蓄電池を使って太陽光発電所を倍量に増設

出力の安定しない太陽光発電は電力の均衡化をが望まれます。地域によっては蓄電池の併用を義務化している場合もあります。
埼玉県の太陽光関連会社A-スタイルは、太陽光発電から直接、直流電流のまま充電する蓄電システムを発売。太陽光発電に接続されたパワコンの出力を上回った場合に蓄電池に充電するこのシステムで、パネルを200%まで’過積載’できるということ。

200%の過積載というとパネル10kWで通常パワコンは同等の10kWを付けるところ、5kWに抑えて導入コスト削減できる。5kWを超える分はコンバータ付きの蓄電池にそのまま充電する。

eCHARGEと呼ばれるこの商品は6kVA・11kWhという充電能力がある。

出力安定化に一役買いそうな商品ですね。

スマートソーラーによる北海道新ひだか町発電所、太陽光は23%の過積載で17MW、蓄電池も9MWhで出力平衡化

メガソーラー開発などの事業者スマートソーラーが北海道新ひだか町にメガソーラーを建設開始。完成は2017年11月の予定。

事業主は「合同会社SSひだかの森」。
発電所名「新ひだかソーラーパーク」。

このメガソーラーはパネル(トリナソーラー)21MWに連系容量(パワコン・スイスABB製)17MWと、23%もの過積載率になっています。

そして蓄電池も9MWhと大容量の蓄電池(韓国サムスンSDI製)も設置。

連系申請は2011年もしくは2012年のうちに済ませてあるようで、40円案件です。

9MWhの蓄電池は平成26年度補正予算による「再生可能エネルギー接続保留緊急対応補助金」を使っています。

南相馬市の40MW蓄電池稼働開始、再エネ導入量50MW分の拡大に寄与するか?

再エネの導入量が増えるに従い問題になってきた出力制御問題

これを解消するのに有力な方法の一つとして蓄電池が注目されていますが、この効果を確かめる実証実験の中でも大型なものが、今回完成したということ。

40mw

「大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業」を採択して東北電力が南相馬変電所に導入されたのは出力40MW、容量40MWhというかなり大型のもの。上の写真は東北電力が発表したものですが、8500㎡にも及ぶ土地に敷き詰められた蓄電池システムは圧巻です。

このシステムを使って、太陽光発電などの出力が需要を上回る時間帯などに電力を蓄電し、高需要時間帯に放電する方法で出力の均衡化を図る実証実験を2016年度にかけて行っていくということ。

40MWhのこの蓄電池によって再エネ50MW分の導入拡大を見込んでいるそうです。

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東京電力が実証実験、HEMSで出力制御時に太陽光の電力を積極消費・自動蓄電

東京電力は経済産業省の「次世代双方向通信出力制御緊急実証事業」の一環として出力抑制に関する実証実験を始めたと発表。

この実験の目的としては設置容量の増えた太陽光発電の出力変動を吸収するためのもので、売電されている電力をHEMSを活用して家庭内での消費や蓄電に必要に応じて自動的に切り替えるというものです。

東京、関西、中部以外の地域では家庭用でも出力制御の対象となっているため、こうしたシステムの早期開発で太陽光発電の導入のハードルを下げることになります。近い将来新築戸建の購入などを考えている方にとってもとても気になる情報ですね。

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各電力会社の出力制限状況と事業者に求められる打開策

JPEA、ベースロードの容量低下で太陽光の出力抑制は1桁台でおさまると試算

太陽光発電協会(JPEA)は、再生可能エネルギーの接続可能量を超えて接続が進んだ場合、どの程度出力抑制されるかを試算した「出力制御シミュレーション」を公表しました。3月に公表した九州、東北、中国電力管内の試算結果に加え、四国、北陸、北海道電力管内の試算結果も追加したものです。

6電力会社管内において、「ベースロード電源等容量」を3つのパターンに設定して、太陽光発電の導入が進むにつれ、どの程度年間出力抑制率が上昇するかを試算しました。JPEAの試算値を、ほぼ同じ条件で各電力会社が試算・公表した数値も、概ね近い水準になっています。

シミュレーション結果を見ると、「ベースロード電源等容量」の水準が下がると、出力抑制率が大きく低下することが分かります。

例えば、九州電力の場合、約100万kW分の容量をベースロード電源から差し引き、370万kWに減らした条件で試算すると10ポイント近く低下。

四国電力の場合は、ベースロード電源を100万kWに減らした条件で試算すると、4分の1程度に大幅に低下。

北海道電力の場合、ベースロード電源を110万kWに減らした条件で試算すると、8分の1程度に大幅に低下することが分かりました。

経産省の長期エネルギー需給見通し小委員会で示された電源構成案では、原発の比率は、震災前の27%から20~22%に低下します。

この目標達成には、原発の再稼働と、複数の原発の原則40年の運転期間を60年に延長する必要があります。

一方で、電力システム改革の一環として、再生可能エネルギーの余剰電力を地域間連系線で送電する仕組み作りに取り掛かっており、原発比率の低下と地域間連系線の広域運用という両面からみて、「ベースロード電源等容量」は震災前に比べ低い水準が続く可能性が高く、今回の試算もふまえると、接続可能量を相当程度超えて太陽光が接続した場合でも、出力抑制率は一桁台に収まりそうです。

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GWの需要低下に伴い、種子島で初めて太陽光の出力抑制を実施

九州電力は28日、種子において、ゴールデンウィーク期間以降、500kW以上の太陽光・風力発電に対して、再エネ特措法(FIT法)で認められる出力制御を実施すると発表しました。

種子島では2014年7月25日より再エネ発電設備の接続申込みへの回答を保留しています。しかし回答保留公表時に接続申込みであった再エネ発電業者の系統の接続が進んだ結果、電力量の少ない春や秋1万5000kW前後に対し、すでに太陽光と風力発電設備が1万1000kW以上も送配電ネットワークに接続された状態になっています。

このため再エネの出力が増加し、供給量が重要を上回る可能性が高まってきたため、電力の安定供給を確保するためには、再エネの出力制限が避けられない見通しとなり、九州電力は出力500kW以上の高圧の発電設備8か所を対象に出力制限に乗り出します。

鹿児島県種子島の再エネ事業者に対して実施された出力制限は5月5日9時~16時の7時間におよびました。ゴールデンウィーク期間の極端な需要低下により太陽光発電の出力を消費しきれない状況が生じたといえます。

対象となったのは再エネ事業者8社のうちの1社のみだったということ。発電設備の出力容量は1.0MWで、32円の売電単価を仮定すると損失は10万円弱にのぼります。事業者には気象予報データに基づき前日(4日)に指示を出していたということ。

九州電力では、出力制御が必要となる日ごとに、必要量を満たす対象事業者を選定し、対象事業者をローテーションする「交代制御」を採用しています。このため今後、出力制限を支持する場合には別の事業者を選定して、公平性を確保するということです。

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九州電力が補助金利用で300MWの蓄電池導入

九州電力は、国内最大級の大型貯蓄電池の設置を計画しています。国の補助金を使用して容量が約30万kW時の蓄電池を導入する計画です。

出力が不安定な太陽光や風力などの再生可能エネルギーをためる事が出来るため、安定供給が出来るようになります。

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10kWh以上の蓄電池に再生可能エネルギー接続保留緊急対応補助金

政府は、発電事業者を対象に蓄電池の導入に対して補助金を出す「再生可能エネルギー接続保留緊急対応補助金」をスタートさせました。これは、政府が2015年1月26日に再生可能エネルギーの拡大阻止を目的とする新しい出力制限ルールの施行による発電事業者の影響を緩和するための措置です。新ルールでは、再生可能エネルギー事業者に対して電力会社は地域の需給状況に応じて設備の出力を無担保で抑制できるようになり、発電事業者の収益に大きな影響を与える可能性があります。今回の補助金は、発電事業者の収益への影響を緩和するための措置です。

蓄電池導入に対する補助金を受けるためには、まず、2015年11月30日までに、政府から委託を受けた環境共創イニシアチブに予約申請をしなければいけません。補助金の対象は、新ルールによって出力制限を受けることになるもので、新規に蓄電池を導入する国内の企業と自治体、個人や個人事業主となっています。
さらには、出力や電力会社に申し込んだ日など一定の条件を満たす必要もあります。
補助金の条件は、容量10kWh以上の蓄電池を導入することです。
しかし、個人が設置する場合には、家庭用の蓄電池は一般的に容量が10kWh以下なので、複数組み合わせる必要があります。
また、蓄電池の周辺装置も対象になりますが、パワーコンディショナーを発電設備用と切り離す必要があります。補助金の額は、中小企業や自治体、個人や個人事業主の場合には、導入費用の2分の1となっています。大企業は、導入費用の3分の1と少なくなっています。また、補助金の上限は3億円と高額なため、大規模な蓄電池システムの導入も費用を抑えて導入することも可能となります。さらに、蓄電池の容量が大きい場合には、消防法の規定によって設置場所に制限があるため蓄電池の設置にかかった工事費も補助金の対象となります。

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鹿児島県の離島に2MWのメガソーラー、780kWhの大型リチウムイオン蓄電池を併設

2015年3月26日、御船ホールディングス(大阪府大阪市)はサムスンSDI(韓国)が開発した大型リチウムイオン蓄電池を併設した大規模太陽光発電所「御船徳之太陽光発電所」(鹿児島県大島郡)を完成させたと発表しました。

同発電所の開発面積は37,742平方メートル。2MWの太陽光発電パネルに780kWhの大型リチウムイオン蓄電池が、蓄電池に2MW双方向のパワコンが接続されており、太陽光発電パネルのパワコンと合わせてEMSが出力変動を制御する仕組みになっています。
系統への影響を最小化させることで離島である同発電所でもメガソーラーの接続を可能とし、固定価格買取制度における売電にも対応できる体制を実現しています。

発電出力は1,990kWで、初年度年間発電量は一般家庭のおよそ800世帯分に相当する2,312,599kWhと予想されています。

工事を請け負ったのはかねてよりサムスンSDIと共に大型リチウムイオン蓄電池の大規模普及に務めているエンジンパワー東京都中央区)で、同社はサムスンSDIより蓄電池性能保証プログラムの提供を受けています。これによりリチウムイオン蓄電池の特徴である長寿命化をより活かすことが可能となっています。

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北海道帯広のメガソーラーに韓国SKイノベーション製4.4MWhの蓄電池

2016年12月に稼働開始が予定されている北海道帯広市(北海道電力管内)の特別高圧メガソーラー発電所に、韓国SKイノベーション製の大型蓄電システムが導入されることになりました。

導入される予定の蓄電システムは定格出力が3.3MW、容量は4.4MWhの40フィートコンテナ型蓄電システムで大規模なものです。

各電力会社は太陽光発電システムが急拡大したことにより、新規のメガソーラーについてはその出力を制御したり、新規の接続を保留するなどの対策を迫られていますが、系統に流れ込む電力が一時的に増えることが問題となっています。

そこで蓄電システムを設置して一時的に増える電力量を平均化することで、出力制御や接続申請の保留を回避できるものです。

2年前から資源エネルギー庁が主導で60MWhの蓄電池を北海道に導入する計画が進められていますが、事業者単位での大型蓄電池の導入が進められていくことで再エネ導入の可能性が大幅に広がることになりますね。

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