新たに韓国パネルメーカーが日本市場に参入

固定価格買取制度では10kW以上の買取価格が大幅に引き下げられ、住宅用では補助金も廃止されたことから、一時落ち着きを見せていると考えられる日本の太陽光発電市場。
しかし、比較的高価なパネルでも採算が十分に取れた今までとは違い、これからは”安い”パネルへの需要がさらに高まってくるとも考えられます。

こうした流れを狙ってか、海外メーカーの日本進出が相次いでいます。

4月9日、韓国シンソンソーラーが、日本のハウスメーカー「アサヒアレックス」と、2016年までの2年間のパネル供給契約を結んだと発表。

シンソンソーラーは2012年に、すでに日本支店を設置していたということですが、今年に入ってさらに営業体制を強化していきたい狙いだということ。

シンソンソーラー

>参考

2013年版・世界の太陽光発電設置量まとめ

EPIA(European Photovoltaic Industry Association/欧州太陽光発電工業協会)による、2013年・世界の太陽光発電の設置量に関するレポートが発表されたので、まとめてご紹介します。

合計37GW、トップは中国/日本は2位!

2013年の世界的な太陽光発電導入量の合計は37GWにのぼりました。
昨年の29.9GWから大幅に伸びています。
ちなみにNPD Solarbuzzによると、2014年はさらに49GWに増えると予測。NPD Solarbuzzは、2013年に関しては36GWとかなり近い予測を出していました。(参考

1位は中国で、2013年中に11.3GWを設置。累積では18.1GWに成長。
日本は2位で6.9GW、次いでアメリカ4.8GW。


ヨーロッパではドイツが首位

前年の導入量から半分以下に落ち込んでいるものの、ヨーロッパの地域内では変わらずドイツが市場を先導しているということ。2012年に7.6GWだったのに対し、2013年は3.3GWでした。

ドイツに続いて4国が1GW前後をマーク。
イタリア(1.1〜1.4GW)、イギリス(1〜1.2GW)、ルーマニア(1.1GW)、ギリシャ(1.04GW)

2012年調子が良かったフランスベルギーデンマークなどは、2013年は制度改正などでふるわなかったよう。


アジアが市場先導を奪回

長年ヨーロッパによる市場のリードが続いていましたが、2013年はアジアが10年ぶりに市場を先導しました。
中国、日本の導入量の伸びが大きく貢献したようですが、インド(1.1GW)、韓国(442MW)、タイ(317MW)も順調に伸びているということです。


電力ミックスにおける太陽光発電

ヨーロッパ全体で太陽光発電の2013年中の導入量は9,621MW(約9.6GW)。一位の風力発電(2013年に欧州計で約10.1GW)と合わせて成長が続いている。

発電量にして、太陽光発電は電力需要の3%、ピーク時の需要においては6%をカバーするまでに成長したという。

逆に、石油、石炭、ガスなどの火力発電は軒並み発電容量を減らしており、再生可能エネルギーの割合が増える電力市場においてグリッドシステムの成長がさらに需要になってくる。


中国がアメリカ、韓国のソーラーパネルに反ダンピング税徴収開始

アメリカ中国に対する再度のアンチダンピング調査のニュースもありましたが、対する中国も、アメリカ、そして韓国から輸入される多結晶シリコンの太陽光パネルに対して、反ダンピングの課税をするというニュースが発表されました。
期間は2014年1月20日から5年間。

これによってアメリカの太陽光発電業界はさらに打撃を受けることになるでしょうか。

太陽光発電の普及拡大による環境貢献といった視点に立てば、パネルの価格は安いに越した事はなく、そうしたスタンスを語っている中国の太陽電池メーカーもありました。
とはいえ、ダンピング課税を課したにもかかわらず、アメリカの再度のダンピング調査など、中国も黙ってはいられなかったのでしょうかね。

参考

ハンファQセルズの快進はQセルズの技術力にあり

昨日もお伝えしたハンファQセルズ快進撃
こちらの記事ではさらにその成長の様子が詳しく書かれています。

韓国のハンファグループは、もともとハンファソーラーワンというグループ企業において太陽光事業を行っていましたが、2012年10月にQセルズを買収してハンファQセルズが発足してから「コスト競争力を獲得」したということ。その背景にはQセルズの製造工場における技術と品質の高さが大きく貢献しているのだそうです。

ウェハーから太陽光を電気に変える素子に変えるまでの工程を、ほとんどの中国企業が半自動で行っているところ、全自動で工程を管理できるシステムを持ち、不良率がなんと世界最低の平均0.0025%に抑えられているそうで、価格が10-20%も高いにもかかわらず注文が相次いでいることから、製造能力を増大させる計画をしている事は、昨日の記事でもご紹介しました。

太陽光発電の話題で名前を聞く機会が増えそうなハンファグループですが、ハンファQセルズの開発・製造部門は、買収されたドイツのQセルズのものがそのまま受け継がれ、ハンファは市場開拓という構造がこうした成果につながったと、金熙チョル(キム・ヒチョル)ハンファQセルズ代表は説明します。
目標は「2015年に太陽光で世界トップになること」だそう。営業赤字も昨年の2,527億ウォンから大幅に減り今年は上半期の時点で618億ウォン。「今年は損益分岐点を超え、来年は必ず利益を上げる」という意気込みを見せています。

太陽光発電市場の回復を受け、ハンファQセルズは日本でも販売量大幅増加!

ハンファグループは、太陽光事業部門のハンファQセルズが、太陽光発電市場の回復を受け、境石が回復しつつあることを発表。

ハンファソーラーは昨年10月にドイツのQセルズを買収し、ハンファQセルズ(Hanwha Q CELLS)として新たな出発をしましたが、買収当時メインの製造拠点であるマレーシア工場は、稼働率20~30%、セル販売量で四半期あたり平均60MWという状況でした。これが最近では稼働率90%、今年の第一四半期のセル販売量で173MW、第三四半期で150MWまで回復しているということです。

今後はモジュールになる前のセルから、より付加価値の高いモジュールの生産に比重を移し、セル:モジュール=45%:55%の製造比率を今年第二四半期にはセル:モジュール=28%:72%に変えていくとのこと。
来年には3,000万ドル(約326億ウォン)を投資して、生産ラインを約200MW増設すると発表しています。(現在はドイツに200MW、マレーシアに800MWのセル製造容量)

この躍進は日本における成長も大きく寄与しているということ。昨年は年間で11MWだったモジュールの年間販売量は、今年は上半期だけでも108MWの販売量があったということです。

ハンファQセルズ(ソーラーワンおよびQセルズの双方を含むハンファグループの太陽光発電事業)のCEOであるKim Hee cheolによると、今後も日本や欧米における(住宅用及び産業用の)屋根設置型太陽光発電市場に加え、タイやトルコ、チリのような新規市場への参入も推進していくという事。

参考

各国の太陽光発電累積設置量・最新情報

各国の導入状況が発表され次第、随時更新していきます。参考までに各国の総電力需要に占める太陽光発電の割合も併せて掲載しています。なお、地域によって太陽光発電の設備利用率は異なりますが、平均的な設備利用率が把握できる国については表中の数字を使ってご案内しています。それ以外の国については日本の設備利用率13%(1kWあたりの年間発電量1140kWh)で計算してご案内しています。

国名 累積設置量 国の電力需要(MW) 設備利用率 太陽光割合 データ更新月 URL
中国 43,530 MW 5,463,800,000 16% 1.1% 2015年12月 参考
ドイツ 39,700 MW 582,500,000 11% 6.6% 2015年末 参考
日本 34,347 MW 859,700,000 13% 4.6% 2015年12月 参考
アメリカ 25,910 MW 4,686,400,000 17% 0.8% 2015年12月 参考
イタリア 18,920 MW 307,200,000 8.0% 2015年12月 参考
フランス 6,580 MW 462,900,000 14% 1.5% 2013年6月 参考
スペイン 5,440 MW 249,700,000 16% 3.2% 2015年12月 参考
オーストラリア 5,093 MW 2015年12月 参考
インド 5,048 MW 938,823,000 19% 0.9% 2015年12月 参考
イギリス 3,510 MW 323,300,000 10% 2.5% 2015年12月 参考
韓国 3,421 MW 2015年12月 参考
ベルギー 3,250 MW 84,780,000 4% 2015年12月 参考
ギリシャ 2,610 MW 59,530,000 7.4 % 2015年12月 参考
カナダ 2,500 MW 2015年12月 参考
チェコ 2,085 MW 59,260,000 3.5% 2015年12月 参考
オランダ 1,570 MW 112,500,000 1.2% 2015年12月 参考
タイ 1,444 MW 2015年12月 参考
台湾 1,176 MW 2015年12月 参考
南アフリカ 1,122 MW 2015年12月 参考
パキスタン 1,000 MW 2015年12月 参考
オーストリア 937 MW 65,670,000 12.7% 1.5% 2013年11月 参考
イスラエル 870 MW 2015年12月 参考
チリ 854 MW 2015年12月 参考
デンマーク 789 MW 32,070,000 10.8% 2.3% 2015年12月 参考
ポルトガル 454 MW 48,270,000 14.5% 1.2% 2015年12月 参考
アルジェリア 300 MW 2015年12月 参考
メキシコ 205 MW 2015年12月 参考
スロベニア 195.6 MW 14,700,000 1.5% 2012年11月 参考
フィリピン 156 MW 2015年12月 参考
サウジアラビア 100 MW 2015年12月 参考
ブラジル 69 MW 2015年12月 参考
アラブ首長国連邦 24 MW 2015年12月 参考
エジプト 16 MW 2015年12月 参考

イタリア、ドイツは全体から見た割合も高く、「太陽光先進国」と言われるだけあります。
チェコも、経済的に無理をしてでも導入促進をしているだけあって、割合的には日本を大きく上回っています。