京セラ米子会社、米Stem社と共同でピークカットで電気代20%削減の蓄電システムを供給

京セラの米子会社Kyocera Solarは、アメリカのスマートグリッ関連会社Stem社と共同で太陽光発電とエネルギー貯蔵を統合したシステムの販売を、アメリカはカリフォルニアとハワイ、ニューヨークの3州で始めると発表。

この製品では、30日後までの電力使用量を予測、電気料金(単価)が安い時間帯を狙って系統から蓄電システムに電力を貯蔵。

蓄電池に貯めた電力と、太陽光発電からの電力は主に電気料金の高い時間帯に使用することで、電気代を削減できるのだそう。

あくまで系統からの蓄電ということで、京セラの太陽光発電はStem社のエネルギーマネージメントシステムに組み込まれるというイメージでしょうか。

ピークカットの効果が高い、アメリカの電力事情

Stem社のリリースによると、電気購入量が20%削減できる、ということですが、実際どの程度の容量(蓄電池と太陽光発電)でどれくらいの規模の電力需要者が使用した場合に、この成果が得られるのかなどは公表されていません。

スマートジャパンの記事には

「導入する太陽電池モジュールや蓄電池の容量は顧客の電力使用量や要望に応じて変わる」

とだけ記載されています。
太陽光発電システムと同じく容量自体は需要家の消費電力次第なのはわかりますが、
Stemのエネルギーマネージメントシステム自体の価格がどれくらいなのか、くらいの情報はあると参考になりますよね。

アメリカは日本の”時間帯契約”のような電気料金システムとは比較にならないくらい、電気の単価が時間によって変わるのだそう。
(日本も電力自由化後にはそのような体制が標準となるといわれています)
電力が高い時間帯というのはいわゆる需要がピークとなる時間帯で、逆に需要が少ない時間帯は、単価が安くなります。

需要家にとっては電気代削減できるメリットがありますが、
このような需要家が増え、電力需要が一定に保てることは、電力使用の効率化にもつながり、社会全体にとってのメリットも少なくないと考えられます。

アメリカでお先に製品化した蓄電池付き太陽光発電システムですが、一般消費者でも新電力を選択できるようになり、電力サービスの体系が多様化すると予想される電力自由化後(2016年)には、日本でも同様のシステムの需要が増えてきそうですね。

参考

NTTドコモのグリーン基地局、電気代削減でメリットを高め商用化を

NTTドコモグリーン基地局事業を着々と進めています。
最近の成果について伝える記事をご紹介します。

商用化に向け費用対効果向上

もともと同システムは、ソーラーパネルから蓄電池に充電して満タンの状態を保ち、その余剰を自家消費する形で20%の電気代削減を達成していたといいます。

しかしせっかくソーラーパネルで発電した電力が、使い切れないこともあり、今回は、蓄電池の電力を夜間に消費して、系統の電力も混ぜながら日没には満充電に戻せるような「パワーシフト制御」を導入し、電気代30%削減に成功。

この成果にも満足することなく、さらに充放電のタイミングや太陽光発電の電力の使い方(直接使うか、充電するか)のパターンを何通りも試しながらベストを探り、独立制御可能なレベルまでもっていくことを目標にしているのだそう。

ベースとなるポイントは災害時に長時間の電源確保を可能とする事、
と同時に商用化を進めるために、導入コストに相当する費用効果を得る事

電気代の削減はもちろん、コストを抑えるために使用する機器もシステム構築に関わるパナソニックにこだわらず、複数メーカーから検討しているということ。

単なるCSRに終わらず社会貢献と利益追求の両立が目指せるか

ちなみに費用対効果で考えれば今年度までは売電価格が商用電力と比べて高いので、「売電すればいいじゃないか」と思った方もいらっしゃるかもしれません。

来年度以降、売電価格が引き下げられた後に市場に出る予定の製品のため、市場に合わせた製品開発を行っている、というのもあるとは思いますが、そもそものグリーン基地局の研究目標は「環境対策」だったそうで、CSR的な意味もこの事業は担っているいうことになります。

蓄電池が満タンの状態でも、余った電力を売電せずに自家消費する方がより環境に優しい製品と言えます。
さらにCSRに始終せず商用化を目指す事は社会全体でより大きなメリットを得られる可能性があります。

ちなみにNTTドコモは全国10万カ所の基地局で年間約18億kWを消費しているのだそう。日本全国の消費量の0.2%にも上るそうで、電気代削減だけでもメリットは決して少なくなさそうです。

CSR性の高い分野で利益も追求しながら、本当の意味で社会貢献できる事業について、もっと知っていければと思います。

参考

マンションで全量売電は新電力を利用

大京による新しい省エネマンション「ライオンズ久米川駅前」。高圧一括受電とMEMSに加えてマンション上の太陽光発電システムを導入し、電気代にして27%削減できるといいます。

マンション上での太陽光発電は珍しいものではありませんが、このプロジェクトがユニークなのは売電新電力オリックスを通じて行うというところ。高圧一括受電とMEMSも一括してこのオリックスに依頼するということです。

20.24kWの太陽光発電システムを全量売電するということですが、36円(税抜)の売電価格で換算すると、1戸あたり11,000〜12,000円還元される計算になります。
とはいえ太陽光発電で削減される想定の電気代は約12%分。
あとはMEMSによる消費電力の見える化で約10%、それから高圧一括受電で約5%、これらを合わせて27%の電気代削減が目標となっています。
またここには含まれない「新・パッシブデザイン」による電気代削減効果も期待できるということで、モデルシミュレーションによると夏場の電気代を4ヶ月分で3,500円弱削減するという結果も出ているそうです。

大京によると、

「マンションは1つ1つ規模や仕様が異なり、省エネや節電に向く設備が違ってくる。当社はこれまで高圧一括受電やMEMS(マンション向けエネルギー管理システム)などを導入してきた。今回はライオンズマンションとして初めて太陽光発電システムの全量買電サービスの導入に踏み切った」

ということで、今後もどんな環境配慮型プロジェクトが出てくるのか期待が膨らみますね。

ライオンズ久米川駅前については、2月11日・15日(土)・16日(日)に完全予約制のプロジェクト発表会、販売開始は2014年3月で、2015年7月完成予定だということ。

参考

太陽光発電付きマンションGRANDIAの新物件「ソラーレ久留米中央」はHEMSも付いてよりエコに

福岡県を中心に、今から5年前の平成19年(2007年)から、太陽光発電を各戸に接続した太陽光発電マンション”ソラーレ”を売り出していたGRANDIA。新物件「ソラーレ久留米中央」は太陽光発電に加えHEMSを搭載することにより、よりエコでスマートなマンションになりました。

屋上部分には東芝の太陽電池モジュール(出力250W)を設置しているという事ですが、マンション上に面積に設置する分で、各戸により多くの発電量を分配できるようにするためには、より効率の高いパネルを設置する必要があり、東芝の世界最高効率が選ばれたのも不思議ではありません。
とはいっても、サンパワーが最近は日本でも、産業用太陽光発電プロジェクトに対して直接のパネル提供を行っていることを考えると、”東芝製”としているのはマンション購入者の印象への配慮でしょうか。

規模は180枚ということで全部で45kW。一戸当たり5枚分(1.25kW)が割り当てられるということで、全て家庭内で利用したとしても月2,500~3,000程度の電気代削減に、もし発電量の半分程度を売電できるとしたら電気代の削減と合わせて月3,500円程度の経済効果が得られることになります。

HEMSも組み合わせられて電力が見える化がされることで、より節電意識向上に役立つのに加え、ECHONET Liteに対応したHEMSは将来的に子供や高齢者の在宅確認に利用できるメリットなどもあり、まさに最先端のマンションといった感じ。

新電力への切り替え進む

新電力」とは、従来の寡占的経営をしていた電力会社に対して、それ以外で電力を売っている「特定規模電気事業者」の事だそうです。

経済産業省の一覧を参照すると、現在72社が登録されていて、高圧契約の需要家を中心に電力の供給を行っているんですね。
新電力の会社名を見ると、「太陽光」や、「グリーン」といった、エコなエネルギーを提供してくれるであろう会社の名前もちらほら。

横浜の横須賀市は市内72の学校の電力をエネットという新電力会社との契約に切り替え、14カ月で約2400万円もの電気代削減になる予想だそうですね。
エネットはNTTファシリティーズ、東京ガス、大阪ガスが共同で設立した会社で、天然ガスを中心に太陽光発電所、風力発電所も併せながら、クリーンなエネルギーを提供する、とHPには書いてありますね。

余談ですが神奈川県は、藤沢市とパナソニックの共同事業の「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)」や、「屋根貸し事業」など、エコな取り組みに活発な県というイメージがあります。
昭和シェルの「サービスステーションにソーラーパネル」という取り組みも、真っ先に神奈川県のSSに設置していることを見ると、そういった動きを起こしやすい環境があるのでしょうか?

現在は高圧の電力需要家にのみ開かれた自由化部門ですが、小規模事業所などの低圧や、家庭などの電灯契約の需要家へも供給が拡大できるよう、法改正などが進んできているそうです。

参考