かわいそう!カリフォルニアの太陽熱発電所で野鳥が丸焦げに

3500エーカーの広大な土地に、反射鏡を設置しているカリフォルニア州世界最大の太陽熱発電所「Ivanpah Solar Power Facility」で自然環境に関わる大きな問題が起きている事が判明しました。

運転開始後、野鳥が敷地内に入り込むと瞬時に丸焦げとなり、このことが原因で野鳥の死亡件数が見過ごせない数字に達していることが判りました。

かわいそう!

これまでの太陽熱発電所の実験などでは敷地内上空を飛ぶ野鳥の死亡報告はされていなく、運転開始をしてから初めて明らかになりました。

運転開始後、1年たっていないこともあり設置がどれだけ野鳥類に影響を及ぼすかは、はっきりと判っていません。死亡した野鳥は相当数に及んでいる為、自然生態系への影響度をどのように減少させることができるか、今後の大きな課題点となっています。

参考

スイス エアライト・エナジー社、追尾集光型の持ち運び太陽光発電「サンフラワー・ソーラー・ハーベスター」を発表

太陽光発電と、海水の淡水化、温熱、冷却の全てを実現し、更には持ち運び可能なシステムである、「サンフラワー・ソーラー・ハーべスター」の開発が進んでいます。同システムを開発しているのは、スイス企業「エアライト・エナジー」。同社によると、2013年から始まったこのプロジェクトは、2016年までに世界各国での試験運転開始と、2017年半ばまでの商品発売を目指しています。

システムは組み立て式で、一つの容器に収容も可能な設計ですが、反射板も含めた全長は10mのものとなっています。いわゆる集光追尾型の太陽光発電ですが、電力だけでなく熱を同時に供給でき、その熱を利用して冷却システムを動かしたり、低温脱塩システムを通して海水を淡水化したりと利用価値を高め、砂漠や無電化地域など遠隔地での活躍が期待される製品となっています。

花弁状に配置した反射板には、お菓子の包装などに使われるホイル素材を利用し、コストカットを実現しました。その反射板が、米IBM社製の水冷式太陽光パネルに光を集約させ、パネルに搭載された太陽電池チップに電力を貯めていきます。このチップは水冷システムによって最適な温度に管理されるため、従来の製品よりも、75%も集約率が高まりました。

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政府が海外に再生可能エネルギーなど技術輸出支援

政府が国際協力機構のJICA(ジャイカ)を通して12つの技術協力の支援を行うと発表。2020年に30兆円のインフラ受注を目指して行われるのだとか。

これはJICAが昨年から行っている「民間技術普及促進事業」のプロジェクトとして採択されるもので、民間提案の技術を途上国に売り込むための支援。
12つのプロジェクトにはそれぞれ2000万円が支援されたということ。

2000万円というと多いようで少ないですよね。すぐに無くなってしまいそうな金額の気もしますが、ここは頑張って将来につなげてほしいものですね。

12つのプロジェクトの中には医療、農業インフラ、水関連に加えて再生可能エネルギーのプロジェクトも2つ選ばれています。

沖電グループ企業は特有の問題に対処できる風力発電の技術を輸出

一つは沖縄電力のグループ会社プログレッシブエナジーによる、トンガへの風力発電の技術輸出。
この風力発電は可変式になっており、天候によって折りたたみができるということ。台風の多い沖縄ならではの技術といえそうですね。

南太平洋の島嶼群からなる国トンガは世界中の小規模な島が同じく抱える電力供給に関する問題を抱えていると考えられます。
つまり、火力発電のための燃料輸送費がかかること、そして、小規模な島に大きな発電施設を建てるのは大変で、環境にも健康にも有害とされるディーゼル発電機を使用しがちなこと。
そのためトンガでは、2020年までに電力需要の半分を再生可能エネルギーでまかなう計画を立てているのだそう。

沖縄電力では、管轄地域内での再生可能エネルギーの接続量が限界に達しているので同地域内ではせっかくの技術を応用しにくい状況ですが、太平洋には同様の問題を抱える島がたくさんあります。
それぞれの規模は小さくても、その道でリードできるような存在になってほしいものです。

住友電工モロッコへの集光型太陽光発電技術輸出

太陽光発電で注目されているMENA地域(中東・北アフリカ)への足掛かりとして住友電工が目を付けたのはモロッコ。
集光型の太陽光発電で最大規模のものはカリフォルニアのものが有名ですが、これは太陽の熱を鏡で集めていわゆる火力発電と同じくボイラーを使った発電設備。
記事では集光型太陽光発電とは書かれているものの、太陽電池を使ったCPVなのか、熱を使ったCSPなのかは明記されていません。

とにかく広い砂漠地帯での発電所ということでは太陽熱を使ったボイラー発電だろうと予想します。つまりソーラーパネルとかは関係ない発電ですね。
砂漠地域の発電というと、熱に強い化合物系のソーラーフロンティアなんかにも頑張ってほしいな、と個人的には思っています。

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カリフォルニアの砂漠に世界最大の太陽熱発電

太陽のエネルギーを使った発電方法は太陽光発電だけではありません。

太陽の日射による熱を利用した太陽熱発電は、太陽光発電と比べるとかなりシンプルな技術。火力発電と基本的には一緒で、太陽の熱を利用してボイラーで蒸気を発生させ、タービンを回すことで発電するというもの。

集光型太陽熱発電は鏡を利用して一カ所に光を集めるため、効率もさらに上がります。虫眼鏡で火を起こすのと同じ原理。
カリフォルニア州にできた世界最大の集光型太陽熱発電所は、タワー式太陽熱発電という方法を使ったもの。

なにより発電所の見た目が美しいので、BrightSource Energyの写真をいくつかご紹介します。
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鏡で光を反射して、この上を通る飛行機なんかはまぶしくないのか、なんてお思いかもしれません。
この鏡はちょうど追尾型太陽光発電システムのように、太陽の動きを追うように制御され、中央の発電設備にちゃんと光が集中するようになっています。

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カリフォルニア州の再生可能エネルギー開発計画

発電設備を備えた3棟のタワーを合計して392MWになるということ。
そしてこの施設でアメリカの一般家庭の電力消費量の14万世帯分を発電できるそうですが、アメリカの住宅における平均的な電力消費量はなんと、日本(約3600kWh/年)の3倍近くの、1万1000kWh!

ちなみにカリフォルニア州では2020年までに33%の電力需要を再生可能エネルギーでまかなうという目標を掲げています。広大な土地と日照量が得られる同州は再生可能エネルギーの開発に向いているとはいえ、節電についてをもっとちょっとだけ真剣に考えれば、目標到達はより簡単なのではないか、と思うのですが。。。

カリフォルニア州の集光型太陽熱発電、発電効率は日本での太陽光発電の3.7倍

さてここで、このプロジェクトの数値を利用して、カリフォルニア州がいかに再生可能エネルギーに適した土地であるかを見てみようと思います。
(1万1000kWh)×(14万世帯分)÷(392MW)で、1kWあたり3,928kWh/年の発電量を得られるという計算になります。
つまりこれは、日本での太陽光発電1kWあたりの発電量の3.7倍!設備利用率(稼働率)にして約45%と、風力発電も大きく上回る効率の良さになります。なんとも羨ましい気候ですね。

カリフォルニア州の集光型太陽熱発電の発電コストは半分?

このプロジェクトにはNRG Energy、BrightSource Energy、Googleなどが出資し、施設の総工費は22億ドル(約2200億円)だったそう。
集光型太陽熱発電の耐用年数については情報が見つからなかったので、仮に火力発電の耐用年数15年で計算すると、発電コストは約9.5円/kWhという計算になります。

これに対して日本の太陽光発電の発電コストは14.3〜19円。(キロワット単価30〜40万円で計算)

耐用年数、稼働率など、正確な数値で計算するともう少し変わるのかもしれませんが、コストが安い事にかわりはなさそうです。
やはり、羨ましい!Googleが再生可能エネルギーを「投資先として魅力的」だと考えるのも納得できます。

参考

新エネルギーの割合、日本は世界水準以下

福島第一原発以降、太陽光発電を中心に新エネルギー(太陽光、地熱、風力など)が増えてきてはいるものの、これら新エネルギーが占める全発電設備の割合は、世界における水準を下回っているそうです。
太陽光発電先進国のドイツで14.7%はさすがですが、スペインも18.5%とドイツより高い水準なのですね。

スペインは太陽光発電に加えて太陽熱も普及が進んでおり、2013年7月の時点で1950MWの発電容量があるのだとか。
しかもスペインは日射量も多いことから、稼働率(容量あたりで発電できる電気の量)も大きくなります。
さらに風力発電が2012年12月時点で22,784MWあり、米国、ドイツに次ぐ世界3位の規模なのだそう。

風力1位の米国は、4.4%が新エネルギー、英国は6.2%ということですが、気になる日本と言えば、わずか”1.6%”!

「福島で事故が起きるまで原発を増やし続けてきた」ツケだという東京新聞による記事。耳の痛い話です。

クリーンエネルギーに未来を託すアブダビの課題

最近MENA(中東・北アフリカ)の話題が多いですね。
今月16日には毎年アブダビで行われるエネルギー・環境関連見本市World Future Energy Summit(WFES)が開催されました。

「アブダビのあるアラブ首長国連邦は、何に関しても世界一だとか世界最大だとか世界初になりたがるようだ」
というのはグリーンテックメディア(GTM)。

なんでも集光型太陽熱発電施設で世界最大の100MWというShams-1が、3月までに建設完了する予定なのだとか。

これがShams-1 ↓ かっこいいです!!

アブダビの2020年までの「ピーク需要の7%を再生可能エネルギーで」という目標は以前も触れましたが、実際7%となると、約1,600MW(1.6GW)。

しかし、UAEの今までの姿勢、豪奢でエネルギー効率の悪い建造物を次々に建て、電力使用への”補助金”によって経済成長以上の電力時用の増加があること、そしてその結果として一人当たりの二酸化炭素排出量が世界5位だったりすることなどを考えると、UAEのクリーンエネルギー政策に疑心を抱く人も多いのではないか、ともあります。

二酸化炭素の排出量を減らすには先述の電力使用への補助金をやめれば早い話ですが、以前それを行った国で大きな混乱を引き起こした例もあり、アブダビ政府はエネルギーミックスを多様化し、再生可能エネルギーの割合を高める事で対応しようということで、今の動きにつながっているようです。

マスダールはSham-1の他にも、ロンドンの沖合に建設されている世界最大1,000MW(1GW)の沖合風力発電施設”London Array”にも出資しています。


さらに”マスダール・シティ”と呼ばれる計画都市は、国際的な再生可能エネルギー組織のホームとなることだろう、ということ。

これらを見ると、やることなす事とにかく”派手”なUAEのクリーンエネルギー政策。
しかしUAEは、ただただイメージ投資を行っているのではなく、エネルギーの安全性や人的資本への投資と考えているよう。

天然ガスや石油だけでなく、エネルギーの分野で将来的にもリーダーシップを保ちたいアブダビは、豪華絢爛主義(市内の一流ホテル内にある金の自販機など)からの脱却が、どこかの時点で必要だろうというのが、GTMの見解。ごもっともです。

参考

中東・北アフリカ(MENA)に注目が集まる今後3年の太陽光発電

太陽光発電の需要形態がFiT政策による売電目的のものから、本質的な電力需要(遠隔地やグリッドコストの高い地域、電力不足の地域など)へと多様化していくにつれ、中東から北アフリカにわたるMENA(Middle East and North Africa)地域の需要は2015年までに3.5GWに達し、世界的な需要の約8%を占めるまでに成長するという調査報告が出されました。
img via GTM

その中でも主要な市場となるのがトルコサウジアラビア。MENAすべての需要の70%程度を占めることになる予測です。
MENAでは初めてのギガワット級の市場となると予測されるサウジアラビアは、2030年までに太陽光発電で16GW、集光型太陽熱発電で25GWを設置する目標を掲げています。

その他の国では、カタールが2014年までに1.8GWの設置目標、ドバイが2030年までにエネルギー供給量の5%を太陽エネルギーでまかなうという目標を発表しています。

アブダビは100MGの集光型太陽熱発電施設の発注をしています。

この報告をしているGTMリサーチとESIAは、1月16日にアブダビで行われたWorld Future Energy Summitで、さらに詳細なMENAの太陽光市場展望を発表したということです。

昨年のWorld Future Energy Summitについてはこちらでも触れています。

今年のサミットの速報についても、ニュースが出次第ご報告します!

参考

モロッコでの大規模プロジェクト延期・スペインが怖じ気づいた?

EU諸国と北アフリカの代表たちが、EUとモロッコの初めての共同プロジェクトの契約の締結を延期させました。

非営利団体「DESERTEC Foundation」が提唱する”デザーテック”とは、砂漠の太陽エネルギー、風力エネルギーを利用するという構想。
DiiDesertec Industrial Initiative)はこの”デザーテック”を実現させるために作られた産業共同体で、DESERTEC Foundationはもちろん、ドイツの研究機関フラウンホーファーやマックス・プランク、関連諸国やその他企業・協会など55の団体から構成されます。

今回のプロジェクトは、モロッコに、太陽光発電100MW、風力発電100MW、集光型太陽熱発電150MWの大規模な発電所を建設し、モロッコと対岸にあるスペインを通じてヨーロッパへの送電を行うというもので、このプロジェクトの契約締結のために今週、各国がベルリンに飛んだものの、肝心のスペインが現れず、契約締結が叶わなかったという事です。

しかしDiiのCEO、Paul van Sonは、最終的にヨーロッパ諸国がスペインを説得できると信じています。

プロジェクトの監督は、ヨーロッパ全土で公共事業を展開するドイツのRWEがうけもつことになっています。

参照