石油産出国も多いMENAで太陽光発電が注目される理由とは?


中東と北アフリカを含むMENA地域は、今後注目の太陽光発電市場という事でこれまでもこの地域に含まれる国々での再生可能エネルギー政策についてお伝えしてきましたが、「石油産出国も多い国がなぜ?」と思った方も多いのではないでしょうか?

現在のMENA地域のエネルギー事情、今後の再生可能エネルギーに対する政策についてなどを扱った記事がGTMから出ていて興味深かったのでご紹介します。

MENA地域における需要の高まりについてのリサーチは前ポストにてお伝えしたとおり。

MENA地域では、人口の増加や都市化、工業化に伴う経済成長などが原因で、電力の需要がどんどん増えていくと考えられています。

もうひとつ重要なのは、電力需要の増加は政府の電気代の補助がさらにこの需要を高める原因になっているということです。

つまり、経済成長に増して電力需要の増加速度が速い事を意味します。2017年までに新たにこの地域で120GWの需要増加がみられる計算になるとのこと。

石油産出国の多いこの地域では、化石燃料による火力発電が主な電力源で、再生可能エネルギーに対する注目度は低めでした。ドバイやアブダビなどを擁するアラブ首長国連邦は、石油の輸出で世界第5位、一日230万バレルを世界市場に送り出しています。
埋蔵量では世界7位、また天然ガスの埋蔵量でもトップ10位に入っています。

しかし化石燃料の有限性により注目が集まるようになり、UAEは再生可能エネルギーの導入・エネルギーのさらなる効率化・安全な原子力の活用に関して、地域を先導するための計画を推し進めています。その中でも太陽光発電はより手軽に始められる、UAEにとっては魅力の大きい電力源ということです。
MENAの平均的な地域では、1㎢の日射量で年間およそ150万バレル分の太陽光による電力が得られるそうです。

毎年アブダビではWorld Future. Energy Summitというエネルギー・環境関連見本市が開催されます。また「Masdar」という会社を設立し、再生可能エネルギーとクリーン技術の開発、持続可能な都市化についての投資も行っています。
このマスダールを通じてアブダビ国内には100MWの集光型太陽熱発電施設(Shams-1)も建設されています。再生可能エネルギーの目標値を2020年までに7%と定め、今後も開発は拡大していく予定です。

他にもMENA関連のニュースは「MENA」タグでまとめてあります。
石油も出て、太陽光発電にも最適なんて、なんて恵まれた土地なんでしょうね!

参考

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中東・北アフリカ(MENA)に注目が集まる今後3年の太陽光発電

太陽光発電の需要形態がFiT政策による売電目的のものから、本質的な電力需要(遠隔地やグリッドコストの高い地域、電力不足の地域など)へと多様化していくにつれ、中東から北アフリカにわたるMENA(Middle East and North Africa)地域の需要は2015年までに3.5GWに達し、世界的な需要の約8%を占めるまでに成長するという調査報告が出されました。
img via GTM

その中でも主要な市場となるのがトルコサウジアラビア。MENAすべての需要の70%程度を占めることになる予測です。
MENAでは初めてのギガワット級の市場となると予測されるサウジアラビアは、2030年までに太陽光発電で16GW、集光型太陽熱発電で25GWを設置する目標を掲げています。

その他の国では、カタールが2014年までに1.8GWの設置目標、ドバイが2030年までにエネルギー供給量の5%を太陽エネルギーでまかなうという目標を発表しています。

アブダビは100MGの集光型太陽熱発電施設の発注をしています。

この報告をしているGTMリサーチとESIAは、1月16日にアブダビで行われたWorld Future Energy Summitで、さらに詳細なMENAの太陽光市場展望を発表したということです。

昨年のWorld Future Energy Summitについてはこちらでも触れています。

今年のサミットの速報についても、ニュースが出次第ご報告します!

参考

石油産出国でも、再生可能エネルギーへのシフトがトレンド


石油埋蔵量で世界4位というクウェートですが、再生可能エネルギーの割合を2030年までに15%に引き上げるという目標を発表しました。

今週ドーハで行われた国連気候変動会議で、クウェートは2015年までに電力供給量の1%を太陽光ろ風力でまかなうという目標を発表したそうです。
現在クウェートには70MWの再生可能エネルギー設置量があります。内訳は太陽光発電10MW、集光型太陽光発電50MW、風力発電10MWだそうです。

クウェートの他にも中東では、ドバイが2030年までに5%を目標で掲げていたり、サウジアラビアが2032年までの目標で54GWを掲げています。(現在累積で1位のドイツでも31MW。)

石油産出国は、石油の収入で余裕のある今のうちに、石油がなくなった時でも困らないような準備をしているんですかね?
こんな早合点は、「石油が枯渇することは無い!」と豪語する、関係業種の知人に叩かれそうですが^^

しかし、富が集まる中東で太陽光発電がアツい、という事は、いよいよ経済的な面で太陽光発電の魅力が増してきているとも考えられるのではないでしょうか?

記事

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モロッコでの大規模プロジェクト延期・スペインが怖じ気づいた?

EU諸国と北アフリカの代表たちが、EUとモロッコの初めての共同プロジェクトの契約の締結を延期させました。

非営利団体「DESERTEC Foundation」が提唱する”デザーテック”とは、砂漠の太陽エネルギー、風力エネルギーを利用するという構想。
DiiDesertec Industrial Initiative)はこの”デザーテック”を実現させるために作られた産業共同体で、DESERTEC Foundationはもちろん、ドイツの研究機関フラウンホーファーやマックス・プランク、関連諸国やその他企業・協会など55の団体から構成されます。

今回のプロジェクトは、モロッコに、太陽光発電100MW、風力発電100MW、集光型太陽熱発電150MWの大規模な発電所を建設し、モロッコと対岸にあるスペインを通じてヨーロッパへの送電を行うというもので、このプロジェクトの契約締結のために今週、各国がベルリンに飛んだものの、肝心のスペインが現れず、契約締結が叶わなかったという事です。

しかしDiiのCEO、Paul van Sonは、最終的にヨーロッパ諸国がスペインを説得できると信じています。

プロジェクトの監督は、ヨーロッパ全土で公共事業を展開するドイツのRWEがうけもつことになっています。

参照

ファストソーラー・ドバイに13MW供給

アラブ首長国連邦のMohammad Bin Rashid Al Maktoumソーラーパークにおける1GW級のプロジェクトの第一段階となります。

ファストソーラーは、ドバイのエネルギー・水道機関(DEWA)の任命により、13MWの自社製薄膜型太陽光パネルの供給とともに、施工建築業務の包括的な事業を引き受けたことを報告します。(プレスリリースより)

石油大国であるアラブ首長国連邦でさえ、太陽光発電に着手するとなると、新しいエネルギー体制への転換が、いよいよ本格的になってきたなぁと思います。

エネルギーを大量に消費する中東の大都市ドバイのエネルギー需要は今後さらに増え続けるとされ、その供給を多様化し、安定性を高めるための試みに、この太陽光発電事業が位置づけられているようです。

 

13MWで2200万kWh、年間500世帯分まかなえるとのこと。
(日本の1kW当たりの年間発電量は1000kWh程度。UAEではそれに比べ、約1700kWhもの発電量が見込めるのですね!)

1GWが完成すると、38500世帯分。ドバイの世帯人数は2009年の時点で約5.1人ということですので、約19.3万人の電力をまかなう感じでしょうか。
現在ドバイの人口が約230万人。家庭での電力消費の10%弱をまかなうことになります。

 

ファストソーラーは、ドバイにオフィスを設置したばかりで、この事業への参加が、サウジアラビアへのオフィス設立に向けての大きな進展になるという事です。

サウジアラビアやアラブ首長国連邦といえば、日本のソーラーフロンティア昭和シェルの子会社で中東には大きなコネクションがあるはず!
昨日投稿した「2015年上位9大手太陽光メーカー」には含まれなかったものの、CISの新技術を持って日本を先導してほしいですね。

参考記事