シャープが売電収入の損害賠償を請求されていますが…

後で裁判を起こすぐらいなら保証内容をきちんとはじめから確認して契約すべきだとは思います。

昨年2月にシャープ製の太陽光発電システムを購入した原告が、製品の不良のために発電不良が生じた期間分の「電気代」をシャープに請求しているのだそう。

はっきり言ってしまえば…

…かなり、小さいですよね。

売電額」ではなく、「電気代」といっているところから考察すると、余剰売電の10kW以下のシステムを購入した方のケースなのではないかと思われます。

各メーカーの保証内容についての一覧をまとめたページを見てもわかるように、ほとんどのメーカーではシステムが故障した場合に故障部分の交換なり修理なりを行うという形の保証を提供しています。
同様にほぼすべてのメーカーで提供される「パネルの出力保障」も機器保証の延長のようなもので、一定期間内に一定の出力までパフォーマンスが低下した場合、機器を交換といった形で保証するものです。

このケースで損害賠償請求をされている「故障期間中の想定発電分の電気代および売電収入」については、基本的にこうした保証内容の範囲でカバーされないと理解されるべきかと思います。

一部のマイナーな海外メーカーでは、発電量が一定より少なかった場合に補償を提供していますし、口頭弁論でシャープ側が主張しているように販売店が提供していることのほうが多いかもしれません。

参考

シャープの「電気代」賠償事件から学べること – 後悔しないために気を付けることは?

同訴訟については、若干あてつけ感も否めないです。シミュレーションはあくまでシミュレーション。

お天気任せの発電機器なのだから、寛大な心でいながら不具合だけはきちんと気づけるようにだけしていれば、大きく損することはないかとは思いますが、「どうしても売電収入が不安なので、一定以上は保証してほしい!」といった場合(特に産業用発電事業などの場合)には、きちんと売電についての保証があるメーカーおよび施工店を選ぶことをおすすめします。

例えばメーカーならハンファソーラー、施工店は一括見積で「売電補償のある施工店」に絞って見積もりたいといった旨を説明すると手っ取り早いかと思います。

ただ保証がある施工店やメーカーは限られてくるため、売電補償にこだわっていると選択肢がかなり狭くなるのはご承知を。

先ほども言ったように、発電量を毎日チェックして不具合はすぐに気づけるようにしておけば、損失を最小限に抑えられます。
また故障時にすぐに駆けつけてくれる、地元密着型で信頼度の高い施工会社さんを選ぶのもポイント。

他にも、メーカー地域設置角度や方角によって発電量(パフォーマンス)が変わってくることを理解し、設置段階でシミュレーションの妥当性を把握しておけば、いざ発電を始めて思うように発電量が伸びない、と悩むことも少なくなるのではないでしょうか。

エージー・ジャパン、産業用に売電の保証を開始

当サイトでも紹介しています千葉県松戸市に本社を構える「エージー・ジャパン」は「関東実績No.1」を謳い、太陽光発電の施工店に関する記事でもよく取り上げられている優良太陽光発電業者の一つです。
太陽光発電施工業者「エージ―ジャパン」について

相原 英二社長率いるエージー・ジャパンが、4月から産業用の太陽光発電設備の保証メニューを拡充するそう。
内容としては、落雷や火災などの災害で設備が壊れて発電不能になった場合の不能期間分の売電利益相当額を給付するというもの。

売電事業を行いたい人にとって、なにより発電量の低下は収入に響きます。

産業用の太陽光発電の始め方について、くわいくはこちらをご覧ください。

パネルメーカーの保証内容比較はこちら

経済産業省、売電価格にかかわる「設備利用率」を引き上げる方針

来年の売電価格の決定に関わるニュースです。

経済産業省は、「太陽光発電の”設備利用率”を引き上げるべきだ」、という報告をしました。

設備利用率とは」のページでこの言葉の定義についてはくわしくご案内していますが、要するにこれを引き上げるという事は、太陽光発電の収益性をより大きく評価する、ということ。

今までは12%とされていた設備利用率でした。
つまり1kWの容量のシステムで、年間1050kWhの発電量が得られる計算になります。[365(日)×24(時間)×12(%)]
これが13%に引き上げられると、年間約1140kWh/kWの発電量が得られるということになります。

そして平成25年度の売電価格は、10kW以上の設備で36円(税抜)ですが、単純に計算して1kWのシステムからは1,050(kWh)×36(円)=37,800(円)が得られることになります。

しかし、設備利用率13%が採用されれば来年度の価格決定もこれに基づいて行われます。
つまり、売電価格33円[37,800(円)÷1140(kWh)]に下げても、今年度と同じだけ収益が得られるよね、ということになります。
実際はこの1年間で下がったシステム価格もふまえて、33円よりさらに安い価格に設定されると予想されます。

とはいえ、実際に稼働している太陽光発電設備の運用データ(「太陽光発電の実際の稼働率は?」の項を参照)を見ていても、登録している設備での平均的な設備利用率が14.8%、多いもので20%もの設備利用率が得られる例もあり、この引き上げ案の妥当性は十分あると考えられます。

参考

儲かるかどうかギリギリな屋根には、太陽光発電は設置すべき?

読売新聞のニュースで、今更記事にする必要があるのかと思われるような内容が載っていたのですが、まとめると

「太陽光発電の普及は大いに結構、しかし売電で支払われる資金は、電力会社から電力を購入している一般の消費者全体にのしかかっている。その金額は現在、電気代7000円程度の家庭で120円。今後この価格はさらに上がっていくことも予想される。太陽光発電を載せられた家はいいが、載せられる屋根の無い家庭との差はどんどん大きくなっていく。この”不都合な真実”は、太陽光発電のメリットとともに常に意識されるべきだ。」

ということ。

当サイトでも「”儲かりすぎてもいけない”売電価格の設定について」のページで太陽光発電促進付加金については詳しく触れています。

もちろん、不均衡は広がっていくでしょう。
毎月の再エネ賦課金が例えば500円になってきたりすると不満の声は大きくなるでしょうが、それ以上に着目するべき点はある気がします。

電力自由化が進み、新電力が利用できるようになったら?

新電力への切り替えで、自治体などが大幅に電気代を削減したニュースなどが目立つようになりました。
2018年から2020年に欠けて、一般家庭も自由に購入する電力会社が選べる、完全な「電力自由化」が実現されることが目標とされ、現在一歩ずつ対策を踏んでいる状況です。
大幅な値下げを期待はできないとはしながら、現在地方電力会社の独占状態にある状況に競争が生まれる事は、価格下落の期待も高まります。

10年後は売電単価が下がる?

今年の固定価格買取制度で定められている売電単価はキロワットあたり38円(10kW以下の設備)。
そしてこの買取価格は10年間保証されるものの、その後の買取価格は「電力会社が独自に決める」ことになります。つまり、10年後の売電額は、買電額よりも低く設定されることも大いに予測できます。
さらにその頃には上の項の通り、電力自由化も進んでおり、買取期間が過ぎた太陽光発電設備の電力はより有効に活用され、消費者の電気代に反映される事も予想できます。

太陽光発電との関連製品の普及促進と、価格低下

太陽光発電の普及が進めば、次の段階として太陽光発電からの電気を溜められる蓄電池や、その電気を使って動くEV、そしてそれらを管轄するHEMSなどの関連設備への需要が高まり、価格の低下も促されると予想できます。
太陽光発電が設置できない家庭でも、EVや蓄電池への需要がある場合には、その恩恵を受けることは可能です。

「太陽光発電の普及を進めないと、環境に配慮された電力の確保はいつまでたってもできない」
「太陽光発電の普及を進めるという事は、すなわち設置家庭とそうでない家庭の不均衡を強める事にもつながる」

このどちらを優先させて環境政策を作るべきか、という事を考えるときに、これまでに説明したことも踏まえながらやはりその”間”をうまく見つける事が求められるのではないでしょうか。


太陽光発電で儲かるか儲からないかの”間”にある時は?

太陽光発電を普及させたい、しかし”導入すれば必ず誰でも沢山儲かる”ような仕組みにするわけにもいかないという事で、設定される売電価格において、必ず「儲けられるかどうかギリギリ」のラインが出てくることは事実です。
当サイトの提供している費用対効果シミュレーションを見ても分かる通り、設置できるパネル枚数に限りがある家庭では、必ずしも10年で初期費用の回収が終わらない場合もでてきています。
しかし是非、「なんだ、太陽光発電は儲からないなら、やめよう」と、簡単に諦めないでください。

太陽光パネルは20年よりもさらに長く使えると言われています。
もし10年で初期費用が回収できなくても、例えば20年間使い続ければ、仮に10年後の売電価格が現在の電気代の半額程度に下がったとしても、多くの場合で利益は必ず出ます。

また、将来EVや蓄電池も導入したいと考えている人は、太陽光発電を付けていれば、それらを導入した時にメリットをさらに高める事ができます。

それらの事も踏まえて、購入を迷っている方は、ぜひ一度実際に見積もりを取って、ご家庭でどれくらいメリットを出せそうか調べてみてください。
一括見積サイトにもさまざまな種類があるので、ニーズにあったサービスを使いたいところです。

値段交渉の際には価格比較・相場確認もお忘れなく!

売電額は38円(10kW以上は36円)、補助金は2万円/kW

ほぼ決定です。
平成25年度の売電価格は、
10kW未満で38円/kWh、10年間
10kW以上で36円/kWh(税込で37.8円/kWh)20年間
です。
最終決定は今月中、茂木経済産業相から出されます。

新価格の決定にあたり参考とされたデータ

システム価格の下落
10kW未満:46.6万円/kW → 42.7万円/kW
10kW以上:32.5万円/kW → 28万円/kW

補助金
国:3.5万円(平成24年度) → 2万円/kW(平成25年度)
地方(平均):3.8万円(平成24年度) → 3.4万円/kW(平成25年度)

3月22日までパブリックコメントも受け付けています。
この売電価格について、「ちょっと待った~!!」とモノ申したい方は、意見を送ってみてはいかがでしょうか?

ちなみにこの「売電制度」は「一般家庭の電気料金」に加算されてまかなわれる事になりますが、各家庭の負担額は、2012年度の平均月額87円から120円に引き上げられる予定です。

まだまだ決まらない平成25年度の売電価格「1000kW未満のコスト問題は考慮すべきか?」

37-38円に売電額が切り下げられる見通しが発表されてから久しいですが、まだまだ委員会では価格を決めきれずにいるようです。
3月6日の「調達価格等査定委員会」を受けて「1000kW未満の場合の買取価格は42円/kWhに据え置くべきである。」とするメディアもありました。
その根拠として、「10kW以上1,000kW未満の設備に関して、コスト削減が進んでいない」という事を挙げています。

経済産業省の資料を基にすると、すべて平成24年度10月~12月に運転開始した設備のシステム価格で、
住宅用(10kW未満/以上の括りがあるかは不明)
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10kW~1,000kWのシステム
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1,000kW以上のメガソーラー
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となっており、「平均価格」を見た時に10kWのシステムの方が1,000kWよりも高くなってしまっています。
このことから、この規模設備の導入が滞らないよう、42円の据え置きの主張をしていると考えられます。

しかし、同じく経済産業省の資料に盛り込まれている「件数分布表(下)」も参考にしてみれば、問題の「10kW~1,000kWのシステム」の大部分が10kW~16kWに集中していることが分かり、10kW~1,000kWのシステムの2,814件の内、実に半分以上が10kW台に止まっているという事が分かります。

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経済産業省は、

実態は10kW未満のものが無理に何とか10kWを超えようとして、件数が大きくなっている可能性が高い。仮に、この部分に、新たな区分を設け高めの調達価格を設定することとすると、更に案件が集中し、賦課金の負担を過剰にするおそれが高い。

という見解も発表しているため、「10kW~1,000kWのシステム」への優遇は一筋縄にはいかない事も示唆しています。

海外では、カナダ、ドイツなどの国が10kW、スペインが20kWを基準として、それ以上の設備はそれ以下の設備よりも売電単価が低くなるように設定されています。
また、イタリア、イギリスのような国では、4~5段階に分けて(1~3kW、3~20kW、20~200kW、200~1,000kW、1,000kW~・イタリア)漸次的に売電単価が低くなるようにしている国もあります。

そんな中で10kW未満と以上が変わらない単価、しかも、10kW以上の方が「20年間全量の売電」と、有利であった昨年7月以降の固定価格買取制度はかなり特異であったと言えます。