パナソニックがモジュール変換効率で世界一23.8%を記録、バックコンタクト技術で

パナソニックは、三洋電機から受け継いだHIT太陽電池で国内メーカーとしては最高効率のモジュールを作り続けてきました。

しかし世界においては”バックコンタクト方式”によるモジュール配置で長年サンパワー社が効率では世界一の座を守っており、パナソニックはそれを追う形でした。

先んじてセル変換効率においては世界一の座を取ったパナソニックは今回、サンパワー社と同じくバックコンタクト方式を用いたセルを使ったモジュールで23.8%の世界一を達成したと発表。やりました!

現在市販されているパナソニックのパネルの効率は最高で19.5%。
今回の記録達成を成し遂げたセルの量産体制がひとたび整えば、国内メーカーで初めて、20%超えのモジュールを製造できることになりそうですね!

市場投入がいつになるのか、待ち遠しいです。

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パナソニックが量産モジュールの変換効率で世界新記録22.5%

自社生産のパネルを販売する日本ブランドとしては国内で最高の変換効率を持つパネルを販売するパナソニックは、7月23日に量産ベースのセルを用いたモジュールで、モジュール変換効率22.5%(正確には22.48%)とサンパワーを抜いて世界一を記録したと発表。

記録を立てたのはシリコン系の太陽電池セルで125mm角セル72枚のパネルで、出力270.2Wのピーク出力を得たとしています。

記録樹立に際して、モジュール全体で損失を低減するための技術を複数用いた結果のものだと発表していますが、実際このパネルの製品化についての具体案はだされていません。

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シート一枚で変換効率を最大2.2%向上、日立化成の「波長変換粒子」

日立化成が太陽電池の封止シート向けに「波長変換粒子」を販売。

日東電工が開発していたものと、基本的に機能は一緒で、これまで発電には使えなかった紫外線の波長を変換することで、より多くの発電量をパネルから得られるようにするというもの。
同社が開発した「波長変換粒子」というものを通常の封止シートに添加するだけで、最大2.2%効率がアップすることが期待されるのだそう。
(ここでいう”2.2%アップ”は効率20%のパネルが22.2%になるのではなく、20% × 2.2%=20.44%になるということ)

製品の特長は

耐久性に優れたアクリル樹脂粒子内に蛍光体粒子を含有させた。封止シートに使った場合でも、太陽光パネルの耐久性を損なわず、かつ、封止シートの製造プロセスの変更も不要なため、封止シートの生産性に影響しないという

と説明されています。

パネルの発電量を上げるには、一般的にはセルの効率を上げる方法が取られ、各メーカー競って「世界最高効率のセルの開発」を行っています。
今回の製品は違う角度からのパネル変換効率の向上を試みた製品で、しかも「封止シートに添加するだけ」で、通常の生産ラインを変更したりする必要もないというお手軽さも魅力。さっそく各パネルメーカーでの導入が期待されるところ。

日立化成は、グループ企業である日立製作所が太陽光発電システムを販売していますが、使用されるシリコン系パネルはトリナソーラーのOEM製品。(他にソーラーフロンティアブランドのパネルも取り扱っています。)

パネルは外部調達し、パワコンや提携業者による施工で勝負するというのが現在の日立の戦略ですが、一部のメーカーが行っているように、モジュール組立だけ日本で行って、今回発売されたシートを使った国産パネルを販売すれば、さらに差別化が図れるんじゃないかな、なんて思います。

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パナソニック、結晶シリコン系太陽電池セルで世界最高25.6%

効率HIT太陽電池を製造するパナソニックは、結晶シリコン系太陽電池セルで、世界最高記録の効率を達成したと発表しました。

実用サイズ(100cm²以上)でのこれまでの最高記録は、パナソニックによる2013年2月のもので、24.7%(セル面積:101.8cm²)。
小面積も含めたシリコン系太陽電池の変換効率の過去最高値は25.0%(セル面積:4cm²)。

今回のパナソニックの記録はこのどちらも大きく上回り、変換効率25.6%(セル面積:143.7cm²)という記録になりました。

この成果の要因として、「HIT」シリーズの特長である高い変換効率と優れた高温特性を実現する現行のヘテロ接合技術をさらに進化させたことと、サンパワーの太陽電池などでも採用されているバックコンタクト方式の採用が挙げられています。

現在パナソニックが商品化しているもので最高効率のパネルはHIT245α(VBHN245SJ21)で、出力245W、効率19.1%のもの。
他社を含めると、サンパワー(日本では東芝がOEM販売)のSPR-250NE-WHT-Jは250Wで20.1%という製品があります。

今回開発に成功したセルを使ったパネルが製品化されれば、長年世界最高効率の製品を作り続けたサンパワーの位置をパナソニックが代わることになりそうです。

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紫外線を可視光に変えるシートで変換効率アップ

ソーラーパネルの新たなスタンダードになりそうな予感?

日東電工は、ソーラーパネルに一枚のシートを挟むだけで、効率をアップさせることができる「レイクレア」を開発。

原理としては、通常パネルの劣化防止のために封止シートでカットされる紫外線を、可視光に変換するというもの。

使用方法としてはレイクエアを添加したシートをパネルに挟む、もしくは添加剤として使う方法があり、現在のパネル製造過程に大きな変更を加える事無く採用できるのが魅力。

今までカットされていた分の光量が発電に使えるようになり、理論的には現在の性能×2%の効果を生むのだとか。

現在市販されているソーラーパネルはサンパワー(日本では東芝ブランド)の効率20.1%のものですが、仮にこのパネルに「レイクレア」が採用されれば出力が255Wに、効率は約20.5%になる計算。
発電量にして、年間21kWh/kW多い発電量が得られる事になり、一般住宅用の平均およそ4kWの容量のシステムでは年間3,200円弱(38円/kWhで計算)多い売電収入を得られることになります。

売電収入にすると大した事無いようにも見えますが、、、

効率が高いパネルに採用すればする程効果が大きくなるということになるので、集光型のパネルなどに使えばさらに効果が上がるとも考えられます。
問題はこのシートを採用する事でどれくらいコストが上がるかということでしょうか。

販売開始は2014年後半を予定しているということ。

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パナソニックのHITダブル、効率が上がって登場!出力保証も2倍に!

パナソニックの高効率ソーラーパネル、HIT太陽電池を使い、裏表の両面で発電できる製品「HITダブル」が、効率が上がって登場です。

「新・HITダブル」は225Wで効率16%と、今までの商品と比べて出力15W、効率1.1%向上。
産業用、公共用を中心として、10月1日に受注が開始されるそうです。

また、パナソニックのHIT太陽電池は6月に受注開始している最新モデル「HIT240α/245α」「HITハーフタイプ120α」から、出力保証が従来の2倍に延長され20年間ついています。この両面発電型のHITダブルにも20年の出力保証が付くということ。

パナソニックの太陽光発電についてのページ

ソーラーフロンティア、実用レベルでモジュール変換効率14.6%達成

ソーラーフロンティアは、国富工場の生産ラインで変換効率14.6%(出力:179.8w)のモジュールを製造することに成功したそうです。

研究段階では、30cmのサブモジュールで17.8%、セル変換効率では19.7%を達成しています。
モジュール変換効率とセル変換効率の違い

ちなみに研究段階のセル変換効率では、シャープが世界最高の37.9%を、化合物3接合型太陽電池セルで達成しています。
この数値と比べるとかなり見劣りする数字にも見えますが、かたや宇宙利用などのための特別な太陽電池用に開発されているもの。
ソーラーフロンティアの、CISという安価な素材を使った太陽電池で、実際の生産ラインを使った製品の変換効率の向上は、住宅での実用や発電事業での採算性をアップさせるために大きく貢献する可能性が大きいです。

ちなみに現在でも変換効率こそ他のパネルと比べれば低いですが、価格の安さから採算性の面では他のメーカーのモジュールを大きく上回っています。(メーカー別・収支関係シミュレーション

シャープ、またまた新記録・化合物3接合型太陽電池セルの集光型で44.4%

4月に化合物3接合型太陽電池セルでで記録を更新したシャープですが、今回同じく化合物3接合型太陽電池セルで、今度は集光型で44.4%を達成し、記録を更新したそうです。

シャープは化合物3接合型でどんどん記録を更新していきますね。

化合物3接合型太陽電池セルで2003年に31.5%を達成して以来、10年で6.4ポイント以上、
集光型では2007年の40%から6年で4.4ポイントも性能を向上させ、間には衛星での化合物3接合型太陽電池の実用化もはさんでいます。

住宅用の太陽光パネルの人気も落ちてきている中、宇宙分野などで踏ん張っていきたい、といったところでしょうか。

日本のソーラーパネルの市場動向について