福島県、農地転用の規制緩和

農地を利用して太陽光発電を行う際に問題となる農地転用規制。

福島県の東京電力福島第一原発事故で住民が避難した地域においては、第1種農地の転用を条件つきで認めるという発表がありました。

福島県以外の土地に関しては、現在は農電併業(営農型発電設備、いわゆるソーラーシェアリング)という形でのみ許可が出ていました。つまり、農業を続けながら発電事業を行うというもので、農作物の発育に影響を及ぼさないことを条件に一時的に許可する、というものでした。

福島県の避難地域においては、よりこの条件が緩和されると予想されます。

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横浜市、下水処理施設での太陽光発電事業は市と共同で

神奈川県は再生可能エネルギーに関する事業が盛んな自治体のひとつ。
横浜市は国から「環境未来都市」にも選定されています。

今回横浜市が発表した「神奈川水再生センター太陽光発電モデル事業」は、単に自治体の施設の屋根上を貸し付けるだけの屋根貸し事業にとどまらず、横浜市と共同で事業行う民間企業の公募を行うもの。
役割分担もはっきり提示されており、この協定に従って事業者を選出。そのなかでも、売電収益の一部としての横浜市への納付額が最も高い民間事業者を共同事業者として選定するそうです。

横浜市の側で太陽光発電設備の設置・管理に必要な導線等の環境整備などを行う事もあり、単に屋根を貸す以上に市政に経済的な恩恵をもたらす事業になり得ます。

建設地は横浜市神奈川水再生センターの6系水処理施設及び雨水滞水池の上部、約10,000平方メートル。
滞水池の上部ということですが水上の太陽光発電というわけではなく、ちゃんと屋根の付いた土地への設置のようです。
yokohama

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コーナン商事のソーラーフロンティアパネル屋根上メガソーラーを”ちょっと深読み”

ソーラーフロンティア日本政策投資銀行の共同投資会社設立についてのニュースを以前おとどけしましたが、その共同投資会社「SFソーラーパワー株式会社」がコーナン商事株式会社の物流倉庫の屋根上を借り受け、メガソーラーを設置するというニュースが発表されました。

コーナン商事が所有する「貝塚流通センター(第1倉庫)」と「貝塚流通センター(第2倉庫)」の屋根にそれぞれ1.9MWと0.9MWのソーラーパネルを設置し、来年8月の稼働を目指しています。

このニュースで注目すべきところは、「倉庫の」「屋根に」「メガワット級の」「CIS太陽電池」を載せるというところ。

ソーラーフロンティアは、自社の生産拠点の工場屋根にもメガワット級の太陽光パネルを載せていますが、今回載せるのは倉庫屋根で、生産工場と比べても強度に劣ると予想できる設置環境。

倉庫の屋根などは十分な強度が無く、フジプレアムなどではそうした環境にも適応するよう軽量モジュールも開発しています。
ソーラーフロンティアも軽量パネルSolacis Neoを発表していますが、容量とソーラーパネルの枚数から計算すると、コーナン商事のメガソーラーでは通常モデルのCIS太陽電池160〜170W程度のものを使用すると予想されます。

CIS太陽電池は一般的なシリコン系太陽電池と比べても重量があるパネルですが、キロワット単価も低く、実発電量が多いため、売電収入で利益を上げやすい選択肢と言えます。しかもコーナン商事では屋根上に設置するということで、地上設置に比べても建設費が低く抑えられる可能性が高いです。
屋根に与える負担についての問題さえクリアできれば、かなり採算性が高いと考えられます。

ソーラーフロンティアはこのプロジェクトを期に、屋根上での大型プロジェクト受注の可能性を広げる事が予想されます。

参考

【関連ページ】
10kW以上、産業用太陽光発電の価格について
ソーラーフロンティアのメーカー詳細と今月の価格相場

NEDO、太陽光発電の設置場所を拡大するための実証実験を開始

水上の太陽光発電堤防の法面を利用した太陽光発電など、限られた土地を有効活用した太陽光発電事業をこのニュースでもいくつかお届けしていますが、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、太陽光発電の設置場所の多様化に向けた実証事業を始めると発表しました。

「太陽光発電多用途化実証プロジェクト」と称するこのプロジェクト、具体的には太陽光発電の設置場所として有効活用できるのに、設置費用など課題がまだ大きい分野に対して障壁を減らしていくための研究に対して共同研究先の法人を採択、NEDOが費用の3分の2を負担する。
2013~2015年度ので、総事業費は約22.5億円。NEDOの負担率は3分の2。

採択した研究事業と共同研究先、研究内容の一覧

  1. 低反射環境配慮型壁面太陽光発電システムの開発/株式会社カネカ
    ビルの壁面への導入に関して、周辺住宅への太陽光反射を抑制した低反射防眩型太陽電池モジュールと設置技術の開発
  2. 低コスト太陽光追尾システムの農地での有効性実証/ダイキン工業株式会社
    農地やビニールハウス等への導入に関して、空気圧駆動式太陽光追尾装置による発電量向上化を低コストで実現、空気圧アクチュエータのダンパー機構により、強風を自動で受け流す機能を付加する
  3. 強度の弱い畜舎向け軽量発電システム開発/株式会社オルテナジー・旭硝子株式会社
    畜舎屋根への設置に関して、耐アンモニアガスを有する軽量部材による屋根面を加工なしで取付可能な架台と、軽量太陽電池モジュールの開発
  4. 太陽電池屋根設置型ビニールハウス植物工場化プロジェクト/ユニバーサリー電工株式会社
    ビニールハウスへの設置に関して、ビニールの撤去・被覆作業時に太陽電池の移設が必要なく、風雨にも強く発電効率のよい太陽電池の設置方法を開発
  5. 簡易的太陽追尾型太陽光発電システムの営農型発電設備への応用開発/伊藤電工株式会社
    営農型発電設備において、発電量向上と低コスト化を兼ね備えた太陽2軸追尾方式のシステムを開発
  6. 傾斜地用太陽光発電システムの実証/株式会社NTTファシリティーズ・株式会社アドテック富士
    多様な形状を有する傾斜地に対し、重機を使わず軽作業で可能な基礎架台技術や、太陽電池の自動取り付けを可能とする自動施工装置といった施工技術を開発
  7. 傾斜地における太陽光発電設置のための小径鋼管杭工法の開発・実証/奥地建産株式会社
    多様な形状を有する傾斜地に対し、架台をユニット化し、半完成品状態で工場出荷、現場にて取付施工する低コスト化を目的とする施工技術を開発
  8. 未利用水面を活用した浮体モジュールの開発及び導入実証/コアテック株式会社
    水上(淡水)において耐候性の高い浮体一体型太陽電池モジュール化技術、運搬・設置・撤去等のメンテナンス性を考慮した構造設計技術等を開発
  9. 海上・離島沿岸部太陽光発電プロジェクト/株式会社シリコンプラス
    水上(海水)において耐塩水に優れた太陽電池モジュール技術、及び電力安定化のためのシステム設計技術等を開発
  10. 鉄道線路内太陽光発電/株式会社フルーク
    鉄道線路内に太陽電池パネルを配置した発電システムの検討、導入先としての可能性を調査
  11. 耐洪水対策の特種架台の設計及び施工方法の検討/株式会社Aースタイル
    河川敷での導入に関して湿地特有の足場の悪い場所での施工技術の検討、課題抽出などを行い、導入先としての可能性を調査
  12. コミュニティ型ベランダソーラーの研究開発/みんな電力株式会社
    集合住宅ユーザー開拓を目的としたベランダ設置を想定し、発電した電力の利用形態や系統連系時の課題等を調査し、ベランダ設置型システムの仕様を検討

研究機関となっている2015年度の終わりには、これらの場所においての設置はどれくらい現実的になってきているのでしょうか。楽しみですね!

参考

秋田県の廃棄物処理場メガソーラ―は”故意的な無駄”で採算性を上げる

秋田県秋田市の総合環境センターという一般廃棄物処理場で太陽光発電を行うプロジェクト。

設備利用率の低い地域」である上に「積」もあり、「地盤の問題もある最終処理場跡地」という、太陽光発電には決して向かない地域で、どうしたら採算性の高い太陽光発電事業ができるかという、課題が盛りだくさんのこのプロジェクト。
公募型プロポーザル方式で見事選ばれた、東京センチュリーリースとJFEエンジニアリング、瀬下建設工業からなる企業団体によるこの事業での解決策は、「過積載」という方法でした。

過積載について

EPC(設計・調達・建設)サービスを担当したJFEエンジニアリング・発電プラント事業部の渡部朝史氏によると、やはりこの公募条件はかなりハードルが高かったそう。

設備利用率の全国平均と言われる12%ですが、ここでは「秋田市の場合、逆に設備利用率は11%を超えるのがやっとと見込まれた」とされています。

実際の稼働発電所の発電量および設備利用率を見てみても、秋田県は全国最下位の10.30%となっています。

このプロジェクトでは、最大出力1.5MWのパワーコンディショナーに対し、最大出力2.2MW分のソーラーパネルを設置しました。

「もう一台PCSを増やして容量を1.98MWにすれば売電量は多少増えるが、設備コストが上がってしまう。費用対効果のバランスを何度もシミュレーションしていまのPCSと太陽光パネルの出力に決めた」

という渡部氏のコメントにもあるように、パネル容量がパワコン容量の1.47倍とかなり出力差が大きいものの、この事業においてはこのバランスがいちばん採算性が高いと判断されたようです。

積雪対策としては、パネルを30度に傾けて設置し、パネルの最低地上高を1.5mまで上げたということ。朝夕に影が長くなることで後列のパネルに影がかかってしまうのだが、地面に近いパネルの1列には影がかかることを前提に設計し、地面に近いパネルだけ束ねて平行に直列配線して1つの回路にすることで、影がかかっていないパネルが影がかかるパネルの影響を受けないようにしたのだそう。

パネルの過積載や、影がかかるパネルをあえて作るこのメガソーラー、通常のメガソーラーと比べて無駄に見える部分が多いとはいえ、採算性を考えるとこうした無駄も必要ということですね。

ちなみにパネルは「韓国ハンファグループ製」とありますが、パネルの型番は公表されていないため、ハンファQセルズのものなのか、ハンファソーラーワンのものなのかは分かりません。同じハンファソーラーでも買収される前のブランドの性質が全く違い、価格も大きく違います。

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羊の次は「エミュー」メガソーラーの”エコ除草”

日本毛織(ニッケ)のメガソーラーの羊による除草の次は、大分石油株式会社のエミューによる除草のニュースです。

ソーラーフロンティア製パネルを使用した1.102MWのメガソーラー「久兵衛2号発電所」では、”エコ除草”と称する施設管理がユニークで、エミュー6羽、ヤギ2頭を使った除草を実施。
除草に関わるメンテナンス費を削減できるメリットの他に、除草作業を無くすためのコンクリート基礎の弊害である温度上昇による発電量の低下といったデメリットも回避でき、さらに成長したエミューは食肉として販売する事も考えているといいます。
しかもメガソーラーの間から動物がひょっこり顔を出すことで癒し効果といった意外なメリットも。

そういえば、草食動物でおとなしくて比較的飼いやすいとされるアルパカも、毛を販売できるメリットもあって、適しているのではないでしょうかね?
ちなみに米国では酪農との兼業も進んでいるというニュースもありました。
メガソーラーと草食動物の組み合わせ、今後も増えていくと、ほっこりしていいですね。

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太陽光発電企業”エクソル”でサンパワー製パネルが買えるんですね!

今年6月にグリーンテック株式会社から現在のエクソル(XSOL)に社名を変更した太陽光発電業者、株式会社エクソルですが、産業用の太陽光発電施設の施工販売や、住宅用の太陽光発電の施工販売を行っています。
そして、自社でもメガソーラー事業を始めたというニュースが相次いで出ています。

岩手県北上市、と千葉県八街市にそれぞれ1.99MWの規模のメガソーラーを建設、独立系発電事業として運営(要するに売電事業)していくということです。

岩手県北上市では、セシウム風評被害による遊休牧草地の有効活用として10,000坪(約3.3ha)の土地を賃貸し、サンパワー製モジュールを使用するという事。パワーコンディショナーはXSOLで独占販売しているKACO社製ということです。
来年度4月の稼働開始予定です。

また千葉県八街市のメガソーラーは所有する8,067坪(約2.7ha)にカナディアンソーラー製のパネルを設置。同じくKACO社製のパワーコンディショナ―を使用します。
来年度5月の稼働開始予定。

エクソルは、売電事業および、自社製品の試験場として活用する目的で、来年度の5月までに合計30MWの太陽光発電施設の建設を計画しているということです。

(余談的な扱いになってしまいましたが)タイトルの話題で、XSOLでは住宅用の太陽光発電の施工販売も行っていますが、現在は東芝三菱、カナディアンソーラーの3メーカーの取扱いになっています。
一方産業用ではサンパワー製のパネルを販売しています。

東芝のパネルはサンパワー社製のパネルのOEM製品ですが、サンパワーとの直接の取引がありながら住宅用では東芝製として提供するのは、一般消費者の間ではサンパワー社の知名度がまだまだ高くないことからでしょうか。それとも、東芝ブランドとして提供する方が保証などのサービスが充実するというようなメリットがあるからでしょうか。

大和ハウスグループ、和歌山市最大(20MW)のメガソーラーを建設

大和ハウスグループの3社、大和ハウス工業株式会社と大和リース株式会社、そして株式会社ダイワサービスが共同で、和歌山県に県内最大のメガソーラーを建設すると発表しました。

和歌山県和歌山市の、関西国際空港の土砂採取事業跡地約35.8ha(358,000㎡)を市から借り受け、そのうち約25haに約8万枚・20MW分のソーラーパネルを設置するということ。
名称は「DREAM Solar(ドリームソーラー)和歌山市加太」。DREAMは、「Daiwa House Group」「Renewable」「Energy」「Asset」「Management」の頭文字から取られています。

来年6月の着工、平成28年3月に完了し、4月には稼働開始予定。

全量を関西電力に売電されたのち、その金額の3%を市に還元、和歌山市ではその収益を、市内の公園・緑地整備やLED街路灯の設置などの環境事業に活用する予定だそうです。

また発電所内には見学スペースが設けられ、小中学生に向けた環境授業等に役立てられます。
さらに、可搬式のリチウムイオン蓄電システムに太陽光パネルを連携させた電源装置(ソーラーストレージ)をしない施設に10台寄贈し、非常時の独立電源として利用してもらうということ。

佐賀県佐賀市で道路の”のり面”を太陽光発電に無償貸与、管理費が浮いて一石二鳥!

佐賀県は、所有する有明海沿岸道路の”法面”(写真の左側部分の斜面)を無償で太陽光発電事業者に貸与すると発表しました。
貸し出されるのは佐賀県佐賀市の有明海沿岸道路の、久保田IC-福所江大橋間の”のり面”2km分。南向きの斜面で、約1万㎡の面積があり、約1MW分のソーラーパネルの設置が可能だということ。

屋根貸しなどで自治体が賃料を取って太陽光発電事業者に場所を貸すことは良くありましたが、今回は「無料で」貸し出されるというのがポイント。
もともとこの”のり面”の除草作業で年間約400万円かかっていた管理費を削減できるというメリットのために、無償貸与が実現されています。

事業者にとっても、佐賀県にとっても、メリットがあるということで、一石二鳥ですね!地域の環境対策にも貢献できると考えれば一石三鳥?

今後の予定は、

10月30日まで事前登録受け付け
11月1日に登録者に向けて現地説明会を開催
12月中の事業者決定
来年度から発電開始

という流れです。
年間約4,000万円の売電収入が見込めるという事で、佐賀県の太陽光発電事業者の方はチャンスです!

記事

廃校活用の太陽光発電は”国の売電制度を利用しない”事業!

この時期に太陽光発電と言えば、固定価格買取制度を利用して売電収入を得るための事業が一般的です。
そんな中、宮崎県美郷町の廃校跡地に建設される太陽光発電事業での試みに注目したいと思います。

宮崎県美郷町南郷区の水清谷小学校跡地は、2年前に廃校となり、跡地の有効活用として太陽光発電が設置されることとなりました。
校舎を含む5800㎡を巴企画という東京の発電事業会社に貸し出し、同社は360kWの太陽光発電設備を建設します。

この事業が他と違うところはまず、保守管理(敷地の草刈りやパネル清掃など)を住民自ら行うという事。
巴企画からは住民たちで作られる協力会に年間55万円の協力金が支払われます。

そしてさらにユニークなのは、20年間42円という固定価格買取制度を利用せず、この施設からの電力は別の事業を通して町役場などが買い取るというところ。
買取価格九州電力よりも1割安くなるというので、自治体の電気代もそれだけ安くなるということです。

完全に地域の電力会社から独立して行われるこの事業、本当の意味での地産地消、地域貢献が達成できる事業と言えるのではないでしょうか?