オーストリア、2020年までに8%の目標は射程圏内

オーストリアでは、2013年のうちに250MW強の太陽光発電の設置を見込み、累積で612.9MWになると発表されました。

目標では2020年までに、8%の電力需要を太陽光発電から供給できるまでの容量を確保するとしていますが、この調子で行けば目標を達成できそうだということです。

参考

各国の太陽光発電累積設置量・最新情報

各国の導入状況が発表され次第、随時更新していきます。参考までに各国の総電力需要に占める太陽光発電の割合も併せて掲載しています。なお、地域によって太陽光発電の設備利用率は異なりますが、平均的な設備利用率が把握できる国については表中の数字を使ってご案内しています。それ以外の国については日本の設備利用率13%(1kWあたりの年間発電量1140kWh)で計算してご案内しています。

国名 累積設置量 国の電力需要(MW) 設備利用率 太陽光割合 データ更新月 URL
中国 43,530 MW 5,463,800,000 16% 1.1% 2015年12月 参考
ドイツ 39,700 MW 582,500,000 11% 6.6% 2015年末 参考
日本 34,347 MW 859,700,000 13% 4.6% 2015年12月 参考
アメリカ 25,910 MW 4,686,400,000 17% 0.8% 2015年12月 参考
イタリア 18,920 MW 307,200,000 8.0% 2015年12月 参考
フランス 6,580 MW 462,900,000 14% 1.5% 2013年6月 参考
スペイン 5,440 MW 249,700,000 16% 3.2% 2015年12月 参考
オーストラリア 5,093 MW 2015年12月 参考
インド 5,048 MW 938,823,000 19% 0.9% 2015年12月 参考
イギリス 3,510 MW 323,300,000 10% 2.5% 2015年12月 参考
韓国 3,421 MW 2015年12月 参考
ベルギー 3,250 MW 84,780,000 4% 2015年12月 参考
ギリシャ 2,610 MW 59,530,000 7.4 % 2015年12月 参考
カナダ 2,500 MW 2015年12月 参考
チェコ 2,085 MW 59,260,000 3.5% 2015年12月 参考
オランダ 1,570 MW 112,500,000 1.2% 2015年12月 参考
タイ 1,444 MW 2015年12月 参考
台湾 1,176 MW 2015年12月 参考
南アフリカ 1,122 MW 2015年12月 参考
パキスタン 1,000 MW 2015年12月 参考
オーストリア 937 MW 65,670,000 12.7% 1.5% 2013年11月 参考
イスラエル 870 MW 2015年12月 参考
チリ 854 MW 2015年12月 参考
デンマーク 789 MW 32,070,000 10.8% 2.3% 2015年12月 参考
ポルトガル 454 MW 48,270,000 14.5% 1.2% 2015年12月 参考
アルジェリア 300 MW 2015年12月 参考
メキシコ 205 MW 2015年12月 参考
スロベニア 195.6 MW 14,700,000 1.5% 2012年11月 参考
フィリピン 156 MW 2015年12月 参考
サウジアラビア 100 MW 2015年12月 参考
ブラジル 69 MW 2015年12月 参考
アラブ首長国連邦 24 MW 2015年12月 参考
エジプト 16 MW 2015年12月 参考

イタリア、ドイツは全体から見た割合も高く、「太陽光先進国」と言われるだけあります。
チェコも、経済的に無理をしてでも導入促進をしているだけあって、割合的には日本を大きく上回っています。

ドイツなど・グリッドパリティ達成(太陽光発電のコストと一般電気料金が同等に)

グリッドパリティとは

ヨーロッパのエネルギー関係企業や施設などが参加するPV parityプロジェクトが発表したところによると、ドイツ南イタリアオランダそしてスペインで、太陽光発電のコストが住宅用の電気料金と同等になったそうです。
これに次いで北イタリアポルトガルオーストリアが2年以内にグリッドパリティを達成すると予想されています。

さらに10年後には目標とする11か国(上記の他に、ベルギー、チェコ、フランス、ギリシャ、イギリス)すべてでグリッドパリティになると言います。

先週には国際再生可能エネルギー委員会(IRENA)が、「太陽光モジュールの急速な価格低下により、世界の複数の地域で、近日グリッドパリティの達成がみられる」という発表をしていました。

いよいよここからが注目したいところですね。

グリッドパリティを達成するとつまり、電力会社から電力を購入するよりも太陽光発電を導入したほうがおトクという状態になるので、補助金なしに自然と普及が進む状況になったと考えられます。

グリッドパリティ達成後、太陽光発電の普及がどれくらいのスピードで成長するのか、あるいはしないのか。
日本も数年後には同じ状況になることが大いに考えられるため、ヨーロッパの状況がさらに気になるところです。

原子力発電所を太陽光発電所に・オーストリア

オーストリア東部のツベンテンドルフにある原子力発電所は、完成したものの一度も使われなかったという施設。
なぜなら1978年、国民投票で原子力発電所の廃止が決定されたからということで、今回この施設を利用して市民が出資した太陽光発電が行われることとなりました。

この土地に1,000枚のパネルを設置するという事で、市民は1枚当たり3万円を出資し、13年間所有権を得ます。
パネル所有者には電力会社によって借用料が支払われ、13年間で1枚当たり約9,000円の利益になるということ。

13年かけて9,000円なんて大した額ではないけれど、市民にとっては原子力発電が行われるはずであった土地で太陽光発電をするという事、そして自分がその活動の一部として参加したということに意義があるのでしょうね。

オーストリアの電力消費量は67,101MW(日本の16分の1)でそのうち火力発電24,379MW(36%)40,678MW(60%)という状況(参考)。
オーストリアの累積設置量が出てこなかったのではっきりとは言えないのですが、原子力発電が”0″という事は、残る約2,000MWが再生可能エネルギーという事になるのでしょうか?

オーストリアは今年9月に、500kW以上の大型プロジェクトへのFiT適用を廃止し、その代わり市民レベルの設置(屋根据置型やビル、公共施設への設置など)を促進していくという政府の意向を発表しています。
財源が限られている数社の太陽光発電所運営企業ばかりが利益を得ることを割けるためとしています。
“とにかく設置量を増やせられればよい”のではなく、より多くの国民でこの利益を享受できるような配慮と、市民レベルで目標を成し遂げられるという政府の国民に対する信頼が、とても好感を持てますね。

今回のニュースからも、オーストリア市民の環境意識が高さが伺えます。