沖縄の系統連系保留の課題に、いまだ解決策無し

宮古市で、系統への負担を理由に新規の太陽光発電事業の申請を見送っている問題について、17日に行われた宮古島市議会の定例会に沖縄電力の古堅宗和企画政策部長が出席し、一般質問に答えました。

質問に答えたとは言いながら現状では具体的な解決策が出ているわけではなく、事業者の人たちは心にもやもやを抱えたままだろうと予想しています。

同様の問題を抱えるのは宮古島市だけでなく、石垣市や久米島町でも接続が保留されているということ。

宮古島市では、東芝などが参画している「宮古島市全島エネルギーマネジメントシステム(EMS)実証実験(すまエコプロジェクト)」を昨年10月から行っていますが、市としてはこのシステムを活用した電力需要調整が導入量の拡大に寄与できないかどうか、といった検討も進めているということで、ちょっとした期待を持てる発表内容でした。

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千葉県柏市で三井不動産の国内初・太陽光による電力融通スマートシティ

三井不動産が環境共生都市・健康長寿都市・新産業創造都市を目指して街づくりを進めている千葉県柏市「柏の葉スマートシティ」で、太陽光発電と蓄電池による施設間での電力融通が始まります。

現段階では太陽光発電を設置しても売電に回す事業がほとんどですが、三井不動産の柏市での試みでは、系統を通じた売電に頼らず自社施設内で消費され、しかも地域内の2つの施設で電力融通をする事で、地域単位でのピークカットに貢献できるといいます。

具体的には平日オフィスでの電力需要が高まる「ゲートスクエア」(オフィス・ホテルなど)から「ららぽーと柏の葉」(商業施設)に電気を供給、休日はその反対に電力融通を行い、地域レベルで約26%の電力ピークカットを行うということ。

このピークカットによりCO2削減だけでなく、両施設合計で電力料金削減など年間約1,000万円の経済的なメリットを見込んでいるそう。

「ららぽーと柏の葉」には、太陽光発電が約500kWと大規模蓄電池約11,850 kWh(出力約1,800kW、2014年6月下旬設置予定)を設置。
「ゲートスクエア」は現在開発中で、太陽光発電約220kWと蓄電池約3,800kWh(出力:約500kW)を設置。
さらに非常時に稼働させるガス発電機(発電出力:約2,000kW、設置済み)を設置する計画。

各施設や分散電源をICTネットワークでつなぐAEMS(Area Energy Management System)の構築で各施設の発電量や蓄電量、電力使用量、地域の気象情報や災害情報などのデータを収集・分析して今後の電力需要や発電・蓄電量を予測し、地域における最適な電力供給計画を策定します。

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今回、柏の葉におけるグリッドシステムがもたらした経済的なメリットは、主にピークカットによって契約電力を減らせることなどが貢献した結果で、昨今のメガソーラーとは区別されるもの。つまり、売電に頼らずとも太陽光発電による経済的なメリットを享受できる、先例的な事業と言えます。

スマートで災害に強い、エコな街づくりを実現した結果としての今回のような経済メリットは、企業にとっても、社会にとっても喜ばしいですね。

ソニーがカナダの電力大手と合弁会社設立、電力系統用の大規模蓄電システムを開発

ソニーが、カナダ最大の電力会社であるハイドロ・ケベック社と、主に電力系統用の大規模蓄電システムに関して研究・開発するため、2014年6月に合弁会社を設立する予定だと発表。

今回の新会社設立は、大容量の電力を効率的に安定供給するために高い安全性と信頼性を持つ電力系統用の蓄電システムを開発する事を主な目的としています。

ソニーの安全性・信頼性の高いオリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池と拡張性の高い蓄電モジュール・システムの制御技術、ハイドロ・ケベックの電力系統の運用・制御技術とリチウムイオン電池材料技術、それぞれの強みを生かして大規模な用途でも高い安全性と信頼性を実現するシステムに加えて、電力系統用に適した電池材料技術の研究・開発を行い、変電所におけるピーク対策や再生可能エネルギーの系統連系など、拡大するさまざまな用途への有効性の検証を行っていくとのこと。

ソニーは新会社の設立で、すでに進出している家庭・オフィス用蓄電システム市場に加えて、より大規模な蓄電システム市場への進出で、蓄電池事業を拡大していきたい模様。

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カナディアンソーラー、拠点のカナダ、オンタリオ州でマイクログリッドセンター開設

マイクログリッドのための研究が世界中で始まっています。

カナダオンタリオ州に拠点を置くカナディアンソーラーは、オンタリオ州の一部資金援助のもと、マイクログリッドテストセンターを開設した発表。マイクログリッドの開発を進める優秀な専門家を集め、マイクログリッドソリューションテストや、システムソリューションの設計とスマートグリッドの評価サービスを行っていきます。

「公益事業、大学やカレッジ、コミュニティ、マイクログリッドソリューションの開発に従事する企業に共有可能なサービスを提供するため、共同研究者とともに取り組みます」ということですが、拠点のオンタリオ州での雇用創出などにも積極的に取り組んだカナディアンソーラー。拠点の自治体との関係づくりに積極的なのは、ソーラーフロンティアの姿ともかぶります。

カナディアンソーラーのプレスリリースから

新しいマイクログリッドソリューションは、再生可能エネルギーシステムを既存のマイクログリッド、オフグリッドインフラに組み込む為の試験や、開発を行うオンタリオ州のスマートグリッド産業の競争力を向上します。マイクログリッドテストセンターによって、ファースト・ネーション(カナダ先住民)、オンタリオ州北部の遠隔地や鉱山プロジェクトは、直接的な恩恵を受けるでしょう。

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日立、天候の変化による太陽光発電の出力変動を安定化する技術を開発

株式会社日立情報制御ソリューションズは天候の変化による太陽光発電の出力変動を安定化する技術を開発しました。

この技術は、太陽光パネル上空の空画像から数秒後の太陽と雲の位置関係を計算することで発電出力の変動を予測し、さらに予測した変動のタイミングに合わせ蓄電池の充放電を制御することで太陽光発電の発電出力変動の安定化をめざすもの。

年間を通じたさまざまな天候状況に対応可能となるように、空画像の撮影を継続しながら、太陽と雲の領域を認識する画像処理や雲の動きを予測するアルゴリズムのロバスト性向上を実施し、太陽光発電の出力変動の予測精度向上を図るということ。

日立のグループ会社は蓄電システムの開発なども行っており、スマートグリッド社会に一役買いそうな技術をグループ内に多く抱えることになりそうですね。

リリース

沖縄電力が宮古島の太陽光発電の申請を保留

沖縄電力が宮古島市の太陽光発電20件の新規接続を保留していると発表されました。

宮古では、EVを活用した実証実験や、宮古島市来間島で100%電力の地産地消を目指したりと、島のスマートエネルギー化に向けた様々な試みがなされていますが、こうした動きが足止めを食らう可能性もあります。

宮古島市圏内では、沖縄電力のメガソーラー以外に、既に1万kW分(10MW)の太陽光発電に対して連系を完了させており、さらに7700kW(7.7MW)分の連系許可分に対しては買電を行うとしていますが、通常電力の送電に支障を来す可能性があるという理由で新規申し込みのあった20件については接続を保留にしているということ。再生可能エネルギー固定買い取り制度施行後、接続保留になったケースは全国でも初の事例なのだとか。国や関係機関と調整し、接続限界量の調査分析結果が出るまでは新規の接続契約を保留したい考えだというこt。

「エコアイランド宮古島宣言」を掲げる宮古島の下地市長は沖縄電力に対して、十分な調査と市民への説明、その後は引き続きの太陽光発電の導入継続のための対策検討を含めた要請書を提出しました。

やはり系統の小さな島で太陽光発電などを活用した電力融通は難しいのでしょうが、宮古島でのスマートエネルギー化が、やがては日本列島の規模まで発展しうる技術の開発のきっかけにもなるかもしれません。

今後の展開に注目いたいですね。

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ドコモの携帯電話グリーン基地局は、太陽光発電×蓄電池で6時間作動を確認

NTTドコモは、太陽光発電と蓄電池を利用する事で「災害に強く、環境に優しい携帯電話基地局」の実証実験を2011年からはじめており、運用状況が発表されました。

パナソニックの創蓄連携システムを使い、ドコモが開発する次世代制御技術「グリーン電力コントローラ」を活用してR&Dセンターで行われた実証実験では、停電などで通常の電力の供給が無くなった場合でも、基地局の機能を最大6時間保持することに成功、同設備に関連する温室効果ガスの発生も30%削減に成功したといいます。

現在、東京都、神奈川県、山梨県の3局に広げて実証実験を続けるドコモ。2014年度はさらに関東甲信越地方の各地10局での実証実験を始めていますが、先には年内の商用化の目標があるということ。

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グリーン基地局とは

パナソニックによる創蓄連携システム

NTTドコモが進める「グリーン基地局」事業は携帯電話の基地局を太陽光発電と蓄電池でクリーンな電源で運用するとともに、停電時にもサービスを途絶えさせないようにするための災害対策の一環です。

システムの開発にはパナソニックが関わっており、太陽光、蓄電池、系統のどの電力を使用するかなどを制御できる創蓄連携システムを提供しています。
基地局専用にプログラムされたシステムでは、直流をそのまま貯蔵することで電力の利用効率向上の成果も上げています。

グリーン基地局が目指す事

性能目標

同システムが性能面で掲げる目標は、「災害時でも3日間の電力確保」というもの。
今回実証実験では6時間という成果を上げていますが、システム制御の最適化のための実証実験の結果を元に、蓄電池の容量を増やして達成を目指すものかと予想しています。
基地局自体の消費電力も、まだ見直せる余地があるかもしれません。

市場展望

現在は実証実験の段階ですが、あくまで商用化を念頭に置いたものです。
日本で災害に強い電力網の確保はもちろんなのですが、
無電化地域では固定電話以前に携帯電話の普及が進んでいるような状況もあり、
同様のインフラ設備の有用性は高いと考えているそうです。

中国電力、管轄内の離島で蓄電池を用いた実証実験開始

中国電力は、環境省公募による「平成26年度離の再生可能エネルギー導入促進のための蓄電池実証事業」の採択事業として、隠岐諸島における蓄電池実証事業を始めると発表しました。

この事業は離島において再生可能エネルギーが系統に与える負担を減らすため、国内で初めて異なる種類の蓄電池を組み合わせ、電力系統制御用のハイブリッド蓄電池システムによる技術実証を行うものです。

NAS(ナトリウム・硫黄)電池を4,200kW、リチウムイオン電池を2,000kW組み合わせた蓄電池システム(合計6.2MW)になるということ。

島根県 隠岐諸島(隠岐郡西ノ島町)に蓄電池が設置され、同時に再生可能エネルギーの発電設備も増設を計画しているということ。

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(2014年10月24日 追記)

隠岐諸島の実験では再エネ比率20%の運用可能性が実証される

隠岐諸島に設置される再エネ設備は、太陽光7MW、風力4MWの最大11MWということ。太陽光発電の設備利用率を13%、風力の設備利用率を22%とした場合、年間発電量は太陽光で7,980,000kWh、風力で7,708,800kWhとなり、再エネで15,688,800kWh(約15.7 GWh/年)が得られることになります。

一方で隠岐の島町の使用電力量は、平成18年の記録になりますが82,486,675kWh/年(約82.5 GWh/年)となっています。
消費量の約20%にあたると考えられる再エネ比率です。

沖縄県来間島の電力地産地消事業詳細

「沖縄県来間島、太陽光の電力でエネルギーを100%地産地消」の話題は以前お届けしました。沖縄県のスマートエネルギーアイランド基盤構築事業の一環として、今年1月から運用を開始しているもので、2015年3月までの実験期間を設けています。

この事業の設備について、詳細が出ていました。

太陽光発電システムの容量は約380kWでカネカ製のパネル、オムロン製のパワーコンディショナを使います。
蓄電池は東芝製で、容量は100~176kWhということ。

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北九州市の電気バス稼働開始

北九州市による電気バスの運行のニュースを以前おとどけしましたが、バスが実際に稼働を開始したということです。

72人乗りの電力駆動のバスは、エコタウンセンター(若松区)とJR戸畑駅(戸畑区)を結ぶ路線を1日2往復するのだそう。
高性能リチウムイオン電池一回の充電で、最大80kmの走行が可能ということです。

バスの稼働は今月26日に開始。
今後の展開としては、今年10月をめどに若松区響灘地区の9haの土地に7500kW(7.5MW)の太陽光発電を稼働開始、同時に発電所付近に設置する充電器によって電力バスへの電力供給を開始し、来春には大型蓄電池の運用開始で完全に太陽光発電による駆動を開始する予定。

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