「買取価格」洋上風力は値上げ・太陽光は価格見直し頻度を上げることを検討

2012年7月から導入された再生可能エネルギーに対する固定価格買取制度(FIT)。急速に成長する再生可能エネルギー市場を受けて、買取価格に関して変更が加えられるべき点が徐々に明らかになってきています。

まず、買取価格の見直しは現在1年に一度の頻度で行われていますが、太陽光発電においてはそれを半年に一度の周期に変更することも検討する考えを、政府の「調達価格等算定委員会」委員長、植田和弘・京都大学教授が示しています。
太陽光発電は、設置のハードルが低く普及が進みやすい(「バブルが起こりやすい」)とし、消費者の電気代に上乗せされる付加金の負担をできるだけ少なくするようにという配慮からで、市場の動きを見ながらより早い段階での価格の引き下げに対応できる体制を整えるためとされます。

また、現在風力発電は陸上・洋上どちらにおいてもキロワットあたり22円が定められていますが、洋上の風力発電は開発コストが陸上に比べて多くなるため、価格を区別する方向で検討するそうです。
海外の例に倣って洋上の風力発電の買取価格を、陸上の価格の1.5~2倍程度にすることが考えられています。
設備利用率(稼動率)の面では陸上が20%なのに対し洋上では30%と、同じ出力の設備でも、より効率良く発電できるメリットもある洋上風力発電。
今後開発コストを引き下げて普及を進めていくことで、エネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合の増加に大きく貢献することが予想できます。

米国のCO2排出量が最低水準に、石炭から風力などへのシフトがカギ

米エネルギー情報局(EIA)は、2012年におけるアメリカの二酸化炭素排出量が、1994年以来の最低水準まで下がったと発表をしました。

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2012年はGDPも増加、人口規模も拡大しているにもかかわらず、昨年に引き続きCO2排出量は減少。
2008年および2009年は、2008年のリーマンショックによる経済の低迷が影響してCO2排出量も低下しているものの、2012年は2009年と比べても低い水準になっています。

この背景としていくつかの理由が挙げられています。

  1. 2012年初めの暖冬による住宅用の暖房設備に係る電力が低下した
  2. 燃費の良い車への買い替え
  3. 米国内で製造する代わりに製品の輸入が増えた(CO2排出量が国外に移出)
  4. 石炭消費が激減、天然ガスと風力がそれに代わる

この中でも4番の石炭による火力発電の減少が大きく影響を与えていると言います。

参考

新エネルギーの割合、日本は世界水準以下

福島第一原発以降、太陽光発電を中心に新エネルギー(太陽光、地熱、風力など)が増えてきてはいるものの、これら新エネルギーが占める全発電設備の割合は、世界における水準を下回っているそうです。
太陽光発電先進国のドイツで14.7%はさすがですが、スペインも18.5%とドイツより高い水準なのですね。

スペインは太陽光発電に加えて太陽熱も普及が進んでおり、2013年7月の時点で1950MWの発電容量があるのだとか。
しかもスペインは日射量も多いことから、稼働率(容量あたりで発電できる電気の量)も大きくなります。
さらに風力発電が2012年12月時点で22,784MWあり、米国、ドイツに次ぐ世界3位の規模なのだそう。

風力1位の米国は、4.4%が新エネルギー、英国は6.2%ということですが、気になる日本と言えば、わずか”1.6%”!

「福島で事故が起きるまで原発を増やし続けてきた」ツケだという東京新聞による記事。耳の痛い話です。