チリでは太陽光発電の売電価格が3円以下で落札、ってどれくらいのなのか、計算してみました

太陽光発電で作った電力の価格(売電価格)が、海外ではどんどん下がっている、というニュースです。

チリで行われた発電事業者を対象としたオークション。
このオークションは、既にある太陽光発電からの電気をいくらで買い取ってもらうか、というものではなく、

これから発電所を作る事業者が、電力会社にいくらで売るか、というオークションなので、
ディールが安ければ安いほど良い、と言うことになります。

最終的に落としたのがスペインのSolarpack Corp. Tecnologicaという事業者。
なんと価格は29.1ドル/MWh。
本日のレートで1ドル100円なので、
なんと1kWhあたり3円以下の価格で売る、というのです。
参考までに、日本の住宅用の電気は単価27円とか28円です。かなり安いですね。

こんな価格で採算が合うのか、ということですが、
チリの砂漠地帯に発電所は建設されるということで、「太陽光発電に恵まれた日射状況」があるということ。

記事ではタクラマカン砂漠となっていますが、タクラマカン砂漠はアジアの方なので、アタカマ砂漠、でしょうか。そうすると緯度は南に24度30分。日本でいうと沖縄よりも3~4度赤道に近い位置だと考えられます。

太陽光発電は緯度に近く、年中晴天が多い地域ほど多くの発電量が得られますが、
例えば日本では最大で1kWあたり、年間1600kWh程度といったところ。
平均は1140kWhです。

アタカマ砂漠は緯度も低く、雨天の少ない砂漠地帯ということで、1800~2000kWh/kW・年くらいはいくのでしょうか。

仮にそうだとして、
海外では太陽光発電の建設費はキロワット10万円台ということもあるので、
年間のメンテナンス費も含めて20万円/kWとします。

20年間発電し続けるとして、気になる発電コストは

……5円!

いや、これじゃ赤字ですね。

3円で収めようとすると例えば、

年に2200kWh発電し、
寿命は25年
建設費とメンテナンス費も入れて16.5万円/kW

なんていう数字が必要になってきます。
日本では、あり得ません。

ただ、発電量は適わないとして、
建設費、メンテナンス費は
時間はかかれど日本はまだまだ安くできる余地がある、と考えることができます。

2014年度太陽光発電の売電価格決定!産業用32円・住宅用37円

2014年度(平成26年度)の太陽光発電の売電価格(買取価格)がほぼ決定したようです。10kW以上(いわゆる産業用)32円・10kW未満(いわゆる住宅用)37円になる予定。

10kW未満の太陽光発電施設については1円の価格低下にとどまりました。この1年でパネルによっては価格がキロワットあたり約3万円下がっているものもあり、補助金(最大1万5千円)が廃止されたとしても収益には大きく響かなさそうです。既築住宅に付けたいと思っている方はパネル価格の最新相場をご確認の上、自分の納得のいくタイミングで付けることができそうです。
逆に新築で、最近各住宅メーカーから出ている10kW以上が載るようなエコ住宅の購入をお考えの方は、今年と来年度では大きく売電収入が変わってきてしまいます。10kWの搭載なら、20年間で約84万円売電収入が減る計算になります。もし迷っている方がいれば、すぐにでも決定した方がよさそう。

3月中は意見公募の期間ではありますが、ほぼこの価格に決定すると考えられます。

産業用の太陽光発電は、買取価格が大幅に下がる事により、中国メーカーなどの安価なソーラーパネルの人気が高まりそうです。
また、洋上の風力発電が10kW以上の太陽光よりも高い36円に設定されることで、新電力参入などを目指す発電事業者などが洋上風力に参入する可能性も大きくなってきそうです。

経済産業省、売電価格にかかわる「設備利用率」を引き上げる方針

来年の売電価格の決定に関わるニュースです。

経済産業省は、「太陽光発電の”設備利用率”を引き上げるべきだ」、という報告をしました。

設備利用率とは」のページでこの言葉の定義についてはくわしくご案内していますが、要するにこれを引き上げるという事は、太陽光発電の収益性をより大きく評価する、ということ。

今までは12%とされていた設備利用率でした。
つまり1kWの容量のシステムで、年間1050kWhの発電量が得られる計算になります。[365(日)×24(時間)×12(%)]
これが13%に引き上げられると、年間約1140kWh/kWの発電量が得られるということになります。

そして平成25年度の売電価格は、10kW以上の設備で36円(税抜)ですが、単純に計算して1kWのシステムからは1,050(kWh)×36(円)=37,800(円)が得られることになります。

しかし、設備利用率13%が採用されれば来年度の価格決定もこれに基づいて行われます。
つまり、売電価格33円[37,800(円)÷1140(kWh)]に下げても、今年度と同じだけ収益が得られるよね、ということになります。
実際はこの1年間で下がったシステム価格もふまえて、33円よりさらに安い価格に設定されると予想されます。

とはいえ、実際に稼働している太陽光発電設備の運用データ(「太陽光発電の実際の稼働率は?」の項を参照)を見ていても、登録している設備での平均的な設備利用率が14.8%、多いもので20%もの設備利用率が得られる例もあり、この引き上げ案の妥当性は十分あると考えられます。

参考

2013年度の売電価格は37~38円・家計への影響は?


売電価格が引き下げられるという経済産業省の発表がありました。
2013年度の太陽光発電の買取価格は?のページで、実際に38円になった場合、設置家庭はどれくらい収入が減ることになるのでしょうか?
シミュレーションからは、意外に収益ギャップが大きいことが分かります。
2013年のシステム価格の低下がどれくらい下がるのかも注目したいところです。

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