経済産業省、エネルギーミックス決定のための第6回WG会合実施

経済産業省は、27日に開催した発電コスト検証ワーキンググループ(WG)の第6回会合において、長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等に関する報告をとりまとめました。

本WGでは、同委員会におけるエネルギーミックス(電源構成)の議論の参考とするため、これまで各電源の発電コスト等の試算を行ってきました。具体的に、報告書では2030年モデルプラントの発電コストの試算結果を示しており、原子力が最も安い10.1円/kWh(廃炉費用や研究開発等の政策経費を含む)となり、その他のベースロード電源に位置付けられている一般水力が11円/kWh、石炭火力が12.9円/kWhとなりました。一方、いわゆる再生可能エネルギーにおいては、太陽光(メガ)で12.7~15.5円/kWh、陸上風力では13.9~21.9円/kWh、洋上風力では28.7~33.1円/kWhという結果となりました。

また、これら太陽光・風力のような天候によって出力が変動する自然変動電源の導入拡大に伴う、火力発電と揚水発電による出力変動調整コストについて試算した結果も示しました。

それによると、総発電電力量1兆kWhとした場合に、自然変動電源の導入割合が8%程度で調整コストは年間4,000億円程度、9%程度で調整コストは年間5,000億円程度という試算結果になっています。

同委員会では、今回の報告を踏まえて、28日、2030年のエネルギーミックスについて議論を行います。

参考

経済産業省、2015年度の売電買取価格と賦課金単価を発表

2015年度の再生可能エネルギー固定価格買取制度の買取単価が最終決定され、3月19日に経済産業省によって詳細が発表されました。

2015年度、太陽光発電の買取単価

10kW以上の設備は1kWhあたり29円(2014年度は32円+税)
7月1日からはさらに値下げで27円になります。

住宅用(10kW未満)においては出力制御対応機器の設置義務ありの地域では35円/kWhで、同設置義務なしの場合は33円で買い取られます。
いずれも2014年度の37円から引き下げられた価格になっています。

太陽光発電の売電について
太陽光発電の売電価格推移

2015年度の再エネ買取単価一覧

太陽光発電以外の設備に関してはバイオマスの2000kW未満未利用木質のみ2014年度から単価が引き上げられてキロワット時あたり40円、それ以外は2014年度の単価を引き継ぐ単価で決定しています。

再エネ賦課金は1.58円

再エネ発電の電力買取を支える国民負担の単価は昨年度(0.75円/kWh)から約2倍に上がって1.58円に決定しました。

売電の仕組み「太陽光発電促進付加金(賦課金)」で成り立つ太陽光発電

太陽光、住宅用10kW未満の抑制機器費用は買取価格でカバーして還元

経済産業省は再生可能エネルギーの固定価格買取り制度の見直しに伴い、2015年4月以降から、出力10kW未満の太陽光発電設備を設置し、電力会社に設備接続を申し込む世帯を対象に、発電抑制機器の費用負担を軽減することを明らかにしました。

発電抑制機器は、再生可能エネルギーによる発電量が電力需要を上回るのを防ぐために設置が義務付けられていますが、この費用を加味して買取価格を決定し、太陽光発電を導入した家庭には還元する予定です。

売電制度

参考

経産省エネ庁、蓄電池の実証実験のために300億円の予算を計上

経済産業省の資源エネルギー庁によると、太陽光発電の系統連携保留問題の解決とさらなる再エネ設備の導入にむけて、今年度補正予算案に新たに300億円を盛り込み、大規模な蓄電池の設置による再エネ設備の出力安定に関する実証実験を行うということ。

北海道電力にはすでに住友電気工業と共同で6万kWhの容量のレドックスフロー電池が、また東北電力にも2万kWhのリチウムイオン電池が設置され、それぞれ実証実験を行うことになっているが、今回の補正予算によって早ければ2月中に新たに2地点程度で同様に大規模な蓄電池の導入を図るのだそう。
蓄電池はNAS(ナトリウム硫黄)電池やリチウムイオン蓄電池が検討されている。

参考

経産省、再エネの出力抑制は広域機関が監視する方針

経産省は7日、発電事業者に電力会社が出力抑制の検証と監視機関を設け、送電の中断を求める方針を明らかにしています。これは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度によるものであり、電力会社が過剰に出力抑制を行わない様、防止する目的があります。

また、電力自由化の一環として設立される電力広域的運営推進機関が4月より事業開始予定であり、検証と監視機関を持たせ、再生エネルギー関連の紛争対処も検討されています。

参考

太陽光発電の売電価格は”接続契約”の時点でほぼ決定だそうです

太陽光発電の売電事業において、発電分の買取価格を「接続契約時」に後ろ倒しにすることで、ほぼ決決まりそうです。

経済産業省資源エネルギー庁では、接続保留問題の解決のためにワーキンググループで調査を進めていました。買取価格の後ろ倒しは10月の時点で案として出ていたものの、その際は「稼働開始時期」という内容でした。

この案には、事業の先見性が低まると金融機関や発電事業者サイドから反論が出たことで、間を取って今回の案(電力会社との接続契約時)におさまりそうだということ。

当サイトコンテンツのチェックリストでもご案内していますが、設置をお考えの方は住宅用であっても産業用であっても、1月くらいを目安に見積もりはしておく方が無難でしょう。

各電力会社の太陽光発電連系申請保留・売電買取中止状況
参考

ららぽーとでパナソニック×三井不動産による教育型イベント『グリーンパワー教室』開催

パナソニック三井不動産による教育型イベント、『ららぽーとであかりを作ろう!グリーンパワー教室』の開催が発表されました。
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経済産業省資源エネルギー庁による官民連携の『GREEN POWER プロジェクト』の一環で行われるこのイベントでは、パナソニックが2009年から展開してきた「あかり」の講座を、三井不動産グループが運営管理する「三井ショッピングパーク ららぽーと」各施設で年間を通じて実施し、未来を担う子どもたちをはじめ多くの方々に、楽しみながら、あかりのしくみや再生可能エネルギーについて学び体験するという内容になっており、無料で開催されるこのイベントではパナソニックの太陽電池を使用したLEDライトの制作なども体験できます。

詳細はこちらから

パナソニックは自社の太陽電池を使った独立型の照明器具を無電化地域に寄付したりと、CSR活動も活発に行っています。
独自の高性能ハイブリッドHIT太陽電池の製品力に加えてこうした地道な活動は、ブランドの理念に共感できるメーカーから買い物がしたいと考える消費者にとっては魅力的に映るのではないでしょうか。

産業用太陽光発電、144件の認定取り消しが決まったそうです

「自業自得!」なんて思ってしまいそうですが、そもそも国が抜け穴のある制度を作っておいて、くぐり抜け損なった人を摘むのはなんとも酷な気も、しないでもないです。

2011年7月に再生可能エネルギーに対する固定価格買い取り制度が制定され、毎年売電の買い取り価格の見直しが行われるものの、申請だけでも済ませておけばオッケイ!という、海外から見れば「甘い!」なんて言われそうなFIT制度の日本。

(ちなみにドイツでは、FIT適用時期に発電所が出来上がっていないといけない制度のため、世界最短の工期でメガソーラーが誕生した、なんてニュースもありました。)

「買い取り価格が高いうちに申請だけしておいて、システム価格が下がるのを待ってお得に発電事業をしちゃおう」なんて考えている(のかどうかは本人と神のみぞ知りますが、あくまで傍目からはそう見ざるを得ない)事業者に、認定取り消しの罰則がついに発動されたようです。

前回の発表時に土地および設備仕様どちらも決まっていなかった672件の事業について、3月をめどに聴聞が進められていましたが計画は押し押し。発表の段階で565件の聴聞を終えたということ。

結果は、133件は無事通過、288件は8月までの猶予期間が設けられ、残る144件の認定取り消しが確定。

聴聞がまだ行われていない107件についても取り急ぎ聞き取りが行われる他、次の猶予期間8月には今回の288件に加えて土地確保などが済んでいない971件の調査もあり、また大きく脱落者がでてくるのかもしれません。

遊休地などの土地活用・投資のための「産業用太陽光発電」
土地を有効活用した太陽光発電の記事一覧

参考

沖縄県宮古島での太陽光発電事業は足止め、解決策はまだ出ず

沖縄電力が宮古島系統で新規接続を保留したというニュースを以前お届けしました。その後沖縄電力は、宮古島で太陽光発電事業を行う予定の企業70社の代表に対し、説明会を開いたということ。

現在190件の新規契約を保留している状態ということですが、受け入れ可能量に対してすでに接続希望申込量が上回っている状態であり、説明会ではこれに対する沖縄電力の見解が明らかにされたようです。

今後の方針としては現時点で契約、接続が完了していない事業者に、出力抑制と蓄電池の設置を提案。
参加者の中には、出力抑制をした場合の売電の補てんなどは行われるのか、と聞いた人がいたそうですが、そんなもの、行われるはずないですよね。沖縄電力も補てんについては行わないと断言しています。
売電の仕組みをわかっていれば、こうした質問以外にもっと聞くべきことがあったと気付いたかもしれません。

事業者の振り落としでより地域に貢献度の高い事業者が出てくることを期待

消費者の願いとしては、売電収入だけを目的にした事業者をここでいっきにふるい落として、地域のスマートグリッド、エコ社会化への貢献をより重要視してくれる事業者が出てきてくれると期待したいところ。

例えばコンビニ業界では、10kW以上を設置しながらもあえて余剰売電を行う方針が主流です。電力を多く消費するイメージの強いコンビニだからこそ、より環境保全に貢献できる店舗の開発を進める企業を、個人的には評価したい、と考えます。

また太陽光発電による発電量を売電せず、地域内の施設で融通しあう三井不動産のスマートシティのような例もあります。

こうした企業の実例は自社内の開発技術力や資金力を生かした、本当に稀な事例なのかもしれませんが、固定価格買い取り制度をフル活用しなくても採算の合う事業にする方法があることを示しています。
どんな企業にでもできることではないのかもしれませんが、この機会に発電事業の環境貢献性、地域への貢献性などを振り返れば、自治体などからの協力・理解も高まりそうな気もします。

蓄電池の導入実験はどうなった??自治体や政府からの支援と沖電の対策にも期待

宮古島では「エコアイランド宮古島宣言」を掲げているといいますが、自治体や政府からの支援の有無も、この問題の解決には不可欠なのではないでしょうか。

宮古島は経済産業省資源エネルギー庁の「離島独立型系統新エネルギー導入実証事業」でマイクログリッドシステム構築の実証実験の場に選ばれています

宮古島系統の最大需要にあたる約50,000kWの8%、4,000kWの太陽光発電を設置し、同容量のNaS電池(出力4,000kW・蓄電容量28,800kWh)で出力の安定化を図るという内容の実証実験。
平成21年度に「離島独立型系統新エネルギー導入実証事業補助金」を受けて始まった実証実験は今年3月で期間満了し、

太陽光発電が大量に導入された場合には電力系統の安定運用が維持できるよう対策し、低炭素社会の実現に向けて引き続き取り組んでいきます

沖縄電力による展望も発表されていますが、説明会においてはこの展望による具体的な対策については言及されなかったよう。

事業者・電力会社・政策決定者の歩み寄りで問題の早急な解決を図り、離島での高度なスマートグリッド構築の実現が見られることを期待しています。

参考

太陽光発電発電設備の容量は13GW超

経済産業省による「再生可能エネルギーの発電設備導入状況(平成26年度1月版)」が公開されたので、太陽光発電関連の内容をまとめてご案内します。

このデータは経済産業省の資源エネルギー庁が発表している、平成24年7月から、平成26年1月末までの期間、固定価格買取制度によって導入された再生可能エネルギーの設置状況をまとめたもの。

これによると、平成26年1月末までに、13GW分の太陽光発電が導入されたということです。


導入済み容量:内訳

導入済み容量:内訳

再生可能エネルギーは19カ月間で太陽光発電7.6GWが導入され、太陽光は97%

固定価格買取制度によって導入された再生可能エネルギーの容量は761.2万kW(約7.6GW)だったのに対し、太陽光発電は7.4GW超を占め、その率は97%とほぼ全体となっています。

さらに内訳を示すグラフをみると分かるように、ミドルソーラーは全体の半分を占めています。


認定済み未設置容量:内訳

認定済み未設置容量:内訳

さらに25.6GWが増える見込み、認定済み未設置の半数以上はメガソーラー

設備認定を受けているものの発電容量が約33.2GW、ここから設置済みを引くと、認定済み未導入が約25.6GWあるという計算に。
住宅用(10kW)は認定済みのものの90%弱が既に導入済みであるのに対し、ミドルソーラーは30%弱、メガソーラーは10%程度しか導入が終わっていません。


各設備の容量の全国平均と分布状況

各都道府県ごとのデータも公開されています。このデータから、全国の平均、およびバラつきの状況も読み取ることができます。

住宅用(10kW未満)

平均設備容量は4.6kW、バラつきはそこまで目立たず、都市部でも平均で4kW程度の容量が得られている。
沖縄県の一件あたりの設備容量は平均を大きく引き離しており、全国一位の5.7kW。

ミドルソーラー

ミドルソーラーの定義は10kW以上1MW未満。とはいえその容量は20kW~50kW程度のものがほとんどです。
(その理由については50kW未満の低圧連系がお得?で詳しくご案内しています。)
全国の平均は37kWですが、これは都道府県でバラつきがみられ、住宅用で平均容量全国一位の沖縄県がミドルソーラーでは平均容量が一番少なく17kW。その他東京都、京都府、神奈川県、愛知県、大阪府といった都市部で20~30kWと、ミドルソーラーにしては規模が小さめでした。

メガソーラー

メガソーラーの全国平均は、導入済みのもので約1.8MW。認定済みのすべての設備の平均容量が4.3MWなので、やはり比較的規模が大きいものほど稼働に漕ぎ着けるまでに時間を要していることが分かります。

北海道はメガソーラーが多く設置されているイメージが強く、実際、認定済みの容量で全国一位、全体の11%を占める1.8GWが北海道に集中しています。

次点に福島県(1.2GW)が付けています。福島県はメガソーラーの平均設備容量が全国1位の11.6MWと大きいのは、被災して住めなくなった土地に大規模なメガソーラ―を設置する例が多いのでしょうか。

メガソーラーの稼働率(ここでは設備利用率ではなく、認定済みのなかで実際導入が終わっている設備の割合)が、容量にして全国平均で10%程度ですが、傾向として設備利用率が高い都道府県(=より多くの発電量が見込める都道府県)のほうが、設備利用率が低い都道府県と比べて稼動済みのものが多く、可能性としては、設備利用率が低い地域では、少しでも事業の採算性が上がるよう、認定から設置までの期間を空けているとも考えられます。

【関連:都道府県別の発電量の比較