双日、熊本県にパワコンの容量抑えた過積載接続によるメガソーラー完成

2014年12月11日、双日熊本県に、メガソーラー「球磨錦町(くまにしきまち)太陽光発電所」が完成したと発表しました。
収益性を考慮し、設置された約12.77MW分の太陽電池モジュールに対してパワーコンディショナは約9.0MW、いわゆる過積載という手法を使っています。

今回の太陽光発電所では高価なパワーコンディショナー(PCS)の容量を抑えるために採用された太陽電池モジュールの過積載に合わせて、低設置角度(10度)を採用しています。この組み合わせは出力が低圧接続の上限である50kW未満の小規模な発電所において多く採用されている方法で、1日のうち出力が最大となる正午前後の短時間の発電量を犠牲にする代わりに稼働率を上げる効果が見込めます。

この発電所は、双日の100%子会社である「未来創電球磨錦町」を事業主として2013年9月に着工し、他企業の所有地約16万6000平方メートルを20年間賃借、約40億円(単価にして31.3万円/kW)を投じて完成しました。

富士電機が設計・調達・設計を担当し、事業用地にはLG電池の太陽電池モジュールと富士電機のPCSが設置されています。
2014年12月1日に固定価格買取制度を利用して九州電力に売電を開始し、一般家庭約3500世帯の年間消費電力分を提供する予定です。
双葉では国内に先駆けてドイツで太陽光発電事業に取り組んでおり、その経験を生かして北海道から九州まで国内4か所に発電所を建設する予定で、2014年10月には北海道の小清水太陽光発電所が完成、青森県六ケ所村と愛知県美浜町が現在工事中であり、順次完成するとのことです。

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パシフィコ・エナジー、ゴルフ場跡地での30MW超のメガソーラー、GEエナジーが出資

日本の企業であるパシフィコ・エナジーは、岡山県美作市に大規模太陽光発電所を開発しています。その開発について、アメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)グループの、GEエナジー・ファイナンシャル・サービスが出資すると発表しました。

大規模太陽光発電所は、2014年の12月から着工しているもので、2016年の夏に商業運転を開始する予定になっています。もともとゴルフコースであった跡地に太陽光パネルを設置する計画で、パネル42MWに対しパワコンは30.2MWという、いわゆる過積載を採用しています。

設計と資材調達と施行は、東洋エンジニアリングが行い、インリー・グリーンエナジー社の太陽光パネルを、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)のパワーコンディショナーを採用します。

大規模太陽光発電所事業に対しては、ノンリコース型のプロジェクトファイナンスを組成し、東京UFJ銀行と中国銀行から約130億円の融資を受けています。GEエナジー・フィナンシャル・サービスが日本国内の大規模太陽光発電所への出資を発表したのは、3件目で、いずれもEPCサービスは東洋エンジニアリング、プロジェクトファイナンスは三菱東京UFJ銀行が主導しています。

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昭和シェルの雪国型メガソーラーにはソーラーフロンティア製パネル

昭和シェルが、自社の新潟県における製油所の跡地に、自社最大となるメガソーラーを建設、稼働が開始したと発表しました。

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昭和シェルは新潟の同地に、2010年に約1MWのメガソーラーを建設・運営していましたが、今回のものと合わせて太陽電池の容量で8MW(出力は7MW)となりました。

パネルは子会社のソーラーフロンティアのものを使っています。
建設はドイツが本社のべレクトリックという会社が行い、省コスト・短工期での建設が実現したのだそう。

国という環境でもより多くの発電量が得られるようにするためには、雪国での最適傾斜角20度を採用し、雪対策のため地上1mの高さから太陽電池を設置したなど、第一期の1MWのメガソーラーで培った経験が生かされているのだとか。

新潟県のように比較的発電量が得られにくい土地(発電量にして全国40位)ですが、曇天でも実発電量が得られやすいCIS太陽電池だからこそ、強気でこれだけの容量が作れたのかもしれません。
もちろん、自社でたまたま余っていた土地が新潟県だったというのもあったのでしょうが。

パネルの容量と実際の出力に大きな差がありますが、パネルの容量をパワーコンディショナ―に対してより多くする(過積載)のは、雪国での太陽光発電では良く使われる方法です。
先述のように、新潟県は出力に対する発電量が少ない県の一つ。パネルの枚数を増やすことで、設備利用率を上げることができます。

過積載について

【新潟第二メガソーラー 概要】

発電所所在地 新潟県新潟市東区平和町15
(当社「新潟石油製品輸入基地」構内 旧新潟製油所跡地)
発電出力 6,000キロワット
太陽電池容量 6,947.8キロワット
予想年間発電量 約748万キロワット時
使用パネル枚数 46,680枚
商業運転開始日 2014年3月6日

【参考 新潟雪国型メガソーラー 概要】

場所 同上
発電出力 1,000キロワット
太陽電池容量 1,002.2キロワット
予想年間発電量 約100万キロワット時
使用パネル枚数 12,528枚
商業運転開始日 2010年8月31日

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秋田県の廃棄物処理場メガソーラ―は”故意的な無駄”で採算性を上げる

秋田県秋田市の総合環境センターという一般廃棄物処理場で太陽光発電を行うプロジェクト。

設備利用率の低い地域」である上に「積」もあり、「地盤の問題もある最終処理場跡地」という、太陽光発電には決して向かない地域で、どうしたら採算性の高い太陽光発電事業ができるかという、課題が盛りだくさんのこのプロジェクト。
公募型プロポーザル方式で見事選ばれた、東京センチュリーリースとJFEエンジニアリング、瀬下建設工業からなる企業団体によるこの事業での解決策は、「過積載」という方法でした。

過積載について

EPC(設計・調達・建設)サービスを担当したJFEエンジニアリング・発電プラント事業部の渡部朝史氏によると、やはりこの公募条件はかなりハードルが高かったそう。

設備利用率の全国平均と言われる12%ですが、ここでは「秋田市の場合、逆に設備利用率は11%を超えるのがやっとと見込まれた」とされています。

実際の稼働発電所の発電量および設備利用率を見てみても、秋田県は全国最下位の10.30%となっています。

このプロジェクトでは、最大出力1.5MWのパワーコンディショナーに対し、最大出力2.2MW分のソーラーパネルを設置しました。

「もう一台PCSを増やして容量を1.98MWにすれば売電量は多少増えるが、設備コストが上がってしまう。費用対効果のバランスを何度もシミュレーションしていまのPCSと太陽光パネルの出力に決めた」

という渡部氏のコメントにもあるように、パネル容量がパワコン容量の1.47倍とかなり出力差が大きいものの、この事業においてはこのバランスがいちばん採算性が高いと判断されたようです。

積雪対策としては、パネルを30度に傾けて設置し、パネルの最低地上高を1.5mまで上げたということ。朝夕に影が長くなることで後列のパネルに影がかかってしまうのだが、地面に近いパネルの1列には影がかかることを前提に設計し、地面に近いパネルだけ束ねて平行に直列配線して1つの回路にすることで、影がかかっていないパネルが影がかかるパネルの影響を受けないようにしたのだそう。

パネルの過積載や、影がかかるパネルをあえて作るこのメガソーラー、通常のメガソーラーと比べて無駄に見える部分が多いとはいえ、採算性を考えるとこうした無駄も必要ということですね。

ちなみにパネルは「韓国ハンファグループ製」とありますが、パネルの型番は公表されていないため、ハンファQセルズのものなのか、ハンファソーラーワンのものなのかは分かりません。同じハンファソーラーでも買収される前のブランドの性質が全く違い、価格も大きく違います。

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