トリナ・ソーラー、2014 年第 2 四半期の業績

トリナソーラーが2014年の第2四半期の決算報告を発表しました。

リリースの全文はこちらでご覧になれます。(英文)
ここでは抜粋内容をご案内します。

トリナ・ソーラー、2014年Q2の主な決算データハイライト

2014年第2四半期は、パネル供給量(出荷量)自体は増えたものの、価格設定の安い中国での出荷量が多くを占めたこと、営業利益率が減ったことなどから純利益は減ったようです。
決算報告の中で重要そうなところをピックアップしています。さらに第一四半期との比較を括弧内に記載します。

  • モジュールの出荷量 943.3MW(前期558.0MW/+69.1%)
  • 純収入 519.4 百万ドルで(+16.8%)
  • 純利益 10.3 百万ドル(-61.1%)

2014年後半の見通し

年末にはインゴット生産からモジュール組立までの全体の生産能力を引き上げ、現在の3.6GW/年(モジュール)から3.8GW/年にする計画。
第3四半期と第4四半期の出荷量はそれぞれ1.06GWと1.12GWを見込んでいます。

カナディアンソーラーの2014年Q2業績発表

カナディアンソーラーは2014年第二四半期における業績を発表。

モジュール出荷量は646MW(第一四半期の500MW、今期目標値である600~630MWよりも多い出荷量を上回る)
純収入6億2,380万ドル(第一四半期の4億6,630万ドル、今期目標値である5億6,000万~5億9,000万ドルを上回る)

本国カナダではSamsungと提携した発電事業なども計画されており、好調な様子です。

さらに詳しい業績報告はリリースをご参照ください

レネソーラQ2決算発表、黒字に転換

日本にも進出を果たしているレネソーラが今年の第二四半期の決算を発表。株主帰属の純損益が75万7,000ドルの黒字となりました。

前年の同期が2,110万ドルの赤字でしたが、コスト削減で業績が転向、売上高は2.6%上がって3億8,710万ドル。

第3四半期の出荷量は530~550MWで、第2四半期498.7MWからは拡大の見通しだということ。

参考

Qセルズ、2014年上半期は欧州メーカーとして最大の出荷量を達成し、生産設備の拡大を計画

人気の高まりが日本の市場でも感じられるQセルズ、2014年上半期の業績発表を行い、欧州のパネルメーカーとして最大規模の539MWを出荷したと発表。

前年(同期320MW)比で68%増の好成績で、これを受けてQセルズはマレーシア工場の製造ラインを拡大、さらに生産オペレーションを改革することで、今年の末までに年間の生産能力を1.5GW(1500MW)にまで引き上げる計画を明らかにしています。

Qセルズはマレーシアの工場で、主に高性能の太陽光セルを製造、ドイツの工場でモジュール組立を行っています。
今年の1月にはマレーシアのセル工場を204MW増設し、6月末には新製造ラインが完成したのだそう。
2013年の時点ではセルよりモジュールの比率を高める計画でしたが、ちょっとした方向転換があったのかと予想しています。)これを含めて、マレーシアでは年間生産規模が1.1GWに増加。

同時にドイツとマレーシアのそれぞれの現場チームの協力体制を強め、生産時間の短縮や効率化などを含めた改善プランをもとに各製造ラインのオペレーション能力を高めているといい、2014年中に現在の製造ラインの処理能力をマレーシアは1,100MWから1,300MWに、ドイツは200MWから230MWまで高める予定だということ。

「より高品質なパネルを増産できる生産体制に移行する」と発表しており、今後日本でもQセルズの製品がより身近になりそうな気がしますね。

リリース
参考

モジュール供給量ではトリナソーラーがインリーに追いつく勢い

四半期ベースでのパネル供給量争いでシャープが2009年以来初の一位奪回というニュースをお届けしましたが、すぐに一位の座を明け渡すことになりそうです。

NPD Solarbuzzのアナリストによると、第2四半期はトリナソーラーインリーソーラーを抜かし、初めて四半期で1GWという大台記録を更新する模様だということ。

トリナソーラー2012年には3位2013年には2位とシェアを伸ばしています。

日本でもインリーソーラーよりもトリナソーラーの知名度のほうが若干高い気もします。

参考

2013年のパネル供給量トップ10メーカー

世界の太陽光発電市場において、パネルの供給量ラインキングトップ10が公表されていました。

Solarbuzz_TOP10_MODULE_MANF_LIST_2013

先日シャープが、2014年第1四半期において世界一を奪回しましたが、2013年のシェアでも順位を3つ上げて3位にランクインしています。
また京セラも、5つ上がって9位に。
日本の市場が拡大したことが大きな要因となっているようです。

2012年と同じくインリーソーラーが1位

インリーソーラーが1位を保ったほか、トリナソーラーカナディアンソーラージンコソーラーレネソーラJAソーラーハンファソーラーワンと、10分の7が中国に生産拠点を置くメーカー。
2012年は上位10社のうち6つが中国メーカーだったので、さらにシェアを拡大してきている印象です。

7位のファーストソーラーはアメリカ最大級のパネルメーカーで、最近進出を果たした日本での活躍が期待されるメーカーです。
8位のハンファソーラーワンは韓国ハンファグループのパネルメーカーですが、製造拠点は中国。わざわざ「ハンファソーラーワン」と書いてあるので、同じくハンファに買収されたQセルズ(ドイツ)の供給量はここには含まれていないと考えられます。

上位メーカーの全体に占める割合が増加

2013年、上位10社の供給量が昨年と比べて40%増えたのに対して全体の増加分は20%。
これは、上位10社のシェア率がより高まったことを意味します。
1位のインリーソーラーは単年で供給量が3GWを超えるという、世界初の成績を出しています。

8社が2012年と同じ顔ぶれ

10社中8社が2012年と同じメーカーでした。
昨年ランクインしていたサンテックとサンパワーレネソーラ京セラに変わっていますが、サンパワーは日本では東芝シャープにOEMでパネル供給しているため、”ブランド名”としてのシェアではなく、実質的なパネル供給量という意味では余裕で10位に入るのではないかと思います。

参考

シャープのシェア1位奪回、サンパワ―とのOEMが功を奏す

太陽光発電業界の市場リサーチ・分析を行っているsolarbuzzによると、2014年の第一四半期においてシャープの太陽光発電のパネル供給量が700MW以上をマーク、世界一位になったそうです。(参考

シャープは1963年から2008年の45年間もの間PV業界のリーダーの座を維持してきたそうですが、2009年以降は一位の座をFirst Solarと中国ベースのPVメーカー(複数社)に奪われていました。
2014年第1四半期び一位奪回は、2009年第4四半期以来の快挙だということ。

とはいえこの功績は、シャープのブランド名の強さは証明したものの、他社の生産力に頼りながら成し遂げたものであると言えそうです。

image via SOLARBUZZ

image via SOLARBUZZ

シャープは2012年12月、サンパワーとのOEM契約によりシャープブランドでのサンパワー製品の販売を開始すると発表しています。

グラフを見てみると、この発表のすぐ後である2013年第1四半期の供給量が大幅に伸びており、この時期には世界2位を取っています。
伸び幅分全部とは言えないまでも、多くの部分をサンパワーからのパネル供給に負っているとも考えられます。

SOLARBUZZも、シャープのアウトソーシング戦略が一位奪回の直接的な要因となったとしています。

アナリストRay Lian氏は

”ファブライト”と呼ばれる、自社の生産能力と外部調達を効果的にコントロールして短期的な商機の変化に対応するビジネスモデルの有効性を証明することにもなった。このファブライトモデルは現在、業界大手の垂直統合企業数社に採用されている

としています。

日本での需要拡大と、このファブライトモデルで中国や台湾の企業からの外部調達を活用したことが、シャープのブランド力の強さと相まった結果とみることができます。

NPD Solarbuzzによると、シャープは従来、自社でセルやモジュールを生産する垂直統合型を採用していたということ。
しかし近年は「主に中国や台湾を拠点とするパートナー企業に生産を外部委託しており、Sharpはモジュール販売に重点を置くようになっている。」としています。

シャープは生産国のみ公開していますが、サンパワーのOEMである「NB-245AB」はフィリピン、それ以外のモデルは日本で生産ということになっています。
これはNPD Solarbuzzの分析内容と、少し食い違っているような気もしますが、「原料などの調達先は非公開」ということなので、台湾や中国などの工場からセルなどは輸入し、モジュール組み立ては日本の工場で行っている、という考え方が一番自然かと思います。

さて、これをどう締めくくるべきか迷いますが、とにかくシャープブランドの強さは健在ですし、ブランド名を汚さないためにも、OEM契約先や原料供給先も慎重に選んではいると予想できます。なので、この功績を評価してやはりシャープを選ぶ、という選択も、もちろんありだとは思います。

しかし、「パネルの生産体制」という面で見た時、大手で唯一国内工場での一貫生産を続けているソーラーフロンティア、マレーシアに生産拠点を移して価格を抑えながら、自社での一貫生産体制を行うパナソニックなど、生産体制の透明性がより高いブランドを評価したいという方にとって、世界一位であってもシャープは魅力に欠けて映るのも、無理はない話です。

製品の詳細・価格などは「シャープの太陽光発電」でくわしくご案内しています。

トリナ・ソーラー2013年Q4決算報告、前年度から大幅に出荷量増加

トリナソーラーが2013年の第4四半期の決算報告を発表しました。

リリースの全文はこちらでご覧になれます。
重要そうなところだけ抜粋してご案内していきます。

トリナ・ソーラー、2013年Q4の主な決算データ

決算報告の主なデータです。括弧内は前期2013.Q3との比較です。

  • モジュールの総出荷量770.1MW(-4.5 MW)
  • 売上高52,560万ドル(-4.1%)
  • 売上総利益7,910万ドル(-5.2%)
  • 営業利益1,410万ドル(+133.8%)

第4四半期は第3四半期と比べると若干伸び悩んだものの、営業経費の削減により利益率が上がっています。
通年で見ると、2012年から大きな伸びがみられました。

トリナ・ソーラー、2013年の主な決算データ

決算報告の主なデータです。括弧内は前期2012年との比較です。

  • モジュールの総出荷量およそ2.58 GW(+0.99 GW)
  • 総売上高17.7億ドル(+36.9%)
  • 売上総利益21,820万ドル(+281.2%)
  • 営業損失4,380万ドル(-83.5%)

2014年はこんなトリナソーラーに期待

トリナソーラーはオーストラリア国立大学(ANU)とともに2年間かけて研究を行っていた高効率のバックコンタクト方式における太陽電池開発したのだそう。
ドイツのFraunhoferCalLabによる試験では効率24.4%(セルあたり)という性能が確認されたこのバックコンタクト方式の太陽電池を、2014年は現在の生産ラインで試験生産を行っていくということです。
バックコンタクト方式は米サンパワーが初めて開発した技術で、日本メーカーだとシャープのブラックソーラーなどにも採用されています。

トリナソーラーの製品は安さが大きなメリットですが、変換効率は標準レベルといったところでした。
バックコンタクト方式のパネルがいざ量産体制に入ったら、またトリナソーラーの魅力が上がりそうですね。

2012年はインリーソーラーが供給量で1位に

IHSの発表によると、

サンテックを抜いて1位に躍り出た中国のインリーは、一昨年から43%の伸び。それに対してサンテックは製造拠点の閉鎖などで順位を大きく落としたのは、誰もが想像していた事だと言います。

ファーストソーラー、サンテック、シャープは10位以内に入ってはいるものの、出荷数では一昨年を下回っています。

この10位以内に入ったメーカーの中でヨーロッパの会社はRECのみ。

しかし中国の競合メーカーにひけ劣らない31%という高成長率を見せています。

 

solar02

 

全体でみると上位10位の全体に占める割合は2011年の46%から下がって40%。

日本国内の需要の大きさは、日本のメーカー京セラソーラーフロンティアの成長を促したとも言います。

順位にして、ソーラーフロンティアは2011年の14位から2012年は11位に、京セラは17位から12位に伸びています。

国内需要の拡大は2013年も続く事が予想されますが、対する中国メーカーRenesola、AstronergyHareon SolarそしてJA Solarも出荷数を伸ばしており、隣国の日本もおちおちしていられない??

ヨーロッパの少数国が大半の需要を担っていた2011年の状況から世界的に需要が拡大するにつれ、メーカーも他地域進出の傾向が大きいです。

参考