2013年版・世界の太陽光発電設置量まとめ

EPIA(European Photovoltaic Industry Association/欧州太陽光発電工業協会)による、2013年・世界の太陽光発電の設置量に関するレポートが発表されたので、まとめてご紹介します。

合計37GW、トップは中国/日本は2位!

2013年の世界的な太陽光発電導入量の合計は37GWにのぼりました。
昨年の29.9GWから大幅に伸びています。
ちなみにNPD Solarbuzzによると、2014年はさらに49GWに増えると予測。NPD Solarbuzzは、2013年に関しては36GWとかなり近い予測を出していました。(参考

1位は中国で、2013年中に11.3GWを設置。累積では18.1GWに成長。
日本は2位で6.9GW、次いでアメリカ4.8GW。


ヨーロッパではドイツが首位

前年の導入量から半分以下に落ち込んでいるものの、ヨーロッパの地域内では変わらずドイツが市場を先導しているということ。2012年に7.6GWだったのに対し、2013年は3.3GWでした。

ドイツに続いて4国が1GW前後をマーク。
イタリア(1.1〜1.4GW)、イギリス(1〜1.2GW)、ルーマニア(1.1GW)、ギリシャ(1.04GW)

2012年調子が良かったフランスベルギーデンマークなどは、2013年は制度改正などでふるわなかったよう。


アジアが市場先導を奪回

長年ヨーロッパによる市場のリードが続いていましたが、2013年はアジアが10年ぶりに市場を先導しました。
中国、日本の導入量の伸びが大きく貢献したようですが、インド(1.1GW)、韓国(442MW)、タイ(317MW)も順調に伸びているということです。


電力ミックスにおける太陽光発電

ヨーロッパ全体で太陽光発電の2013年中の導入量は9,621MW(約9.6GW)。一位の風力発電(2013年に欧州計で約10.1GW)と合わせて成長が続いている。

発電量にして、太陽光発電は電力需要の3%、ピーク時の需要においては6%をカバーするまでに成長したという。

逆に、石油、石炭、ガスなどの火力発電は軒並み発電容量を減らしており、再生可能エネルギーの割合が増える電力市場においてグリッドシステムの成長がさらに需要になってくる。


「ルーマニア・2016年には太陽光発電が原子力発電を上回る」・日本では??


「ルーマニアが成長市場か?」という記事を前にご紹介しました。このGTMリサーチの記事では、「ルーマニアのような小国が太陽光発電に優遇制度を与えるときは、それが経済的に可能かどうか慎重に進めるべき。そうでないとチェコのようにすぐにそれを撤回しないといけない、などという事態にもなりかねない。」という内容が書かれていました。

しかしこんな意見はなんのその。今月19日の発表では同国のエネルギー規制局が、太陽光発電の導入見込みを
「今年中には50~100MW、来年中に500MW~1GW、2016年には1.5GWを上回る」
と発表しています。

今年もあと1か月ちょっとしかない状況で、目標導入量に50MWの差があるという事に、この見込みがどれほど的を得ているのかどうかが伺える気もしますが、とにかくこの2016年の1.5GWというのは現在稼働中の原子力発電所の発電量(2基で約1.4GW)に相当するという事で、分かりやすい目標という事でこの数字を持ち出しているような気もします。

すでに風力発電では1GWを超し、「風力発電が最大限に達した今、太陽光が最高の投資機会を提供している」という意見を同エネルギー規制局の長官が出していて、韓国のサムスンなども合計45MWの太陽光発電所の建設を建設していたりと、欧州内外から注目が集まっているという事です。

果たして同長官の言う「2020年までに20%を再生可能エネルギーで供給する(現在は8~9%)」という目標は達成するのか、楽しみですね。

ちなみに日本で稼働中の原発は現在は2基で2GW程度。対して太陽光発電は約6GWの累計導入量なので、このまま原発が稼働再開しなければルーマニアの目標とする「原子力同等の出力」は既に達成しています。
ただ全体的な割合で見ると、まだまだ存在感は薄い様子。
ちなみに消費量ベースでは現在0.6%程度です。(総電力消費量10,000億kWhのうち、太陽光発電6GW/年間約60億kWhで計算)

参照

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ルーマニアは次の成長市場?

日本やインドなど明らかな成長市場を尻目に、ルーマニアが密かに注目を浴びているようです。
GTMリサーチでは今年初めに日本の太陽光市場の急速な成長を予想し、またラテンアメリカや中東、北アフリカの市場を含む市場予測を今年出す予定ですが、中でも特にこれからのルーマニア市場について”注意”していきたいとのこと。

ルーマニアはドイツと同レベルの日射量が得られるそうです。特に黒海に近い地域に多くの日射量が期待できるようです。

隣国のウクライナにはオーストリアの”アクティブソーラー”が、黒海に突き出たクリミア半島と黒海沿岸のオデッサに合計300MW弱のメガソーラーを建設していましたね。

このルーマニアで近年再生可能エネルギーが盛んに導入され始めたのはEUの排出量削減目標の達成のために導入された政策のためです。
例えば2009年時点で系統に連結された風力発電は15MW以下であったのに対し、同年4月に決定された法により20億米ドル近くが投入され、この3年で1GW以上が建設されています。

そして今年の4月に批准された再生可能エネルギー法の緊急規定により、太陽光発電の市場も炸裂するだろうという事です。

現時点で最大の太陽光発電所は国内のデベロッパーであるFomco Solar Systemsが建設した2MWの施設ですが(中国製のZNShineパネル)今年10月だけでも以下のプロジェクトが発表されています。

  • Hareon Solar Technology: 122MW
  • Aion Renewables: 80MW
  • CEED & ePD: 48MW
  • Samsung Group: 45MW
  • EDP (total of four): 38MW
  • Espero: 20MW

つまり、デベロッパーにしてみれば魅力的に見える市場でも、GTMリサーチからすれば、思いがけない(しかしすでに前例もあり、確実に落ちる事となりそうな)落とし穴があるという考えのようです。

ルーマニアの太陽光発電協会などによると、合計520MWのプロジェクトが系統への連系を承認され、さらに1200MWが承認待ちの状態だと言います。
GTMリサーチは、2011年までに5MW以下の導入量であった事実も踏まえ、現状維持の状態であれば、今年中に50MW、来年にさらに320MWの導入量であると予測しています。
GTMリサーチのアナリストAndrew Krulewitzによれば、
「チェコで起こったように、政府は経済的に無理な約束をして、それを撤回せざるを得ない事態にもなりかねない。」
とのこと。

ルーマニア政府がギガワットレベルの市場を維持できるとは思えないし、再生可能エネルギーの促進プログラムも約束の時期を満たずに撤回することになりそうとのことです。

カナダのオンタリオ州やスペイン、イタリア、チェコ共和国でも過去に、一時的な市場の急上昇のすぐ後に市場規模を縮小し、業界の崩壊や破綻を招いたことから、ルーマニアのような小国での市場の成長は注意しながら見る必要がある、という事ですね。

参照元