JAXAが宇宙太陽光発電システムの実証実験本格開始

米国をはじめとして研究開発が進んでいる「宇宙太陽光発電システム(SSPS:Space Solar Power System)」は次世代再生可能エネルギー技術ですが、日本でも小惑星探査機「はやぶさ」で注目を集めたJAXA(宇宙航空研究開発機構)でSSPSの中核技術が開発中です。宇宙空間という天候の影響を受けない太陽光発電ですが、地上での実証実験も始まっており2030年代にはMW級のSSPSを実用化することを目標としています。

静止軌道上の太陽光発電設備から無線で地上まで電力を送るため、発電された電力をマイクロ波に変換し、地上にビームを放射するという方法が有力で、JAXAでは巨大アンテナを静止軌道に設置し、多数の送電モジュールを配置する方式が考えられています。実用性検証のための地上試験モデルも開発され3月1日には屋外でのデモンストレーションが実施されます。

地上実験モデルの送電部と受電部の距離は55メートル、送電できる電力は最大1.8kWまで可能で、送電した電力をアマチュア無線家の無線機に供給して交信する予定です。
JAXAでは地上実験を継続して長距離でのマイクロ波の送信精度を上げるほか、電力とマイクロ波の交換効率を高たり機器の小型化や軽量化も進める計画があります。また移動体を使っての地上実験が次のテーマで、2020年代には小型衛星を打ち上げることにより宇宙空間での実証実験も開始される予定です。

参考

JAXAと三菱電機、宇宙太陽光発電システムを無線送受電する技術を実証

2015年2月19日、宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は宇宙システム開発理容推進機構、三菱電機と共同し、マイクロ波による宇宙太陽光発電システムの無線送受電技術の屋外実装試験を実施することがわかりました。この試験では「高精度ビーム方向制御技術」を用いて、宇宙太陽光発電システムにある巨大なアンテナの方向や位置を手動で変更する試みが行われるとのことです。

高精度ビーム方向制御技術は電子的なアンテナ補正技術で、JAXAが世界で初めて開発したものです。今回の試験では送電部と受信部をそれぞれ55M離れた場所に設置し、宇宙でのアンテナ変形を想定した5.8GHzのマイクロ波を送信することでアンテナの補正を行い、技術を実証するとしています。

参考

NASAでも!宇宙から太陽光発電の電力を送電

以前お伝えしたJAXAの宇宙太陽光発電の地上に送電システムNASAでも同様の開発が行われていて、こちらは2025年の完成も見込めるということです。

JAXAの宇宙太陽光発電送電システム同様、宇宙に打ち上げた巨大な太陽光発電システムを、マイクロ波を利用して地上に送電するという仕組み。地表での私たちの生活に影響を与えない送電の仕組みも考慮済みなのだとか。