンスを得ることが可能と言うことですね!

電気安全環境研究所の「JETPVm認証」を取得次第、2013年には発売する予定だそうです。

まさに発想の転換!

これと似た発想の集光型は、パネル自体が集光するためのガラスに覆われてしまうため、日射がある時の出力を上げることはできても、日射量が少ない時間帯や時期、地域などでは不向きという弱点もありました。

さらに反射板には特殊なフィルムが貼り付けてあって、発電に必要な波長の光だけを反射し、パネルのパフォーマンスを下げる、パネル温度を上げる赤外線などは反射しないようになっているそうです。

参照

発電できるカーテン?3年後の製品化を目標

太陽電池のビーズだそうです。


色がマーブル状になっているのが、ラピスラズリ(↓)みたいで綺麗!

パネル状だと設置方向が一定なのに対し、球状にすることでどの方向にも対応できるというのも魅力的です。
これをカーテンにすると、見た目もかっこいいし、発電もできるし、すごく魅力的な製品ですね。

キーワードは「水上」・他企業と一線を画したウエストホールディングスの太陽光事業

国内で今後5年の間に250か所、合計50万kW(500MW)という大規模な事業展開目標を掲げるウエストホールディングス
今年から国内にも7件のメガソーラー事業を発表していますが、参入企業の増加によって建設用地の入手が難しくなっているといいます。

この打開案が「フロート式水上メガソーラー発電所の開発」というわけです。

具体的には、貯水池や調整池などで”水に浮く”パネルを使用して発電するのですが、これに利用できそうな用地は全国で約790か所あるようです。
このような試みは30kW~50kW程度の規模はあるものの、メガソーラーなどの大規模発電では前例はないという事で、一方韓国で500kWの水上発電所開発に成功し、そこで使用されたモジュールの開発も行ったLS産電とのパートナーシップを結ぶことでこのプロジェクトを成功させたい意向を発表しています。

モジュールはもちろんこのLS産電の水上専用太陽光モジュール(単結晶・出力300W・モジュール変換効率15.5%)を使用します。
土地の有効活用のメリットに付随して、「水面でのパネルの冷却効果で発電量が増加」「システム下部に魚類産卵に適した環境を作れる」「アオコの発生を防止できる」というメリットもあるようです。

特殊なケーブルやパネルを利用しなければいけないという事で、余分な費用がかかるのかと思いきや、トータルコストはほぼ陸上のメガソーラーと変わらないという事で、とても魅力的なプロジェクトに感じます。

実際の建設が決まっているのは、埼玉県桶川市の市有地である調整池に1.36MW、大阪府泉佐野市の公園池に2MWの2か所で、さらに今後1年間で全国10か所、総出力20MWのフロート式水上メガソーラー発電所の設置を計画しているということです。

「公共の土地の有効利用 + より多い発電量 + 生態系に良効果」

集光型や追尾型などありますが、これほど魅力的な製品&プロジェクトってないって思うので、ワクワクしている私であります^^

ISOFOTON(イソフォトン)変換効率19.5%のセル開発!

結晶型の太陽光モジュールやセルの製造を行うISOFOTONは、従来の自社製品の最高変換効率19%を0.5ポイント上回る19.5%の変換効率を持つセルを開発したと伝えました。

レーザーを使った選択エミッタの製造方式で可能になったということです。
このセルを使ったパネルは業務用で、来年中盤から自社のMálaga(スペイン)工場にて製造を開始するということです。
この製造開始は、今年初めにSamsungとの契約により実現可能となったもので、この韓国企業が5千万ユーロを投じてMálagaに新しい生産ラインを導入する予定です。

参考

集光型太陽光発電


集光型太陽光発電:CPV(Concentrator Photovoltaic System)とは

太陽光パネルの効率を、セルの性能向上ではなく、「光を集める」というアプローチで実現しようというのが、集光型の太陽光発電のコンセプトです。

常に移動し、位置が変わる太陽の光を効率的に集める方法として、今までは自動追尾型のシステムがありました。これは、時間ごとに変わる太陽の位置に合わせてパネルの角度を変え、効率の良い角度で集光するという発想でした。しかしこの方法は大掛かりな設備にコストがかかることが問題視されていました。

そこで注目されているのが、特殊なレンズを使ってあらゆる角度からの太陽光を集めることができる集光型の太陽光発電です。

メリット:

  • 自動追尾システム以上の集光率
  • 集光による発電効率向上、その結果として、モジュール面積を減らしても十分な発電が望める=モジュールを作るための資源、コストを大幅に削減

これから解決すべき問題:

  • 集光での熱によるモジュールの効率低下、寿命低下→湯沸しなどに転用して解決できる
  • 曇天時の弱い光は集光できない

実際例

集光型の太陽光発電を実際に設置している例をご紹介します。

住友電気工業:集光型太陽光パネルを利用した業務用自家発電システムを2013年度中に販売開始を計画

住友電工は2012年7月に、100kWの集光型太陽光パネルを含む自家発電システムの試験運用を開始しました。発電効率は市販のパネルの約2倍とされています。

集光型太陽光パネルの他にシステムに含まれるのは、寿命の長さ、充放電の繰り返しにも強い「レドックスフロー電池」という種類の蓄電池、ガスエンジンコージェネレーションシステムで、それらをFEMS(工場向けエネルギー管理システム)で管理することにより、効率の良い運用を可能にします。

住友電工プレスリリース:自家発電システムの実証運転開始